ダウンロード - 滋賀県薬剤師会

第 13 回 滋賀県薬剤師学術大会
講演・研究発表要旨集
~ 日頃の気づき、学びを学術の場に ~
 日時
平成 27 年 3 月 1 日(日)
 会場
コラボしが 21
10:30~16:00
一般社団法人 滋賀県薬剤師会
目
次
……………………………
1
…………………………
5
…………………
8
ポスター発表
…………………………
10
口 頭 発 表
……………………………
19
プログラム
特 別 講 演
ランチョンセミナー
タイムスケジュール
…………………
30
第 13 回 滋賀県薬剤師学術大会
~ 日頃の気づき、学びを学術の場に ~
日時 平成 27 年 3 月 1 日(日) 10:30~16:00
会場 コラボしが 21 (大津市打出浜 2-1)
プログラム
(敬称略)
 受
付 / 10:00~
司会 宮地 秀和 [滋賀県薬剤師会学術情報委員会]
 あいさつ / 10:30~
滋賀県薬剤師会 会長
大原 整
 特別講演 / 10:40~11:50
「教育現場からみた薬剤師の資質」
講師 立命館大学薬学部 教授
座長 滋賀県薬剤師会 副会長
土屋 友房
横井 正之
 休 憩 (15 分) 
 ランチョンセミナー / 12:05~13:05
「女性のライフセミナーからみたホルモン療法」
講師 草津総合病院 副院長 産婦人科部長
座長 滋賀県薬剤師会 副会長
卜部 諭
山口 豊子
 休 憩 (15 分) 
 研究発表 〈ポスター〉 / 示説(大会議室)13:20~14:10
掲示・中会議室 10:30~13:15
ロビー 10:30~15:55
(座長)永井 智宏 [滋賀県薬剤師会学術情報委員会]
P-01
(一社)大津市薬剤師会における夜間・休日お薬相談窓口活動について
○枩田敬弘 隠岐英之 渡辺 茂
一般社団法人大津市薬剤師会
P-02
滋賀県下の薬局におけるOTC売上要因調査
○米田明弘 橫井正之
外池克成 村杉紀明 村瀬利恵子 冨山直樹
一般社団法人びわこ薬剤師会びわこゼミナール 立命館大学薬学部
P-03
能登川地区医療福祉ネットワークの取り組み
○西嶋紀晃 本庄義法 宮地秀和
スズキ調剤薬局能登川店 本庄治良堂薬局 つじく薬局 [東近江薬剤師会]
P-04
お薬手帳持参に向けた取り組みで見えたこと
○田中忠信 山村修士 安田恵美 安井志織 岡谷さか江
いずみ薬局 [一般社団法人八幡蒲生薬剤師会]
P-05
健康フェスティバル 2014 への参加
○梅影淳史 小林紀美子
一般社団法人八幡蒲生薬剤師会
-1-
P-06
湖北地域における多職種連携の取り組み
○上野暢之 平田哲之 西井伸善 久保健次 久留島文治
湖北薬剤師会
P-07
平成 26 年度「くすりと健康の週間」における薬剤師見える化特別委員会の取り組み
○大迫翔平 永井智宏 橫井正之 大原 整
薬剤師見える化特別委員会 [一般社団法人滋賀県薬剤師会]
 休 憩 (15 分) 
 研究発表 〈口頭〉 / 14:25~15:55
 演題1~4
O-01
14:25~15:10
(座長)杉江 陽子[滋賀県薬剤師会学術情報委員会]
生活習慣の改善によるアトピー性皮膚炎の改善例
○渡邉元貴 サンポウ薬局 [甲賀湖南薬剤師会]
O-02
向精神薬の処方動向をその対応 ―会営薬局における多剤併用症例の検討―
○西村光子 滋賀県薬剤師会会営薬局
O-03
チーム医療での薬剤師の役割 ―多職種連携を通じて―
○川端浩敬 本庄義法 石田さき子 満田久和
東近江薬剤師会 八幡蒲生薬剤師会
O-04
びわこ薬剤師会管内薬局の健康情報拠点としての活動調査
○大迫翔平 橫井正之 外池克成 村杉紀明 村瀬利恵子 冨山直樹
一般社団法人びわこ薬剤師会びわこゼミナール 立命館大学薬学部
 演題5~8
O-05
15:10~15:55
(座長)松尾 陽介 [滋賀県薬剤師会学術情報委員会]
幼児・小児へのザナミビルネブライザー吸入投与の実態調査
○山村修士 田中忠信
いずみ薬局 [一般社団法人八幡蒲生薬剤師会]
O-06
連携ツールとしてお薬手帳の利用方法を考える
―手帳啓発ポスター制作から地域連携パス研修会まで―
○馬場亮平 大森徹也 澤村 尚 竹下裕基 戸田真史 増田登美子
湖北薬剤師会
O-07
薬局における検査値の必要性について
