業務の実施方針 基本的な考え方 設計チームの特徴 鉄道設計

業務の実施方針
受付番号2:ジェイアール西日本コンサルタンツ㈱
(様式-20)
特に重要視する設計上の配慮事項
基本的な考え方
都市の魅力づくりに貢献する交通施設の実現
当該事業は「広島市の総合交通戦略」に重要な
施策として位置付けられ、その社会的意義は非
常に大きいと考えます。当社はそこに示された
施策コンセプトを確実に実現するために、発注
者・意匠設計者の意図をくみ取り、確実に具現
化します。当社の総合コンサルタントとしての
提案力と今までの駅関連施設の実績により、発
注者・意匠設計者へ選択可能な技術提案を行い
ます。そして、より一層の利便性向上、維持管
理性向上、施工時の安全性及び供用開始後の安
全性確保を図るための設計を行います。
また、より魅力的な交通施設を実現するために、
発注者・意匠設計者の要望の具現化だけでなく、
今までの当社の事例を提示し、提案を行います。
当該事業だけでなく、広島市・アストラムライ
ン沿線の発展に寄与する設計を行います。
利用者・事業者が使いやすい交通施設
利用者の安全確保、わかりやすさ、快適な空
間等の駅の基本機能を実現します。特にJR
新駅とのスムーズな接続については、重点的
に取り組みます。また、安全・安定した鉄道
運行に寄与するよう、重要設備の漏水対策等
を徹底するほか、効率的な運営ができるよう
後方施設のレイアウトなどに配慮します。
街づくりへの貢献
自由通路や駅前広場等の都市計画との整合
性をはかり、街の交通結節点機能に配慮し
た動線計画・設計を行います。
社会への貢献
時代を超えて色褪せない基本機能を有し、
リニューアル等により持続的に基本機能が
維持できるような設計上の配慮を行います。
設計チームの特徴
鉄道設計のノウハウを総合的に発揮
業務実施上の配慮事項
設計チームの全技術者は、鉄道関連施設設計(土
木構造物・駅舎・駅前広場計画)の豊富な経験を
有し、鉄道設計の特殊性を熟知しており、基本事
項を確実に押さえた設計力を発揮します。
意匠設計者との協同作業になることから、管理
技術者・意匠担当主任技術者が率いる建築設計
部門を中心に、土木・設備設計の各専門設計部
門からなる設計チームを構成します。
当社の広島支店(広島市内)を参画させ、円滑
な対応のバックアップ及び地域特性を考慮した
設計を行います。
適正コストの設計を実施するため、技術安全管
理室よりコスト管理担当技術者を配置します。
発注者
高い品質の確保
設計各段階でデザインレビューを行い、高い
設計品質を確保します。また技術審査会にも
付議し、経営幹部が確認・支援を行います。
行政・関連各所との協議
豊富な鉄道施設設計経験を生かし、近接する
JR線との協議や各種申請のための行政協議
を確実に行います。
的確なスケジュール管理
指示
提案
意匠設計者との共同作業であることから、
「いつまでに、誰が、何を決定するのか」を
明確にし、お互いの業務スケジュールの見え
る化を進めます。
意匠設計者
確認・調整
設計チーム
経営幹部
技術審査会
(社長・役員等)
確認・支援
広島支店
調整・支援
照査チーム
照査技術者
担当技術者
照査
社内エキスパート
管理技術者
意匠(建築)担当主任技術者
担当技術者
技 術 室
構造(土木)担当主任技術者
担当技術者
技術安全管理室
電気担当主任技術者
担当技術者
環境デザイン室
機械担当主任技術者
担当技術者
景観デザイン室
環境担当主任技術者
担当技術者
ISOチーム
施工計画担当主任技術者
担当技術者
きめ細やかなコストコントロール
これまで社内に蓄積してきた豊富なコスト
データを生かし、設計の各段階でコスト
チェックを実施し、意匠設計者の要望を取
り入れつつ、VEを提案し、確実に予算を
遵守します。
(様式―21)
幹線道路の中央で地中の軌道ボックスを開
削、補強して築造する半地下駅であること
を踏まえた安全確保と工期短縮の方策につ
いて
課題1についての技術提案
○側壁開口の安全性確保
安全確保
アストラム営業運転の確保、国道54号線の定時走行の確保、幹線共同溝への影響軽減を目的とした、構造計
