平成26年度 学校運営の重点課題

教育委員会
平成26年度 学校運営の重点課題
(幼稚園、小・中学校版)
平成26年2月13日
神奈川県教育委員会
神奈川県教育委員会『平成26年度
目
学校運営の重点課題』
次
Ⅰ
かながわ教育ビジョンに基づく「人づくり」
・・・1
Ⅱ
平成26年度 幼稚園 学校運営の重点課題
・・・7
Ⅲ
平成26年度 小・中学校
・・・15
学校運営の重点課題
Ⅰ
かながわ教育ビジョンに基づく「人づくり」
神奈川県教育委員会では、明日のかながわを担う人づくりを進めるため、本県教育の総合的な指
針となる「かながわ教育ビジョン」を、平成 19 年8月に策定しました。
この教育ビジョンは、夢や希望の実現に向けた自分づくりを支援していく営みを「人づくり」と
とらえ、一人ひとりの成長の過程で、様々な立場の人々が役割と責任を自覚して人づくりにかかわ
り、協働と連携を進めることで、生涯を通じた人づくりをめざしていくことを基本的な考え方とし
ています。
1
「かながわ教育ビジョン」
(1)基本理念・教育目標
自立した一人の人間をめざす自分づくりと、社会の構成員としてよりよい社会づくりにかかわる
総合的な力を人間力ととらえ、かながわの人づくりの基本理念と教育目標(身に付けたい人間力の内
....
容)を掲げ、新たなかながわ らしい教育として、「心ふれあう しなやかな 人づくり」を提唱しま
した。
ひら
〔基本理念〕
未来を拓 く・創る・生きる 人間力あふれる
〔教育目標(めざすべき人間力像)〕
《 思い やる 力》他 者を尊 重し 、多 様性を 認め
合う、思いやる力を育てる
《 たく まし く生き る力》 自立 した 一人の 人間
と し て 、 社 会を た く まし く 生 き 抜 くこ と
のできる力を育てる
《 社会 とか かわる 力》社 会と のか かわり の中
で 、 自 己 を 成長 さ せ 、社 会 に 貢 献 する 力
を育てる
かながわの人づくり
誕生
概ね
18∼22歳頃
概ね
65歳頃
親 への信 頼 感 を深 めながら、家 庭 を中 心 に、基 本
的な生活習慣や態度を身に付けるとともに、集団で
の遊 びや運 動 などの体 験 を通 じて、健 全 な心 身 の
基礎を培う。
自分らしさを探求
する段階
(児童・青年期)
それぞれの学 校 段階において、確 かな学 力 を身に
付 けるとともに、様 々な体 験 や経 験 を通 じて生 き方
や進路を考え、自分らしさを探求し、心身ともに健康
で、豊かな人間性や社会性を培う。
社会的・経済的に
自立する段階
(成人期)
職業生活への円滑な移行と社会的・経済的な自立
をめざし、自覚と責任ある行動力や社会に貢献する
力を身に付ける。
豊かな人生を探求
する円熟の段階
(円熟期)
学び直 しや新たな学びに挑戦する意欲や生きがい
をもち、自 分 づくりに取 り組 むとともに、次 世代 の育
成や地域での社会貢献に努める。
〔各主体のかかわり〕
家庭
地域
学校
企業
市町村
保育所
幼稚園
小学校
中学校
中等教育学校
高等学校
大学等
就労
特別支援学校
概ね
6歳頃
健全な心身と生活
の基礎を培う段階
(乳・幼児期)
家庭での生活
(2)人づくりの視点
人の一生を4つの段階に分け、それぞれの主体が個に応じて、どのように支援を行っていくのが
望ましいかを発達段階ごとに整理しました。
〔生涯を通じた人づくり〕
年齢
人づくりの段階
人づくりの目標
節目・転機
退職
県
(3)県としての取組
家庭、地域、学校・保育所、企業、市町村の各主体と、生涯を通じた人づくりを協働で進めていくために、県
としてどのような展開を図っていくべきかを、5つの「基本方針」として明らかにしました。
その上で、子どもの学びと学校づくりという視点や、他の主体と協働して人づくりを進めるという視点から、県
が進めていくべき「取組みの方向」をまとめています。
また、今後、集中的・横断的に進めていく「重点的な取組み」や、各主体との協働・連携で「心ふれあう しな
やかな 人づくり」を実践していく「心ふれあう3つの運動」を示しています。
1
◇
「基本方針」とそれに基づく「取組みの方向」
(「かな がわ教育ビジョン」第4章 より)
「基本方針」
1
2
3
4
5
「取組みの方向」
子 ども一人ひとりが学習の大切 さを実 感
し、共 に励 み合 って学 ぶことのできる教 育
に取り組みます
教 職 員 の資 質 ・能 力 と組 織 力 の向 上 を
通して、信頼される学校づくりを進めます
家庭教育の大切さを共有できる環境づく
りを進めます
地域や社会の方々が、未来を担う人づく
りに積極的に参加できるしくみづくりを進め
ます
県民一人ひとりが、生きがいをもち、自己
を高めることのできる環境づくりを進めます
①
②
③
④
⑤
子ども一人ひとりを大切にはぐくむ教育の充実
豊かな人間性や社会性をはぐくむ教育の推進
時代や社会の変化に対応できる教育の推進
高い指導力と意欲をもつ教職員の確保・育成
快適な教育環境の整備と信頼あふれる学校づくり
⑥ 家庭・地域の教育力の向上に向けた取組みの推進
⑦ 生涯学習・文化芸術・スポーツ活動の推進
◇
「重点的な取組み」 (「かながわ 教育ビジョン」第5章より )
Ⅰ.心ふれあう教育
「交流・体験」の充実を図り、豊かな心をはぐくむとともに、不登校、いじめなどの緊急課題
への対応を強化し、問題の根源的な解決をめざします。
Ⅱ.共に育ち合う教育
すべての子どもがよりよい環境で学べるよう、教育的ニーズに応じた支援教育や就労支援の充
実に取り組みます。
Ⅲ.学び高め合う学校教育
子どもがこれからの時代に向き合い、「確かな学力」を身に付け、生き方や社会について考え、
行動できるよう、学校や地域の実情に応じた教育活動や学習環境の整備を進めます。
Ⅳ.意欲と指導力のある教職員の確保・育成
かながわの教育の質を高め、県民の揺るぎない信頼を確立するため、優秀な人材を確保し、指
導力の高い教職員を育成します。
Ⅴ.県立学校の教育環境の改善
「県立教育施設再整備10か年計画」(まなびや計画)に基づき、すべての県立学校において、
快適な教育環境の整備を進めます。
Ⅵ.協働と信頼に根ざした学校づくり
学校の自主的・自律的な学校経営や学校評価のシステムづくりに取り組むとともに、協働によ
る学校づくりや質の高い教育サービスの検討を進めます。
Ⅶ.子育て・家庭教育への応援
楽しい子育て環境づくりや、家庭の絆づくりの運動を通じて、子育て・家庭教育を応援します。
Ⅷ.学びを通じた地域の教育力の向上
地域での様々な学びや、スポーツ・文化芸術にかかわる活動を通じて、コミュニティづくりを
進め、地域の教育力を高めます。
◇
教育ビジョンの推進
教育ビジョンに基づき、実効性のある教育政策を推進できるよう取組を進めます。
・県民と歩む教育ビジョンの推進(「かながわ人づくりコラボ」等)
学 校 や家 庭 、地 域 など、
・人づくりにかかわる様々な主体との協働・連携の拡大
教 育 ビジョンを様 々な主
・行政改革・地方分権の取組と一体となった教育行政の推進
体 と共 有 し、実 効 性 のあ
教育ビジョンで掲げた人づくりの理念が、多くの方々と共感・共有され、
協働・連携が一層進むよう、これらの運動を「心ふれあう3つの運動」とし
て、取り組みます。
サンマルサンサン
あいさつ運動
3033運動
心ふれあう
しなやかな
人づくり
ファミリー・コミュニケーション運動
2
る人 づくりを県 民 総 ぐるみ
で進 めていく 「かながわ
人 づくり推 進 ネットワーク」
に教 育 委 員 会 も参 加 して
います 。
2
「かながわグランドデザイン」に基づく教育施策・事業の展開
神奈川県教育委員会は、「かながわ教育ビジョン」に基づいて取り組む具体的な施策・事業を、
県の総合計画である「かながわグランドデザイン」に位置付けて、実効性のある着実な推進を図り
ます。また、本計画に設定しているプロジェクトの数値目標の達成に向けて、施策・事業の推進に
取り組んでいきます。
【実施計画 プロジェクト編(平成 24 年度∼平成 26 年度)】(抜粋)
柱Ⅳ 次世代を担う心豊かな人づくり
PJ14 子どもの安心のための総合的な支援
1 すべての子どものいのちを守る体制づくり
② いのちの大切さの学びと学校などにおける取組みの推進
2 支援を必要とする子どもの育ちを保障するしくみづくり
① 学校と家庭、地域、関係機関などの連携による支援の強化
PJ15 明日のかながわを担う人づくり
1 一人ひとりの生きる力を高める学校教育
① 確かな学力向上の推進
② 活力と魅力ある県立高校づくり
③ キャリア教育などの推進
2 障害のある子どもたちを育む支援教育の推進
② 支援教育の推進
3 児童・生徒が学ぶ環境づくり
① 高い指導力と意欲をもつ教職員の確保・育成
② まなびや計画に基づく耐震化・老朽化対策の推進
ほか
