Daily Market Comment

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Forex Watch Koujiro Mori
2015 年 3 月 6 日
米雇用統計、ヘッドライン・リスクに注意
Techno-fundamental Analysis
Daily Market Comment
ドルの対主要通貨相場の騰落率
(NYクローズベース)
NYクローズベース)
2015/02/27 ⇒ 03/05
03/05
3.00
ドル高
%
2.00
2.14
ドル安
1.49
1.25
1.00
1.09
0.39
0.42
0.00
-0.12
-1.00
JPY
EUR
GBP
CHF
AUD
CAD
NZD
円の対主要通貨相場の騰落率
(NYクローズベース)
NYクローズベース)
2015/02/27 ⇒ 03/05
03/05
円高
%
2.00
円安
1.58
1.00
1.10
0.77
0.66
0.00
-0.08
-0.42
-0.58
-1.00
USD
EUR
GBP
CHF
AUD
CAD
NZD
世界の主要株価指数・週間騰落率
<終値ベース 2015/02/27⇒ 03/05
03/05
%
1.0
0.90
0.5
0.39
0.24
0.21
0.02
0.0
-0.16
-0.25
-0.5
-0.86
-1.0
(米)
NASDAQ
(米)
S&P500
(米)
NYダウ
NYダウ
(加)
トロント300
300
トロント
(英)
FTSE100
(仏)
CAC40
(独)
DAX
2.00
%
米独10
米独10年債利回り格差とユーロ/ドル
10年債利回り格差とユーロ/ドル
2014/01/032014/01/03-2015/03/05
1.1026
03/05
1.7752
03/05
1.80
米金利>独金利
ドル高・ユーロ安
(日)
日経225
225
日経
1.050 ユ
㌦
ロ
1.100 安
・
ド
1.150 ル
高
ー
1.60
1.200
1.40
米金利<独金利
ドル安・ユーロ高
1.250
1.300
米独10年債利回り(%)
米独 年債利回り(%)
米 国 2.1172
ドイツ 0.3420
格 差 1.7752
1.20
ユ
ー
昨日の為替マーケットは、ECB 理事会を経て
ユーロを中心に欧州主要 3 通貨が一段安となる
一方、米ドルがほぼ全面高の展開となった。
ECB 理事会は、主要政策金利であるリファイナ
ンス金利を予想通り過去最低の 0.05%に据え置
いた上で、上限金利の限界貸出金利を 0.30%
に、下限金利の中銀預金金利をマイナス 0.20%
にそれぞれ据え置いた。
一つ目の焦点であった ECB スタッフによる最新
の四半期経済予測は、15 年のユーロ圏 GDP 見
通しが 1.5%(12 月予想は 1.0%)、16 年が 1.9%
(同 15%)と、それぞれ上方修正され、市場は素
直にユーロ買い戻しで反応した。
インフレ率見通しについては 15 年が 0.0%と、
12 月予想の 0.7%から下方修正されたが、16 年
は 1.5%と 12 月予想の 1.3%から引き上げ、17 年
は 1.8%と ECB が目指す 2%弱の水準へと戻る方
向にあることを示唆した。
二つ目の焦点であった「拡大資産購入プログラ
ム(QE)」の詳細については、ドラギ総裁が月 600
億ユーロ相当の債券購入を 9 日から開始し、マイ
ナス利回りの国債も購入対象に含まれると説明し
たことを受け、直ぐにユーロ売りが優勢となった。
またドラギ総裁が、国債買い入れは「2016 年 9
月末までの実施が意図されているが、インフレ率
の道筋が持続的に調整され、2%弱とする中期的
な目標と整合性があると確認できるまで実施す
る」と述べたことで、ユーロは一段安となった。
ECB スタッフによるインフレ予測は、17 年にな
っても目標を下回る 1.8%と見込んでおり、16 年 9
月末を過ぎても国債買い入れが継続されるとの
見方につながっている。
欧州主要株価指数は全面高の展開となり、ユ
ーロ圏債券市場では ECB による国債買い入れ
が事実上のオープンエンドになるとの見方から、
域内各国の国債利回りが軒並み低下した。
これにより、米国債の独国債への上乗せ利回
りが 1.7752%と、ベルリンの壁が崩壊した 1989
年以降で最大に拡大した、金利面ではドル高・ユ
ーロ安を一段と正当化する格好となっている。
1.350
1.00
1.400
系列1
ユーロ/ドル(右目盛・逆数)
米独10
系列2
米独10年物国債利回り格差(左目盛)
10年物国債利回り格差(左目盛)
0.80
01/03
ロ
高
・
ド
ル
安
1.450
02/28
04/25
06/20
08/15
10/10
12/05
02/02
※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。 投資の決定はご自身の
判断と責任でなされますようお願い申し上げます。 記載された意見や予測等は、作成時点における 森 好治郎 個人の見解であり、
その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。
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今回の ECB 理事会でのポイントを挙げるとす 1.2887