○小坂公美 本宮調剤薬局 [一般社団法人大津市薬剤師会]
O-08
高度な学術対応能力を持つ薬剤師養成の取り組み
○橫井正之 村杉紀明 村瀬利恵子 外池克成 冨山直樹
一般社団法人びわこ薬剤師会びわこゼミナール 立命館大学薬学部
 委員会による展示コーナー / 10:00~15:55
 閉会のあいさつ
滋賀県薬剤師会副会長
-2-
大迫 芳孝
特
別
講
演
教育現場から見たこれからの薬剤師に求められる資質
立命館大学薬学部
土屋友房
平成16年に学校教育法の一部が改正され、平成18年度入学者から「医療技術の高度化、医薬分業
の進展に伴い、高い資質を持つ薬剤師養成のための薬学教育は、学部の修学年限が6年に延長」されま
した。そして現在までに3回、6年制卒の薬剤師が世に出、臨床現場で活躍しつつあります。この新し
い制度のもとでは、どのような資質を身に付けた薬剤師を育てようとし、どのような観点から薬剤師教
育が行われているのでしょうか?
現在の大学教育では、学生募集から卒業までに関わる一つの目的と三つのポリシーを示すことが求め
られています。人材育成目的とアドミッションポリシー、カリキュラムポリシー、ディプロマポリシー
です。立命館大学薬学部では、「医薬品についての高度な専門知識、実務能力、医療人としての素養を
有し、地域薬局や病院内で医療チームの一員として先導的な役割を果たす薬剤師、および研究マインド
を持ち薬剤師として医療薬学分野の発展に貢献できる人材を養成すること」を人材育成目的としていま
す。アドミッションポリシー(入学者受け入れ方針)とカリキュラムポリシー(教育課程編成・実施方
針)は省略させていただきますが、ディプロマポリシー(学位授与方針)として、1)医療人である薬
剤師として身につけておくべき、幅広い教養に基づいた豊かな人間性、専門的な知識・技能および相応
しい態度と倫理観・使命感、コミュニケーション能力、2)医療の高度化に対応できる知識、探究心、
問題発見・解決能力、3)地域社会における医療の担い手として必要な保健・医療・福祉等についての
知識・技能・態度、4)国際社会でも活躍できる英語での情報収集・発信能力、などを卒業時に身に付
けていることを求めています。
現役薬剤師のほとんどの先生方が受けられた4年制教育と6年制教育の大きな違いは、全国統一のモ
デルコアカリキュラム、医療の高度化に伴う学習内容の高度化、長期実務実習、倫理・態度教育、コミ
ュニケーション・プレゼンテーション教育、グローバル化に伴う英語による情報収集・発信力教育など
です。かつては行われていなかったこのような教育をプラスすることで、医療現場の求めにより近づい
た薬剤師養成ができると思われますが、医療現場からそして実務実習を経験した学生から次のような声
が聞こえてきます。
「大学では検査値について十分学んでいない。添付文書と臨床での用法用量が違う。
大学では薬価などのコストに関する学習や経済的な面の学習がない。大学では新薬についてあまり学ば
なかった。」などの声です。平成27年度から改訂モデルコアカリキュラムに基づく教育が行われます
が、時代の進展に伴い、更に教育内容や方法の改訂が必要になってくると思われます。そして時代の求
めに応じた資質を備えた薬剤師の養成と、欧米先進諸国のいくつかの国で行われているような高度な役
-5-
割を果たす薬剤師の養成が求められるようになるのではないかと思われます。
医療関係の仕事は女性に適した仕事の一つと言われています。我が国では女性医師の割合は約 16%だ
そうですが、薬剤師は女性が約 67%だそうです。薬剤師は女性の活躍で成り立っている職業と言ってよ
いかもしれません。政府の成長戦略の中に「2020 年までに指導的地位に女性が占める割合を 30%以上
に」とあります。薬剤師分野でどうなっているか知りませんが、女性薬剤師の方々の更なる活躍を期待
しています。
-6-
ランチョンセミナー
女性のライフステージからみたホルモン療法
草津総合病院 副院長
産婦人科部長
-8-
卜部
諭
ポ ス タ ー 発 表
P-01
(一社)大津市薬剤師会における夜間・休日お薬相談窓口活動について
一般社団法人大津市薬剤師会
○枩田敬弘 隠岐英之 渡辺 茂
【はじめに】
一般社団法人大津市薬剤師会では、平成 16 年 9 月 16 日より、夜間・休日のお薬に関する電話相