【実施計画 主要施策・計画推進編(平成 24 年度∼平成 26 年度)】(抜粋)
主要施策
(Ⅴ 教育・子育て)
1 子ども・子育てを支える社会環境の整備
2 支援を必要とする子ども・家庭への対応
3 若者が心豊かに育ち自立できる社会づくり
4 希望に満ち信頼にあふれる学校づくり
5 時代や社会の変化に対応した学びの推進
(Ⅵ 県民生活)
1 ともに生きる地域社会の実現
計画推進
プロジェクトの数値目標一覧
PJ
14
15
3
目標項目
い じ め 認 知 件 数 の う ち、年 度 内
に「状況改善」した割合
キ ャ リ ア 教 育 に よ り 成長で き た
と感じる県立高校生の割合
特 別 支 援 学 校 高 等 部 (知 的 障 害
部門)の卒業生の就職率
現状
96.1%
(2012年)
80.5%
(2012年)
30.6%
(2012年)
2012年
2013年
2014年
(平成24年) (平成25年) (平成26年)
94%
95%
96%
78%
79%
80%
29%
30%
31%
「第2 期教育振興基本計画 」及び「神奈川の教 育を考える調査会
基づく教育の展開
最終まとめ」 に
教育基本法に示された理念の実現と、我が国の教育振興に関する施策の総合的・計画的な推進を
図るため、平成25年6月14日に「第2期教育振興基本計画」が閣議決定されています。
また、「神奈川の教育を考える調査会」は経費の削減と教育の質の確保の両立の観点から10回の
議論を行い、その結果が、平成25年8月29日に最終まとめとして神奈川県知事に提出されました。
神奈川県教育委員会は、「第2期教育振興基本計画」を本県の取組に反映させるとともに、「神
奈川の教育を考える調査会 最終まとめ」の趣旨を十分に踏まえ、教育の更なる充実をめざします。
3
4
学校運営における重点的な取組の柱
本県の教育推進の総合的な指針である「かながわ教育ビジョン」に基づき、基本理念である「未
ひら
来を拓 く・創る・生きる 人間力あふれる かながわの人づくり」を実現するために、特に次の点
に留意のうえ、平成26年度の学校運営における重点的な取組の柱を整理しました。
○ 「かながわ教育ビジョン」の具体的な施策・事業が位置付けられる、県の総合計画「かながわ
グランドデザイン」(平成24年3月策定)の内容を踏まえること
○ 「第2期教育振興基本計画」及び「神奈川の教育を考える調査会 最終まとめ」に留意を図る
こと
○ 様々な教育課題の解決を図り、県民から信頼される学校づくりをめざすこと
○ 平成23年3月に発生した東日本大震災が教育現場に与えた影響への対応を継続すること
1
豊かな人間性と社会性をはぐくむ、心ふれあう教育の推進
(1)いのちを大切にする心をはぐくむ教育の推進
不登校やいじめ、自殺、暴力行為等の現状を踏まえ、自他のいのちを尊重する教育の一層の
推進を図ります。
(2)いのちを守る防災教育の推進
東日本大震災の影響を踏まえ、子どもたちが自らのいのちを自らの力で守ることができるよ
う、校内において計画的、組織的に防災教育を推進します。
(3)豊かな心と健やかな体をはぐくむ教育の推進
子どもたちの健全な心身の育成をめざして、道徳教育・人権教育を推進するとともに、食育
や学校での体育・健康に関する活動の推進を図ります。
(4)キャリア教育の推進
子どもたちが様々な体験活動を通じて他者や社会とかかわり、豊かな人間性や望ましい社会
性をはぐくむとともに、一人ひとりの社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態
度を育成することをめざし、幼児期の教育から高等学校教育まで各学校段階を通じた計画的・
体系的なキャリア教育を推進します。
(5)児童・生徒指導の充実
不登校やいじめ、自殺、暴力行為等の未然防止及び早期発見・早期対応のため、校内におけ
る組織的・継続的な取組や教育相談体制の充実を図るとともに、NPO等の外部関係機関との
連携・協働等を通じたきめ細かな指導を推進します。
2
学ぶ力を着実に身に付ける、学び高め合う教育の充実
(1)確かな学力向上の推進
学習指導要領等の改訂を踏まえ、子どもたちの確かな学力の向上を図るために、基礎的・基
本的な知識・技能を確実に習得させ、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力・
判断力・表現力その他の能力の育成を図ることから、授業改善に向けた校内研修・研究の推進
と評価活動の充実に取り組みます。
(2)これからの社会に対応した教育の推進
社会のグローバル化に対応するため、伝統と文化を尊重する態度を育成するとともに、国際
協力の精神と実践力を兼ね備えた、国際性豊かな人材の育成に取り組みます。また、「知識基
盤社会」と言われる 21 世紀において「持続可能な社会」を構築し、未来を切り拓く主体性ある
人材を育成するため、科学技術教育、環境教育等、これからの社会に対応した教育を推進しま
す。
4
3
子ども一人ひとりのニーズに応え、共に育ち合う教育の推進
(1)個性を伸ばす特色ある教育の推進
子どもたち、一人ひとりの個性を伸ばす特色ある教育の推進を図ります。県立高校において
は、「これからの県立高校のあり方」を踏まえ、幅広い学習ニーズに応じた多様で柔軟な高校
づくりの発展・深化を図るとともに、生徒一人ひとりの個性と学力を伸ばす教育の一層の推進
を図ります。
(2)個が生きる多様で柔軟な支援教育の展開
共に育ち合える学校づくりを推進するとともに、子どもたち一人ひとりの教育的ニーズに適
切に対応するための多様で柔軟な支援教育について、インクルーシブ教育の推進を踏まえ、充
実を図ります。
4
協働と信頼に根ざした学校づくりの推進
(1)信頼される学校づくりの推進
教職員の不祥事は、学校教育への県民の信頼を損なうことから、一人ひとりが体罰を含めた
不祥事を他人事と思わず、その防止の徹底を図るとともに、県民から信頼される学校づくりを
めざし、校内におけるOJTを組織的に機能させることで、教職員の人格的資質・情熱を高め、
指導力(課題解決力・授業力)の向上に努めます。
また、学校の自立的な運営を推進するとともに、学校評価等を充実させ、教育の質の向上を
図ることによって、保護者・地域の期待に応え、信頼される学校づくりを進めます。
(2)協働による学校づくりの推進
地域の教育力の活用を図り、保護者や地域の住民・企業・NPO等との協働による学校づく
りを推進します。
5
学校防災力の向上
(1)いのちを守る防災教育の推進(再掲)
東日本大震災の影響を踏まえ、子どもたちが自らのいのちを自らの力で守ることができるよ
う、校内において計画的、組織的に防災教育を推進します。
(2)防災対策の確立
東日本大震災の教訓を生かし、学校で作成した防災マニュアルに基づいた訓練を繰り返し行
い、課題を見いだし、修正するなど、より実効性のあるマニュアルにしていくとともに、防災
拠点としての役割を踏まえ、地域等と連携した防災対策の確立に取り組みます。
5
重点課題項目
総括表(6ページ)
総括表は、学校運営の重点的な取組の柱に沿って、校種別に重点項目を整理したものです。(※
一部、本文中の記載順と異なります。)
5
平成26年度 重点課題項目 総括表
重点的な取組の柱
重点課題項目
重点課題項目設定の視点
幼稚園
中等教育学校
高等学校
特別支援学校
(1)いのちを大切にする心をはぐく −豊かな心情の芽生え−
む教育の推進
・いのちの尊重に関する教育の推進
いのちの尊重に関する教育の推進
いのちの尊重に関する教育の推進
いのちの尊重に関する教育の推進
いのちの尊重に関する教育の推進
(2)いのちを守る防災教育の推進
防災教育の推進
防災教育の推進
防災教育の推進
防災教育の推進
道徳の時間を要とした道徳教育の充実
道徳教育の推進
道徳教育の推進
道徳教育の推進
人権教育の推進
人権教育の推進
人権教育の推進
人権教育の推進
体育、保健、食育、安全教育等の推進
体育、保健、食育、安全教育等の推進
生涯を通じて健康で活力にあふれた生活を
送るための教育の推進
子どもの安全と健康に配慮した指導の充実
豊かな人間性とリーダーシップの育成
学校の部活動の活性化
地域の学校等との交流及び共同学習の推進
6年間を見通したキャリア教育の推進
計画的・体系的なキャリア教育の推進
・道徳性の芽生え
・規範意識の芽生え
−健全な心身の基礎の育成−
1
小学校・中学校
豊かな人間性と社会性
(3)豊かな心と健やかな体をはぐく
をはぐくむ、心ふれあう む教育の推進
・防災教育の推進
教育の推進
・食育・安全教育等の推進
(主に教育活動全体を
通じた指導に関する内
−預かり保育・子育ての支援−
容)
・家庭・地域・関係機関との連携
(4)キャリア教育の推進
・人権教育の推進
小・中学校を通したキャリア教育の推進
幼・小・中・高等部を通したキャリア教育
の推進
