「日本の 『食』 の変化と わが社の歩み」

営
経
サ ロ ン
造卸を生業としております。
お惣菜は日常の「食卓」における「食」です
が、日本の「食」の変化とともに、弊社の製造
商品も変わって参りました。
在の和惣菜の製造卸が主体の業務内容に至って
への食材加工など、製造商品を変えながら、現
が、その後も、魚の切身加工やホテル、旅館等
厳しい経営状況が長く続くことになりました
ものの、完成から3年以上も稼働せず、非常に
承していくのかが、この会議の活動の一番のポ
日本の伝統的な良き食文化をいかに保護して継
家庭の『食』が今まさに失われつつあります。
育んできた『和食』がいま危機的な状況にあり、
江原絢子さんとお話した際に、
「日本人が長く
議)
」の副会長で東京家政学院大学名誉教授の
イントであり、今回の無形文化遺産登録の目的
です」とおっしゃっていたのが、今でも強く印
物惣菜から、かき揚げやサンマ、イカ、海老、
り、内容は変化しながらも何百年も継承され、
日本の食事の基本型である和食は時代によ
私の子供の頃は、外で食事をするということ
《日本の食の変化》
野菜等の天ぷら商品に変わり、次にコロッケや
今後も継承すべき価値を持っているとして一昨
象に残っております。
トンカツ等のフライ商品、また、独自開発商品
は本当に嬉しい事でした。当時は外食と言えば
た。
普段は食べられない洋食でした。
の家庭は和食が中心でしたから、外での食事は
食:日本人の伝統的な食文化」が登録されまし
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「
『和食』文化の保護・継承国民会議(和食会
「洋食」が多かった様な気がします。その当時
年の 月4日、ユネスコの無形文化遺産に「和
代に入り、東北最初の米飯専用工場を新築した
私が入社した頃、ちょうど日本が米余りの時
りました。
の「スイートポテト天」が多く売れた時期もあ
創業当初の味付けメンマやひじき煮等の煮
おります。
「日本の『食』の変化と
わが社の歩み」
伊 藤 恒 利
年に両親が味付けメンマ等の
《創業から現在まで》
弊社は昭和
株式会社マーマ食品
(花巻市)
代表取締役社長
製造を自宅で始めてから現在まで、お惣菜の製
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岩手経済研究 2015 年2月号
経 営 サ ロ ン
一見すると、お客様が外食から中食へシフト
ています。
ということは、今の家庭では和食が少なくなり、
した様に感じますが、吉野家の安部前社長と話
現在の外食のトレンドが和食になっている
外で和食を食べる時代になってきているのだと
した時には、
「低価格競争の結果、外食企業の
年
必然的に調理済加工食品が多くなってきていま
す。
《今後の取組み》
日本国内の人口の減少、高齢化の進展、世帯
いずれにしましても、間違いなく家庭内の食
なインパクトをもたらします。岩手県はその問
増加が、今後の「食」のライフサイクルに重要
人員の減少と、就業女性の増加、一人暮らしの
事(内食)から外食・中食へと、
「食」に関し
題での日本の最先端地域だと思います。
アメリカ穀物協会による調査では、2040
材料の値上げ、人手不足と、付加価値が小さい
リーが減っていきますし、一方で円安による原
年には日本の食事の外部化率は現在の
%前
また、少子高齢化は人口減少以上に消費カロ
ては外部化にシフトしてきていると思います。
おられました。
売上総額が落ちたのが一番の要因だ」と話して
感じています。
日本の「食」がいつ頃から変わりはじめたの
でしょうか?
日本の食が急激に変わり始めたのは、大阪万
博開催の1970年頃からだと考えます。
外食産業では、1970年のケンタッキーフ
ライドチキン、すかいらーく、 年の日本マク
年のロッテリア、モスバーガー、
ドナルド、ミスタードーナッツ、ロイヤルホス
ト、
労働集約型の食品製造業はこれから益々厳しい
リカは現在の
そんな中でも、東日本大震災の被害から必死
むべきだ」と報告しています。
を使い、毎月の旬のお惣菜にして、多くのお客
様に「和食」の良さをお届け出来ればと考えま
して、2013年 月から「毎日のお惣菜」の
「外食」や家庭で調理する「内食」と区別して
(商品)を自宅で食べる」ことを「中食」と呼び、
お惣菜をはじめ、
「あらかじめ調理されたもの
一方、
1990年頃からだと考えられますが、
しくなり、母と子や、一人での孤食の機会が多
さん一家の様に家族全員で食卓を囲む風景は珍
2013年では半分の2・ 人になり、サザエ
1950年代の家族人数は平均5人でしたが、
家族人数(平均世帯人員)の減少にあります。
弊社ではこれからも健康に良い献立の「食事」
「食」の字は、
「人」に「良い」と書きます。
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51
増えたと言われています。
今の若い人たちは、献立を立てられない人が
頒布会を全国に向けて開始しました。
呼ぶようになりました。中食産業の売上高は、
を提供して、食べる楽しみをお客様の「食卓」
年には4兆3千億円でした
くなりました。主菜や副菜、煮物を料理するに
外食のピークの
にお届けして参りたいと思っております。
家庭内調理(内食)が減る最も大きな理由は、
経営環境になってまいります。
を代表する外食企業が次々に登場し、それまで
ら、アメリカよりもはるかに高く、世界の中で
に立ち上がり、復興にむけて良質な食材や商品
%となる予測ですか
全く存在しなかった様々なメニューが普及して
最も高い食の外部化率になります。同協会日本
を一生懸命作っていらっしゃる方々のお役に少
その後、外食産業は成長産業となり、
いきました。
事務所の浜本代表は、
「今後日本へは穀物原料
しでも立てればと思い、岩手の素晴らしい食材
年には
年
ではなく、すぐに食べられる加工食品を売り込
に は8 兆6 千 億 円 だ っ た 売 上 高 が
兆円と
兆1千億円と3倍以上となりましたが、これ
をピークに直近の20 13 年には
58
は量的にも時間的にも少なすぎて難しくなり、
6兆円程減っています。
%から
後から %になるとの予測をしています。アメ
38
71
のデニーズ、サイゼリア、シェーキーズ等、今
73
75
52
75
72
が、2013年には8兆7千億円と2倍になっ
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