ALCA新技術説明会 単結晶ナノキューブを用いた 高性能小型デバイス開発 独立行政法人産業技術総合研究所 先進製造プロセス研究部門 加藤 一実 【謝辞】 本研究の一部はコンソーシアム型共同研究「ナノクリスタルセラミックスの研究」( H20.5〜H24.4)、JST先端的低炭素化技術開発事業(ALCA)「単結晶ナノキューブのボトムア ップによる高性能小型デバイス開発」(H23.10〜)の一環で実施されました。 従来技術とその問題点 既存のセラミック成形法として、シート成形法等があるが、 ・原料粉末の粉砕による微細化には限界があるため、薄層化がで きない ・原料粉末の形状が不定形で不純物の混入がさけられないため、 成形後の粒構造や粒界を制御することができない 等の問題があるため、素子の小型化・高性能化・信頼性向上に限 界が生じている。 本提案 ナノメーターサイズで単分散の 単結晶ナノキューブによる技術革新 積層型デバイス 薄膜型デバイス 特許5637389号 産総研成果 産総研成果 特許5618087号 チタン酸バリウム(BaTiO3)ナノクリスタル 界面とナノサイズの単結晶の協働による特性制御 単位格子 ・水熱合成 ・欠陥(表面層)のない 高品質な単結晶 ・立方体(ナノキューブ) ・一辺15nm (サイズ制御可能) Detector Laser d33-PFM (pm/V) Pt/TiO2/SiO2/Si Pt/MgO Pt/SiO2 AC: 2-4 V, 500 Hz Poling field (kV/cm) ・基板によらず 強誘電性 ・誘電率〜 3000(単結晶 に匹敵、既存 薄膜より一桁 向上) 自己組織化挙動を利用した配列制御 表面(焼結前) 表面(焼結後) 応用分野 断面 ・ナノキューブが3次元秩序配列したスーパー結晶 ・多様な基板が適用可能(基板を選ばない) ・特異な焼結挙動(粒成長しない、界面接合による固着・緻密化) 積層セラミックコン デンサ、スーパー キャパシタ、 次世代メモリ、圧 電MEMSなど 産総研成果 特許5637389号 特許5618087号 Pt top electrode Electrode area: 31.2 µm2 Thickness: 290 nm Single crystal Electrode area: 56.4 µm2 Thickness: 580 nm Pt bottom electrode 巨大誘電率>3000 = 単結晶BaTiO3 約1700 (イオン分極) + 界面 K. Mimura, K. Kato, APEX 7, 061501 (2014). 高誘電率>3000(単結晶を凌駕), 低損失0.07, 低周波数依存性 高絶縁性>250MV/m ・高品質な単結晶ナノキューブのサイズ と3次元に位置された界面の密度によっ て、特性制御が可能 → 巨大容量、スーパーキャパシタ ・「単結晶自体+界面」の相乗効果→誘 電体以外の材料への拡張 応用分野 積層セラミックコンデンサ、 スーパーキャパシタ、 次世代メモリ、圧電MEMSなど 新技術の特徴・従来技術との比較 • 従来技術の問題点であった、原料粉末の微細化・形状・結晶性 制御を改良することにが可能になった。 • 従来は、成形体の膜厚がサブミクロン程度に限られていたが、 原料粉末の粒子径と形状を一辺15nmのキューブ状に微細化で きたため、膜厚100nm以下まで薄層化が可能になった。 • 本技術の適用により、多様な基板の上に単結晶類似の薄層を 形成し、単結晶と界面の性質を融合した新デバイスの実現が期 待される。 省エネ・CO2低減効果(年次目標) 10,000,000 1,000,000 新スーパー キャパシタ 誘電体 キャパシタ 100,000 出力 W/I 10,000 1,000 100 10 従来の スーパー キャパシタ 電池 燃料電池 1 0.01 0.1 1 10 100 1,000 エネルギー密度 Wh/I ・2016年度(H28年度)末までエネル ギー密度2桁向上のための材料指針 の提示 (JST先端的低炭素化技術開発事業) 10,000 ・2030年までに部材化技術の産業化 ・2030年以降に高性能小型デバイス の実現 想定される用途 @産総研 積層セラミックコン デンサ、スーパー キャパシタ、次世代 メモリ、圧電MEMS 誘電体、強誘電体、圧電体 チタン酸バリウム(BaTiO3) チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)など @慶應大学 高活性触媒、燃料電池 誘電・蓄電デバイス リチウムイオン 二次電池 ・反応活性な結晶面 {100}の利用 ・多孔質化 @産総研 酸化セリウム (CeO2)など 酸素吸蔵能 2 nm ガスセンサ、バイオチップ ・結晶方位 ・界面制御による高感度化 ・正極材料→負極材料、 電解質材料(全固体電池) Mn3O4矩形 ナノブロック LiMn2O4 @群馬大学 酸化スズ (SnO2)など 実用化に向けた課題 • 現在、チタン酸バリウム単結晶ナノキューブ集積体の微小キャパ シタについて誘電特性の飛躍的向上を確認したところまで開発済 み。しかし、大型化・大面積化の点が未解決である。 • 今後、大型化・大面積化のための集積技術について実験データ を取得し、デバイス製造に適用していく場合の条件設定を行って いく。 • 誘電体以外のナノキューブの実用化に向けては、合成手法を製 造レベルまで拡大できるように技術を確立する必要がある。 産業界との連携が必要な要素技術 合成 量産技術、低コスト化、粒子・表面制御 バッチ式、流通式リアクタ 成形 大面積化、積層化 外部場の利用による同時成形・焼成と3D化 焼結 局所焼結、界面制御、機械的性質制御 パルス通電焼結、マイクロ波焼結、etc 電極形成 積層、パターニング、絶縁耐圧 性能評価 各種デバイス性能評価、安定性・信頼性 企業への期待 • 未解決の大型化・大面積化については、成形途中の乾燥過程の 精密制御や新手法の適用により克服できると考えている。 • 粉体合成・セラミック成形・デバイス製造技術のいずれかを持つ 企業との共同研究を希望。 • また、新材料や新セラミックデバイスを開発中の企業、エネル ギー・環境分野への展開を考えている企業には、本技術の導入 が有効と思われる。 お問い合わせ先 独立行政法人産業技術総合研究所 先進製造プロセス研究部門 首席研究員 加藤 一実 電話:052-736-7233 E-mail: [email protected] URL: https://unit.aist.go.jp/amri/ja/access_ja.html 住所: 〒463-8560 名古屋市守山区下志段味穴ヶ洞2266-98 (産総研中部センター)
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