アントラセン、ベンゾ

平成 25 年度 家庭用品規制基準調査
ジベンゾ[a,h]アントラセン、ベンゾ[a]アントラセン及びベンゾ[a]ピレンに関する基準の改
正に向けた予備検討
国立医薬品食品衛生研究所生活衛生化学部 河上強志、伊佐間和郎、五十嵐良明
-------------------------------------------------------------------------------概要
「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」(家庭用品規制法)における、クレ
オソート油を含有する家庭用の木材防腐剤及び木材防虫剤並びにクレオソート油及びその
混合物で処理された家庭用の防腐木材及び防虫木材中のジベンゾ[a,h]アントラセン、ベン
ゾ[a]アントラセン及びベンゾ[a]ピレンについて、GC/MS 分析時にマスクロマトグラム上
にそれらに保持時間が近接する多環芳香族炭化水素化合物(PAHs)が存在し、測定を妨害
することが指摘されている。そこで、規制対象の 3 種類の PAHs とそれらへの妨害が予想
される PAHs について、4 種類の GC カラムを用い、カラムオーブン昇温条件を変化させて
その分離状態を観察した。その結果、公定法で指定されている微極性カラムでは、ベンゾ[a]
アントラセンに対してトリフェニレン及びクリセンが、ジベンゾ[a,h]アントラセンに対し
てインデノ[1,2,3-c,d]ピレンがそれぞれ妨害する可能性が認められたが、カラムオーブンの
昇温条件を緩やかにする事により、それらの PAHs は十分に分離した。また、中極性カラ
ム及び PAH 専用カラムを用いると、公定法と同じカラムオーブン昇温条件でもベンゾ[a]
アントラセンとトリフェニレン及びクリセンは十分に分離した。一方、ジベンゾ[a,h]アン
トラセンとインデノ[1,2,3-c,d]ピレンについては、中極性カラムはカラムオーブン昇温条件
を緩やかにすることにより分離が可能であったが、PAH 専用カラムでは十分な分離は得ら
れなかった。