EURUSD Daily Chart
10/15
れば、①マイナス利回りの国債も購入対象に含め
Global Range
1.2602 2 1.2569
ⅳ
2014/11/032014/11/03-2015/03/05
11/19
12/16
たこと、②17 年のインフレ予測を 1.8%に抑えたこ
とであり、財政面での景気浮揚が期待できない状 1.250
況下、一段のユーロ安を促すため意図的に仕組
1.2358
んだとの穿った見方もできそうだ。
11/07
1.2247
昨日のユーロ/ドルは、波動目標の一つであっ
12/08
Runaway gap
た 1.0987 処(=1.2887-【1.3995⇒1.2501】× 1.200
1.2001⇒1.1947
1.272)に応答する 1.0988 ㌦まで下落し、NY クロ
1.1680
ーズは 1.1026 ㌦で着地している。
01/21
これにより、NY クローズの「21 日平均線」のマ
1.1534 4
02/03 1.1450
イナス乖離率は 2.44%と再び拡大に転じている。 1.150
02/19
このマイナス乖離率は、今年 1 月 22 日の ECB
1.1460
01/14
理事会後に急拡大し、1 月 23 日に付けた 5.11%
1.1270
をピークに縮小に転じた経緯がある。
02/09
1.1115
今回は 2 月 26 日にマイナス乖離率となったば
3 01/23
1.100
1.0988
かりであることや、米国で 2 月雇用統計という重要
03/05 5
EURUSD NYクローズと
NYクローズと21
クローズと21日平均線の乖離率
21日平均線の乖離率
1
指標の発表を控えており、乖離率は 2.44%にとど
ⅴ
まっているといえよう。 言い換えれば、本日発表
0
される米雇用統計の結果次第で、マイナス乖離率
-1
が拡大または縮小することになるといえそうだ。
-2
エコノミスト調査によれば、2 月の非農業部門雇
-3
用者数は 23.5 万人増と、1 月の 25.7 万増から鈍
化する一方、失業率(U-3)は 5.6%と 1 月の 5.7%
-4
から改善すると見込まれている。
-5
これに対して、今朝の日経 CNBC「朝エクスプ
米雇用統計とADP民間部門雇用者数の推移
50
2007/122007/12-2015/02
レス」では、米国のアナリストが中継で 2 月の非農 万人
+29.2
+28.1
+24.7
業部門雇用者数について、天候や港湾スト、2 月
+23.7
+22.9
25
の米経済指標が弱い結果となっていたことから、
20 万人程度に鈍化する可能性があるとの見方を
0
示していた。
最大の注目点は、非農業部門雇用者数よりも、 -25
非農業部門雇用者数
時間当たり賃金の伸びとされているものの、市場
ADP(民間部門雇用者数)
ADP(民間部門雇用者数)
は速報の雇用増に反応するため、ヘッドライン・リ -50
1月
2月
ADP民間部門雇用者数
25.0 21.2(実績)
ADP民間部門雇用者数
21.2(実績)
スクには注意したい。
非農業部門雇用者数
25.7 23.5(予想)
23.5(予想)
-74.2
尚、インフレ動向との関連で注目される時間当 -75
07Dec
08Dec
09Dec
10Dec
11Dec
12Dec
13Dec
14Dec
たり賃金は、米小売り最大手ウォルマート・ストア
FFレート先物市場が織り込む15年のFOMCの利上げ確率(%)
ーズが 2 月に時間給正社員およびパートタイム従 FED Watch Jun-15 Jul-15 Se p-15 Oct-15 Dec-15 Jan-16
01/02
26
52
68
84
91
97
業員の賃金を 9 ドルに引き上げると発表したこと
01/30
11
26
38
55
65
79
02/06
23
46
63
80
88
95
などで、前月比 0.1-0.2%増(前年比では 1.8-
02/27
17
36
55
73
82
92
2.1%増)を見込む声も聞かれている。
03/02
18
37
56
76
85
94
03/03
19
39
57
76
85
94
1 月の前月比 0.5%増(前年比 2.2%増)に続く
03/04
18
37
54
75
83
92
伸びが示される場合は、FRB が早期利上げに踏
03/05
16
36
54
73
83
92
み切るとの観測が強まる可能性があるものの、FF レート先物市場では 6 月の利上げをほとんど織り込んで
いないため、米株式市場が大幅安となるリスクも想定される。 この場合はリスクオフにより、ドル/円は下
げが想定されるため、米雇用統計は強過ぎず弱過ぎないマーケットフレンドリーなことが求められそうだ。
(3 月 6 日 11:30 記)
※当レポートは、投資の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を意図するものではありません。 投資の決定はご自身の
判断と責任でなされますようお願い申し上げます。 記載された意見や予測等は、作成時点における 森 好治郎 個人の見解であり、
その正確性、完全性を保証するものではなく、今後予告なく変更されることもありますのでご留意ください。
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