Tokyo 051号 Metropolitan University Liaison News 産学公連携ニュース 発行日 2015年3月4日 産学公連携ニュースとは? 「知っておくと役に立つ!」そんな情報をお届けします! お世話になっております。 研究成果の取扱いについて② ~研究成果の帰属と取扱い~ URA室の阿部です。 前回に引き続いて、大学における 研究成果の取扱いについてご説明 します。 (執筆者) URA室 リサーチ・アドミニストレーター(URA) 阿部 紀里子 今回は、大学における研究成果の取扱いの具体的な話として、実験ノート等の保管、学生が関与した研究成 果、企業との共同研究等の成果、授業の課題として学生が取組んだ成果の取扱いについてご説明します。 ●実験ノート等の保管 実験ノートの重要性については、前回ご説明した通りです。研究成果への疑義に対する反証資料として、特 許取得の証拠書類としての役割もあるため、学位論文や学会発表後も研究室で適切に保管しておく必要があ ります。まれに、実験ノートを自分の所有物と主張して、卒業時に持ち帰ろうとするケースがあります。そ のため、研究室に学生が配属された際に、実験ノートを含む研究成果は、すべて研究室に帰属し、卒業後は 研究室で保管することを説明しておく必要があります。 また、測定・分析データや写真等をパソコンに保存するため、学生の卒業後に研究データ等が見つからない という話を時々耳にします。実験ノートに、研究データ等のファイル名と保管場所を明記するなど、研究 データ等の消失や混同・取り違えに対する対策や工夫が必要不可欠です。 ●学生等が関与した研究成果 教職員等の、大学と雇用関係のある人は「知的財産取扱規則」において、職務上の発明は大学に帰属する 旨が規定されていますが、学生の卒業研究については通常適用されません。そのため、学生は関与した研究 成果について、発明者としてその持分を大学に権利を譲渡するか、自ら権利を取得する道を選択することが できます。 しかし、学生の携わる研究テーマが、企業との共同・受託研究契約に基づくもの、大学が省庁等から委託 されている研究プロジェクト事業に関連するもので、指導教員の指導のもとで行う場合は、事前に学生に同 意を得る(大学と学生との間で契約を締結する)ことにより、研究成果を予め大学に帰属させることが可能 です。学生の参加する研究成果の取扱いについて心配ごとがございましたら、産学公連携センターまたは、 URA室にご相談下さい。 ●企業との共同研究や外部機関から受託した研究プロジェクトの成果 企業との共同研究や各省庁から受託した研究プロジェクトの成果については、いつも以上に気を遣っていた だく必要があります。外部機関が関与する場合、他機関との間に契約が存在しており、その中で研究成果の取 扱い(成果の公表、知的財産、秘密保持等)について、それぞれ個別に規定されています。いつも通りと考え て、学会発表の準備などを進めると契約違反になってしまう恐れがあります。 また、研究に関与する学生に対しては、研究内容&成果の機密保持の徹底を指導する必要があります。企業 との共同研究は、共同研究を実施していること自体が秘密であるケースも多くあります。友人や家族に企業と の共同研究のことを話したり、SNS上に投稿したりすると重大な契約違反になってしまうことがあります。 ●授業の課題として学生が取組んだ成果 授業の課題として学生が取組んだ成果(課題レポートやグループワーク成果物等として担当教員に提出され たもの)は、教員が所有していたとしても、その著作権は課題を作成した学生に帰属しています。そのため、 授業の担当教員であっても勝手に学生の課題レポート等を利用することはできません。オープンキャンパスや 研究発表、翌年度の学生への説明資料としての配布、Web掲載など、第三者への開示を予定している場合に は、事前に学生に課題レポート等の利用について同意を得ておく必要があります。 同意書の様式については、産学公連携センターにご相談いただければ作成のお手伝いをいたします。
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