稚内空港就航率改善事業 (PDF853KB)

資料3-2(1)
わっかないくうこう
稚内空港
就航率改善事業
事後評価結果準備書説明資料
平成 26 年度
北海道開発局
東京航空局
目
次
1.事業の概要 ……………………………………………
1
(1)事業の目的 ………………………………………
1
(2)事業の概要 ………………………………………
4
2.投資額及び整備期間 ………………………………… 9
(1)投資額(事業費) ……………………………… 9
(2)整備期間 ………………………………………… 9
(3)就航機材 ………………………………………… 9
(4)旅客数 ……………………………………………10
(5)欠航便の救済状況 ……………………………… 11
3.事業の必要性等 ……………………………………… 13
(1)本整備事業による効果 ………………………… 13
(2)費用対効果の算定結果 ……………………… 16
(3)事業実施による環境の変化 ………………… 17
(4)社会経済情勢の変化 ………………………… 17
4.今後の事後評価の必要性等 ………………………… 18
(1)今後の事後評価及び改善措置の必要性 ……… 18
(2)同種事業の計画・調査のあり方や
事業評価手法の見直しの必要性 ……………… 18
1.事業の概要
(1)事業の目的
○空港の概要
稚内空港は日本最北のジェット化空港として、稚内市の中
心部から約 12 ㎞の海岸線に位置しています。
昭和 35 年に北海道最初の第 2 種空港(現国管理空港)と
して開港以来、最北の地と道都札幌を結ぶ路線として宗谷地
域にとって重要な役割を果たしています。また、航空需要の
増加により昭和 62 年には待望の東京路線が開設され、首都
圏からの観光客の増加や新鮮な海産物等の輸送など地域経済
の発展に貢献しています。
〈平成25年9月撮影〉
冬季に着陸する東京就航便
-稚内空港 1-
■
主な航空路線
運航会社
使用機材
一日の
運航回数
東京
~稚内
全日本空輸(株)
B767
B737
A320等
1~2往復
千歳
~稚内
全日本空輸(株)
DHC8等
2往復
名古屋
~稚内
(株)フジドリーム
エアラインズ
ERJ-170
ERJ-175
チャーター
運航
路線
備考
6月~9月:2往復
通年:2往復
平成25年度実績
19往復
■ 利用客の推移
300
250
航空旅客数(千人)
252
235
200
総旅客数
滑走路2,200m
供用開始(H21.11)
232
東京路線旅客数
220
194
150
145
100
133
137
174
170
169
175
92
94
98
101
H21
H22
H23
H24
132
107
179
118
50
0
(年度)
H16
H17
H18
H19
H20
H25
※航空輸送統計年報より整理
■ 東京路線就航機種
B767-300(提供座席数270席)
B737-800(提供座席数167席)
A320-200(提供座席数166席)
-稚内空港 2-
○事業の目的
事業名 稚内空港就航率改善事業
目
的 厳しい気象条件に対する安定運航の確保を図る
最大風速(稚内空港)
最大風速(新千歳空港)
最大風速(釧路空港)
最大風速(函館空港)
平均風速(稚内空港)
平均風速(新千歳空港)
平均風速(釧路空港)
平均風速(函館空港)
8.0
40
7.0
35
6.0
30
5.0
25
4.0
20
3.0
15
2.0
10
1.0
5
0.0
最大風速(m/s)
平均風速(m/s)
稚内空港では、冬季の厳しい気象条件の影響により定期便
の就航率が低下していることから、利用者は非常に時間のか
かる他の交通機関を利用せざるを得ない場合がある状況とな
っていました。
このような気象条件に対応し、より安定した運航を可能と
することを目的として、滑走路の 200m延伸整備等を行う就
航率改善事業に取り組みました。
0
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
3月
気象庁 HP より整理
稚内空港と他の道内空港との平均風速・最大風速の比較(H21~H25 平均)
100
100
100
98
99
通年就航率(%)
冬季(12~3月)就航率(%)
99
通年就航率(%)
97
96
稚内空港
95
新千歳空港
98 90
釧路空港
97 85
函館空港
96
95
95
94
80
94 75
93
93
92
70
92
91 65
91
90 60
90
平成16年度
平成17年度
平成16年度
平成16年度
平成17年度
平成17年度
稚内空港と他の道内空港との就航率の比較
-
稚内空港 3-
