資料3-2 2015年3月3日 独立行政法人国民生活センター 美容医療サービスに関する相談の概要 1.相談件数 (1)相談件数 PIO-NET 1に寄せられる美容医療サービスの相談 2は、2009 年度から 2014 年度までの間に 11,005 件寄せられている。そのうち、販売方法や広告等に問題のある相談は、5,758 件だ った。年度別に見ると、美容医療サービス全体、販売方法や広告等に問題のある相談、危 害の相談の件数はともに増加傾向にある(図1) 。2014 年の相談件数は、美容医療サービス 全体が 1,955 件(前年同期 1,636 件) 、販売方法や広告等に問題のある相談は 1,094 件(前 年同期 893 件) 、危害の相談が 513 件(前年同期 348 件)といずれも 2013 年度と比較して 増加している。 (以下では、販売方法や広告等に問題のある相談の 5,758 件を対象とし、不明、無回答を 除いて分析する。 ) 図1 美容医療サービスに関する相談件数の推移 (件) 2,500 2,155 2,000 1,955 1,873 1,740 1,724 1,558 前年同期 1,500 1,636 1,194 1,000 999 810 824 837 306 350 500 293 376 479 1,094 513 0 2009 2010 美容医療サービス全体 2011 2012 2013 販売方法や広告等に問題がある相談 2014 (年度) 危害 ※2015年1月31日までの登録分 1 PIO-NET(パイオネット:全国消費生活情報ネットワーク・システム)とは、国民生活センターと全国の消費生活セ ンターをオンラインネットワークで結び、消費生活に関する情報を蓄積しているデータベースのこと。 2 美容医療サービスとは、医療脱毛、脂肪吸引、二重まぶた手術、包茎手術、審美歯科、植毛などの「美容を目的とした 医療サービス」を指す。データは 2015 年 1 月 31 日までの登録分。 1 (2)契約当事者の属性等 ・ 年代別では、20 歳代が 2,150 件(38.8%) 、30 歳代が 1,282 件(23.1%) 、40 歳代が 872 件(15.7%)で、平均年齢が 36.0 歳だった。若年層のトラブルが多い。 ・ 性別では、女性 4,199 件(73.3%) 、男性 1,526 件(26.6%)と女性からの相談が男性 からの相談の 2 倍以上だった。女性の契約者の平均年齢は 37.8 歳で、幅広い年代にト ラブルがみられるのに対し、男性は平均年齢が 30.9 歳で、20 歳代の契約者が半数以上 を占める(図2) 。 図2 性別・年代別相談件数 【男性の年代別件数】 (不明・無回答を除く 1,489 件) 70歳以上、31件、2.1% 60歳代、50件、3.4% 10歳代、113件、7.6% 50歳代、61件、4.1% 40歳代、134件、9.0% 20歳代、774件、52.0% 30歳代、326件、21.9% ※2015 年 1 月 31 日までの登録分 (不明・無回答を除く 4,055 件) 【女性の年代別件数】 10歳代、93件、2.3% 70歳以上、200件、4.9% 60歳代、247件、6.1% 20歳代、1376件、33.9% 50歳代、446件、11.0% 40歳代、738件、18.2% 30歳代、955件、23.6% ※2015 年 1 月 31 日までの登録分 (3)相談内容(複数回答) ・ 相談者の主な申し出は、お金を返してほしいという「返金」が 1,534 件(26.6%) 、そ のほか、キャンセル料が高いなどの「解約料」が 668 件(11.6%) 、解約を拒否された という「解約拒否」176 件(3.1%)などであった。 ・ 料金が高いという「高価格・料金」は 2,626 件(45.6%)であった。 ・ 説明に関する相談は、説明が足りなかったという「説明不足」が 2,427 件(42.2%) 、 説明にうそがあったという「虚偽説明」が 701 件(12.2%)で増加傾向であった。 ・ 勧誘方法などが強引だったという「強引」は 1,132 件(19.7%)で増加傾向であった。 2 図3 主な相談内容の推移 (件) ※複数回答 600 513 500 466 424 400 358 339 327 300 268 200 144 99 88 100 36 19 0 144 118 85 137 113 99 2009 2010 19 2011 182 142 112 159 142 25 38 2012 257 128 84 39 2013 2014 (年度) 説明不足 強引 解約料 虚偽説明 解約拒否 ※2015 年 1 月 31 日までの登録分 (4)広告媒体(複数回答) ・ 美容クリニックに出向くきっかけとなった広告媒体をみると、2013 年度は電子広告(ホ ームページ、ネット広告等)が 2009 年度と比較して 1.5 倍以上に増加している。雑誌 広告は減少傾向にある(図4) 。 図4 広告媒体別件数 (件) 400 340 350 269 300 250 311 236 192 199 200 150 133 103 120 98 100 50 35 20 75 59 47 40 52 40 2013 2014 0 2009 2010 電子広告 2011 2012 雑誌広告 折込広告 (年度) ※2015 年 1 月 31 日までの登録分 3 (5)契約年月別にみた相談件数の推移 契約年月別の相談件数の推移をみると、厚生労働省の通知等発出前後では相談件数に大 きな差はない。 