就労を促進するための職業教育の充実
・キャリア教育の芽生え
(5)児童・生徒指導の充実
(中等教育学校、高等学校)生徒指
導の充実
幼稚園教育要領の着実な取組
−「生きる力」の基礎の育成−
(1)確かな学力向上の推進
6
2
−学びの芽の育成−
・環境を通して行う教育の充実
(特別支援学校)自立と社会参加に
向けた「生きる力」をはぐくむため ・基本的生活習慣の確立
学ぶ力を着実に身に付 の授業改善と評価活動の充実
ける、学び高め合う教
・協同して遊ぶ経験の充実
育の充実
(主に授業に関する内
容)
きめ細かな児童・生徒指導の充実
きめ細かでねばり強い生徒指導の充実
学習指導要領の着実な取組
中等教育学校としての特色を生かした教育
展開の推進
言語活動の充実
基礎的・基本的な知識・技能の習得と思考
力・判断力・表現力等の育成
学習評価の妥当性・信頼性を高める取組
学習評価を踏まえた授業づくり・授業改善
学習意欲の向上と家庭と連携した学習環境
づくりへの取組
・言語活動の充実
(2)これからの社会に対応した教育
の推進
・校種間連携の推進(幼・小・中)
確かな学力向上のための取組の推進
確かな学力向上のための取組の充実
「個別教育計画」を生かしたチームでの授
業づくりと評価の充実
授業改善に向けた校内授業研究の推進と評
価活動の充実
学習意欲の向上と家庭と連携した学習環境
づくりへの取組の推進
授業改善に向けた校内授業研究の推進と評
価活動の充実
授業改善に向けた校内研修・研究の推進
教育課程の改善・充実に向けた取組
専門性を生かした教材の工夫と活用
校種間連携の推進(幼・小・中)
居住地交流の推進
一人ひとりの幼児・児童・生徒の実態に応
じた「自立活動」の充実
伝統や文化に関する教育の充実
伝統や文化に関する教育の充実
伝統や文化に関する教育の充実
伝統や文化に関する教育の充実
小学校における外国語活動の充実
国際社会に求められる国旗・国歌を尊重す
る態度の育成
国際社会に求められる国旗・国歌を尊重す
る態度の育成
国際性豊かな人づくりの推進
今日的な課題への対応(情報教育・環境教
育・法教育・消費者教育等の推進)
幅広い教養と次世代を担う人材を育成する
教育の推進
国際教育、科学技術・理数教育、情報教
育、環境教育の充実
情報教育、環境教育の推進
個性や創造性の伸長を図る教育の推進
特色ある高校づくりの発展・深化
地域の幼稚園、小学校、中学校、高等学校
等を支援するセンタ−的機能の充実と専門
性の強化
6年間を見通した一人ひとりの生徒を支え
る体制づくりの推進
多様な生徒のニーズに対応する支援教育の
推進
(1)個性を伸ばす特色ある教育の推 −支援教育の充実−
進
児童・生徒一人ひとりを支える体制の充実
(特別支援学校)地域における「共 ・幼児一人ひとりの課題に応じた教育の
推進
に生きる」教育の推進
子ども一人ひとりのニ
−ズに応え、共に育ち
合う教育の推進
(主に支援教育に関す (2)個が生きる多様で柔軟な支援教 ・関係機関・特別支援学校との連携
る内容)
育の展開
きめ細かでねばり強い幼児・児童・生徒指
導の充実
「自立と社会参加」をめざす教育課程編成
の工夫・改善
・一人ひとりの発達の特性に応じた支援
の充実
・思考力の芽生え
3
きめ細かでねばり強い生徒指導の充実
個別の教育課題に対応する支援教育の推進
保護者の気持ちに寄り添ったきめ細かな相
談活動の推進
関係者の連携により作成する「個別の支援
計画」を生かした教育の推進
居住地交流の推進(再掲)
4
協働と信頼に根ざした
(1)信頼される学校づくりの推進
学校づくりの推進
(主に学校の管理・経営
に関する内容)
(2)協働による学校づくりの推進
5
学校防災力の向上
不祥事防止の徹底
不祥事防止の徹底
不祥事防止の徹底
不祥事防止の徹底
不祥事防止の徹底
人格的資質・情熱、指導力の向上
人格的資質・情熱、指導力(課題解決力・
授業力)の向上
学校評価の充実
学校評価の充実
人格的資質・情熱、指導力(課題解決力・
授業力)の向上
学校評価システム等を活用した学校経営の
活性化
人格的資質・情熱、指導力(課題解決力・
授業力)の向上
学校評価システム等を活用した学校経営の
活性化
人格的資質・情熱、指導力(課題解決力・
授業力)の向上
学校評価システム等を活用した学校経営の
活性化
県立学校の教育環境の整備
県立学校の教育環境の整備
県立学校の教育環境の整備
教職員間の共通理解と協力体制の確立
教職員間の共通理解と協力体制の確立
地域の教育力の活用
地域の教育力の活用
地域・社会との相互交流による教育の推進
地域・社会との相互交流による教育の推進
地域の教育力の活用
(1)いのちを守る防災教育の推進(再
防災教育の推進(再掲)
掲)
防災教育の推進(再掲)
防災教育の推進(再掲)
防災教育の推進(再掲)
防災教育の推進(再掲)
(2)防災対策の確立
防災対策の確立
防災対策の確立
防災対策の確立
防災対策の確立
防災対策の確立
Ⅱ
Ⅱ
平成 26 年度
幼稚園
幼稚園
学校運営の重点課題
平成 20 年3月に告示された幼稚園教育要領から6年が経過する中、改めて基本に立ち返り、
各園においては、改訂の趣旨や内容を踏まえた教育課程の適切な編成を行い、着実な取組に努め
ることが大切です。
幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、幼稚園教育では、学
校教育法第 22 条に示されているように、小学校や中学校につながる学校教育の始まりとして、
校種間の「つながり」を重視しつつ、子どもの発達の段階を踏まえた指導を行うことが重要です。
県教育委員会では、これまでに発達や学びの連続性を視点とした小学校と就学前教育との連携
の取組や指導の参考となる資料集を作成し、幼稚園・小学校、さらには中学校までも視野に入れ
た校種間の円滑な接続を図ってきました。
平成 19 年に策定した「かながわ教育ビジョン」では、概ね6歳までの乳・幼児期を、親への
信頼感を深めながら家庭を中心に基本的な生活習慣や態度を身に付けるとともに、集団での遊び
や運動などの体験を通して健全な心身の基礎を培う「健全な心身と生活の基礎を培う段階」と位
置付けています。
各園では、今後も引き続きこの理念を踏まえ、幼稚園教育要領に示された道徳性の芽生えや規
範意識等を培い、より豊かな心や人間性をはぐくみ、併せて地域や家庭との連携を基盤として、
預かり保育と子育ての支援についても取り組むことが必要です。
また、平成 23 年3月に発生した東日本大震災が教育現場に与えた影響は大きく、各園におい
ては引き続き幼児が安全に行動できる実践力を育成する防災教育の推進や防災対策を確立する
とともに、保護者・地域から信頼される学校づくりをめざすことが重要です。
<幼稚園教育の重点課題に関する留意事項>
幼稚園教育は、幼稚園教育要領に示されているように幼児期の発達の特性を踏まえ、計画的に環境
を構成し遊びを中心とした生活を通して体験を重ねることができるよう、園児一人ひとりに応じた総
合的な指導を行うことが基本となります。小学校以降の学校運営の重点課題とのつながりが見えるよう
にするために、幼稚園教育における重点的な取組を重点課題の5つの柱に整理しています。
平成 26 年度学校運営の重点課題
1
2
3
4
5
豊かな人間性と社会性をはぐくむ、心ふれあう教育の推進
(1) いのちを大切にする心をはぐくむ教育の推進
−豊かな心情の芽生え−
・いのちの尊重に関する教育の推進
・道徳性の芽生え
(2) いのちを守る防災教育の推進
・規範意識の芽生え
−健全な心身の基礎の育成−
・防災教育の推進
(3) 豊かな心と健やかな体をはぐくむ教育の推進
・食育・安全教育等の推進
−預かり保育・子育ての支援−
・家庭・地域・関係機関との連携
(4) キャリア教育の推進
・人権教育の推進
・キャリア教育の芽生え
(5) 児童・生徒指導の充実
学ぶ力を着実に身に付ける、学び高め合う教育の充実
(1) 確かな学力向上の推進
幼稚園教育要領の着実な取組
−「生きる力」の基礎の育成−
−学びの芽の育成−
・環境を通して行う教育の充実
・基本的生活習慣の確立
(2) これからの社会に対応した教育の推進
・協同して遊ぶ経験の充実
・一人ひとりの発達の特性に応じた支援の充実
・思考力の芽生え
・言語活動の充実
・校種間連携の推進(幼・小・中)
子ども一人ひとりのニーズに応え、共に育ち合う教育の推進
(1) 個性を伸ばす特色ある教育の推進
−支援教育の充実−
・幼児一 人 ひ と り の課題に応じた教育の推進
(2) 個が生きる多様で柔軟な支援教育の展開
・関係機関・特別支援学校との連携
協働と信頼に根ざした学校づくりの推進
(1) 信頼される学校づくりの推進
・不祥事防止の徹底
・人格的資質・情熱、指導力の向上
・学校評価の充実
・教職員間の共通理解と協力体制の確立
(2) 協働による学校づくりの推進