※北海道開発局調べ
(国内線全定期便)
(2)事業の概要
本事業の概要は以下のとおりです。
・滑走路 2000mから 2200mへの延伸整備等
概要図
滑走路200m延伸部分
○総事業費
23億円
○整備期間
平成19年度~平成21年度
-
稚内空港 4-
○着陸時の主な欠航要因
【 追風制限 】
・航空機は風上に向かって着陸することが基本となります。
・非精密進入(副進入)で着陸する場合、雲高・視程の制限(最
低気象条件)が精密進入(主進入)より厳しく設定されます。
着陸制限値以内の追風であれば、主進入からの着陸が可能とな
っています。
※ 着陸時の航空機は飛行速度を
落としており、風の影響を受
けやすい状態にあります。
⇒稚内空港では、一年を通じて精密進入を使用した主進入による着陸が基本となりますが、冬季は
北西の風が多く、主進入の際、追風成分が強くなるため、追風制限値を満足せずに主進入による
着陸ができなくなる場合があります。
吹雪等の視程障害があると、副進入時の雲高・視程制限を満足せずに欠航となる場合があります。
【 着陸重量制限 】
【 横風制限 】
・強い横風下で着陸すると、航空機の
向きを滑走路に合わせることが難し
く、バランスを崩す等により事故に
繋がる恐れがあるため、機材毎に制
限値が設定されています。
・航空機の着陸重量が過大になると、着陸時に滑走路
内で制動することが困難となるため、追風に対して
着陸重量制限値が設定されています。
・制限値が緩和されると燃料搭載量を増やすことがで
き、上空待機時間の延長が可能となります。
⇒稚内空港では、冬季に北西の風を受けて横風
成分が強くなることが多く、横風制限値を満
足せずに欠航となる場合があります。
⇒稚内空港では、追風や降雪による路面状況の悪化に
伴って、着陸重量制限が厳しくなり、出発時に予定
していた着陸重量が制限値を満足しない場合があり
ます。
海岸側から北西の風(主に冬季に発生)
横風成分
追風成分
主進入
副進入
( 精密進入)
( 非精密進入)
26側
08側
強い降雪、地吹雪による路面状況の悪化
稚内空港における主進入・副進入方向
-
稚内空港 5-
北西から風速15kt以上
の発生頻度が高い
330
340 8%
350
0
10
320
20
310
【 凡例 】
30
6%
300
滑走路方位
40
290
風速
50
4%
280
60
40kt
2%
270
30kt
25kt
20kt
260
70
80
0%
250
90
240
100
230
15kt
110
220
120
210
130
200
140
190
180
170
160
150
稚内空港における冬季の風向風速発生頻度(平成 18~平成 21 年度平均)
-
稚内空港 6-
○滑走路延伸による追風・横風制限値の緩和効果
滑走路を 2000mから 2200mに延伸することによって、以下
の機種で追風、横風に対して設定されている制限値が緩和さ
れます。
これによって、着陸できる機会が増え、欠航が回避(救済)
されます。
滑走路延伸により追風制限値が緩和される機種
A320-200
機 種
B767-300
機 種
滑走路延長
2,000m
2,200m
滑走路延長
2,000m
2,200m
追風制限値
10kt
15kt
追風制限値
10kt
15kt
※B737は滑走路延長1,800mを境に追風制限が緩和されるため、本事業で追風制限値は変化しません。
※エアライン提供資料より整理
滑走路延伸により横風制限値が緩和される機種(冬季のみ)
機 種
B737-800
横風制限値
滑走路 路面コンディション
滑走路2,000m
滑走路2,200m
20kt
20kt
MEDIUM TO GOOD
15kt
20kt
MEDIUM
15kt
20kt
MEDIUM TO POOR
10kt
15kt
POOR
10kt
10kt
GOOD
良
VERY POOR
離着陸禁止
悪
※A320は滑走路延長2,300m、B767は滑走路延長2,500mを境に横風
制限値が緩和されるため、本事業で横風制限値は変化しません。
※エアライン提供資料より整理
各路面コンディションと路面摩擦係数(冬季のみ)
路面コンディション
記号
路面摩擦係数
G
0.40以上
MEDIUM TO GOOD
MG
0.36~0.39
MEDIUM
MG
0.30~0.35
MEDIUM TO POOR
MP
0.26~0.29
POOR
P
0.20~0.25
VERY POOR
VP
0.19以下
GOOD
雪氷路面
-
稚内空港 7-
○滑走路延伸による着陸重量制限の緩和効果
滑走路を 2000mから 2200mに延伸することによって、以下
の追風・路面コンディションの条件に対して着陸重量制限が
