2015 年予算特別委員会 小委員会 知事総括質疑 成宮まり子(日本共産党・京都市西京区) 2015 年 3 月 6 日 米軍 X バンドレーダー基地による住民への深刻な影響について 【成宮】 日本共産党の成宮真理子です。知事並びに関係理事者に質問します。 まず、京丹後市経ヶ岬の米軍Xバンドレーダー基地についてです。 多くの反対と不安の声が渦巻くなか、レーダーの本体運用が強行されて2か月。私たちは「米軍による事件・ 事故、電磁波・騒音などで住民生活が脅かされる」と何度も指摘してきましたが、いま、これが現実のものにな りつつあります。 米軍関係者による交通事故が 15 件。先月ついに人身事故が起き、地元の高校生をお母さんが送る車に、米軍 関係者の車が「前方不注意」のまま右折して激突、お母さんと高校生がケガをされました。住民からは「事故が あまりに多すぎる。レンタカーや自家用車の運転は認めるべきではない」と怒りの声が上がっています。 さらに、発電機による騒音で「頭が痛い、いらいらする」 「出産したばかりのお母さんが、母乳が出なくなった」 など、深刻な被害が住民に広がり、京丹後市議会特別委員会も緊急要望書を出されました。その後、消音マフラ ーが設置されたものの、住民は「風向きによって強い音が聞こえる」 「窓を開ける夏場がこれから心配だ」とされ ています。防衛省の調査でさえ、環境省の参照値を上回ったままの状態です。 知事は「基地の受け入れは、住民の安心安全が前提」と言ってこられましたが、今、これが全く崩れ去ってい ます。この事態をどう認識しておられるのか、まずうかがいます。 【知事】米軍レーダーの基地についてでありますが、騒音や事故につきましては、京都府も米軍指揮官へ直接要 請し、抜本的な対策を講じるよう求めているところであります。米軍及び防衛省におきましては、騒音対策とし て経ヶ岬の通信所用に開発した発電機用マフラーの設置、 アメリカから運びこんできたようでありますけれども、 これによって一定、騒音の軽減が図られたところでありますし、これと併せて商用電力の早期導入にむけ調整を 進められているところであります。昨日の安全安心連絡会におきましても、区長さんから騒音がかなり低減した ということもうかがっておりまして、 我々としましては一層騒音の低減に向けて努力をしていきたいと思います。 交通事故対策では、米軍の方も被害者の件数まで挙げるというのはちょっと、私はどうかなと思うのですけれ ども、交通安全講習の全員受講や交通安全意識の再徹底などを行うとされておりまして、このように米軍も一つ ひとつ真摯に対応しているところでありまして、いずれにいたしましても私どもといたしましては、府民の安心 安全をしっかり守るという観点から、問題が生じた場合は素早く対応していきたいと考えております。 【成宮】私は、騒音の問題でも交通事故の問題でも、安全安心と知事が言っておられた、その前提が完全に崩れ 去っていると、その認識があるのかということを聞きました。個々の対策のこと、もちろん誠実に対策をしても らうのは当然ですが、その全体の認識についてお聞きしたのに答弁がありませんでした。一昨年の 9 月、知事は 受け入れにあたって「防衛大臣に、安心安全には責任持ってもらった」と言って胸を張っておられた。これが完 全に崩れている。その責任は重大だと言わなければなりません。 騒音問題では、住民はもう4か月間、24 時間ずっと騒音にさらされっぱなしで「たまらない。1分1秒でも早 く止めてくれ」と訴えておられます。電力会社から電気を引くのは1年もかかるということで、とても住民は待 ってはいられません。 「消音器でましになった」というお話がありましたけれども、防衛省まかせの話ですね。現 に重大な被害が住民に広がっているのですから、府として、すぐに騒音・低周波の調査をすること、とりわけ住 民への影響調査をすることを求めます。何より、発生源の発電機は直ちに止める、このことを求めるべきだと考 えますが、いかがですか。 【知事】騒音調査などの環境調査は、これは防衛省にやらせます。そのうえで、先ほど申しましたように騒音対 ― 1 ― 策として一定効果も出てきておりますし、さらにその効果が上がるように努力をしてまいりたいと考えておりま す。 