平成25年度川崎市政策課題研究「行政情報のオープンデータ化に関する

平成 27 年 2 月 24 日
報 道 発 表 資 料
平成25年度川崎市政策課題研究「行政情報のオープンデータ化に関する研究」が
日本都市センター「都市調査研究グランプリ」優秀賞を受賞しました
川崎市では、職員の政策形成能力の向上と研究成果の施策への反映を目的として、政策課題研究事
業を実施しています。平成25年度は「行政情報のオープンデータ化」をテーマに、庁内公募等によ
る研究員5名が調査研究を行いました。
この研究結果が、昨年度に引き続き、(公財)日本都市センターの第5回都市調査研究グランプリ
(CR-1 グランプリ)での優秀賞(自治体実施調査研究部門)を平成27年2月23日(月)に受賞
いたしました。
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都市調査研究グランプリ
受賞概要
(1)授与賞名
第5回 都市調査研究グランプリ(CR-1 グランプリ)
自治体実施調査研究部門 優秀賞
(2)受賞研究の成果物
平成25年度川崎市政策課題研究報告書
「行政情報のオープンデータ化に関する研究
∼川崎市における取組のあり方を考える∼」
(3)受賞者
平成25年度川崎市政策課題研究チーム
長島 達二(総務局総務部法制課)
秋山 淳一(総務局情報管理部ICT推進課)
清田 祐介(経済労働局産業振興部商業観光課(大田区派遣)
)
星野 弘明(まちづくり局計画部都市計画課)
瀬脇 啓博(港湾局港湾振興部誘致振興課)
※部署名は現所属
都市調査研究グランプリ(CR-1 グランプリ)とは
公益財団法人日本都市センターが、全国の都市自治体で行った調査研究や都市自治体職員が自
主的に行った調査研究を募集・選考・表彰するもの。優秀な調査研究事例を共有することによる、
全国の都市自治体やその職員の調査研究能力の向上を図ることを目的に実施している。
①自治体実施調査研究部門、②職員自主調査研究部門の2部門が設けられており、選考の結果、
全体を通じて最も優秀と認められたものにグランプリ、部門ごとに優秀と認められたものに優秀
賞を授与している。
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受賞研究概要
庁内での取組状況を調査するとともに、市内事業所へのアンケート調査等や、国内5都市及び台湾の各
種機関へのヒアリング調査を実施し、本市においてオープンデータを進める上での課題を整理しました。
整理した課題を基に、本市での取組方針を検討し、短期・中期・長期目標に分けた提案を行い、最後に
推進のためのロードマップを示しました。具体的には、二次利用を許可するCCライセンスの付与、法的
制約があるデータについての考え方、ファイルの様式や形式のあり方、職員への研修、普及啓発の取組な
どについて提案しています。
総合企画局自治推進部
電話 044-200-2761(内線 23610)
平成25年度川崎市政策課題研究報告書 概要
行政情報のオープンデータ化に関する研究
―川崎市における取組のあり方を考える―
報告書 概要
第1部 オープンデータに関する国内外の動き
「オープンデータ」とは、①機械判読に適したデータで(機械判読可能性)
、②そのデータが二
次利用を可能とするルールで公開されている(二次利用可能性)ことを言い、近年、行政機関や
企業が内部で保有・蓄積するデータを外部にオープンデータとして公開し、新たな事業の立ち上
げや社会問題の解決に役立てる取組が国内外で加速している。
こうしたオープンデータの取組は、欧米で先行して行われており、既に多くの国でオープンデ
ータのポータルサイト(データカタログ)が設置されている。日本国内では、平成 23(2011)年
オープンデータの意義が広く認識されるようになり、
3 月 11 日の東日本大震災発生を契機として、
内閣官房の IT 総合戦略本部や、総務省、経済産業省などで取組が進められているほか、自治体や
民間でも様々な取組が行われている。産官学が共同で基盤整備を行う「オープンデータ流通推進
コンソーシアム」も平成 24(2012)年に設立されている。
川崎市の取組としては、平成 25 年度に「オープンデータ流通推進コンソーシアム」へ加入し、
他自治体との勉強会、外部講師を招いた庁内の勉強会などを実施したところである。
第2部 オープンデータに関する本市の現状調査
本研究ではまず、オープンデータの観点から川崎市ホームページでの市政情報の公開状況を確
認した。本市ホームページでは原則として掲載コンテンツの二次利用を禁じており、掲載されて