・地域の教育力の活用
学校防災力の向上
(1) いのちを守る防災教育の推進(再掲)
・防災教育の推進(再掲)
(2) 防災対策の確立
・防災対策の確立
7
Ⅱ
1
幼稚園
豊かな人間性と社会性をはぐくむ、心ふれあう教育の推進
―豊かな心情の芽生え―
幼稚園の生活において、他者とのやり取りだけでなく、自然の美しさに触れたり、身近な
動植物に親しみ世話をしたりする中で「いのち」あるものへの感性やいたわる気持ちなど豊
かな心情を育てることが必要です。
いのちの尊重に関
する教育の推進
「いのち」を大切にする心の育成は、人間形成の土台づくりとして欠
くことのできないものであり、あらゆる教育活動を通じて進められるべ
き重要な課題です。
幼児は、幼稚園生活を通して自然の美しさに触れたり、身近な動植物
に親しみ、世話をしたりする中で、
「いのち」あるものに気付いていきま
す。
「いのち」を大切にする心をはぐくむよう援助していくことが必要です。
道徳性の芽生え
幼児は、いざこざや葛藤の体験を重ねることで、他者への思いやりや
善悪のとらえ方を身に付けていきます。
基本的な生活習慣の形成を図るとともに、ほかの幼児とのかかわりの
中で他人の存在に気付き、相手を尊重する気持ちを持って行動できるよ
うにすることが必要です。
規範意識の芽生え
幼児は、初めての集団生活となる幼稚園で、自分の思いを主張するだ
けでなく、折り合いを付ける体験を通して、きまりの必要性などに気付
き、自分の気持ちを調整する力を付けていきます。
このことは、人と人とが尊重し合い、協調して社会生活を営んでいく
ために必要な力の基礎となります。
―健全な心身の基礎の育成―
心と体の健康は、相互に密接な関連があることを踏まえ、幼児が教師やほかの幼児との温
かいふれあいの中で、自己の存在感や充実感を味わうことなどを基盤として、しなやかな心
と体の発達を促すことが大切です。特に、十分に体を動かす気持ち良さを体験し、自ら体を
動かそうとする意欲が育つようにすることが必要です。
そのためには、幼児の心の安定を図りながら幼児が自然に体を動かしたくなるような、環
境の構成を工夫することが大切になります。
防災教育の推進
平成23年3月に発生した東日本大震災での甚大な被害状況や、東海地
震、神奈川県西部地震や南関東地域直下地震などの発生の切迫性が指摘
されていることから防災教育の重要性が増しています。
幼児一人ひとりが、自ら危険を回避し、安全に行動することのできる
実践力を育成するための指導を充実させることが大切です。また、関係
機関や保護者、地域の関係者との連携・協力により、防災教育を推進す
ることが重要です。
自然災害等が発生した場合には、適切かつ迅速に対応ができるよう、
教職員の危機管理意識を高め、日ごろから災害時における幼児の安全を
確保する体制の確立と防災訓練の実施等に努めることが重要です。また、
災害時の避難訓練などについては、計画的に指導するとともに、日常的
な指導を積み重ねることによって、災害の際の行動の仕方などについて
理解させていくことも重要です。
8
Ⅱ
食育・安全教育等
の推進
幼稚園
子どもたちを取り巻く生活環境等の変化による様々な課題に対処して
いくためにも、家庭・地域等との連携・協力の下、基本的な生活習慣の
確立や食育の推進、生活安全・災害安全・交通安全教育の推進、体力・
運動能力の向上等へのより一層の取組が必要です。
特に食育については、食べる喜びや楽しさ、食べ物への興味や関心を
通じて、自ら進んで食べようとする気持ちが育つようにすることや、落
ち着いた環境を整えて食事の場面が和やかになるようにすることが大切
です。
安全教育については、幼稚園の生活の中で、危険な遊び方や場所、遊
具などについてその場に即して気付かせ、状況に応じて安全な行動がと
れるように指導することが重要です。さらに、交通安全の指導や避難訓
練などについては、長期的な見通しを持ち、計画的に指導するとともに
日常的な指導を積み重ねることが大切です。
―預かり保育・子育ての支援―
地域の実態や保護者の要請により、教育課程に係る教育時間の終了後等に、当該幼稚園の
園児のうち、希望する者を対象に行う教育活動が「預かり保育」です。この教育活動では、
「幼稚園の教師の責任と指導の下に、幼児の心身の負担に配慮し教育活動の計画を作成する
こと」とされています。
幼児期の教育は、幼稚園と家庭、地域が協力して行うことが大切です。幼稚園には、子育
ての支援のために保護者や地域の人々に機能や施設を開放して、園内体制の整備や関係機関
との連携・協力に配慮しつつ、地域における幼児期の教育のセンターとしての役割を果たす
ように努めることが求められています。
家庭・地域・関係
機関との連携
幼児の生活は、家庭、地域、そして幼稚園と連続的に営まれています。
幼稚園において教師やほかの幼児と生活することで、家庭や地域での生
活経験が、更に豊かなものとなり、幼稚園の生活で培われたものが、家
庭や地域での生活に生かされるという循環の中で幼児の望ましい発達が
図られていきます。
幼児は、情報化社会の中で多くの間接情報に囲まれて生活しています
が、自然とふれあったり、地域で異年齢の子どもたちと遊んだり、働く
人とふれあったり、高齢者を始め幅広い世代と交流したりするなどの直
接的、具体的な体験が不足しています。このことから、自然、人材、行
事や公共施設などの地域の資源を活用し、幼児の心を揺り動かすような
豊かな体験が得られる機会を積極的に設けていく必要があります。
人権教育の推進
人権教育は、幼稚園の教育活動全体を通して、系統立てて計画的に実
践することが必要です。
子どもの人権尊重の精神の高揚や人権感覚を育てるためには、まず教
職員が人権教育の目標や意義についての共通理解の下、園・学年・学級
の雰囲気づくりに努めることが欠かせません。
その上で、遊びを中心とする生活の場で、自分を大切にするとともに
他の人のことも思いやれるような、社会的共感能力の基礎をはぐくむこ
とが大切です。
キャリア教育の芽
生え
人間関係づくりが苦手であったり、自分に自信が持てなかったり、自
らの将来への不安があるという子どもたちが増加しているという指摘も
あります。そのため、子ども一人ひとりが、自己有用感を実感し、自分
9
Ⅱ
幼稚園
の未来を肯定的にとらえるなど、将来の夢や希望が持てるよう、様々な
役割を担う場面で対応する力を伸ばすキャリア教育の推進を図ることが
大切です。その際、幼稚園は小学校の、小学校は幼稚園の取組を把握し、
発達の段階を踏まえたつながりのある指導を推進することが大切です。
幼稚園では、遊びや活動など多様な体験を通して、子どもたちの自立
心、社会性、豊かな人間性や豊かな心をはぐくんでいきます。これらは、
家庭、地域、関係機関との連携を図り、幼稚園の教育活動全体を通して
推進していくことが大切です。
2
学ぶ力を着実に身に付ける、学び高め合う教育の充実
幼稚園教育要領の着実な取組
―「生きる力」の基礎の育成―
幼稚園は、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児を保育し、幼児の健
やかな成長のために適切な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的としていま
す。
幼稚園では、幼児の生活や遊びを通して人とかかわる力や思考力、感性や表現する力をは
ぐくむなど、生きていくための基礎を培うことが大切です。そのためには幼児期の発達の特
性に配慮した指導計画が必要です。
―学びの芽の育成―
幼稚園教育には、その後の学校教育全体の生活や学習の基礎を培う役割があります。幼稚
園では、小学校以降の子どもの発達を見通した上で、幼児の主体的な活動としての遊びを十
分に確保することが重要になります。また、そのような基礎を培うことは、自ら学ぶ力を養
うことにもつながります。
環境を通して行う
教育の充実
環境を通して行う教育を推進するためには、まず幼児期の発達の特性
を踏まえ、幼児の生活の実情に即した教育内容を明らかにすることが求
められます。その教育内容に基づく計画的な環境をつくり出し、幼児の
望ましい発達が促されるよう、幼児の主体性を十分に発揮させていくこ
とが大切です。
教師は、環境の中に教育的価値を位置付け、幼児が自ら考えたり、試
したりして、気付きや発見を通して環境にかかわる態度を育てる教育を
展開することが重要です。
基本的生活習慣の
確立
幼稚園の生活では、幼児の持つ生活リズムに沿いながら、活動と休息、
緊張と解放、動と静などの調和を図ることが大切です。その際、幼児の
活動意欲が十分に満たされるようにすることも大切です。また、家庭で
の生活が幼児の生活のリズムに大きく影響するので、入園当初は一人ひ
とりの生活のリズムを把握し、それらに応じながら、遊ぶ時間や食事の
時間などに配慮することも必要です。
