問題PDF版

第 I問
(
5
0点満点)
問題 1,問題 2と問題 5については,
lつまたは 2つの正解がある。答案用紙の
所定の枠の中に,正解の番号を記入せよ。問題 3と問題 4については,所定の枠の
中に, Oから 9までの適当な数字を 1枠に 1つ記入せよ。
1 つぎの記述のうち,誤っているものはどれか。
1.同じ体積の 0.
0
2
5mol/L塩酸と 0
.0
1
0mol/L水酸化ナトリウム水溶液を混合
した水溶液の pHは
, 2より小さい。
2
. 酢酸ナトリウムは,水に溶けて塩基性を示すので,塩基性塩である。
i
0
2
, P4
01
0は,いずれも酸性酸化物である。
3
. C02. S
4
. 塩素のオキソ酸は,塩素の酸化数が大きいものほど強い酸である。
5.フッ化水素酸は,石英を溶かす弱酸である。
6
. アンモニア水を塩酸で中和滴定する場合,指示薬としてメチルオレンジを用い
ることができる。
>
くM3(683
一一3
7
)
2 金属元素 A∼D は
,
Ag, A
l
,C
a
,C
u
,F
e
, Mg, P
b
, Znのいず、れかである。つ
ぎの記述ア∼カを読み,下の聞に答えよ。
ア. A∼Dの金属イオンをそれぞ、れ別に含む水溶液に,室温で、水酸化ナトリウム水
溶液を少量ずつ加えていくといずれも沈殿を生じる。
イ. A∼Dの金属イオンをそれぞ、れ別に含む水溶液に,室温で希塩酸を適量加える
と A の水溶液だけが沈殿を生じる。
ウ.アで生じた A を含む沈殿は,暗褐色の酸化物である。
工.アで生じた Bを含む沈殿に,さらに過剰の水酸化ナトリウム水溶液を加える
と,錯イオンが生じて溶ける。
オ.アで生じた Bを含む沈澱と C を含む沈殿に,さらに過剰のアンモニア水を加
えると,いずれも錯イオンが生じて溶ける。溶けた Bの水溶液は無色で, Cの
水溶液は深青色で、ある。
力.アで生じた D を含む緑白色沈殿は,水溶液中で酸化されると赤褐色に変わ
る。この赤褐色沈殿は,過剰のアンモニア水を加えても溶けない。
問 つぎの記述のうち,正しいものはどれか。
1
. アで生じた A を含む沈殿は,過剰のアンモニア水を加えても溶けない。
2
. Bの酸化物は,ルビーの主成分である。
3
. Bと C の単体は,いずれも室温で希硫酸と反応して水素を発生する。
4
. A∼D の単体のうち,熱や電気の伝導性が最も高い単体は Cである。
5
. イオン化傾向は, B
,D
,C
, A の順に小さくなる。
- 3-
)
く M3(
6
8
3
-3
9
)
3 つぎの表に示す金属の結晶に関する下の聞に答えよ。ただし,結晶中の各原子
を球とみなし,最も近い原子は互いに接しているとする 。また, f
2=1
.4
,
Fi=l.7とし,アボガド口定数は 6
.
0× 1
02
3/mo!とする。
単位格子の l辺 単位格子の体積
(cm3
)
の長さ(cm)
金属元素
結晶構造
原子量
ナトリウム
体心立方格子
2
3
o
-s
4
.
3× i
02
3
8
.
0× 1
アルミニウム
面心立方格子
2
7
0s
4
.
0× 1
02
3
6
.
4× 1
カリウム
体心立方格子
3
9
0s
5
.
3× 1
1
5× i
o2
3
銅
面心立方格子
6
4
0s
3
.
6× 1
4
.7× 1
0
-2
3
問 i 密度が大きい順番に並べると,ナトリウムは何番目になるか。
問 i 原子半径の大きい順番に並べると,アルミニウムは何番目になるか。
-5-
<
>M3(683 41)
4 単体のアルミニウムは,氷晶石 Na3AlF5に酸化アルミニウム Ah03を混合して
溶かし,炭素電極を用いた溶融塩電解(融解塩電解)により製造される。陰極ではア
ーとの電解反応
ルミニウムが得られ,陽極では炭素電極の炭素と酸化物イオン 02
によって,一酸化炭素と二酸化炭素が生成する。つぎの問に答えよ。ただし,各元
7
, C= 1
2とし,ファラデ一定数は 9
.