図5「強引」「説明不足」「虚偽説明」の 内容キーワードの相談の契約月別件数の推移 (件) 90 68 70 60 60 60 50 40 30 80 79 80 43 28 33 32 38 42 39 36 41 40 39 35 34 31 52 49 45 40 68 65 54 54 50 47 65 62 49 37 35 28 25 20 10 201104 201105 201106 201107 201108 201109 201110 201111 201112 201201 201202 201203 201204 201205 201206 201207 201208 201209 201210 201211 201212 201301 201302 201303 201304 201305 201306 201307 201308 201309 201310 201311 201312 201401 201402 201403 0 (契約年月) 2013 年 9 月 27 日 「美容医療サービス等の自由診療におけるインフォームド・コンセントの取扱い等について」 ※2015 年 1 月 31 日までの登録分 ※契約年月を特定できる相談のみ分析 (件) 25 図6「広告・表示」に問題があったとする相談の 契約月別件数の推移 23 19 20 16 15 11 11 11 10 16 16 12 16 12 8 18 17 12 12 7 13 13 12 12 11 8 8 8 19 18 19 13 14 13 11 9 10 10 10 5 201104 201105 201106 201107 201108 201109 201110 201111 201112 201201 201202 201203 201204 201205 201206 201207 201208 201209 201210 201211 201212 201301 201302 201303 201304 201305 201306 201307 201308 201309 201310 201311 201312 201401 201402 201403 0 (契約年月) 2012年9月28日「医療機関ホームページガイドライン」策定 2013年9月27日「医療広告ガイドライン」改訂 ※2015 年 1 月 31 日までの登録分 ※契約年月を特定できる相談のみ分析 4 3.相談事例 【事例1】事前説明と異なり、効果がなく、痛みを伴う高額なリフトアップ 1 週間前、顔の脂肪とほうれい線が気になっていたので、インターネットで調べて、10 万円程度で脂肪溶解注射を受けようとクリニックに行った。医師に希望の施術と「ダウン タイム 3のない施術を受けたい」と伝えたら「リフトアップをすれば永久的に効果が持続す るので、今後美容整形にお金をかける必要はない。痛みもダウンタイムもない」 「約 400 万 円の手術だが、モニターになれば約 140 万円にする」と勧められ、フェイスラインがきれ いになった女性の写真を沢山見せられた。当初の予算よりはるかに高額なので悩んでいる と、 「一番お得な内容だ」と強調され、契約することにした。施術内容の詳しい説明やリス ク説明はなかった。頭金をクレジットカードで支払い、残金はローンを組んだ。手術は後 日にしたかったが、医師に勧められてその日に施術を受けた。手術後、効果はないが、こ めかみや頬に痛みが強く何も食べられない状態が続いている。内出血もひかない。事前の 説明と違うので返金してほしい。 (契約当事者:30 歳代 女性 給与生活者) 【事例2】 「9 万円から」との広告だったが 86 万円の施術を勧められた男性器の治療 性器にできたできものを治療したくて、インターネットですぐに手術をしてくれるクリ ニックを探した。クリニックのホームページには、 「 (施術代金は)9 万円から」 「無料相談 を受け付けている」と書いてあった。10 万円前後で施術が受けられるのであればと思い、 クリニックに出向いた。すると医師から「放っておくともっとひどくなる」と言われ、恐 ろしくなるような写真をたくさん見せられた。「症状によって金額は変わる。あなたの場合 は治療費約 60 万円、再発防止のためには包茎手術もしたほうがよい」と言われ合計約 90 万円の契約をして、施術を受けてしまった。帰宅後、インターネットで他のクリニックの 情報を調べ、あまりにも高額な契約をしてしまったと思った。適正な金額のみを支払いた い。 (契約当事者:30 歳代 男性 給与生活者) 【事例3】カウンセラーに長時間勧誘されて契約した植毛治療 インターネットに植毛の広告が出ていたのでクリックすると、クリニックのホームペー ジにアクセスした。 「植毛の無料カウンセリングを行っている」と記載があったので電話で 申し込んだ。カウンセリングに行くとアドバイザーと名乗る女性から「今すぐに植毛した ほうがいい。今日、数日後のキャンセルが出たから予約ができる。この場で契約すれば料 金が安くなる」と本来は約 150 万円の施術を約 120 万円で受けられると勧められた。契約 するか迷っているとローンの仮審査を受けさせられ、その後もアドバイザーが施術の説明 や検査を行った。 「通常だったらこれほど安くできない。他のクリニックより安いし、技術 力も違う」と来院から数時間勧誘され続け、断りきれずに予約を入れた。医師の診断は全 く受けていない。解約したいが、アドバイザーからは「キャンセルはできない」と言われ たし、受け取った説明書面には契約直後の解約でもキャンセル料が 10 万円かかると記載さ 3 施術による痛みや腫れのため、通常の生活に戻るまでの時間。 5 れている。無条件で解約できないか。 (契約当事者:20 歳代 男性 給与生活者) 【事例4】 「現金がない」と断ると、ATM で引き出して支払わされたクマ取り治療 タウン誌に出ていた「約5万円で目の下のクマが取れる」という広告を見て、クリニッ クに電話し、本当にその価格でできるか確認した上で、カウンセリングを受けにクリニッ クに出向いた。しかし、クリニックではカウンセラーから複数のオプションをつけた約 30 万円の施術を勧められ、 「他院の医師がたまたま来ている。有名な医師で今日を逃すといつ になるかわからない」などと言われた。 「手持ちの現金がない」と断ろうとしたが、 「すぐ 近くに銀行の ATM があるから下ろしてくるように」と言われ、保険証を取り上げられて仕 方なく現金を下ろしに行った。その後、初めて医師が診察し、触診もせず、すぐに手術さ れた。しかし、事前説明のとおりの施術ができなかったようで、自分の意向を確認せず二 重まぶたの埋没手術をされた。後日、涙が出るのでまぶたの糸は取ってもらった。不要な 施術だったと思うので返金してほしい。 (契約当事者:30 歳代 女性 家事従業者) 6
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