分子の長さが揃った、柔軟で強靭な耐熱性ポリ乳酸

概要 金属フリーの有機触媒を開発し、分子量、分岐度の揃った精密ポリ乳酸の合成
に成功しました。得られた精密ポリ乳酸は接着性、耐熱性に優れ、従来困難であった
ポリ乳酸フィルムに対するバイオマス接着剤として有望です。
長さ、形を設計通りに合成可能
“通常”のポリ乳酸
“分岐”したポリ乳酸
硬くて、脆い…..
柔軟で、丈夫 !
!
広範囲の分子量1000~210,000
揃った分子量鎖長 分子量分布1.1
分岐構造 直鎖~8分岐まで
様々な分子量で,分子量が揃った,分岐構造のポリ乳酸が得られました。
これまでのポリ乳酸とは全く異なる性質(柔軟性、耐熱性、接着性)を示します。
高機能ポリエステルとして,接着剤,塗料,フィルム等,様々な用途に !
精密制御ポリ乳酸の合成. 分子量、化学構造の制御
柔軟性向上
のため、
トリメチロールプロパン
を開始剤に用いると、
ペンタエリスリトール
を開始剤に用いると、
多分岐化
3分岐ポリ乳酸
Mn = 2,800~105,000 ( PDI = 1.1)
開始剤の構造を反映した分岐構造を導入可能
→結晶性の低下、柔軟性の向上
J. Kadota, et al., RSC Adv., 4, 14725 (2014), Macromolecules, 43(21), 8874 (2010),
J. Am. Chem. Soc., 131(42), 15088 (2009) 様々な条件で、理論分子量と一致
末
耐熱性向上のため、端
基
保
R1 =
護
Ethyl, Benzyl
etc.
開始剤によって、
任意に設計可能
4分岐ポリ乳酸
Mn = 2,800~145,000 ( PDI = 1.1)
接着強度.(はく離試験)
耐熱性.(5%重量減少温度)
R2 =
Methyl, Phenyl
etc.
停止剤によって、
任意に設計可能
市販品
開始停止両末端制御ポリ乳酸
Mn = 1,400~70,000 ( PDI = 1.1)
→末端からの分解反応を抑制
市販品の20倍の接着力! 分解温度250℃→320℃までup!
結論
長さの揃った精密分岐ポリ乳酸 = これまでにない新素材
今までにない機能発現 !
接着性、耐熱性に優れたバイオマス素材を活かした様々な製品開発に !
特許5545985号、関連内容を2012年特許出願中。本研究は科研費基盤 (C)(JSPS科研費24550265)の助成を受けたものです。