【成宮】住民への影響調査は府民の健康や安全に責任をもつ府がやらなければならないと思いますし、実際に被 害が広がっているもとで、発電機を止めることをはっきりと言うべきです。さらに、この米軍・防衛省の姿勢に ついて伺いたいと思います。京丹後市長と市議会議員のみなさんが青森県車力基地を視察されましたが、実はこ の時は、騒音元の発電機は、1つしか動いていなかった。それなのに防衛省も米軍も何も説明をしなかったとい うのですね。市会議員らの方々は「あの視察は何だったのか。だまされた思いだ」と言っておられますし、市長 も先月「初めて知った」とおっしゃっています。知事、こういう重大問題で全く説明さえしない防衛省や米軍の 姿勢、およそ知事がおっしゃってきた「安心安全」など、成り立たないと思うのですが、いかがでしょうか。 さらに、米軍基地のフェンスの「警告」という看板に「米国内治安維持法に基づき、基地への立ち入りを禁じ る」と書いてあったことが、今、外務省が撤去要請をする大騒ぎになっています。アメリカの法律で日本人を罰 するなど、まさに日本の主権侵害です。そしてこれは 2012 年に沖縄県普天間基地で、また 1983 年に埼玉県大和 田基地でもおこり、国会でも大問題になり、米軍が誤っていたとして撤去したものです。それを、京都には同じ ものを持って来る。設置をしている。一体何故こんな事になったのか、 「府民に対する威圧ではないのか」住民の 方からも声があがっています。知事、こういう米軍に対して、厳しく抗議をすること、そして看板撤去はもちろ んですけれども、説明と謝罪を求めるべきではないのか、いかがですか。 【知事】先ほど申しましたように、騒音問題につきましては、これはしっかりと低減策を講じるよう申し入れ、 米軍におきましても真摯に対応していただいているところです。それから、看板の認識については、向こうの方 の認識が足りなかったということで、菅官房長官が申し入れて、今は向こうの方でシールをはっているというこ とでありまして、向こうの方もそれはしっかりと対応しているところだというふうに思っております。 【成宮】騒音については低減策を要請していると言われますが、何年もかかる話です。そして今日の新聞にも出 ているように、低減されたかもしれないが環境省の参照値を上回っていると。住民のみなさんはこの騒音にずっ とさらされているわけです。何故、止めるというふうに言えないのですか。そして、看板もシールが貼られれば いいという話ではないのです。はずして頂くのは勿論ですけれども、どういう経過で過去に米軍が誤ったと言っ て撤去したような看板が京丹後に付いたのか、このことの説明と謝罪を求めるべきではないかと私はお聞きして いるのです。再度お答えください。 【知事】騒音につきましては、これからも米軍がしっかり対応するように求めていきたいと思います。看板の方 は、これは米軍の方も過ちを認めて撤去しているわけですから、それは単に誤ったというかたちでしょう。 【成宮】私が問題にしていますのは、撤去がされたかどうかということではなく、こういうことに示される米軍 の姿勢や態度の問題です。今日とりあげました交通事故や騒音や約束違反や主権侵害。次々と起こるこれらの事 態というのは、米軍基地というのはこういう傍若無人なものだということを示しているのではないでしょうか。 そもそも、日米安保条約に基づく地位協定は、基地の運用に関して日本の主権が及ばないとしています。米軍基 地がある限り、こうやって住民の安全安心は繰り返し脅かされ続けるのです。受け入れた知事の責任は重大であ り、今こそ米軍レーダー基地は撤去すべきだ。このことを厳しく指摘し、次の質問に移ります。 子どもの医療費無料化・老人医療助成制度「マル老」について 【成宮】次に、子どもの医療費無料化と、老人医療助成制度「マル老」についてうかがいます。 ― 2 ― 医療費助成が中学校卒業まで拡充されることは、府民のみなさんの粘り強い運動の貴重な成果だと思います。 しかし、月 3000 円の自己負担をなくすべきだと私は考えます。 府内を見渡しますと、26 市町村のうち、19 市町村で小学校卒業まで、12 市町村で中学校卒業以上まで、通院 も現物給付など窓口負担はゼロかわずかの額になっています。