画・施工計画を提案します。
○掘削時の既存構造物の安全性確保
鋼製切梁
軌道ボックス間を掘削すると、現在地中部で土に
囲まれ安定している軌道ボックスが偏った土圧を受
けて、不安定な状態になります。その偏土圧対策と
して、鋼製切梁式土留を用いて掘削を行うことが一
般的です。(図1)
しかしながら大きな偏土圧による切梁のたわみや、
掘削しながら段階的に切梁を設置していく施工手順
などから、軌道ボックスに変形・移動が生じ直近の
国道54号線や共同溝に悪影響を及ぼすことが懸念
されます。
この悪影響を回避する対策として、掘削の初期段
階で鋼製切梁の変わりに本設コンクリート梁(逆巻
きRC梁)と地盤改良工法による先行地中梁を設置し
偏土圧に対する軌道ボックスの変形・移動を小さく
し安全性を確保できる構造を提案します。(図2)
開口
側壁開口構造をサポートする補強桁を
事前に設置する対策などにより、アスト
ラム通常運行を阻害しない側壁撤去施工
計画を検討します。その際、現存の軌道
ボックスに対する補強対策(プレート補
強等)を極力少なくする構造形式を検討
します。また意匠計画に合わせたあらゆ
る開口形状に応じた開口補強方法を提案
します。(図5)
補強桁
極力補強は行わない
開口
補強桁
柱
図5(開口形状に合わせた補強イメージ)
工期短縮
図1(従来工法イメージ)
昼間施工工種の創出や施工能率の向上が期待できる施工計画を検討し工期短縮を目指します。
逆巻きRC梁
偏土圧
また設計段階で軌道ボックス間の掘削による影響
予測解析を実施し、各施工段階で予想される構造
物・地盤の変状を予測します。影響解析結果を基に、
当社が有する多くの鉄道構造物解析・計測実績から、
本工事における最適な計測計画を提案します。
(図3)
○昼間施工可能な工事工種の創出
軌道ボックスの変形・移動に対する安全性の観点から、軌道ボックス近傍の掘削工事や側壁開口工事はア
ストラム営業終了後の夜間工事で行われることが一般的に考えられますが、提案した逆巻きRC梁・先行地中
梁対策であれば安全性を確保した昼間作業が可能になると考えられます。
また、軌道ボックス内点検通路上部に堅固な仮囲いなどを設置することにより、アストラム営業時間内に
側壁開口工事を実施することが可能となると考えられ工期短縮が期待できます。(図1,2)
先行地中梁
図2(掘削時イメージ)
建築限界
外余裕
固定カメラ
監視センター
に送信
堅固な仮囲い
点検用通路
ターゲット
図1(掘削工事の流れ)
図3(自動計測イメージ)
図2(側壁開口時イメージ)
○乗入構台設置範囲を縮減し施工能率を向上
○掘削底面の安全性確保
当該地域の地盤は地下水位が非常に高い沖積砂質土層により構成されております。このような地盤を掘削し
地中構造物を構築するためには、地下水に対する対策が必要になります。
地下水対策(ボイリング現象対策)として、工事期間中に水中ポンプなどにより釜場排水を実施することが
JR福井駅トップライト
一般的に考えられますが、ポンプによる排水量が多くなると周辺の地下水位の低下を招き、国道54号線の道
路陥没や共同溝の沈下などの悪影響が懸念されます。
このような悪影響を回避する対策として、鋼矢板土留工法と地盤改良を併用した完全遮水を実施し、周辺地
下水位を変動させることなく地下水対策が可能な補助工法を提案します。(図4)
掘削工事では、土砂搬出や資材搬入などに用いる地上部と地下部を繋ぐ平面空間の確保が施工能率に大き
く影響します。しかしながら、掘削幅の広い部分では工事用車両や重機の寄付きのため工事用桟橋が必要と
なります。この施工能率に影響が大きい工事用桟橋の設置範囲を検討するために既存軌道ボックスの安全性
を検証し、軌道ボックス上部を含めた施工ヤード・桟橋計画を検討します。最適な施工計画により工期短縮
が期待できます。(図3)
施工区間上空
をオープンに
して施工能率
向上
水中ポンプ
地下水噴出
鋼矢板
①無対策
地下水低下
②ボイリング対策
図4(地下水対策イメージ)
地盤改良にて
止水層形成
最小限の桟橋
③【提案】完全遮水
既存ボックス