このようにして形成されていく習慣や態度は、健康な体を育てる上で
重要であるばかりでなく、自信や意欲につながるものです。一人ひとり
の幼児の家庭での生活の実態をとらえ、家庭との連携を密にしながら指
導していくことが大切です。
10
Ⅱ
幼稚園
協同して遊ぶ経験
の充実
幼児が協同して遊ぶようになるためには、まず一人ひとりがその子ら
しく遊ぶことができるように、自発性を基盤とした人間関係を広げるこ
とが大切です。
友達と試行錯誤しながらも共通の目的に向かって活動を展開していく
過程や、葛藤体験を乗り越えていく過程が重要となります。協同して遊
ぶ経験は、「協同的な学び」へと発展します。
一人ひとりの発達
の特性に応じた支
援の充実
幼児の発達は、概ね共通した過程をたどると考えられます。しかし、
幼児一人ひとりの家庭環境や生活経験は異なっています。
そのため、幼児一人ひとりの人や事物へのかかわり方、環境からの刺
激の受け止め方が異なってくるので、それぞれの発達の特性や幼児が抱
えている課題に応じた指導が必要となります。
思考力の芽生え
幼児は、自分と違った考え方をする友達とのかかわりを通して、自分
一人では発想しなかったことに気付きます。そこから新しい考えを生み
出し、体験を通して自ら考えようとする気持ちが育っていきます。
幼児が互いの考えを知ることができるような環境を構成することが大
切です。
言語活動の充実
幼児期の言葉の発達は、育ってきた環境や成長の状況により、個人差
があります。そのため教師は、一人ひとりの幼児の言葉の発達や人との
かかわりの状況をとらえるだけでなく、自らが言葉を交わす喜びや豊か
な表現を伝えるモデルとして重要な役割があります。
幼児には、遊びを通して言葉で伝えたくなるような経験を重ねたり、
絵本を見たり、物語を聞いたりして友達と思いを共有し、伝え合える喜
びを体験することが必要です。
校種間連携の推進
(幼・小・中)
幼稚園教育と小学校教育の円滑な接続を図り、発達の段階を踏まえた
長期的展望に立った指導を推進することが、子どもの発達や学びの連続
という観点から大切です。そこで、保護者、地域、幼稚園、保育所、学
校等が一体となっての取組が必要であり、中でも、幼稚園教育と小学校
教育の連携のあり方については、交流活動や教職員の合同研修、教育課
程の検討など具体的な取組を通して進めることが求められています。
また、中学校では、幼稚園等で幼児とふれあう活動を通して、幼児へ
の関心を深め、かかわり方を工夫できることが求められていることから、
幼稚園と中学校の連携を図ることが必要です。
3
子ども一人ひとりのニーズに応え、共に育ち合う教育の推進
―支援教育の充実―
幼稚園教育を推進するに当たっては、学習障害、注意欠陥/多動性障害、高機能自閉症、
アスペルガー症候群、心因性の背景のある不登校、集団への不適応、対人関係の取りにく
さ等、障害の有無にかかわらず、自らの力で解決することが困難な課題を抱えた子ども一
人ひとりの教育的ニーズに、適切に対応する支援教育の考え方を根幹に据えて取り組むこ
とが大切です。その際、学校・家庭・地域などが一体となっての取組が大切です。
11
Ⅱ
幼稚園
幼児一人ひとりの
課題に応じた教育
の推進
幼稚園は、適切な環境の下、集団で生活することを通して、幼児一人
ひとりに応じた指導を行うことにより、将来にわたる生きる力の基礎を
培う体験を積み重ねていく場です。
幼児一人ひとりの教育的ニーズを把握し、その持てる力を高め、生活
する上での困難を改善または克服するため、適切な指導及び必要な支援
を行うことが大切です。
関係機関・特別支
援学校との連携
集団になじめない幼児の指導に当たっては、集団の中で生活すること
を通して全体的な発達を促していくことに配慮しつつ、特別支援学校な
どの助言や援助を活用することが大切です。例えば、家庭や医療機関、
福祉施設などと連携した支援のための計画や指導についての計画を個別
に作成することなどが挙げられます。個々の幼児の状態などに応じて、
指導内容や指導の方法の工夫を組織的、計画的に行うことが必要です。
また、幼稚園教育相談コーディネーターを活用し、ケース会議や関係
機関との連携が円滑に行われるよう、園としての組織的対応が大切です。
4
協働と信頼に根ざした学校づくりの推進
不祥事防止の徹底
すべての教職員は、教育が教職員と幼児、保護者との信頼関係の上に
成り立つものであることを自覚し、一部の教職員の不祥事によって教育
への信頼が根底から崩れてしまうことを常に意識する必要があります。
特に、
「わいせつ・セクハラ行為」、
「体罰」、
「公金や私費に関する処理」、
「個人情報の管理」及び「交通事故・違反の防止」については、重点的
に取り組む必要があります。
各幼稚園においては、教職員一人ひとりに、職員研修等を通して、不
祥事防止を自らの問題として認識させ、教育に携わる者の重い責任を十
分自覚させるなど、教職員の意識向上を図るとともに、気になったこと
はそのままにせず、注意し合える環境をつくり、職場全体で不祥事の未
然防止に全力を挙げて取り組むことが重要です。
人格的資質・情熱、
指導力の向上
信頼される幼稚園をつくるために、教職員一人ひとりが人格的資質を
高め、教職への情熱を持ち、指導力向上を図ることが必要です。教職員
には、豊かな人間性や社会性、コミュニケーション能力、幼児への教育
的愛情と責任感、教職に対する使命感と誇り等、教職員としての人格的
資質・情熱を持って行動することが求められています。
指導力の向上については、進んで自己研鑽、研修に励み、幼児の主体
的な活動を促す保育の実践力や社会の変化による課題を把握し解決する
問題解決力を高めることが大切です。
日ごろから教職員の人格的資質・情熱、指導力を高めるような園内体
制の確立と充実を図ることが大切です。
学校評価の充実
幼稚園を地域に開かれたものとし、地域とともに学校づくりを進めて
いくことが求められています。そのために、学校評価の充実を図り、信
頼される学校づくりを一層進めることが重要です。
学校評価は、教職員による自己評価や、保護者・学校評議員・地域住
民等の代表による学校関係者評価を通して、学校組織を活性化させ、教
育内容の充実した、活力ある学校づくりにつなげていくために大切なも
のです。また、学校運営の充実・改善を図るために、自己評価や学校関
12
Ⅱ
幼稚園
係者評価の結果を家庭や地域に公表し、教育の成果や課題を共有してい
くことも求められています。全教職員が幼稚園のあり方について共通の
方向性と目的意識を持ち、学校評価項目を設定し、評価結果を具体的な
改善につなげていくことが必要です。
教職員間の共通理
解と協力体制の確
立
幼稚園が抱える様々な課題を解決していくためには、園長のリーダー
シップの下、全教職員が一体となって組織的、計画的に対応することが
必要です。
教職員一人ひとりが、学校運営の趣旨を十分に理解し、常に学校全体
を意識しながら組織を支えていくという意識を持って、職務に取り組む
ことが重要です。
地 域の 教育力 の活
用
幼稚園の教育活動に地域の人々等が主体的に参画することを通じて、
地域の教育力を幼稚園教育に生かすことが必要です。例えば、幼稚園支
援ボランティアとして地域の人材を教育活動や環境整備に活用すること
や、公民館、博物館、図書館などの社会教育施設等と連携することによっ
て、より充実した教育成果が期待できます。
また、スポーツや文化芸術活動など、地域の魅力に基づく学びにより、
地域ぐるみで子育てや教育にかかわろうという機運の醸成を図ることが
できます。
5
学校防災力の向上
防災教育の推進
(再掲)
平成23年3月に発生した東日本大震災での甚大な被害状況や、東海地
震、神奈川県西部地震や南関東地域直下地震などの発生の切迫性が指摘
されていることから防災教育の重要性が増しています。
幼児一人ひとりが、自ら危険を回避し、安全に行動することのできる
実践力を育成するための指導を充実させることが大切です。また、関係
機関や保護者、地域の関係者との連携・協力により、防災教育を推進す
ることが重要です。
自然災害等が発生した場合には、適切かつ迅速に対応ができるよう、
教職員の危機管理意識を高め、日ごろから災害時における幼児の安全を
確保する体制の確立と防災訓練の実施等に努めることが重要です。また、
災害時の避難訓練などについては、計画的に指導するとともに、日常的
な指導を積み重ねることによって、災害の際の行動の仕方などについて
理解させていくことも重要です。
防災対策の確立
県教育委員会では、
「学校防災活動マニュアルの作成指針」及び「学校
防災活動マニュアル(作成例)」を作成し、市町村教育委員会に示してい
ます。
幼稚園では、これらを参考に、地域性や特性に応じて、あらかじめ避
難場所を明示した独自のマニュアルを作成した上で、マニュアルに基づ
いた訓練を繰り返し行い、課題を見いだし、修正するなど、より実効性