さらに城陽市が、今年9月から中学卒業まで無料 化するとされ、 「アレルギーの受診で毎月数千円かかっていたので助かる」など、お母さんたちには喜びの声が広 がっています。 ところが府と同水準の京都市では、3歳のお誕生日がきたら、その翌月からとたんに負担が増える。親が思わ ずため息をついて「同じ府内なのに、こんなに制度が違うなんておかしい」と、私の息子が通っている保育園の お母さんたちもみんな言っておられます。知事、このことをどう思われますか。中学卒業まで完全無料化するよ う、府と一番遅れている京都市が真剣に協議をすべきではありませんか。 また、老人医療助成制度「マル老」は、窓口負担1割を2割に、対象も「世帯全員が所得税非課税」へと縮小・ 改悪するというのは大問題だと考えます。いま6万人が対象なのに、府の試算でも 43%の方が対象外になるとさ れ、お年寄りからは「MRIの検査には、1割負担で 3000 円かかる。これが 6000 円、9000 円になれば受けら れない」など、一気に医療にかかれない方が増えてしまいかねません。 とりわけこれまでは、寝たきり、単身者、高齢者のみなど、特別世帯のみなさんは、日常生活さえ大変だとい うことで、年の所得が約 318 万円まで対象だったのを、今回、約 158 万円までで切ってしまうと。これは一番大 変な世帯を一気に切り捨てるのは非常に重大なことだと考えますが、いかがですか。 【知事】子育て支援医療制度でありますけれども、どこまでやるかというのは、これは程度の問題だというふう に思っておりまして、その中で京都府の施策というのは間違いなく全国トップクラスになっている。城陽市が拡 充されるとおっしゃいましたけれども、それは正に京都府が更に拡充をして城陽市の負担を軽減するから、城陽 市に余力ができて更に上乗せをすることができる。これが地方自治の原点でありますから、それこそ共産党のみ なさんはどちらかというと全体主義ですんでね、地方ごとに違っているとまずいのかもしれませんけれども、正 に京都市、城陽市、それぞれの市町村がどういうかたちで財源を配分していくかという問題でありますので、統 一化するなんて話はですね、地方自治の話ではなんかちょっと変な話で、我々は最低限として、ミニマムとして、 京都府としてどれだけ揃えるか、それは全国の水準というものを比較して、間違いなくトップクラス。これは、 高齢者のマル老については、これは間違いなく全国トップです。同じような事をやっている兵庫県の予算は京都 の人口は倍なのに 7.5 億、京都は 11.9 億かけているわけですから、いかに京都が手厚いかよくわかって頂けると 思います。そうした中で、国との整合性を図りながら、さらに今まで重症心身障がい者医療助成や障がい福祉サ ービス、介護保険などの福祉制度が整備されていくなかで、真に我々としましては予算のことを考えながら、必 要なところで全国トップクラスの制度を維持しているということをご理解いただきたいと思います。 【成宮】一体いくら使っているかということから考えるというのは、私は命を守る自治体の役割としてはどうな のかなというふうに思うわけです。そして、子どもの医療費の制度については、やっぱりどこの都道府県の制度 をみても、都道府県の制度が一番の下支えになっているわけです。それがあって、もちろん城陽市も拡充をする んだけれども、そういう中で、一番遅れて府制度と同じになってしまっているのが、圧倒的に人口も多い京都市 だと。京都市にも私たちは勿論言いますけれども、京都市と知事と一緒になって真剣な協議をして引き上げるこ とが必要ではないかと求めたわけです。改めて求めておきます。 それから、マル老については、今受けているかたは今後対象だとしても、制度自身が縮小される、そして特別 世帯が切り捨てられるというのは本当にひどいやり方だと思うのです。今、府民は、町で声を聞きますと、安倍 政権が消費税あげて社会保障は負担を増やす改悪することにみなさん怒っておられるのです。そういうときに、 国にならって、府も改悪をするなんて本当にひどいと思うのです。蜷川民主府政の時代からつくり、府民とみん なで守ってきた制度ですから、マル老の改悪を中止し、現行制度の存続・拡充こそ必要だと指摘し、次の質問に 移ります。 ― 3 ― 「イオンモール桂川」など大型店出店の影響と商店街の再生・振興について 【成宮】次に、 「イオンモール桂川」など大型店の出店の影響と、商店街支援についてです。 12 月議会でお聞きした時、知事は「乙訓2市1町とともにイオンに地域経済貢献を求めてきた」 「商店街から は深刻な意見はない」とされました。 しかしいま4か月が経ち、西京区の商店街では「1日のお客が 100 人も減った。大手にはとても対抗できない」 「イオン、マツモト、マンダイなど次々と大型店が出てきて、どんどん売り上げが落ちている」と悲鳴があがっ ています。 さらに向日市のイオン向日町店閉店の知らせに、住民からは「買い物難民になる」と、駅前商店街からは「た だでさえ買い控えが続くのに、客足がなくなってしまう」と心配の声があがっています。 知事は、現実に大型店の出店・退店が地域経済や住民のくらしに深刻な影響を与えていることをどう認識され ているのか、うかがいます。 併せて、商店街や地域の買物センターの影響調査を、京都市・向日市などと連携して急いで行うこと、大型店 の身勝手な出店・退店を規制し社会的責任を果たさせるガイドラインをつくることを求めます。イオン向日町店 については、閉店せず商店街の中核として存続させるため、府としてもあらゆる手を尽くしていただくように求 めます。 そして、いま商店街への支援を思い切って強めるべきです。群馬県高崎市では「まちなか商店リニューアル助 成」として、店舗改装などの費用の半分を補助し、地域にお金が回るとともに、 「老朽化した商店街のリニューア ルでよみがえり、お客が増えた」など、商店街再生にも大きく役立っているんですね。本府でもこの制度を正面 から検討し実施をすべきと考えますがいかがですか。 【知事】要するに、大型店舗を規制したいのか、大型店舗を残せと言ってるのか、よくわからなかったのですけ れども、イオン向日町店については残せと。これは大型店であっても残せと。それで桂川の方はなんかやれとい うのは、私は完全に矛盾だと思います。それでその中で京都桂川については大型店同士の客の奪い合いの影響、 正にイオン向日町の閉店につながったというかたちでやってると。商店街の方については、どちらかというと今 は地域消費そのものが非常に減少していて、非常に厳しい状況があるということで、これは私どもも国の交付金 も活用して、経済効果総額 170 億円という景気刺激策を今とって、それによって消費を改善しようと思っており ますし、また、商店街の独自の特色づくりの一商一得パワーアップ事業、さらには今度は商店街の創生センター の予算もお願いしておりまして、商店街がしっかりと対抗できるようにがんばっていきたいというふうに思って いるところであります。 【成宮】大型店を規制するのかどうかという話については、身勝手な出店や退店についてガイドラインをつくる べきだということを私は申しているわけです。そして、イオンの向日町店というのは、知事も御承知かもしれま せんけれどもマイカルとかニチイというふうに言われた時から、駅前商店街の中核施設としての役割、地域のみ なさんの日常の生活の買い物センターとしての役割を担ってきたわけです。そこが勝手に退店をしていく。イオ ンモールができたことで、1.5 ㎞圏内ということで、勝手に出店・退店がすすむ、こういうことについて、住民 の立場から網をかけていく必要があるんじゃないかということを私は申しているわけです。身近な商店街とお店 は、地域でかけがえのない役割を果たして頂いているんですね。買い物だけでなく、西京区でも認知症カフェな ど、みなさんのよりどころや、配達を通じてお年寄りの見守り活動や、また、消防団や防犯、体育振興会など地 域を支える役割を担って頂いています。それがいま、本当に大型店の影響や増税の影響で危機にひんしているの です。今、本当に支えなければ商店街の灯りが消えてしまうと痛感いたします。大型店の身勝手を規制すること、 そして商店街の支援・再生を車の両輪として強めるよう求め、質問を終わります。 ― 4 ―
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