上部を有効利用
①一期施工時
②二期施工時
図3(工事用桟橋計画イメージ)
(様式―21)
ライフサイクルコストの低減と維持管理性
の向上について
課題2についての技術提案
イニシャルコストの低減
ランニングコストに関わらない部分のイニシャルコストは、建設時の工法の選択によって低減できると考えます。
当社の鉄道設計のノウハウを生かし、特に国道・JR線への近接工事施工方法の検討、アストラムラインを営業
しながらの昼間施工を検討し、更なるコスト削減を提案します。また、課題1での提案での工事工期の短縮によ
り、更なる建設コストは低減を図ります。
○工事用仮設コストの削減
既存構造物を施工した際の土留等、存置している可能性があるものに
ついては精査を行い、再利用することを検討します。本設構造物
(RC)を切梁としても利用し、仮設構造物を極力減らす方向で検討
します。(図1)
○現場作業の軽減・簡素化
夜間作業を軽減する工法・材料・ディテール検討による効率化・昼間
作業化を提案します。
既設仮土留
○設計の各段階におけるコスト検証と設計VE提案
図1
役務着手時に、他の駅事例を参考に全体コスト計画を策定し、認可
時の概算工事費に収まっているか確認します。承認されたコスト計
画のもと設計に着手します。
大型設備機器等の重量物は可能な限り、屋上に乗せずに地上
に設置することで、躯体の負担を下げ工事費を低減する検討
を行います。
構造スパンのモジュール化による小品種化による工事費の削
減を検討します。
設計の各段階における検討により合理的な材料、仕様の設定
を行なうことによる工事費の低減します。
実施設計にあたり、設計VEを実施し、事例を積上げ、コス
トパフォーマンスに優れた設計を提供します。
高い天井面を避け壁面に照明を設置
写真2
図1
○その他
エネルギー消費の部門でも大きな割合を占める電力料金の削減を検討
します。省エネを図るのはもちろんですが、広い面積となる連絡通路
と緑地帯の街灯の受電方法を中国電力と協議し、街路灯で契約するこ
とを提案します。これにより、駅の受変電設備機器も小さくなり、機
械室面積の縮小も図ることが出来ます。(写真3)
夜間の連絡通路照明
写真3 Panasonic HPより
駅業務の維持管理性の向上
交通施設の維持管理は、ハード面の建物の維持管理だけでなく、ソフト面でのお客様満足度にもつながる駅管理
者の運営の省力化も考慮しなければ、人件費の増大につながります。当社の駅設計の実績を生かし、駅という性
格を考えた最適設計を行います。
○土木、建築、機械、電気各系統間での重複等の軽減
全体を取りまとめる建築担当者が各系統の設計内容を把握し、事前
調整を綿密に実施することにより、照明柱やケーブルラック等の建
築物との兼用による省略や、下部土木躯体への鉄骨柱脚アンカーの
施工委託等、施工の効率化等を提案し、コスト縮減を図ります。
(写真1、2)
駅及び連絡通路は様々な人が利用する空間であることを考慮し、
仕上げには、耐久性、耐候性、耐らくがき等の機能を持たせます。
仕上げ材は出来る限り部分交換により機能が維持できるよう、特
殊な材料は避け汎用的な材料を主体に選定します。
交換頻度の高い照明器具は、配置計画、設置高さを考慮し(特に
天井が高くなると想定されるコンコース部)また特殊な器具はさ
け、故障時にすぐ対応出来るものとします。(写真2)
可能な限り、シールの打ち替えが不要なノンシール工法の採用を
提案します。
メンテナンス導線 (メンテナンスデッキ・バー・リング。点検
ハッチ・タラップ等)を必要に応じた適所に配置します。
将来の設備機器更新を考慮した、機械室の配置計画及び設備の配
線、配管計画を行います。
緑地帯(部)には、雑草が生えにくく保水性の高い人工土壌の採
用を提案します。(図1)
○駅業務の省力化
照明器具とケーブルラックの一体化
写真1
ライフサイクルコストの低減
ライフサイクルコストの構成比はビルタイプにもよりますが、イニシャルコストが約1/4、ランニングコスト
は約3/4を占めると言われています。場所・施設の特性を考慮して、より効率的にライフサイクルコストを削