6
5× 1
04C/molとす
素の原子量は, Al= 2
る
。
問 i この溶融塩電解で 9
6
5Aの電流を 1
0
0時間流すと,得られるアルミニウムの
質量は理論上いくらか。解答は小数点以下第 l位を四捨五入して,下の形式に
より示せ。
III
同
問 i 問 iの電解で,一酸化炭素の 2
.
5
0倍の物質量の二酸化炭素が生成すると
き,炭素電極の質量は理論上いくら減少するか。解答は小数点以下第 l位を四
捨五入して,下の形式により示せ。
III
図
-7-
>
くM3(
6
8
3-4
3
)
5 つぎの表 1の 1∼ 5に示す金属イオンを含む水溶液がある。それぞれに飽和にな
5℃で硫化水素を通じた結果, pHは右の欄の値になった。沈殿を生じな
るまで 2
かったものはどれか。表 1中の番号で答えよ。 P
b
S
,N
i
S
, MnSの溶解度積は表 2
のとおりである。
表l
番
下
仁
三
二3
,
金属イオン
金属イオンの濃度
(
m
o
l
/
L
)
硫化水素を通じた後の pH
Pb2
+
l× 1
02
2
2
P
b
2+
04
l× 1
2
3
Ni
2
+
02
l× 1
2
4
N
i2
+
l× 1
04
4
5
Mn2
十
l× 1
0
2
4
ただし,硫化水素を通じても,水溶液の体積は変化しないものとする。水溶液中
の硫化水素の濃度[H2
S
Jは飽和濃度 0
.1mol/Lで一定であり ,硫化物イオンの濃度
[
S2]は pHにより変化し, pH= 1のとき[S2
一J= 1× 1
0
-2
0mol/Lである。
表2
硫化
物
2
5℃での溶解度積
(
m
o
l
2
/
L2
)
PbS
02
8
3× 1
Ni
S
02
0
4× 1
MnS
0 11
3× 1
-9-
<
>M3(683
4
5
)
第 E問
(
5
0点満点)
問題 6と問題 7については,
1つまたは 2つの正解がある。答案用紙の所定の枠
の中に,正解の番号を記入せよ。問題 8と問題 1
0については,所定の枠の中に,
Oから 9までの適当な数字を 1枠に lつ記入せよ。問題 9については,指示にした
がって所定の枠の中に適切な数値または式を記せ。
6 つぎの記述のうち,正しいものはどれか。
1
. Na原子が電子 1個を失って Na+になるとき,エネルギーが放出される。
2
.C
l原子の電子親和力は, C
lーから電子 1個を取り去るのに必要なエネルギーと
等しい。
3.単原子イオン 02-.F ,Mg2
+のうち,最もイオン半径が大きいものは
M g2
+である。
4
. アルカリ金属の単体では,原子半径が大きいほど融点が高くなる。
5
. 金属に特有の光沢は,自由電子の働きによるものである。
6
. 水素,重水素,三重水素は互いに同素体である。
- 1
1-
>
くM3(683 4
7
)
7 つぎのコロイド溶液に関する記述のうち,誤っているものはどれか。
. コロイド粒子は可視光を散乱する。
1
. 牛乳は水が分散媒のコロイドである。
2
I)のコロイドは疎水コロイドである。
I
. 水酸化鉄( I
3
4. l分子で形成されるコロイド粒子がある。
5.親水コロイドに大量の電解質を加えると,コロイド粒子が集まり沈殿する。
. コロイド粒子のブラウン運動は,分散質どうしの衝突が原因で起こる。
6
3- 1
)
9
3-4
8
6
くM3(
>
8 つぎの式(1)で表される反応に関する記述を読み,下の問に答えよ。
︶
︵1l
ム
2X一一→ Y
この反応では,反応速度が Xの濃度の 2乗に比例する。とのとき,反応時間 t
における反応物 X の濃度 [
X]は,反応速度定数を h,反応開始時の X の濃度を[X。
]
2
)
で表される。
とすると,式(
_l_=kt+_
_
_
L
_
[
X
]
[
X。
]
(
2
)
問 2
5
.0℃ で 4.