緩和され、着陸機会が増加します。
滑走路延伸による着陸重量制限の緩和(全機種)
路面コンディション
GOOD
MEDIUM TO GOOD
MEDIUM
MEDIUM TO POOR
POOR
着陸重量(ポンド)
追風
滑走路長2,000m
滑走路長2,200m
0kt
144,400
158,200
0~5kt
132,400
145,500
5~10kt
120,400
132,900
0kt
139,200
153,300
0~5kt
127,700
141,100
5~10kt
116,200
128,900
0kt
133,900
148,100
0~5kt
121,900
135,800
5~10kt
109,900
123,400
0kt
128,300
142,600
0~5kt
116,300
130,600
5~10kt
104,300
118,600
0kt
121,800
134,400
0~5kt
109,300
122,200
5~10kt
96,800
110,100
※ エアライン提供資料より整理
-
稚内空港 8-
2.投資額及び整備期間等
(1)投資額(事業費)
実績(A)
当初計画(B)
差分(A)-(B)
(単位:百万円)
(単位:百万円)
(単位:百万円)
土木
1,729
1,907
-178
照明
353
237
116
機器更新の見直し等による
無線
178
98
80
機器更新の見直し等による
合計
2,260
2,242
18
項目
事業費
差分が発生した理由
地盤改良の減による
(2)整備期間
事業名
稚内空港就航率改善事業
実績
新規採択時の予定
平成 19 年度~21 年度
平成 19 年度~21 年度
(3)就航機材
東京路線の就航機種は、新規採択時では B767 と A320 が主
要でしたが、平成 21 年度から平成 25 年度では B767 と B737
が主要となっています。B737 に対する横風制限の緩和効果が
発現されやすくなりました。
-
稚内空港 9-
(4)旅客数
新規採択時では、平成 17 年度の旅客数、平成 16~平成 17
年度の計画就航便数が以後継続するものとして欠航便の救済
による便益を評価しています。
事後評価では、事業を供用開始した平成 21 年度からの実績
値と東京国際空港の需要予測結果に基づいて、旅客数を推計
し、評価しました。
東京-稚内路線の旅客数の実績値
項目(単位)
搭乗旅客数
(人)
実績値
平成 21 年度
92,247
平成 22 年度
94,077
平成 23 年度
97,548
平成 24 年度
100,518
平成 25 年度
118,252
新規採択時
133,475
(平成 17 年度実績)
※ 航空輸送統計年報より整理
航空旅客実績と将来需要推計
-
稚内空港 10-
(5)欠航便の救済状況(東京路線)
本事業による制限値の緩和によって、供用開始から平成 25
年度末までで、欠航を回避して救済されています。
欠航便の救済によって、事業未実施(Without)の場合と比
較して東京路線の就航率が平均 2.26%向上しています。
就航率の推移(通年)
H16
項目
計画就航便数
気象原因
実績 (事業前の場合)
欠航
便数 他空港原因
合計
H17
H18
H19
H20
H21
H24
H25
487
487
488
487
487
487
488
487
487
21
32
16
13
19
20
(25)
12
(23)
18
(27)
27
(39)
15
(25)
0
0
0
0
1
2
0
0
1
3
21
32
16
13
20
22
12
18
28
18
4
4
7
5
6
0
7
1
0
2
1
0
1
7
2
5
11
9
12
10
救済 追風制限の緩和
便数 着陸重量制限の緩和
滑走路200m延伸→
合計
就航率(通年・東京路線)
(%)
100.0
97.5
98.0
95.5
96.0
92.0
H23
487
横風制限の緩和
94.0
H22
96.7
95.7
96.3
96.3
94.3
97.3
95.9
94.5
93.4
95.3
平均2.26%向上
90.0
94.5
94.3
91.8
88.0
86.0
滑走路200m延伸
(H21.11.19)
84.0
With(実績)
82.0
Without
80.0
H16年度 H17年度 H18年度 H19年度 H20年度 H21年度 H22年度 H23年度 H24年度 H25年度
-
稚内空港 11-
救済便一覧表(平成 21 年度~平成 25 年度)
運航状況
年月日
航空機
型式
気象条件
着陸重量 横風
(ポンド) (kt)
Without
追風
(kt)
路面
CND.