減する方策を提案します。
エネルギー消費の部門は、課題3と共通するので、ここでは日々の清掃や設備更新といった部門について主に提
案します。
見通しの良く対応しやすい窓口
写真1
○お客様サービスへの配慮
○省メンテナンス化
国道に挟まれた半地下駅の立地、道路上空を渡る連絡通路、といった条件を
考慮して、想定されるメンテナンスについて省力化を図ります。
道路上空部は夜間工事となる塗装のやり変えの回数を減らせる耐候性
に優れた材料を選定し、かつ、容易にメンテナンスができるような点
検ルートを配慮します。(写真1)
国道に挟まれた立地であるので、外装(外壁・ガラス面)は、防汚性
に優れた光触媒ハイドロテクトを検討します。
少人数で運営される駅では、日常業務の効率化を図らなければなりま
せん。意匠設計者と協議をしながらプラン、細部ディテールを検討し
ます。
管理動線を短く、使いやすくする駅務室内の各部屋のレイアウト、
設備室のレイアウトを検討します。
駅・清掃・販売等の管理動線が交錯しないように適切に分けるこ
とを提案します。
空間の見通し易さも必須条件と考えます。駅内においては、駅務
室・改札室から人の流れが見え、管理の目が行き通るプラン、設
備の配置を提案します。(写真1)
駅営業の設備(券売機等)の使われ方や、日常メンテナンスを熟
知した寸法設定が提案できます。
メンテナンスデッキ
写真1
転倒を防ぐための滑りにくい床材を提案します。具体的にはCSR
値が0.5以上、異種材料を使用する場合にはその差が0.2以下のも
のを選定します。
駅での負傷事例を踏まえ、利用者が怪我のしにくい細部のディ
テール(手摺のブラケット等)を提案します。(写真2)
トラブル、メンテナンス頻度の高いお客様トイレについては、今
までの事例を踏まえ、仕上げ材、ブースの高さを提案します。
お客様対応がスムーズに出来る窓口を駅運営者と協議を行いなが
ら、乗降人員、駅の利用形態等を考慮し、提案します。
国道・鉄道上空・またお客様動線には「飛散」「剥離」「落下」
のない仕上げ材とします。
R面にこだわった手摺ブラケット
写真2
(様式―21)
省エネルギーと環境負荷の低減について
課題3についての技術提案
アクティブな設備
6000
5000
4000
発車標
掲示器
橋上駅下2照明
上屋2照明
上屋1照明
橋上駅下1照明
3000
2000
1000
○インバーター制御の人感センサー付エスカレーター
自然光の取入れ
風の流れ
23:00
22:00
図1
○断熱対策
図1
21:00
20:00
19:00
18:00
17:00
16:00
15:00
14:00
13:00
12:00
9:00
11:00
10:00
8:00
7:00
6:00
時間
タイマー制御照度センサー
利用結果計測グ ラフ
人感センサーで制御を行うことにより、利用の少ない時間帯での電力
の無駄を削減します。
広島市役所付近気象庁データ2008.2009
年間風向:北側69%
平均風速:約4m/S
北側からの風の道を利用したい
5:00
0
4:00
N
7000
3:00
明るさ感という人間の知覚に考慮した概念を取り入れ、内装・色彩計
画、照明計画を行います。これにより、天井の高い空間での照明配置
が効率的になります。(天井が高いとリフター付等高価な機器になる。
床面照度にとらわれすぎない設計が可能となり、灯具の能力を落とす
ことも出来る可能性がある。)また、照度センサーを取付け、昼間の
全点灯時間を極力減らし、またトイレ等に人感センサーの取付を検討
し、電力の無駄を削減します。設置場所の有利性、イニシャルコスト
とランニングコストを考慮してLED、Hf蛍光灯の適正な照明配置計
画を行います。(図1,2/写真1)
2:00
本駅は、軌道が地上に出る直前に立地しています。地下駅でありなが
らも、採光、採風に有利な位置にあると考えます。
駅の電力消費の4割を占める(※当社他駅調査結果)照明をなるべく
昼間は点灯しないで良いように自然光を多く取り入れる方法を検討し
ます。ホーム上部の機械室面積の検討を行い、開口部を多く設けられ