いるデータのファイル形式も PDF 形式など機械判読しにくいものがほとんどを占めていること
から、オープンデータ化はされていないといえる。
次に、認知度やデータの公開・活用状況、オープンデータ化の課題等を具体的に把握するため、
庁内へのアンケート調査や、市内事業者へのアンケート調査・ヒアリング調査等を実施した。そ
の結果、本市でオープンデータ化を進めていくに当たっての課題と必要な取組として、①データ
の二次利用許諾、②データ公開に法的な制約がある場合の課題整理及びデータ取得時の注意点の
整理、③機械判読しやすいデータ作成とその手引き等の作成、④公開データの検索機能の向上、
⑤市民及び事業者ニーズの高いデータの選定、⑥職員のオープンデータの認知度・意識の向上、
⑦市民及び事業者への普及啓発、の7点が挙げられた。
さらに、こうした課題への対応方法を検討するため、国内先進自治体として、神奈川県横浜市、
福井県鯖江市、石川県金沢市、千葉県千葉市、千葉県流山市の 5 自治体、海外先進事例として台
湾の各種機関を訪れ、オープンデータの取組についてヒアリング調査を行った。
これらの調査結果と、本市の厳しい財政状況を鑑みると、川崎市におけるオープンデータ化は、
少ない経費でできるところから取組を始めていく「スモールスタート型」が望ましいと考えられる。
第3部 考察と提案
本市でオープンデータを推進していく上での具体的な取組について、短期目標・中期目標・長
期目標に整理した上で、次の事項について提案を行った。
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平成25年度川崎市政策課題研究報告書 概要
(1)オープンデータ化に向けた環境整備
●データの二次利用可能化に向けた取組
データの二次利用を可能とするオープンライセンスとして、国際非営利組織クリエイティブ・
コモンズが提供するクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの付与を短期目標とし、市のホーム
ページ全体に適用される利用規約についても、変更・追加すべき項目を提案した。
また、二次利用可能化に法的な制約がないかどうかを確認するための、チェックリストの作成
を短期目標とし、その際に注意が必要なポイントを提示した。さらに、オープンデータ化を見込
んで情報を取得する際の権利関係の整理が必要と考え、委託契約約款の規定の変更等について提
案した。
●データの機械判読可能化に向けた取組
データの機械判読可能性向上のため、データの表記方法について、全庁的なガイドラインの基
本となるような事項を「数値(表)
」
、
「文章」
、
「地理空間情報」に分けて提案し、中長期的には他
自治体等との表記方法の統一も視野に入れることとした。またファイル形式についても、機械可
読・編集可能なファイル形式での公開を短期目標としてその具体的内容を提案し、中長期目標と
してより機械判読しやすい形式での公開やメタデータの付与についても提案した。
●データポータルサイトの整備
利用者に分かりやすく、必要なデータを探しやすい形で公開していくため、短期目標として現
在の本市 CMS を活用した取組、長期目標として多機能なオープンデータ専用ポータルサイトの構
築を提案した。
●公開すべきデータの内容及び分野の検討
どういった内容や分野のデータが市民・事業者からのニーズが高いと考えられるか、具体的な
データの分野について例示した。
●庁内の推進体制の確立及び職員の意識・スキル向上に向けた取組
行政情報のオープンデータ化は、情報を作成・保有・公開している部署に幅広く関わる取組で
あるため、研修を通じて、職員のオープンデータの取組に対する意識とスキルの向上を図ってい
くこと、庁内横断的な推進体制を確立し検討を進めていくことを提案した。
(2)市民・事業者への普及啓発・利活用促進・ニーズ把握に向けた取組
単にデータを公開するだけでなく、公開したデータを幅広く活用してもらうための普及啓発や、
どのようなデータの公開が望まれているかというニーズ把握に向けた取組を継続的に行い、ニー
ズの高いデータを積極的にオープンデータとして公開していくことが重要である。そこで具体的
に、市民や企業等との勉強会、アイデアソンのテーマ案等について提案した。
(3)オープンデータ推進のロードマップ(案)及び進捗状況の評価
(1)及び(2)で述べてきたことを、川崎市版のロードマップ(案)としてまとめた上で、
どの程度オープンデータ化が進んだか、目標をどれだけ達成したかの評価や管理を行う際に必要
と考えられる視点を整理して提案した。
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