With
救済要因
項目
制限値
判定
制限値
判定
H21
12/7
B737-800 123,300
16.7
0.0
MG
横風(kt)
15
×
20
○
年度
1/7
B737-800 120,600
15.0
0.0
MG
横風(kt)
15
×
20
○
1/8
B737-800
16.0
0.3
MG
横風(kt)
15
×
20
○
2/14
B737-800 115,000
2.5
3.1
P
着陸重量(ポンド)
109,300
×
122,200
○
MG
-
3/8
B737-800 117,300
16.0
5.8
横風(kt)
15
×
20
○
H22
7/18
A320-200
-
4.1
11.3
追風(kt)
10
×
15
○
年度
7/22
B767-300
-
12.4
10.1
追風(kt)
10
×
15
○
7/27
B767-300
-
12.0
12.0
追風(kt)
10
×
15
○
11/28 A320-200
-
17.1
0.0
MG
横風(kt)
15
×
20
○
6.1
12.6
P
追風(kt)
10
×
15
○
12/15 A320-200 116,400
H23
年度
1/3
A320-200 111,365
4.0
12.4
G
追風(kt)
10
×
15
○
1/9
A320-200 120,700
12.7
14.1
MG
追風(kt)
10
×
15
○
1/10
A320-200 119,600
12.7
12.7
MG
追風(kt)
10
×
15
○
1/17
A320-200 117,500
18.3
5.3
MG
横風(kt)
15
×
20
○
1/20
A320-200
16.3
7.6
MG
横風(kt)
15
×
20
○
3/4
B737-800 135,000
15.4
7.2
MG
横風(kt)
15
×
20
○
7/5
B767-300
追風(kt)
10
×
15
○
MG
横風(kt)
15
×
20
○
-
11/25 B737-800 121,000
12/28 B737-800
-
12/30 B737-800 123,664
14.1
12.7
16.6
14.4
16.2
11.8
MG
横風(kt)
15
×
20
○
14.9
0.0
MP
横風(kt)
10
×
15
○
1/2
B737-800 108,300
17.9
0.0
MG
横風(kt)
15
×
20
○
1/9
B737-800 114,400
18.9
11.3
MG
横風(kt)
15
×
20
○
1/28
B737-800 119,000
17.6
14.8
MG
横風(kt)
15
×
20
○
2/16
B737-800 127,900
16.7
3.3
MG
横風(kt)
15
×
20
○
3/7
B737-800 123,000
8.0
0.0
P
着陸重量(ポンド)
121,800
×
134,400
○
H24
12/8
B737-800 123,400
0.7
0.0
P
着陸重量(ポンド)
121,800
×
134,400
○
年度
12/17 B737-800 131,000
5.1
0.0
P
着陸重量(ポンド)
121,800
×
134,400
○
12/18 B737-800 119,300
11.3
0.0
MP
横風(kt)
10
×
15
○
12/23 B737-800 126,100
9.0
10.7
MG
着陸重量(ポンド)
116,200
×
128,900
○
12/28 B737-800 140,800
8.6
0.0
M
着陸重量(ポンド)
133,900
×
148,100
○
1/11
B737-800 124,800
3.3
0.0
P
着陸重量(ポンド)
121,800
×
134,400
○
1/13
B737-800
16.1
13.5
MG
横風(kt)
15
×
20
○
2/23
B737-800 142,200
11.6
0.0
MG
着陸重量(ポンド)
139,200
×
153,300
○
-
2/25