談を開始した。この事業は以前より 24 時間体制を行っておられる社団法人上田薬剤師会(現在は、
「一
般社団法人」
)に制度発足の経緯を伺い、
事業計画を作成した。本来ならば 24 時間体制を取るべきだが、
現実問題として不可能であるため、本事業では患者がかかりつけ薬局に連絡がつかない場合のバックア
ップ体制と位置付けている。
【目的】
お薬電話相談は、平日は 21 時から翌日 9 時まで、休日は 24 時間受け付けており、会員薬剤師が当番
制で担当している。お薬相談事業を発足して 10 年が経過し、この事業がどの程度地域に浸透し、活用
されているかを把握するためにデータを収集した。
【方法】
事業開始から平成 25 年度までの相談者の性別、年齢、月別相談件数、時間帯別相談件数および、相
談内容について調べた。
【結果】
お薬相談受付件数は、時間帯で見ると 21 時から 22 時までが最も多く、次いで 22 時から 23 時
までが多かった。また 午前中は 7 時から 10 時の間に多かった。月別で見ると、それほど特徴的な差
は見られなかった。相談者の性別は、女性が大半を占め、年齢別に見ると、30 歳代が最も多かった。相
談内容は、服用中の薬についての相談、家にある薬の使用可否が大半を占めた。また、服用中の薬の副
作用の相談、救急連絡先についての問い合わせも多かった。
【考察】
各年度の総相談件数を見ると、当初は市民のお薬相談事業に対する認知度が低く、相談件数は少数で
あったが、PR 活動を行ったことで相談件数が増加し、お薬相談事業は浸透したと思われる。また、相
談件数を月別で見ると、大型連休や、お盆、正月など、医療機関が閉まっているときほど相談が多かっ
た。特に時間帯別では、医療機関の閉まった 21 時から 23 時までおよび、7 時から 9 時までの間の
相談が多かった。また、平日に比べ日曜・祝日は相談件数が多かった。以上のことから、お薬相談事業
は、医療機関が閉まっている時間帯の市民の相談窓口として非常に役立っているものと思われる。相談
内容は、服用中の薬についての相談や、家にある薬の使用可否および服用中の薬の副作用といった、相
談が大半を占め、いろいろな書物や、インターネットで薬の情報が得られる時代だが、薬の専門家であ
る薬剤師が必要とされていることを強く感じた。
医療用医薬品、一般用医薬品を問わず、薬や健康に関する相談は後を絶たない。市民に、より健康で安
心、安全な生活を送ってもらうためにも、今後もこの事業を継続し、地域医療に貢献していかなければ
ならない。
【キーワード】夜間・休日お薬相談
- 10 -
P-02
滋賀県下の薬局における OTC 売上要因調査
○米田明弘 1) 横井正之 1) 外池克成 1)
村杉紀明 1) 村瀬利恵子 1) 冨山直樹 1)2)
一般社団法人びわこ薬剤師会びわこゼミナール1) 立命館大学薬学部2)
【目的】
滋賀県下の調剤主体の薬局における一般用医薬品(以下、OTC とする)の販売と関連のある要因
について調査を行った。
【方法】
滋賀県下の 486 薬局に 2013 年 12 月 19 日から翌年 1 月 6 日までの 18 日間に FAX 一斉同報による
アンケート調査を行い、OTC の売上との関連が予想される販売人員と販売品目数との関係を重回帰
分析により、偏相関、相関を評価した。回答薬局は 170 薬局で回収率は 35.0%であった。
【結果】
OTC の売上 Y と薬剤師 X1、登録販売者 X2、その他 X3 の 3 種の人員との関係は、
Y=0.013X1+0.704X2+0.055X3+2.166
(P<0.001)で偏相関が有意であったのは、登録販売者のみ
であった。総人員と売上の間の単相関は、有意とは言えなかった。(P=0.135)
次に OTC 売上と処方箋応需枚数(枚)X4、処方箋集中率(%)X5、第 1 類医薬品販売品目数 X6、
第 2 類 X7、第 3 類 X8、その他 X9 としたときの関係は、下記であった。
Y=0.047X4-0.0025X5+0.0600X6+0.0043X7-0.0037X8+0.0027X9+1.929 (P<0.0001)
偏相関が有意であったのは、第 1 類医薬品の品目数(P<0.01) のみであった。なお、売上と総品目
数の単相関は、有意であった。