0
0mol/Lの X を反応させたところ, X の濃度が半分になるまで
s]であった。また, 6
5
.
0。
C で A[
mol/L
]
の X を反応させたところ,
の時間は fx[
X の濃度が半分になるまでの時間は 0.1
5
0f
x[
s]となった。この反応では,温度
0
.
0℃上がるごとに反応速度定数が 2
.
0
0倍になる 。
が1
A はいくらか。解答は有効数字 3桁目を四捨五入して,下の形式により示せ。
口口
- 1
5-
mol/L
>
くM3(683 5
1
)
9 つぎの式で表される気体の反応に関する実験 1∼ 2の記述を読み,下の問に答え
よ
。
X2+Y2工三三 2XY
実験 1 容器に η [
mo!
]
の X2と n[mo
!
]
の Y2を入れたところ, XYが A[mo
!]生成
して平衡状態に達した。この状態を Iとする。
実験 2 状態 Iから容器の温度と体積を一定に保ちながら B[mol]の XYを容器に
加えたところ,新たな平衡状態に達した。この状態を Eとする。
, nを用いて示せ。ただし,この反応
問 状態 Eにおける XYの物質量を, A, B
に関与する気体はすべて理想気体としてふるまうものとする。
- 1
7-
OM3(683 5
3
)
10 ある塩の溶解に関する 実験 1∼ 2を行 った。下の問 に答えよ。ただし,実験に用
いた塩の溶解熱 Qは温度および濃度に依存しない。また,この塩の溶解 度は
4
0.
0℃ で 7
0.
0[
g/
水1
0
0g]であり ,この実験の範囲内では溶液の温度が下がると
l℃あたり 2
.
0
0[
g/
水1
0
0g]ず、つ減少するものとする。容器内の物質の比熱はす
べて 4.
0
0J
I(g・K)とする。
実験 1 断熱容器内に 4
0
.
0。
Cの水 1
0
0gと 4
0
.0℃ の 塩 1
0
0gを入れて混合し
た。十分な時間が経過すると,溶液の温度が 2
5
.0℃となった。この状態を
A とする。
実験 2 状態 A に 2
5
.0℃の水 1
0
0gを加えて混合し,十分な時間経過させた。 こ
の状態を B とする。
問 i 実験に用いた塩の溶解熱 Q はいくらか。解答は有効数字 3桁目を四捨五入
して,下の形式により示せ。ただし,実験に用いた塩の式量は 1
0
0とする 。
Q=
I II
k
J
/
m
o
l
問 i 状態 Bにおける溶液の温度はいくらか。解答は有効数字 3桁目を四捨五入
して,下の形式により示せ。
||| ℃
- 1
9-
。
M3(683
-5
5
)
第皿問 (
5
0点満点)
問題 1
1,問題 1
2と問題 1
3については,
lつまたは 2つの正解がある。答案用
紙の所定の枠の中に,正解の番号を記入せよ。問題 14と問題 15の問 iについて
は,所定の枠の中に, 0から 9までの適当な数字を l枠に 1つ記入せよ。問題 15
の問 iについては,指示にしたがって所定の枠の中に適切な構造を記せ。
11 有機化合物 A∼Gに関するつぎの文を読み,下の問に答えよ。
炭化カルシウムに水を反応させたところ, A が生成した。触媒を用いて A に水
素を付加させたところ, Bと Cが得られた。 Bに水を付加させると Dが得られ
た。一方, A に酢酸を付加させると Eが生成し, Eを加水分解すると F と Gが得
られた。また, Fを酸化すると Gが得られた。
問 つぎの記述のうち,誤っているものはどれか。
1
. 1molの炭化カルシウムに 2molの水を反応させると, 1molの A が生成する。
2.A を赤熱した鉄に接触させると,ベンゼンが生じる。
3
. A から 1molの Bと lmolの C を得るためには,
3molの水素が必要である。
4
. 濃硫酸と Dの混合物を 1
7
0℃に熱すると, Bが得られる。
5
. D と G を縮合させると, Fと同じ組成式をもっ化合物が得られる。
6
. Fを用いてヨードホルム反応を行った後,酸性にすると Gが得られる。
2
1-
0M3(683 5
7
)
1
2 つぎの図に示す芳香族化合物に関する記述 1∼ 5のうち,正しいものはどれか。
中
CH3
む
。
C
l
COOH
C
l
C
l
&CH2C
COOH
。
工 。
中t
OH
な
,
,
.
