Economic Indicators 定例経済指標レポート 指標名:機械受注統計調査(2015年1月) 発表日 2015年3月11日(水) ~減少は小幅も、見た目以上に良くない結果~ 担当 第一生命経済研究所 経済調査部 副主任エコノミスト 高橋 大輝 TEL:03-5221-4524 (単位:%) 民需 代理店 製造業 官公需 外需 3.9 ▲ 8.5 12.6 0.8 ▲ 2.1 非製造業 船舶・電力除く 前期比 ▲ 1.0 ▲ 6.7 ▲ 1.2 ▲ 0.7 4.9 前期比 ▲ 7.9 7.2 3.6 3.6 ▲ 17.1 前期比 ▲ 11.5 30.3 ▲ 17.8 2.9 ▲ 10.1 2015 1-3月 4-6月 7-9月 10-12月 1‐3月期(見) 船舶・電力除く 前期比 4.2 ▲ 10.4 5.6 0.4 1.5 2014 7月 3.5 20.3 ▲ 4.3 2.3 9.3 8月 4.7 ▲ 10.8 10.7 ▲ 3.6 ▲ 29.9 29.1 9月 2.9 12.0 1.7 2.5 21.0 ▲ 9.4 10月 ▲ 6.4 ▲ 5.5 ▲ 7.5 6.1 4.8 ▲ 4.6 11月 1.3 ▲ 7.0 0.5 ▲ 11.6 ▲ 7.5 ▲ 6.0 12月 8.3 24.1 7.2 16.9 10.8 ▲ 6.9 3.7 ▲ 13.9 25.8 24.2 2014 前期比 ▲ 1.7 ▲ 11.3 2015 1月 (出所) 内閣府「機械受注統計」。2015年1-3月期は内閣府見通し。 前期比 6.5 42.2 ▲ 27.7 ▲ 9.3 4.0 ▲ 42.6 ○減少は小幅も、見た目以上に良くない結果 2015年1月の機械受注(船舶・電力除く民需)は前月比▲1.7%と、市場予測(コンセンサス:同▲4.0%、 レンジ:同▲8.7%~+3.6%)を上回る結果となった。ただし、大型案件などによる押し上げなどがあった ことを差し引くと、市場予測を大きく下回る結果であり、機械受注の加速を示唆する結果ではなかった。な お、内閣府による基調判断は「機械受注は、緩やかな持ち直しの動きがみられる」と現状維持だった。 需要者別に見ると、製造業は前期比▲11.3%と減少した。大型案件のあった石油製品・石炭製品(同+ 513.6%)が大幅増加したものの、その他製造業(12月:同+114.0%→1月:同▲50.5%)が前月の反動か ら大きく減少したほか、その他輸送用機械(同▲39.0%)、自動車・同付属品(同▲23.3%)、パルプ・ 紙・加工品(同▲69.6%)などが下押しとなり、総じてみれば前月比マイナスは避けられなかった。非製造 業(船舶・電力除く)は同+3.7%と3ヶ月連続の増加となった。農林漁業(同+116.3%)が高い伸びとな ったほか、通信業(同+10.5%)、情報サービス業(同+9.6%)などが増加した1。非製造業(船舶・電力 除く)の増加は農林漁業の増加によるところが大きく、来月以降は押し上げ効果の剥落が予想されることを 踏まえると増加基調が強まっているとは判断しづらい。 なお、15年1-3月期の内閣府見通し(船舶・電力除く民需)である前期比+1.5%は2月、3月がそれ ぞれ前月比▲2.4%、前期比プラスは同▲3.8%で達成となる。達成へのハードルは高くないが、1月の機械 受注は大型案件等で大きく押し上げられていることを踏まえると、2月は大きめの減少となる可能性がある 点には注意が必要だ。 1 卸売業・小売業は前月比+264.3%と大幅増加しているが、内閣府によれば船舶の大型案件によるところが大きいとのこと。 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容 は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。 ○ 外需は高い伸びとなったが 資本財輸出の先行指標である外需は、前月比+24.2%と5ヶ月ぶりに増加した。もっとも、内閣府によれ ば外需は6件の大型案件があったとのことであり、来月以降の動向も併せてみる必要がある。官公需は前月 比+25.8%と大幅増加した。ただし、14年2月に策定された経済対策の効果が剥落しつつある中、先行きも 力強い推移が続くことは難しいとみている。代理店は同▲13.9%と減少した。このところ振れが大きいが、 均してみれば高水準を維持している。 ○ 先行きの設備投資は緩やかな増加基調を辿る見込み 以上のように、1月の機械受注は大型案件などによる押し上げが大きく、来月はその剥落により減少が見 込まれる。ただし、設備投資を取り巻く環境は改善しており、先行きの設備投資は緩やかな増加基調を辿る とみている。企業の設備過剰感が解消しつつある中、企業の設備投資計画は強いものになっており、今後は 増税後の景気低迷によって手控えられていた投資が景気回復を背景に徐々に顕在化してくるとみている。ま た、原油価格の下落や円安といった外部環境の改善を背景に企業収益の大幅改善が予想され、景気回復を背 景とした景況感の改善を契機に、潤沢なキャッシュフローが設備投資に繋がっていくだろう。こうした要因 を背景に、先行きの設備投資は緩やかな増加基調を辿ると予想している。 (10億円) (10億円) 機械受注 船舶・電力除く民需(季調値) 1050 製造業(季調値) 450 月次 400 3ヵ月移動平均 950 350 850 300 750 月次 3ヵ月移動平均 250 650 550 200 10 11 (10億円) 13 14 15 月次 510 10 11 12 (10億円) 1800 船舶電力除く非製造業(季調値) 550 530 12 13 14 15 14 15 外需(季調値) 1600 3ヵ月移動平均 1400 月次 490 3ヵ月移動平均 1200 470 450 1000 430 800 410 600 390 400 370 200 350 10 11 12 13 14 15 10 11 12 13 (出所)内閣府「機械受注統計調査」 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内容 は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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