(P<0.0001)
【考察】
滋賀県内の調剤主体の薬局における OTC の売上と人員の関係で偏相関が有意であったのは、登録
販売者の人数のみであり、保険薬局においても登録販売者が OTC 販売の主力となっていることが伺
われた。一方で販売品目数と第 1 類販売品目数と売上の相関が有意であることから、調剤主体の保険
薬局における OTC 販売促進のためには、品揃え、特に薬剤師が必要な第 1 類の販売品目を中心に力
を入れるべきと考えられる。
【結論】
保険薬局の OTC 販売においては、メリハリのある人員配置をして第 1 類医薬品を中心とした品揃
えをすることが、販売促進につながることが示唆された。
【キーワード】
OTC 販売 登録販売者 薬剤師 品目数
【脚注】本発表は、第 24 回日本医療薬学会 2014 年大会で発表した内容に検討を加えて、加筆修正を加
えたものである。
- 11 -
P-03
能登川地区医療福祉ネットワークの取り組み
○西嶋紀晃 1)
スズキ調剤薬局能登川店 1)
本庄義法 2) 宮地秀和 3)
本庄治良堂薬局 2) つじく薬局 3)[東近江薬剤師会]
【はじめに】
要介護者が住み慣れた地域で医療、介護、予防を含む生活全般の包括的な支援を受けるためには、多
職種が様々なネットワークを通じて顔の見える関係を構築し、連携することが必要である。
東近江地域においては以前より多職種ネートワークとして東近江三方よし研究会がその役割を担っ
てきたが、近年、更に小さなコミュニティー単位での多職種ネットワークが各地域でいくつか立ち上が
り稼働している。今回、その一つである能登川地区における医療福祉ネットワーク『Let’s のとが輪』
の取り組みについて紹介する。
【事例】
多職種連携の重要性を言われるようになったことから、能登川地区で三師会の有志が世話人となって
立ち上げることになったものである。
能登川地区の医療介護福祉障害関連職種ならびに地域の町づくり協議会や行政関係者など幅広い職
種に参加を呼びかけた。会合は 3~4 か月毎に開催され、医療介護福祉障害関連の研修会を含んだ情報
提供を行うとともに互いの顔がみえるよう車座となってなごやかな雰囲気で行われ、時には飲み物片手
にお菓子をつまみながら語りあいがなされることもある。
会報・広報誌も発行し、広報誌には能登川地区の医療福祉障害関連の連絡先・マップ一覧とともに、
カラー顔写真付きの名簿も掲載され、まさに顔の見える名簿となって好評を博している。
平成 25 年の第1回目の会合から現在まで開催は6回を数えるが、能登川地区において他職種が一同
に集まるこのような会合は、それまでは皆無であった。取組みを始めてからは、能登川地域にも医療・
介護・福祉・障害施設など多くの社会資源があるにもかかわらず、つながりが希薄であったことに改め
て気づくことができた。
【まとめ】
地域包括ケアシステムの構築が叫ばれ、各地で様々な多職種の会合が開催されているが、中学校区ほ
どのエリアでの多職種連携は、今まで以上の地元感覚が増すこととなり、より身近なこととして捉えて
いけることが最大の利点である。
回をかさねるごとに顔の見える関係は更に深みを増し、地域の方々を支えていこうとする気持ちがひ
しひしと伝わってきた。広いエリアを対象とした多職種の会合と異なり、隣人のような親近感を感じる
ことができるのは中学校区をエリアとするネットワークならではの良さを実感している。
『Let’s のとが輪』がネーミングの如く身近でますます地域の輪を広げていくネットワークとなるこ
とを目指し企画、運営に当たっていきたい。
【キーワード】
Let’s のとが輪, 医療福祉ネットワーク, 多職種連携 , 地元, 顔の見える関係
- 12 -
P-04
お薬手帳持参に向けた取り組みで見えたこと
○田中忠信 山村修士 安田恵美 安井志織 岡谷さか江
いずみ薬局 [一般社団法人八幡蒲生薬剤師会]
【はじめに】
過去に起こった自然災害でお薬手帳の重要性が取り上げられ手帳の取扱いについて何度か法改正が
行われた。
平成 26 年 4 月の調剤報酬改定においては「お薬手帳を持たないと負担が安くなる!」とマイナスイ
メージを一部で持たれる改定となり持参率など手帳利用への影響も気になった。