のあるマニュアルを作成していくことが必要です。
また、教職員、幼児及び保護者等には、避難経路や避難場所等の周知
徹底を図るとともに、地域と連携した防災訓練を実施するなど、地域や
保護者等との連携の強化が必要です。
13
Ⅱ
14
幼稚園
Ⅲ
小・中学校
Ⅲ 平成 26 年度 小・中学校 学校運営の重点課題
小学校では平成 23 年度、中学校では平成 24 年度から全面実施された学習指導要領では、改正
された教育基本法及び学校教育法等を踏まえ、
「生きる力」をはぐくむという理念の下、
「生きる
力」を支える確かな学力、豊かな心、健やかな体の調和のとれた育成を重視しています。
学校の教育活動を進めるに当たっては、創意工夫を生かした特色のある教育活動を展開する中
で、基礎的・基本的な知識・技能、思考力・判断力・表現力等及び学習意欲をはぐくむとともに、
道徳教育や体育などの充実により、豊かな心や健やかな体を育成することが求められています。
こうしたことを踏まえ、各学校においては、子どもの発達の段階や地域の実態に応じた学校教
育目標を設定し、その達成を図るため、適切な教育課程を編成し、実践することが求められます。
県教育委員会では、平成 19 年に策定した「かながわ教育ビジョン」に基づき、神奈川県学習
状況調査や全国学力・学習状況調査等の結果を踏まえ、確かな学力の向上をめざして、「かなが
わ学力向上実践推進事業」の充実を図ります。また、道徳・キャリア教育の充実とともに、不登
校やいじめ・暴力行為等の未然防止や早期発見・早期対応等の取組として、子どもたちが意欲を
持って生活できる学校づくりを推進する「かながわ元気な学校ネットワーク推進事業」の充実や、
県の総合計画である「かながわグランドデザイン」に基づいて、いのちを大切にする心をはぐく
む取組である「いのちの授業」の充実を図ります。
平成 23 年3月に発生した東日本大震災が教育現場に与えた影響は大きく、各学校においては、
引き続き、児童・生徒が主体的にいのちを守ることができるよう防災教育の推進に取り組むこと
が大切です。また、児童・生徒、保護者、地域から信頼を損なう事件・事故の防止に努め、信頼
される学校づくりをめざすことが重要です。
平成 26 年度学校運営の重点課題
1
2
3
4
5
豊かな人間性と社会性をはぐくむ、心ふれあう教育の推進
(1) いのちを大切にする心をはぐくむ教育の いのちの尊重に関する教育の推進
推進
(2) いのちを守る防災教育の推進
防災教育の推進
(3) 豊かな心と健やかな体をはぐくむ教育の 道徳の時間を要とした道徳教育の充実
推進
人権教育の推進
体育、保健、食育、安全教育等の推進
(4) キャリア教育の推進
小・中学校を通したキャリア教育の推進
(5) 児童・生徒指導の充実
きめ細かな児童・生徒指導の充実
学ぶ力を着実に身に付ける、学び高め合う教育の充実
(1) 確かな学力向上の推進
学習指導要領の着実な取組
言語活動の充実
基礎的・基本的な知識・技能の習得と思考力・判断力・表
現力等の育成
学習評価の妥当性・信頼性を高める取組
学習評価を踏まえた授業づくり・授業改善
学習意欲の向上と家庭と連携した学習環境づくりへの取組
校種間連携の推進(幼・小・中)
(2) これからの社会に対応した教育の推進
伝統や文化に関する教育の充実
小学校における外国語活動の充実
今日的な課題への対応(情報教育・環境教育・法教育・消費
者教育等の推進)
子ども一人ひとりのニーズに応え、共に育ち合う教育の推進
(1) 個性を伸ばす特色ある教育の推進
児童・生徒一人ひとりを支える体制の充実
(2) 個が生きる多様で柔軟な支援教育の展開
個別の教育課題に対応する支援教育の推進
協働と信頼に根ざした学校づくりの推進
(1) 信頼される学校づくりの推進
不祥事防止の徹底
人格的資質・情熱、指導力(課題解決力・授業力)の向上
学校評価の充実
教職員間の共通理解と協力体制の確立
(2) 協働による学校づくりの推進
地域の教育力の活用
学校防災力の向上
(1) いのちを守る防災教育の推進(再掲)
防災教育の推進(再掲)
(2) 防災対策の確立
防災対策の確立
15
Ⅲ
1
小・中学校
豊かな人間性と社会性をはぐくむ、心ふれあう教育の推進
(1) いのちを大切にする心をはぐくむ教育の推進
いのちの尊重に関
「いのち」を大切にする心の育成は、人間形成の土台づくりとして欠
する教育の推進
くことのできないものであり、あらゆる教育活動を通じて進められるべ
き重要な課題です。児童・生徒の発達の段階に応じ、各教科、道徳、総
合的な学習の時間、特別活動、食育やキャリア教育等あらゆる教育活動
を通して「いのちの大切さを理解する授業実践」、「いのちとふれあう体
験活動」、外部講師等を活用した「いのちの授業」の実施等により「いの
ち」のかけがえのなさ、夢や希望を持って生きることの大切さなど、
「い
のち」を大切にする心をはぐくむ教育の推進を図ることが重要です。ま
た、自ら考え、正しく判断したことをきちんと表現できる「ノーと言え
る人づくり」の推進も重要です。
(2) いのちを守る防災教育の推進
防災教育の推進
平成 23 年3月に発生した東日本大震災での甚大な被害状況や、東海地
震、神奈川県西部地震や南関東地域直下地震などの発生の切迫性が指摘
されていることを踏まえ、これまで以上に地震や台風、津波等の自然災
害から児童・生徒自らが身を守る防災教育の重要性が増しています。
県教育委員会では、児童・生徒が正しい知識を身に付け、自らの判断
で避難行動を取ることが大切であることから、防災教育研修講座の開催
及び学校における防災教育指導資料や津波防災に関する指導資料、並び
に実際の津波の映像や津波の破壊力の実験映像などを収録したDVD教
材を各学校に配付しました。
各学校においては、学級活動や学校行事はもとより、各教科・領域等
においても防災に関する意識を高めるなど、学校の教育活動全体を通し
た防災教育を推進することが大切です。
さらに、防災訓練などを通して、児童・生徒に防災に関する知識を体
験的に身に付けさせ、災害から身を守り、また、被災した場合でもその
後の生活を乗り切る力や地域を支える力を身に付けさせることが重要で
す。
(3) 豊かな心と健やかな体をはぐくむ教育の推進
道徳の時間を要と
子ども一人ひとりに「生きる力」をはぐくむ学校教育を推進するため
した道徳教育の充
には、
「確かな学力」の向上とともに、
「豊かな心」
「健やかな体」の育成
実
が必要です。子ども一人ひとりが、自他の「いのち」を大切にし、夢や
希望、感謝の心を持って生きることができるなどの豊かな人間性や社会
性をはぐくむために、文部科学省発行の「私たちの道徳」や魅力的な教
材を活用して、道徳の時間を要とした学校教育全体での道徳教育の充実
を図ることが大切です。そのためには、家庭・地域・関係機関との連携・
協力の下、互いの教育機能を高めながら取り組んでいくことが必要です。
人権教育の推進
人権教育は、学校の教育活動全体を通して、系統立てて計画的に実践
することが必要です。
子どもの人権尊重の精神の高揚や人権感覚を育てるためには、まず教
職員が人権教育の目標や意義についての共通理解の下、学校・学年・学
級の人権尊重の雰囲気づくりに努めることが欠かせません。
その上で、発達の段階に応じた指導方法により自己肯定感を育てると
16
Ⅲ
小・中学校
ともに、人権の意義や重要性を知的に理解し、具体的な人権問題を直感
的に「おかしい」と認知する感性を育成することが大切です。
体育、保健、食育、
安全教育等の推進
子どもたちを取り巻く生活環境等の変化による様々な課題に対処して
いくためにも、家庭・地域等との連携・協力の下、基本的な生活習慣の
確立や食育の推進、生活安全・災害安全・交通安全教育の推進、体力・
運動能力の向上等へのより一層の取組が必要です。
特に、食育については、子どもたちが医食農同源の考え方や食に関す
る知識を身に付け、望ましい食習慣を形成することで、生涯にわたって
健全な心身を養い、豊かな人間性をはぐくんでいくために、学校、地域
の実態等に応じた食育の推進に取り組むことが必要です。
また、体力・運動能力の向上についても、学校の教育活動全体を通じ
て適切に取り組む必要があります。
一方、交通安全教育については、平成 22 年度より始まった「みんなの
交通安全教育推進運動『スタートかながわ』」の理念に基づいた取組を推
進するようお願いします。
(4) キャリア教育の推進
小 ・中 学校を 通し
人間関係づくりが苦手であったり、自分に自信が持てなかったり、自
た キャ リア教 育の
らの将来への不安があるという子どもたちが増加しているという指摘も
推進
あります。一方で、子どもたちには、将来、社会的・職業的に自立し、
社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現するた
