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「通貨及び金融の調節に関する報告書」概要説明
日 本 銀 行 総 裁
黒
──
田
東
彦
平成 27 年 2 月 26 日、参議院財政金融委員会
(はじめに)
日 本 銀 行 は 、毎 年 6 月 と 12月 に「 通 貨 及 び 金 融 の 調 節 に 関 す る 報 告
書 」を 国 会 に 提 出 し て お り ま す 。 本 日 、わ が 国 経 済 の 動 向 と 日 本 銀 行
の 金 融 政 策 運 営 に つ い て 詳 し く ご 説 明 申 し 上 げ る 機 会 を 頂 き 、厚 く 御
礼申し上げます。
(わが国の経済金融情勢)
最初に、わが国の経済金融情勢について、ご説明申し上げます。
わ が 国 の 景 気 は 、緩 や か な 回 復 基 調 を 続 け て い ま す 。企 業 部 門 で は 、
輸出の持ち直しや在庫調整の進捗などを背景に生産が持ち直してい
ま す 。ま た 、企 業 収 益 は 改 善 が 続 い て お り 、企 業 は 前 向 き な 投 資 ス タ
ン ス を 維 持 し て い ま す 。家 計 部 門 に つ い て は 、雇 用 ・ 所 得 環 境 の 着 実
な 改 善 が 続 く 中 、個 人 消 費 も 全 体 と し て は 底 堅 く 推 移 し て い ま す 。こ
の よ う に 、企 業 部 門 ・ 家 計 部 門 と も に 、所 得 か ら 支 出 へ の 前 向 き な 循
環 メ カ ニ ズ ム は 、し っ か り と 作 用 し 続 け て い る と 考 え て い ま す 。先 行
き に つ い て も 、景 気 は 緩 や か な 回 復 基 調 を 続 け て い く と 考 え ら れ ま す 。
こ う し た 経 済 活 動 を 支 え る わ が 国 の 金 融 環 境 は 、緩 和 し た 状 態 に あ
り ま す 。企 業 の 資 金 調 達 コ ス ト は 低 水 準 で 推 移 し て い る ほ か 、銀 行 貸
出残高は緩やかに増加しています。
物 価 面 を み る と 、原 油 価 格 の 下 落 に よ っ て 消 費 者 物 価( 除 く 生 鮮 食
品 )の 前 年 比 は 縮 小 し て き て お り 、消 費 税 率 引 き 上 げ の 直 接 的 な 影 響
を 除 い た ベ ー ス で み て 0 % 台 半 ば と な っ て い ま す 。先 行 き は 、需 給 ギ
ャ ッ プ の 改 善 や 中 長 期 的 な 予 想 物 価 上 昇 率 の 上 昇 を 背 景 に 、基 調 的 な
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物 価 上 昇 率 は 着 実 に 高 ま っ て い く と み ら れ ま す 。ま た 、原 油 価 格 の 下
落 は 、や や 長 い 目 で み れ ば 、経 済 活 動 に 好 影 響 を 与 え 、物 価 上 昇 要 因
と な る も の で す 。こ う し た も と で 、消 費 者 物 価 の 前 年 比 は 、 原 油 価 格
が現状程度の水準から先行き緩やかに上昇していくとの前提にたて
ば 、原 油 価 格 下 落 の 影 響 が 剥 落 す る に 伴 っ て 伸 び 率 を 高 め 、2015年 度
を 中 心 と す る 期 間 に 2 % 程 度 に 達 す る 可 能 性 が 高 い と み て い ま す 。た
だ し 、原 油 価 格 の 動 向 に よ っ て 2 % に 達 す る 時 期 が 多 尐 前 後 す る 可 能
性がある点は留意しておく必要があります。
(金融政策運営)
次に、日本銀行の金融政策運営について、ご説明申し上げます。
日 本 銀 行 は 、一 昨 年 4 月 、2 % の「 物 価 安 定 の 目 標 」を 、2 年 程 度
の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現するために、「量的・
質 的 金 融 緩 和 」 を 導 入 し ま し た 。 さ ら に 、 昨 年 10月 に は 、「 量 的 ・ 質
的 金 融 緩 和 」の 拡 大 を 決 定 し ま し た 。こ れ は 、消 費 税 率 引 上 げ 後 の 需
要面での弱めの動きや原油価格の大幅な下落が物価の下押し要因と
し て 働 く も と で 、デ フ レ マ イ ン ド の 転 換 が 遅 延 す る リ ス ク が あ る こ と
を 踏 ま え 、こ う し た リ ス ク の 顕 現 化 を 未 然 に 防 ぎ 、好 転 し て い る 期 待
形成のモメンタムを維持することを目的としたものです。
こ う し た も と で 、「 量 的 ・ 質 的 金 融 緩 和 」 は 、 所 期 の 効 果 を 発 揮 し
ており、デフレマインドの転換は着実に進んでいます。
日 本 銀 行 は 、2 % の「 物 価 安 定 の 目 標 」の 実 現 を 目 指 し 、こ れ を 安
定 的 に 持 続 す る た め に 必 要 な 時 点 ま で 、「 量 的 ・ 質 的 金 融 緩 和 」を 継
続 し ま す 。そ の 際 、経 済 ・ 物 価 情 勢 に つ い て 上 下 双 方 向 の リ ス ク 要 因
を点検し、必要な調整を行う方針です。
ありがとうございました。
以
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上