東京大学前期【地学】解答例 第1問 問I ⑴ 求める波長をλとすると,40000×λ=3000×1 よって λ=7.5×10−2〔μm〕 ⑵ 可視光線の波長域では,O6 型主系列星は波長の短い青い可視光線を強く放射し,M6 型主系列星は波長の長い赤い可視光線を強く放射するため。 ⑶ 低温の黒点では,その周囲の同じ面積の太陽表面よりも放射エネルギーが弱いため。 ⑷ 可視光線の波長域では見えないが,太陽を覆うコロナの温度は太陽の表面温度よりも 高い数百万度であり,コロナから強いX線が放射されているため。 問Ⅱ ⑴ 質量 10Mの主系列星の光度は,104Lである。質量が 30MのO6 型主系列星の光度 は,質量が 10Mの主系列星の 30 2 〔倍〕であるので, 10 2 30 2 ×104 L=9.0×104 L 10 2 ⑵ O6 型主系列星の半径を太陽の半径の r 倍とすると, 4 ! 40000 $ 3.0 ×10 2 × 6000 2 9.0×104=r2× # =6.75≒6.8〔倍〕 & よって r= 40000 2 " 6000 % よって,O6 型主系列星の半径は 6.8 R ⑶ 半径が質量の n 乗に比例するので, 6.75=30n より log106.75=n log1030 となるので, n= = 33 2 2 = 3log10 3− 2log10 2 = 3× 0.48 − 2 × 0.30 log10 3+1 0.48 +1 3×10 log10 log10 ( ) 0.84 =5.67×10−1≒5.7×10−1 1.48 ⑷ O6 型主系列星の寿命は,質量が 10Mの主系列星の 2000×104× 30 10 2 〔倍〕であるので, × 10 30 2 30 10 2 =6.66×106≒6.7×106〔年〕 × 10 30 2 問Ⅲ ⑴ 太陽程度の質量のG2 型主系列星が主系列星としての寿命を終えようとしているので, 球状星団が星形成を行ってから現在までの期間の長さは太陽の寿命の 1 倍である。 ⑵ 球状星団までの距離を d パーセクとすると, 5=17+5−5 log10d log10d=3.4 よって d=103.4=100.4×103=2.5×103〔パーセク〕 第2問 問I ⑴ A 蒸発量 B 降水量 北緯 5°付近の極大域 熱帯収束帯 ⑵ 大気の循環 ハドレー循環 緯度 20°~30°付近で水蒸気を供給された大気は,貿易風によって地表付近を赤道 方向へと運ばれ,上昇して降水をもたらし,乾燥して上空を緯度 20°~30°付近へと 戻される。 ⑶ 赤道付近の風には転向力がほとんどはたらかないため。 ⑷ 600 hPa と 400 hPa の間の 1 m2 あたりの大気の質量は, (600 − 400) ×100 =2.04×10 9.8 3 kg よって,1 日あたりの気温上昇は, 7 × 2.5×10 6 =8.5≒9〔℃〕 1.0 ×10 3 × 2.04 ×10 3 問Ⅱ ⑴ 混合層 海上を吹く風や波によって海面付近の海水が混合されたり,冬季に海面が冷却される ときに海面付近の海水が対流したりするため。 ⑵ 1 秒あたりの密度増加は 1.0 ×10 3 ×0.25=6.25×10−2≒6.3×10−2〔kg/m3〕 1× 4.0 ×10 3 ⑶ ⊿M= 1.0 ×10 3 =4.0×10−4〔kg〕 6 2.5×10 ⊿S=35× 4.0 ×10 −4 =1.4×10−4〔‰〕 1 よって,1 秒あたりの密度増加は, 1.4×10−2×0.75=1.05×10−2≒1.1×10−2〔kg/m3〕 ⑷ 熱塩循環 北大西洋北部での海水の沈み込みによって,低緯度からの暖流が高緯度まで流れ,ヨ ーロッパに温暖な気候をもたらす。 ⑸ 地中海では降水量も河川からの水の流入も少なく,蒸発によって高塩分化する。 南極大陸の周囲では結氷から取り残された塩類が海水に残留して高塩分化する。 第3問 問I ⑴ トランスフォーム断層 ⑵ ⒜ ⒝ ࣉ࣮ࣞࢺ㹀 㹒 㹒 ࣉ࣮ࣞࢺ㸿 ࣉ࣮ࣞࢺ㹀 㹑 㹑 㹓 ࣉ࣮ࣞࢺ㸿 ⑶ ⒜ 残留磁気 ⒝ 形成直後の海嶺の軸を含む黒い部分の岩石は,現在の地球磁場と同じ向きの残留 磁気をもつ。そのため,現在の地球磁場と逆向きの残留磁気をもつ白い部分に比 べて,観測される全磁力は強くなる。 ⑷ 点Rは点Qよりもプレートの相対的な運動の回転軸から sin60° = 3 〔倍〕 sin30° 離れているので,点RにおけるプレートAとプレートBの相対的な運動の速さは, 3× 2 × 65×10 3 ×10 2 1.73×13 = =7.49≒7.5〔cm/年〕 6 3 3×10 問Ⅱ ⑴ ア 背斜 イ 不整合 ウ 結晶質石灰岩(大理石) ⑵ 結晶が十分に成長してたがいに接する等粒状組織を示し,SiO2 を 66 質量%以上含む。 ⑶ カヘイ石(ヌンムリテス) ⑷ 古第三紀の海で地層Bが堆積し,その上に地層C,D,E,Fが連続して堆積した。 これらの地層が褶曲し,岩体Aが貫入した後,陸化して侵食作用を受け,再び海没して 地層Gが堆積した。
© Copyright 2024 ExpyDoc