議案第47号 野口研究所の現状存置等を求める意見書 上記の議案を

議案第47号
野口研究所の現状存置等を求める意見書
上記の議案を提出する。
平成27年3月2日
提出者
板橋区議会議員
松
崎
い
た
る
杉
田
ひ
ろ
し
茂
野
善
之
中 野 く に ひ こ
佐 藤 と し の ぶ
松 岡 し げ ゆ き
高
橋
正
憲
野口研究所の現状存置等を求める意見書
野口研究所は、明治6年に旧加賀金沢藩士の息子として生まれ、のちに日本窒
素肥料株式会社をはじめとする化学工業の一大コンツェルン(日窒コンツェルン)
を築き上げた野口遵が、昭和16年に私財を供出して創設した研究所である。同
研究所は、旧板橋火薬製造所(現在の板橋区加賀一丁目付近)内に立地している。
同製造所は、明治4年7月に兵部省が火薬製造所を板橋にあった金沢県邸(旧加
賀藩江戸下屋敷平尾邸)の一部に求めたことに始まり、明治9年8月に発足した。
同製造所内には、現在は同研究所の建屋となっている旧陸軍火薬研究所(明治3
4年設置)をはじめ、戦前戦中期の射撃場・爆薬製造施設・保管庫・土塁・防爆
壁等が集中する貴重な景観区域がほぼ残存している。
これらの軍事関係施設は、国営工場の黎明期に設立され、また、都心部で戦中
期以前の施設が良好な状態で残る点において、近代化産業遺産群、歴史文化財、
平和遺産として価値が極めて高い。板橋区ではこれらの軍事関係施設を「工都」
板橋区の先駆けとして位置付けており、産業都市板橋の原点とみている。
さらに、同地は、歴史や人物を通した縁で板橋区と金沢市とが友好都市協定を
締結した交流の原点でもある。
しかしながら、現在、同研究所において新たなインテリジェンス研究棟建設が
計画されており、都内でも稀有な産業遺産群の保全が極めて困難な状況となりつ
つある。同計画の実施は同研究所の歴史的価値を消失させるだけでなく、板橋区
と金沢市の友好の礎さえも揺るがしかねない事態を招くこととなる。
よって、板橋区議会は、政府に対し、下記の事項について適切な措置を講じる
よう強く要望する。
記
1 同研究所内にある建造物群の歴史的文化的価値を認識し、歴史的価値のある
建造物及び敷地の現状保存に努めること。
2 同研究所内の建造物群を、板橋区から始まった我が国の産業・歴史遺産の一
つとして後世に正しく継承し、活用を図ること。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
平成27年3月2日
東京都板橋区議会議長名
財務大臣
宛