B737-800 127,800
10.3
3.8
MP
横風(kt)
10
×
15
○
3/9
B737-800 134,695
18.2
10.5
MG
横風(kt)
15
×
20
○
3/10
B737-800 137,175
12.2
0.0
MP
横風(kt)
10
×
15
○
3/22
B737-800 136,700
14.8
2.6
G
着陸重量(ポンド)
132,400
×
145,500
○
H25
6/16
B767-300
-
2.4
13.8
追風(kt)
10
×
15
○
年度
7/9
B767-300
-
13.0
10.9
追風(kt)
10
×
15
○
12/22 B737-800
-
17.7
3.1
MG
横風(kt)
15
×
20
○
12/28 B737-800
-
19.1
11.0
MG
横風(kt)
15
×
20
○
12/30 B737-800 142,600
3.5
0.0
MG
着陸重量(ポンド)
139,200
×
153,300
○
1/29
B737-800
-
15.3
12.9
MG
横風(kt)
15
×
20
○
1/31
B737-800
-
18.7
3.3
MG
横風(kt)
15
×
20
○
2/19
A320-200
-
20.0
0.0
MG
横風(kt)
15
×
20
○
2/21
B737-800 141,321
8.2
4.8
G
着陸重量(ポンド)
132,400
×
145,500
○
3/14
B737-800 122,400
16.9
0.0
MG
横風(kt)
15
×
20
○
:Withoutケースでは欠航要因となる運航状況・気象条件
※:表中、" - "は数値が不明、( )は単位を示す。
-
稚内空港 12-
備考
3.事業の必要性等
(1)本整備事業による効果
本事業による追風制限の緩和、横風制限の緩和、着陸重量
制限の緩和により、利用旅客・航空会社を対象に損失が回避
されました。
整 備 効 果
○ 欠航便が救済による便益
○ 旅客のキャンセル損失の回避
○ 航空貨物の輸送機会損失の回避
○ 観光事業の通年化
(下線は定量的効果)
-
稚内空港 13-
欠航便の救済による便益
1)稚内到着便のダイバート(他空港への代替着陸)のうち過去 5 年間で
平均 8.7 便が救済されています。
→年間約 950 人の旅客の出発便欠航による時間や費用の損失が回避されています。
(出発欠航が発生した場合の 1 人当りの損失時間≒平均 8.3 時間※)
→就航している航空会社で、回航費用等の損失が回避されています。
※ 旭川空港と新千歳空港へのダイバートによる損失を発生確率により重み平均したもの
です。ダイバート先は、旭川空港が約 53%、新千歳空港が約 47%となっています(平成
21~25 年度実績より)。
2)稚内到着便の欠航のうち過去 5 年間で平均 2.3 便が救済されています。
→年間約 260 人の旅客の欠航による時間や費用の損失が回避されています。
(到着便欠航が発生した場合の 1 人当りの損失時間≒18.0 時間)
→就航している航空会社で、欠航損失が回避されています。
3)到着欠航に伴う出発便の機材繰り欠航便のうち過去 5 年間で
平均 11.0 便が救済されています。
→年間約 1,100 人の旅客の出発便欠航による時間や費用の損失が回避されています。
(出発欠航が発生した場合の 1 人当りの損失時間≒平均 17.7 時間※)
→就航している航空会社で、欠航損失が回避されています。
※ 当日に新千歳空港から羽田空港に移動する場合と翌日に移動する場合を行動パターン
(平成 17 年度調査より、当日移動:18.5%、翌日移動:81.5%)により重み平均したも
のです。
欠航便の救済による便益の計上項目
1) 到着予定便のダイバート回避による便益
② 航空会社回航費用等回避
① 到着旅客の移動費用及び移動時間節約
2) 到着予定便の欠航回避による便益
② 航空会社欠航損失の回避
3) 出発予定便の機材繰り欠航回避による便益
-
① 到着旅客の移動費用及び移動時間節約
① 出発旅客の移動費用及び移動時間節約