るようにし、より最適な形状(シミユレーションを行い照度にムラの
ない開口位置の検討)、素材(安全、メンテナンスを考慮)を提案致
します。
また、地下駅で必須である空調設備についても自然換気を利用し、中
間期には空調を入れなくも良いような開口部の提案します。そして、
日射による発熱や車両からの発熱による温室化を防ぐよう、夏を中心
に環境の改善を図ります。具体的には、重力換気を有効に行えるよう、
夏の風向きを考慮した熱環境シミュレーションを行い、適切な開口部
を提案致します。(ガラリ、スウィングウィンドウ、開口窓等、組み
合わせ方)(図1,2,3/ 写真1,2)
○照明計画の最適化・効率化・高寿命化
1:00
○自然光、自然換気を利用
建築には様々な設備が必要であり、その設備を適材適所に配置し、効率運用を図ることで、省エネルギーを実現
します。また、交通施設の性格を考慮した制御を行うことでエネルギーの無駄をなくすことを検討します。
消費電力[VA]
省エネルギーや環境負荷低減を考える上で、周辺の環境を読み取り、自然環境エネルギーを活用することが大き
な命題です。また、活用されていなかったエネルギーに着眼し、それを活用することも公共空間として重要であ
ると考えます。
0:00
パッシブな設備
Low-e複層ガラス、遮熱シート・
コーティング、遮熱塗料、ルー
バー、屋上・壁面緑化等、様々
な手法を意匠設計者と調整をし
ながらより最適な方法を検討し
ます。(写真2,3)
○節水型衛生器具
風の流れ
機能水利用小便器、節水型大便器
の設置をします。また無水トイレ
についても管理者と問題点を話し
合い設置を検討します。(写真4)
図2
○太陽光発電
瀬戸内地域日射量は全国平均以上であること、また施設の性格上、広い
面積となる駅舎・連絡通路屋根を生かし、太陽光発電パネルを設置する
ことを検討します。(写真3)
標準設計
明るさ感を
取り入れた設計
明るさ感のイメージ比較
明るさ感の演出
図2
昼光利用、熱環境シュミレーションの例
写真1
節水トイレ
図3
無水トイレ
上りで35%の削減
○雨水利用
植栽への散水、旅客トイレで
の利用 することを検討します。
下りで22%の削減
○地中熱利用
連絡通路杭利用+緑地部に地中熱
採取用杭を打設し、駅舎コン
コースで、冬ほのかに暖かく、
夏ほのかに冷たいスポット空調
を設置することを検討します。
(図3)
インバーター制御による省エネ効果
図3
ホーム上トップライト
写真1
スウィングウインドウ
写真2
ホーム上家太陽光発電パネル
写真3
写真4
環境マネンジメント
写真3
○計測機器導入による見える化
○マイクロ水力発電
エネルギーや水の使用量の見える化を図り、駅管理者、利用者に対して、環境配
慮の啓発を行います。これにより、地域のエコの拠点となるような施設を目指し
ます。また、合わせてCO2濃度や温湿度計測を行い、適正な制御を行えるように
します。(写真1)
手洗器水栓を流れる水力を利用
した発電により手洗器センサー
を稼動させるタイプの水栓を採
用します。
○リサイクル品、リサイクル率の高い建材の採用
○回生電力エレベーター
エレベーター内に回生電力を蓄
電することによりエレベーター
動力電気を再利用します。
(写真4)
写真2
エコマークやグリーン購入法適合建材、アルミ・ガラス等のリサイクル率の高
い製品・再生品を積極活用した設計を行います。
また、リユースや省エネを考慮した仮設計画を行います。
地中熱交換方式
図3
回生電力EV
写真4
○地元生産建設材の優先的使用
建材の地元調達により、輸送時のCO2削減を図ります。
発電表示パネル
写真1
(様式―21)
新駅利用者の誰もが安全、快適に移動でき
るユニバーサルデザインに基づいた交通結
節点の整備について
課題4についての技術提案
ユニバーサルデザインに基づいた交通結節点の整備について
アストラムライン新駅利用者の約75%がJR新駅との相互利用であり、アストラム新駅とJR新駅の乗換をいか
に分かりやすく、ストレスなく誘導する計画に出来るかが本設計の課題であると捉えます。誰もがストレスな