CH3
。
I
I
N02
I
I
N'C'CH
I
3
H
1
. 炭酸より強い酸は lつである。
2
. 塩化水素と塩を形成するものは lつである。
3
. ヨードホルム反応を示すものは 2つである。
4
. 銀鏡反応を示すものは lつである。
5
. ベンゼン環に直接結合した水素原子 lつを塩素原子に置換したときに,生じう
る化合物が 2種類であるものは 3つである。
- 2
3-
>
くM3(683 5
9
)
1
3 分子式 C5H1
0をもっアルケンに関するつぎの記述のうち,正しいものはどれか。
1
. 考えられるアルケンは 5種類である。
2
. 幾何異性体の関係にあるアルケンは 2組である。
3
. メチル基を 3つもつアルケンは 2種類である。
4
. 水素を付加させると,不斉炭素原子をもっ化合物になるアルケンは 1種類で
ある 。
5
. 臭素を付加させると,いず、れのアルケンも不斉炭素原子をもっ化合物を与
える。
6.分子式 C5
H12をもっアルカンには,分子式 C5
H1
0をもっアルケンに水素を
付加させても得られないものがある。
- 2
5-
0M3(683 6
1
)
14 つぎの記述を読み,下の問に答えよ。ただし,各元素の原子量は,
H= 1
,
c=12, 0 =16とする。
H5
03
(分子量 9
0)で表される化合物 Aは,ヒドロキシ基とカルボキシ
分子式 C3
8
0
.
0
0g を縮合重合してエステル結合を形成したと
基を lつずつもつ。化合物 A 1
ころ,化合物 A はすべて反応により消費され,環状化合物の混合物 1
4
.
4
0g と
,
一方の末端にヒドロキシ基,もう 一方の末端にカルボキシ基をもっ鎖状化合物の混
合物 1
3
1
.7
6gが得られた。
問 i 環状化合物の生成に使われた化合物 A の物質量はいくらか。解答は小数点
以下第 3位を四捨五入して,下の形式により示せ。
。
III
mol
問 H 鎖状化合物は平均何個の化合物 Aが縮合重合したものか。解答は小数点以
下第 1位を四捨五入して,下の形式により示せ。
III
個
- 2
7-
0M3(683 6
3
)
1
5 有機化合物 A∼D に関するつぎの記述ア∼エを読み,下の問に答えよ。ただし,
, C=1
2
, N =1
4
, 0 =1
6とする。
各元素の原子量は, H =1
ア.Aはエステル結合とアミド結合をもち, 4
0
0以下の分子量をもっ。 2
8.
3mgの
A を完全燃焼させたところ, 二酸化炭素 7
4
.8mgと水 1
5.
3mgおよび窒素酸化
物のみが生成した。このうち,窒素酸化物をすべて単体の窒素まで還元したとこ
ろ
, 1
.4
0mgの窒素が生成した。
イ.A を完全に加水分解すると, B,C,Dが得られた。
ウ.Bはタンパク質を構成する α
一アミノ酸の lつであり ,不斉炭素原子をもっ天
然の α一アミノ酸の中で、分子量が最も小さい。
工 . Cと D は芳香族化合物であり, C を酸化すると Dが生成した。
問 i 化合物 A の分子式を例にならって示せ。
(
例
)
CH3(CH2
)
5
0Hの分子式:
l
c II
HI I I
N
目。
日
0
6
1
4
問 i 化合物 A の構造式を例 にならって示せ。ただし,光学異性体は考慮しなく
てよい。
(
例
)
H
CH!:' ー C一
一 CH一
一C凡 ー C- Nー C比
ー | | 一 | | ’
0
0
- 2
9-
>
くM3(
6
8
3 6
5
)