② 航空会社欠航損失の回避
稚内空港 14-
旅客のキャンセル損失の回避
欠航便の救済により、観光業界やその関連業界に対して、
旅客のキャンセルに伴う以下の損失が回避されています。
 旅客の予定宿泊先や飲食店での仕入れ損失・空室損失の回避
 土産品(生鮮品)の仕入れ損失の回避
 欠航に伴う旅客の搭乗便振替等の窓口業務(残業)の回避
 欠航に伴うレンタカー、バス、タクシー等の利用者減少の回避
航空貨物の輸送機会損失の回避
欠航便の救済により、首都圏への生鮮品等の輸送機会の損
失が回避されています。
夏季はウニ、ホタテ、するめいか等、冬季はたらこ等の海
産物が稚内で漁獲され、航空貨物として首都圏へ出荷されて
います。
観光事業の通年化
冬季の欠航便が救済されたことによって、稚内市の冬季観
光事業について、以下の変化がみられます。
 冬季観光ツアーにおける稚内空港の利用
 稚内市内の冬季観光イベントの入込客数の増加
12,000
滑走路 2,000m
10,000
8,000
6,000
割引クーポンの一例
4,000
※稚内観光協会 HP より
2,000
0
H20
H21
H22
H23
H24
H25
※稚内観光協会提供資料より整理
稚内冬季観光振興事業の利用者の推移
120
観光イベントの入込客数(千人)
利用者(人)
供用開始(H21.11)
最北端・食マルシェ
滑走路2,200m
供用開始(H21.11)
100
稚内みなと南極まつり
宗谷ふれあい公園スノーランド
犬ぞり稚内大会
80
南極ハイランド
60
初日の出inてっぺん
夏季イベント
40
20
冬季イベント
0
H18
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
稚内市内の観光イベントの入込客数の推移
- 稚内空港 15-
※稚内市提供資料より整理
(2)費用対効果の算定結果
○全体事業
●条件
基準年
供用期間
平成26年度
50年
●総費用(単純合計) (億円)
項目
●総便益(単純合計)
事業費
(億円)
便益内容
便益額
建 土木
17.3
到着便のダイバート回避による便益
設 照明
3.5
到着便の欠航回避による便益
7.6
費 無線
1.8
出発便の欠航回避による便益
37.2
残存価値
改良再投資費
合計
3.2
25.8
24.1
4.6
維持管理費
-6.9
合計
66.6
※ 端数処理のため、各項目の金額の和は、必ずしも合計とはならない。
●総費用(現在価値化後) (億円)
総費用(C)
29.9
●総便益(現在価値化後)
(億円)
総便益(B)
35.0
●算定結果
費用便益比
(CBR)
便益の現在価値(B)
B/C=
35.0
=
費用の現在価値(C)
-
稚内空港 16-
=
29.9
1.2
(3)事業実施による環境の変化
特にありません。
(4)社会経済情勢の変化
新規事業採択時は東京便で年間 133 千人の利用客が継
続する需要予測でしたが、現状(平成 25 年度)では 118
千人となっています。これは平成 20 年のリーマンショック
によって全国的に航空需要が大幅に減少したことが要因と
考えられますが、平成 21 年以降は回復に転じています。
今後の羽田路線の国内需要予測では微減傾向と推計され
ています。
-
稚内空港 17-
4.今後の事業評価の必要性等
(1)今後の事後評価及び改善措置の必要性
本事業の実施により、欠航便の救済効果が発現されてい
ることを確認しており、環境等への重大な影響も見られな
いことから、今後も継続的に効果が発現されることから、
今後の事後評価の必要はありません。
なお、今後も利用状況の把握に努めてまいります。
(2)同種事業の計画・調査のあり方や事業評価手法の
見直しの必要性
見直しの必要性はありません。
-
稚内空港 18-
参考資料
○新規評価時との比較
新規評価
(H18)
今回評価
(H26事後評価)
総費用
23億円
30億円
総便益
47億円
35億円
B/C
2.0
1.2
※総費用、総便益については、社会的割引率を考慮(現在価値化)して算出している
-
稚内空港 19-