く快適に利用できる様に施設情報のユニバーサルデザイン化に配慮する必要があります。目的の違う利用者
(アストラムライン、JR、バス、タクシー乗継者等)を個々の異なった目的に素早く誘導することや、異な
る動線相互の距離感を保つことを意識しながら一体的な空間デザインとしてまとめていくための設計手法を意
匠設計者と協議の上、検討を行う必要があると考えています。
○円滑な利用を促進するための提案
① JR新駅北口駅舎からアストラムライン
新駅までの動線には上下移動が多く含ま
れてしまいます。バリアフリー経路の確
保だけでなく円滑な利用を促進するため
にJR新駅北口側にもエスカレーターの
設置を考慮する必要があります。折返し
形式となることも含めて検討を進めるべ
きであると考えます。JR新駅南口側の
連絡通路階段について、エスカレーター
設置案が提示されていますが、採用され
るべきであると考えています。(図1)
乗り換え利用で多い
上下移動動線
アストラムライン新駅
② 一方で南側からの利用者用の動線として
は、軌道ボックスカルバート上部の歩道
もしくはアストラムライン新駅の柵外屋
内通路を歩いてアクセスすることになっ
ていますが、国道際を同じレベルで歩く
ことへの心理的な不安感を鑑みると、柵
外屋内通路の設えが重要になると考えら
れます。流動に応じた幅員として安全性
を確保することはもちろんのこと、騒音
や排気ガス、防犯対策にも配慮した設計
が必要であると考えています。(図2)
エスカレーター
の設置 JR新駅
図1
目的の異なる利用者が
輻輳する場所
長い移動距離
サイン計画は必要最小限として煩雑となることを避け、これまで
のアストラムライン各施設における統一されたデザイン展開を踏
襲しつつ、各種案内表示の色調・デザインを統一することで認識
しやすい計画を提案します。
サインが単に行き先や場所を告げる目印であることにとどまらず、
サインそのものもインテリアとして捉え、意匠設計者が提案する
デザインや色彩、配置との調和を図ることで建築空間とリンクし
た関連性や意味性を持たせ、情報の一貫性、信頼感、安心感を築
くことが重要であると考えています。(写真3)
連絡通路部にて、アストラムライン系のサインシステムとJR系
のサインシステムのインターフェイスを調整するための検討も必
要であると考えています。(写真4)
バスやタクシー乗場、駐輪場といった周辺施設部のサインについ
ても同様の考え方を展開することによって一体的な施設網として
整備することを提案します。
写真3
JR
アストラムライン
写真4
避難経路
○安全な地下駅
非常時に安全を確保して避難誘導を行うために、蓄電式誘導灯の設置
や床の柄による誘導、時刻表下部に避難経路を掲示する等を提案しま
す。(写真5)
国道沿いを歩くアクセス
写真5
○誘導の輻輳回避幅員
拡幅自動改札
車椅子と目の不自由な方の導線を分けて考え、重複する場面を最小限
にとどめる計画を提案します。
南側からのアクセス
図2
○自由度が高い、選択肢のある計画
有人改札と拡幅自動改札との併用等、改札口で車いす使用者が選択で
きる設えも必要であると考えています。また、自動改札口では進入可
否の表示を分かり易くする必用があります。(写真6)
主要動線上を特徴的な造形、形態を持った天井で繋ぐ等、駅の軸線が
直感的に把握できるような計画を提案します。これにより文字に頼り
過ぎない誘導が可能となり、サイン計画の簡素化、流動の円滑化が可
能になります。(写真1)
有人改札
○情報取得の選択肢を増やす
視覚誘導のみ、音声誘導のみでなく同じ情報をいくつかの方法で提供
することを提案します。音環境による空間の差別化、差異化・音声案
内と点字案内板・誘導ブロックを併用して視覚障害者を誘導する設え
を考えます。(写真7)
○色彩計画・照明計画による差異化
写真6
音声案内
点字案内
○施設設備の配慮
写真1
○ランドマークによる誘導
各動線の分岐点や駅改札口付近等、施設内の様々な場所から見渡せる
場所に見つけやすく目を引くアートワーク照明やモニュメント等をラ
ンドマークとして設けることによって記憶に残りやすい、直感的に分
