1965年度外国映画決算より 9 1965年度外国映画決算より 第6位「赤い砂漠」 (Il Deserto Rosso) (64・伊) 第1位「8 1/2」 (Otto e Mezzo) (63・伊) 監督ミケランジェロ・アントニオーニ、主演モニカ 監督フェデリコ・フェリーニ、主演マルチェロ・マ ・ヴィッティ、リチャード・ハリス ストロヤンニ、アヌーク・エメ 「赤い砂漠」が呼び物であったが、失望。 (中略)色 更に大きく世界映画史を揺り動かすものであろう。 彩感覚としてはさすがに傑出したもので、撮影者の (中略)とにかく部分的に難解であいまいな弱点は 功績だけでない。色彩設計の問題であることを感ぜ あるが、彼が大野心と独創的なファンタジーを吐露 しめた。 したもので、前人未到の世界と云える。 (津村秀夫) (津村秀夫) 第7位「野望の系列」 (Advise and Consent) (61・米) 第2位「明日に生きる」 (I Compagni)(62・伊) 監督オットー・プレミンガー、主演ヘンリー・フォ 監督マリオ・モニチェッリ、主演マルチェロ・マス ンダ、チャールズ・ロートン トロヤンニ、レナート・サルヴァトーリ 「野望の系列」はプレミンガーの傑作だが、政治的 長くオクラになっていたモニチェッリ監督の「明日 なものはなぜ日本では動員力がないのであろうか。 に生きる」の登場。古い時代のイタリアのストライ (中略)一国の文化的風土として日本にくらべて格 キ映画も珍しく、トリノの町の雪景色の詩情も哀切 段の違いである。 だった。 (津村秀夫) (津村秀夫) 第8位「素晴らしきヒコーキ野郎」 (Those Magnificent 第3位「柔らかい肌」(La peau douce) (63・仏) Men in Their Flying Machines)(65・英) 監督フランソワ・トリュフォー、主演ジャン・ドザ 監督ケン・アナキン、主演ジェームズ・フォックス、 イー、フランソワーズ・ドルレアック スチュアート・ホィットマン フランソワ・トリュフォーの「柔らかい肌」が注目 イギリス監督ケン・アナキンが「素晴らしきヒコー すべきものであったが、主演男女優の力量がさほど キ野郎」で痛快な笑いの映画(色彩)を作ったこと でなくて、ほとんどトリュフォーの表現力で見せた が拾い物。 ような三角関係物語。 (津村秀夫) (津村秀夫) 第9位「コレクター」(The Collector) (65・英) 第4位「その男ゾルバ」 (Zorba the Greek)(64・ギリ 監督ウィリアム・ワイラー、主演テレンス・スタン シア=米) プ、サマンサ・エガー 監督ミカエル・カコヤニス、主演アンソニー・クィ 「コレクター」も技術は完璧と云うほど巧みなもの ン、アラン・ベーツ だが、要するに一種の偏執狂と云うか、異常性格者 ことによるとこの歳のベスト・テンにも入りかねな のはなしに過ぎない。見終ってからあんまり好い気 い佳作。アンソニー・クィンも好ましいが、私は、 分にはなれない。 (津村秀夫) 「道」の彼を抜くものではないと思う。 (津村秀夫) 第10位「恋人のいる時間」 (Une femme mariée) (64・ 第5位「メリー・ポピンズ」 (Mary Poppins) (64・米) 仏) 監督ロバート・スティーヴンスン、主演ジュリー・ 監督ジャン・リュック・ゴダール、主演マーシャ・ アンドルーズ、ディック・ヴァン・ダイク メリル、ベルナール・ノエル 「メリー・ポピンズ」が最大の収穫。やはりW・デ 「恋人のいる時間」は失望した。新興フランス映画 ィズニーの創意工夫は大したもので、トリック撮影 の選手の一人がこんな怠屈なものを作っているよう や色彩映画と組み合わせて、愉快な映像と音響の世 ではイタリアに負ける。 界を現出。新生面をひらいた感じだ。(津村秀夫) (津村秀夫) 8 こ の 年 は 選 出 者 の コ メ ン ト を 掲 載 し な か た た め 津 村 秀 夫 氏 に よ る 1 9 6 5 年 度 外 国 映 画 決 算 か ら の 抜 粋 で す
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