めの力が求められています。キャリア教育の推進を図る際に、発達の段
階を踏まえたつながりのある指導を推進するために、小学校は幼稚園の、
中学校は小学校の取組を把握し、それぞれの学校の教育活動全体を通し
て、組織的・系統的に行うことが大切です。
豊かな社会を築く人づくりのためには、ボランティア活動や自然体験
活動等の豊かな体験を通して、子どもたちの自立心、社会性、豊かな人
間性や豊かな心をはぐくむことが大切です。また、職場体験活動等の推
進・充実を図り、子ども一人ひとりが夢や希望を持ち、将来の生き方を
考え、自らの個性を生かし、自らの希望にあった進路を主体的に選択で
きる能力や態度の育成に努めることが大切です。
これらは、家庭、地域、関係機関との連携を図り、学校教育全体で推
進していくことが大切です。
(5) 児童・生徒指導の充実
きめ細かな児童・
本県の公立小・中学校における最重要課題の一つである不登校やいじ
生徒指導の充実
め・暴力行為等の未然防止及び早期発見・早期解決のためには、学校と
しての児童・生徒指導方針を明確にし、全教職員の共通理解と協力体制
の下、きめ細かな児童・生徒指導を実践することが大切です。具体的に
は、子どもの発達の段階に応じて、次のような取組が重要です。
① 子どもの成長を促す児童・生徒指導
○ 教育相談コーディネーターを中心とした教育相談体制の充実に努
めるとともに、支援教育の理念に基づき個別の特性に対応するため
の適切な支援を行う。
○ 子ども一人ひとりが互いの存在感を実感できるような集団活動の
実践等により、子どもの自己有用感及び豊かな人間関係をはぐくむ。
○ 子どもが自分の感情を表現できる機会を設けることに加え、指導
の意図を子どもに明確に伝えること等により、子どもと教職員の信
頼関係をより強固にする。
17
Ⅲ
小・中学校
②
○
チームで取り組む予防的児童・生徒指導
問題行動等の未然防止や解決に向けて、スクールカウンセラーや
スクールソーシャルワーカー等の専門性を生かすなど、チームとし
て対応する。
○ 子ども一人ひとりの良さや可能性等を見いだし、校種間で有効な
支援策等を引き継ぎながら伸長を図る。
③ 課題解決的な児童・生徒指導
○ 月3日程度欠席の「休み始め」の子どもに早期対応することで不
登校防止に努める。3日連続の欠席に対しては「1日目電話・2日
目手紙・3日目家庭訪問」を合い言葉に対応する。
○ 「いじめ防止対策推進法」を踏まえ、いじめはどんな学校にも起
こり得るものとの認識に立ち、「アンケート調査」の実施等により、
いじめを早期に発見し、組織的に対応し、その解消を図る。
○ 暴力行為を繰り返す子どもには、寄り添いながら感情を受け止め
つつも、問題行動に対しては毅然とした指導を行い、特にチームに
よる支援を徹底する。
○ 危機管理の意識を持ち、トラブルが発生したときには速やかな対
応を徹底する。
また、携帯電話によるネットいじめ等に代表される新たな課題につい
ても、携帯電話サイト「かながわモード」や携帯電話教室の取組を通し
てルール、マナーやトラブルに対する適切な対応等について子どもへの
啓発を行うとともに、研修講座等を通して教職員や保護者に情報提供等
を行い、適切な対応が図られるよう取り組むことが大切です。
児童・生徒指導体制を十分に機能させるためには、家庭・地域・関係
機関等に対して、学校としての指導方針や意図等を明確に示すとともに、
日ごろから相互の交流を深めることが重要です。
2
学ぶ力を着実に身に付ける、学び高め合う教育の充実
(1) 確かな学力向上の推進
学習指導要領の着
小・中学校においては、学習指導要領に基づく適切な教育課程を編成・
実な取組
実施できるよう、計画的な取組を進めることが必要です。また、自校の
教育課程実施状況を振り返るとともに、全国学力・学習状況調査等の調
査結果を分析し、課題を洗い出し、改善方策を検討することが大切です。
言語活動の充実
基 礎的 ・基本 的な
知 識・ 技能の 習得
と思考力・判断力・
表現力等の育成
学習評価の妥当性・
信頼性を高める取
組
学 習評 価を踏 まえ
た 授業 づくり ・授
業改善
「確かな学力」の向上を図るためには、基礎的・基本的な知識・技能
の習得と思考力・判断力・表現力等の育成のバランスを重視しながら、
子どもが主体的に学習に取り組む態度をはぐくむ等、
「わかる授業」の充
実が求められています。思考力・判断力・表現力等をはぐくむためには、
各教科の内容等に即して、思考・判断したことを記録、要約、説明、論
述、討論するといった言語活動を取り入れた授業づくりや授業改善を行
うことが重要です。
各学校では、国立教育政策研究所発行の「評価規準の作成、評価方法
等の工夫改善のための参考資料」や県教育委員会発行の「確かな学力を
育てるために リーフレット」及びその「解説編」等を活用して評価規準
の設定をするなど、評価方法の充実を図ることが必要です。評価結果に
ついて教師同士で検討したり、授業研究等を通して教師一人ひとりの指
導力の向上を図ったりするなど、校長のリーダーシップの下、学校とし
18
Ⅲ
小・中学校
て組織的・計画的に学習評価を踏まえた授業づくりや授業改善に取り組
むことが重要です。
さらに、学習評価を通して、その後の学習指導のあり方を見直すこと
や、個に応じた指導の充実を図ることなど、
「指導と評価の一体化」が求
められています。
また、児童・生徒や保護者に対して、学習評価に関する仕組みや結果
についての説明や情報を積極的に提供することも大切です。これらの取
組を通して、学習評価の妥当性、信頼性を高めていくことが重要です。
学習意欲の向上と
家庭と連携した学
習環境づくりへの
取組
学習意欲の向上については、指導方法の工夫・改善を図りながら、わ
かる喜びを実感できる学習活動の実践に努めるとともに、家庭学習を含
めた学習習慣の確立が不可欠であることから、家庭と連携した学習環境
づくりへの取組を進めることが大切です。
校種間連携の推進
(幼・小・中)
子どもの成長や発達は連続していることから、就学前の教育の場から
小学校、小学校から中学校へと、発達の段階を踏まえた校種間の円滑な
接続を図り、長期的展望に立った指導を推進することが大切です。その
ためには、保護者、地域、幼稚園、保育所、学校等が一体となった取組、
中でも、就学前教育と小学校教育の連携のあり方について、交流活動や
教職員間の連携など具体的な取組を進めることが求められています。
また、学習方法である「学び方(「聞き方」「話し方」のカリキュラム等)」
の一貫性を持たせることにより、小・中学校間の円滑な接続が図られる
ことを念頭においた連携を推進していくことが必要です。
さらに、中学校では、幼稚園等で幼児とふれあう活動を通して、幼児
への関心を深め、かかわり方を工夫できることが求められていることか
ら、幼稚園と中学校の連携を図ることが必要です。
(2) これからの社会に対応した教育の推進
伝 統や 文化に 関す
国際社会で活躍する日本人の育成を図る上で、我が国や郷土の伝統や
る教育の充実
文化を尊重し、その良さを継承・発展させるための教育を充実すること
が求められています。例えば、国語科での古典、社会科での歴史学習、
音楽科での歌唱・和楽器、技術・家庭科での伝統的な生活文化、美術科
での我が国の美術文化や、保健体育科での武道の指導等が挙げられます。
各教科等で子どもの発達の段階を踏まえた伝統や文化に関する教育の充
実を図り、我が国の伝統や文化への理解を深め、それを尊重する態度を
はぐくむとともに、諸外国の文化や習慣等についての理解を深め、互い
に違いを認め合い、共に生きていく力等を育成していくことが大切です。
小学校における外
国語活動の充実
小学校段階にふさわしい国際理解やコミュニケーションなどの活動を
通じて、言語や文化について体験的に理解を深めさせたり、積極的にコ
ミュニケーションを図ろうとする態度を育成したり、外国語の音声や基
本的な表現に慣れ親しませたりするため、外国語活動の充実に努めるこ
とが大切です。その際、中学校における外国語科との連携を図りながら
進めることが重要です。
今 日的 な課題 への
対応
( 情報 教育・ 環境
教 育・ 法教育 ・消
費者教育等の推進)
急速に進展する社会の情報化や持続可能な社会の構築等、社会の変化
に主体的に対応できる資質や情報を適切に活用できる能力を育成すると
ともに、家庭と連携しながら情報モラルを身に付けるよう指導すること
が大切です。また、充実した自然体験を通して自然を愛する心情をはぐ
19
Ⅲ
小・中学校
くみ、身近な環境保全に寄与する態度を育成する環境教育の推進、さら
には、法教育や消費者教育を推進し、今日的な課題へ適切に対応できる
能力を育成することが求められています。
3
子ども一人ひとりのニーズに応え、共に育ち合う教育の推進
(1) 個性を伸ばす特色ある教育の推進