かり易い設えを提案します。
従来のサインは、天井から看板が下がり、矢印でその先に何があるか
を示す程度で、内装のデザインや照明、家具等とは別々のコンセプト
で決められていることが多く、利用者にとっては情報に一貫性を感じ
にくく、感覚的に分かり易いものにはなっていません。このことを踏
まえた上で認識しやすい計画を提案します。
エスカレーター
の設置
○建築空間による誘導
アストラムラインの構内ゾーン、JRの構内ゾーン、連絡通路内にお
いても細分化されたゾーンを設定し各々のゾーニングに合せてベース
カラーの設定を変えたり、照明手法(直接・間接・ミックス)、照明
器具のデザインや照明の色温度の設定を変えることにより、ゾーン内
で統一的な雰囲気を持たせながら、色彩計画・照明計画の違いがサイ
ンの役割を担うような分かり易いコーディネートを提案します。(写
真2)
○建築化されたサイン
写真2
駅周辺及び駅構内のバリアフリー化設計事例を多く持つ当社では、よ
り細かな提案を行います。
利用者の安全性を考慮し、すべり抵抗係数(CSR)が0.5~0.9の
床材を選定し、転倒等を防ぐことを提案します。
お客様トイレは今までの設計事例をもとに多機能トイレについて
は異性の介護者にも利用しやすく、身体状態に合わせて選択でき
る計画が必要であると考えます。
情報掲示についても電光掲示・点字案内の位置等の細かな配慮を
行います。
その他怪我事例をもとに怪我を防ぐデティールを提案します。
誘導ブロック
写真7
時刻案内
写真8
(様式―21)
新駅及び周辺エリアにおける集客促進と賑
わい空間づくり及び快適な滞留空間づくり
について
課題5についての技術提案
快適な滞留空間づくり
集客促進と賑わい空間づくり
アストラム新駅とJR新駅が出来ることにより、JRから都心へのアクセスが格段に良くなります。そのことをふま
えて、「集客促進」とは新駅周辺のみならず、広島市中心部に対しての「集客」ととらえ、広島市への玄関口と
しての機能を持たせることを提案します。また、アストラム沿線全体への集客効果も得られるような機能も提案
します。新駅周辺だけでなく、この駅が出来ることによって広島市・アストラム沿線の発展に寄与することが出
来る設備を検討・提案致します。
近年の駅の傾向として、交通施設以外の機能を持たせ、複合施設化が進んでいます。それらの事例をふまえ、地
区の活性化に寄与する拠点整備を実現するために、地域の特性を考慮した設えを慎重に検討します。当社では合
築駅(*1)の事例も多く、それらの成功・失敗事例から学んだ、集客のための必要条件「情報発信機能」、「地域
との連携」をもとに設計段階から活用方法を予測した施設整備を検討します。(図1)
(*1 周辺地域の活性化を図ることを目的として、地方自治体等の公共施設と駅施設を一体化した駅)
■賑わいを創る機能
○地域の情報を発信する機能
地域の特徴が感じられる情報提供(地域の案内)のスペース・設備や
アストラムライン沿線や市内のイベントを案内する情報発信スペース
を連絡通路に点在させることを提案します。これにより、新駅利用者
が移動中に楽しみながら情報を得ることが出来ます。そして、周辺地
域の情報共有を促し、コミュニティが密な関係になることや、他のア
ストラムの駅、市内のイベントへの集客も期待できます。
この駅をアストラムラインの情報発信の基地ととらえ、アストラムラ
イン沿線全てが発展していく環境をつくります。(写真1,2)
地域とともにつくる
個性の豊かなにぎわいの場
情報発信
機能
地域の連携
機能
○地域との連携機能
○地域特性を考慮した施設整備
賑わいを創るには先ず地元の方の愛着がわ
く様な空間を作ることが必要と考えます。
そこで、地域特性を考慮し、周囲の景観に
違和感なく溶け込む外観・外構の提案や、
地産材の活用(広島県木材認証材・間伐材
の利用、法的に建材が難しければベンチな
ど)等を提案します。愛着ある駅となる工
夫を取り入れます。(写真4,5)
暑さ寒さ対策として、課題3で提案したように、熱環境シュミ
レーションを行い、自然の光と風を取り入れた快適な空間をつく
ります。また、連絡通路に壁を設置しない場合は夏季ミスト等に
よる夏場の暑さ対策も可能になります。(写真1)
見た目の清潔さを保つ対策として、幹線道路に囲まれた敷地であ
ることを考慮し、排気ガスによる外壁汚染を考慮した仕上げ材や
光触媒加工、汚れの目立たない色彩計画の採用を提案します。
中央分離帯には騒音・排気ガス対策として植栽だけではなく防音
壁等が必要と考えます。
夏期ミスト
写真1
連絡通路、中央分離帯部の緑地帯、軌道柵には透過性のある素材を採
用し、緑地帯部については植樹の高さ、間隔を調整して東西からの視
界を確保する等、物陰の少ない管理のしやすい空間とする必要がある
と考えます。
中央分離帯部の緑地帯は、駅利用者のみならず地域住民の憩いの場と
して開放し、衆人環視による犯罪抑止効果を狙い、死角を作らない平
面計画を提案します。
各部のエレベーターシャフトについてもガラス張りとして見通しを確
保し、関連諸施設には、防犯カメラの設置、青色LED防犯灯、SOS
非常警報設備等の防犯設備を効果的に配置することを提案します。
(写真3)
シースルーエレベーター
写真3
○ランドスケープ・デザイン
掲示スペース
写真1
○地元のニーズを吸い上げる
周辺に無いもの、地域が必要としている
機能を付加することを提案します。例え
ば高齢化が進む長寿園高層アパートを中
心とした都心近接型の住宅街区であるた
め、市民の日常生活を支援し、利便性を
向上させるようなサービス機能を駅機能
に付加することも検討項目として考えら
れます。(写真3)
○環境衛生対策
○防犯対策
図1
鉄道を利用しない地域の人も集まってくるように地域の特徴が感じら
れる地域住民参加型の機能を備えられるスペース、設備を提案します。
例えば広島駅から官庁街への県外乗換者・県民への郷土PRとして、
広島ならではの樹種を連絡通路横の緑地帯に植栽することを検討しま
す。維持管理はレンタルスペースとしたり、ボランティアや農業団体
に委託すると、なお良い計画となり、緑の育成を通じてコミュニティ
の形成を促すことができます。
新駅、連絡通路に必要とされる快適な滞留空間とは、長時間の滞留を促すためのものではなく、連絡交通の待ち
合わせ時間(JR,バス等)、人との待合せ時間、移動中の休憩時間を快適に過ごすための空間であると捉えます。
10分、15分といった待ち時間を環境衛生面で快適にするだけでなく、プラスアルファの要素を提案します。
連絡通路の掲示
作業所併設の駅
写真2
写真3
木質構造の上家
東京木材会館
木のベンチ
写真4
写真5
長い乗換え動線をいかに楽しく過ごすことが出来るかが重要であり、
駅を中心とした関連諸機能をつなぐように構内全体に統一感のある緑
の演出が必要であると考えます。さらには本川東部河岸緑地や広島城
址、中央公園へと広がっていくような都市の緑のネットワークの一部
となるような設えを提案します。
また、中央分離帯部の緑地帯については連絡通路と国道をただ分離す
るだけでなく、階段部分には座ったり、遊んだり出来る緩やかな設え
として賑わいを創出したり、舞台装置としての利用も出来るようにす
る等、長い乗換えを楽しく歩いたり一息つくことのできる都市の広場
としての工夫を施すことを提案します。また防災拠点ともなるように
防災ファーニチャー類、災害対応型の自販機を設置します。
(写真4,5)
○内部空間の設え
ベンダーコーナー、パンフレットケース等はビルトイン化することに
より二次輪郭線を排除し、すっきりした設えが望ましいと考えます。
連絡通路部分については移動距離が長いので、動線の延長線上に自然
な形でベンチコーナーやアルコーヴ等の休憩スペースを適宜設け、歩
いて楽しくなるシークエンスに富んだ設えが必要であると考えます。
電気室、通信機器室については床面積の有効活用等、内容の精査を行
い、プラットホーム上部に可能な限り吹抜け空間を大きく取り、天井
の高い、日光の入る気持ちのよいホーム空間が必要であると考えます。
(写真6)
統一感のあるランドスケープ
写真4
防災収納かまどベンチ
写真5
ビルトイン掲示
写真6