児童・生徒一人ひ
校長のリーダーシップの下、学校全体や保護者・地域が連携して支援
と りを 支える 体制
していくことが大切であり、担任などが一人で抱え込むことなく、チー
の充実
ムで支援するために教育相談コーディネーターを中心にした次のような
取組の充実が求められます。
① 校内体制の構築・運営
○ 子どもの理解に努め、一人ひとりの教育的ニーズを把握する。
○ ケース会議等を活用して、支援に有効な情報を共有する。
○ ケース会議や校内委員会で検討した支援を具現化する。
○ 家庭と連携しながら個別の支援計画を作成し、関係者が共通理解
を図り、支援をつないでいく。
○ 多様な子どもたちに対応できる授業や学級経営の工夫・改善等、
予防的、かつ積極的な支援を学校全体の取組とする。
○ 子どもや障害理解のための校内研修会を開催する。
② 外部機関との連携
学校だけでは解決できない課題に対しては、外部機関との連携が必
要になります。外部機関としては、地域センター的機能を有する特別
支援学校、児童相談所や医療機関などがあり、教育だけではなく、福
祉、医療、保健、労働等の他機関との連携によって、より良い支援の
アイデアが提案されることもあります。
③ 保護者との協働
子どもを支えていくためには、家庭との連携は不可欠です。丁寧な
教育相談等を通して、日ごろから子どもの様子を話し合うことができ
る信頼関係をつくっておくことが重要です。
(2) 個が生きる多様で柔軟な支援教育の展開
個 別の 教育課 題に
学習障害、注意欠陥/多動性障害、高機能自閉症、アスペルガー症候
対 応す る支援 教育
群、心因性の背景のある不登校、集団への不適応、対人関係の取りにく
の推進
さ等、障害の有無にかかわらず、自らの力で解決することが困難な課題
(教育的ニーズ)を抱えた子ども一人ひとりに適切に対応していくこと
を学校教育の根幹に据えた、支援教育の充実が求められています。特に、
学校・家庭・地域社会などが一体となって取り組むことが大切です。
自らの力では解決することが困難な課題(教育的ニーズ)を抱えてい
る子どもたちは、周囲の適切な働き掛けを必要としています。
このような子どもたちへの教育は、何よりも「本人自身が一番困って
いる」という視点を大切にし、課題設定や教材・教具を工夫した「わか
る授業」づくり、落ち着いて学習できるような学習環境の整備、校種間
の連携による支援の継続等、個別の教育課題に対応する教育を推進する
ことが必要です。
20
Ⅲ
4
小・中学校
協働と信頼に根ざした学校づくりの推進
(1) 信頼される学校づくりの推進
不祥事防止の徹底
すべての教職員は、教育が教職員と児童・生徒、保護者との信頼関係
の上に成り立つものであることを自覚し、一部の教職員の不祥事によっ
て教育への信頼が根底から崩れてしまうことを常に意識する必要があり
ます。
特に、児童・生徒への影響の大きい「わいせつ・セクハラ行為」や「体
罰」の根絶に向けては、重点的に取り組む必要があります。
また、
「個人情報の管理」、
「交通事故・違反の防止」及び「公金や私費
に関する処理」についても引き続き取り組む必要があります。
各学校においては、
「 一人ひとりの心に根付く新たな不祥事防止への取
組みについて<提案>」を参考に、教職員一人ひとりに、職員研修等を
通して、不祥事防止を自らの問題として認識させ、教育に携わる者の重
い責任を十分自覚させるなど、教職員の意識向上を図るとともに、気に
なったことはそのままにせず、注意し合える環境をつくり、職場全体で
不祥事の未然防止に全力を挙げて取り組むことが重要です。
人格的資質・情熱、
指導力(課題解決
力・授業力)の向
上
信頼される学校づくりのために、教職員一人ひとりが豊かな人間性や
社会性、コミュニケーション能力、子どもへの教育的愛情と責任感、教
職に対する使命感と誇り等、教職員としての人格的資質・情熱を持って
行動することが求められています。あわせて、子どもや社会の変化によ
る課題を把握し解決する課題解決力、子どもが自ら取り組むわかりやす
い授業を実践する授業力の向上を図ることが必要です。
県教育委員会では「教職員人材確保・育成基本計画」に基づき、こう
した人格的資質・課題解決力・授業力の向上をめざして、市町村教育委
員会と連携しながら、研修を実施しているところですが、学校現場にお
ける急激な世代交代を踏まえ、特に基本研修については若手の育成を意
識した研修体系としています。
そこで、日ごろから教職員が互いに切磋琢磨し、世代間で教育力を高
め合うとともに、ベテランから若手へ実践的な指導技術を継承しながら、
人格的資質・課題解決力・授業力を高めていけるような組織的な取組の
充実を図ることが大切です。
学校評価の充実
学校を地域に開かれたものとし、地域とともに学校づくりを進めてい
くことが求められています。そのために、学校評価の充実を図り、信頼
される学校づくりを一層進めることが重要です。
学校評価は、教職員による自己評価や、保護者・学校評議員・地域住
民等の代表による学校関係者評価を通して、学校組織を活性化させ、教
育内容の充実した、活力ある学校づくりにつなげていくために大切なも
のです。また、学校運営の充実・改善を図るために、自己評価や学校関
係者評価の結果を家庭や地域に公表し、教育の成果や課題を共有してい
くことも求められています。全教職員が学校のあり方について共通の方
向性と授業改善に向けた目的意識を持ち、学校評価項目を設定し、評価
結果を具体的な改善につなげていくことが必要です。
21
Ⅲ
教 職員 間の共 通理
解 と協 力体制 の確
立
小・中学校
学校が抱える様々な課題を解決していくためには、校長のリーダーシ
ップの下、全教職員が一体となって組織的・機動的に対応することが必要
です。
教職員一人ひとりが、学校運営の趣旨を十分に理解し、常に学校全体
を意識しながら組織を支えていくという意識を持って、職務に取り組む
ことが重要です。
(2) 協働による学校づくりの推進
地域の教育力の活
学校の教育活動に地域の人々等が主体的に参画することを通じて、地
用
域の教育力を学校教育に生かすことが必要です。例えば、学校支援ボラ
ンティアとして地域の人材を教育活動や環境整備に活用することや、公
民館、博物館、図書館などの社会教育施設等と連携することによって、
より充実した教育成果が期待できます。
また、スポーツや文化芸術活動など、地域の魅力に基づく学びにより、
地域ぐるみで子育てや教育にかかわろうという機運の醸成を図ることが
できます。
5
学校防災力の向上
(1) いのちを守る防災教育の推進(再掲)
防災教育の推進
平成 23 年3月に発生した東日本大震災での甚大な被害状況や、東海地
(再掲)
震、神奈川県西部地震や南関東地域直下地震などの発生の切迫性が指摘
されていることを踏まえ、これまで以上に地震、台風や津波等の自然災
害から児童・生徒自らが身を守る防災教育の重要性が増しています。
県教育委員会では、児童・生徒が正しい知識を身に付け、自らの判断
で避難行動を取ることが大切であることから、防災教育研修講座の開催
及び学校における防災教育指導資料や津波防災に関する指導資料、並び
に実際の津波の映像や津波の破壊力の実験映像などを収録したDVD教
材を各学校に配付しました。
各学校においては、学級活動や学校行事はもとより、各教科・領域等
においても防災に関する意識を高めるなど、学校の教育活動全体を通し
た防災教育を推進することが大切です。
さらに、防災訓練などを通して、児童・生徒に防災に関する知識を体
験的に身に付けさせ、災害から身を守り、また、被災した場合でもその
後の生活を乗り切る力や地域を支える力を身に付けさせることが重要で
す。
(2) 防災対策の確立
防災対策の確立
県教育委員会では、
「学校防災活動マニュアルの作成指針」及び「学校
防災活動マニュアル(作成例)」を作成し、市町村教育委員会に示してい
ます。
小・中学校では、これらを参考に、地域性や特性に応じて、あらかじ
め避難場所を明示した独自のマニュアルを作成した上で、マニュアルに
基づいた訓練を繰り返し行い、課題を見いだし、修正するなど、より実
効性のあるマニュアルを作成していくことが必要です。
また、教職員、児童・生徒及び保護者等には避難経路や避難場所等の
周知徹底を図るとともに、地域と連携した防災訓練を実施するなど、地
域や保護者等との連携の強化が必要です。
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平成 26 年度 学校運営の重点課題
発
行
平成 26 年2月 13 日
発行者
神奈川県教育委員会
事務局
教育局総務室
教育委員会教育局総務室企画調整グループ
横浜市中区日本大通 33 〒231-8509
電話(045)210-8030(直通)
FAX(045)210-8920