日々の薬局窓口対応でも手帳の重要性や利用目的が患者様に十分理解されていない印象があり、手帳
の持参率に影響があるのではと考え、積極的な介入をする事で持参率の変化とそれに伴う薬局経営に与
える影響について調査と同時に患者のお薬手帳に対する意識調査も合わせて行う事とした。
【目的】
薬剤師会でも取り組んでいる「薬剤師の見える化運動」の一環として、お薬手帳の重要性について薬
局スタッフ全員で積極的な啓蒙・啓発を行うことで持参率の変化と薬局経営に与える影響についての調
査を目的とする。
【方法】
患者が薬局に来られた際に、お薬手帳有無の状況に応じて4組に分けた。薬剤師・事務員がそれぞれ
の職種にあった統一した資材を使い、積極的に利用目的を口頭で啓蒙・啓発を行った。また、店内待合
に手帳の重要性、利用方法を啓発するポスターや POP をあちらこちらに掲示する方法でも手帳重要性
を強調した。
通常時のお薬手帳持参率と積極的な介入を行った後の持参率を1か月単位で集計した。さらに、手帳
忘れで薬剤服用歴管理指導料の算定有無、仮手帳発行による経費など薬局経営に与える影響について積
極的な介入前後での変化について客観的に評価した。意識調査については任意の1日でアンケートを実
施し、61 名から回答があった。それぞれの項目でグラフを用いて客観的に評価する。
【事例1】
◎新患
① 手帳なし
(事務)
:
「服用中の薬との飲み合わせ等をチェックし事故防止のためにお薬手帳をお渡しします。
」
(薬剤師)
:
「手帳の利用方法、目的を口頭(または資料)で説明する。
」
② 手帳忘れ
(事務)
:
「服用中の薬との飲み合わせ等をチェックし事故防止のために仮手帳をお渡しします。」
(薬剤師)
:
「手帳の利用方法、目的を口頭(または資料)で説明する。
」
◎再来
① 手帳忘れ
(事務)
:
「服用中の薬との飲み合わせ等をチェックし事故防止のために仮手帳をお渡しします。」
(薬剤師)
:
「手帳の利用方法、目的を口頭(または資料)で説明する。
」
②
手帳持参
(事務)
:
「手帳をお持ちいただきありがとうございます。」
(薬剤師)
:
「手帳を患者の目前で開き一緒に残薬チェックをし、場合によっては、必要事項を記入し
- 13 -
て手帳の使用目的、重要性を感じていただく。」
【事例2】
お薬手帳に対する患者の意識調査では下記の設問5つにより実施し、集計考察する。
設問① お薬手帳を持っていることを病院、医院の医師から尋ねられた事はございますか?
設問② お薬手帳の利用目的、利用方法について薬局で説明された事はございますか?
設問③ お薬手帳は「お薬の飲み合わせのチェック」「災害時の急な対応」などに使うことを
ご存知ですか?
設問④ お薬手帳があって良かったと感じた事はございますか?(感じた方は、フリーコメントあり)
設問⑤ お薬手帳を利用・携帯しようと思われますか?(思わない方は、フリーコメントあり)
【結果】
1 か月単位での手帳持参率に対する結果は、積極的な介入前(7か月)で平均 77.7%、介入後(2
か月)で平均 79.5%、差は 1.8%生じた。次に薬剤服用歴管理指導料の算定については介入前(7
か月)で平均 21,320 円、介入後(2か月)で平均 22,365 円、差は 1,045 円生じた。次に仮手帳発
行による経費については介入前(7か月)で平均 3,960 円、介入後(2か月)で 4,153 円、差は 193
円生じた。
意識調査について、患者 61 名に実施した結果は以下の通りになった。設問①ある:27 名、なし:
34 名、設問②ある:55 名、なし:6 名、設問③はい:55 名、いいえ:6 名、設問④ある:45 名、
なし:16 名、設問⑤思う:53 名、思わない:8 名の結果になった。フリーコメントの設問④につい
ては「他薬との飲み合わせがチェック出来た。」などの残薬との飲み合わせに関する内容がほとん
どであった。設問⑤について「手帳サイズが大きいので持ち歩くのに不便」「忘れがち、持ち歩く
習慣がない」などの意見があった。
【考察】
上記の結果から、積極的な声掛けによる持参率変化については、期間が短かった事、当初より持
参率は 75%を超えた高い割合であった事、介入前から軽度の改善傾向にあった事などが重なり変化
は見られなかった。薬局経営についての視点では、薬剤服用歴管理指導料について介入前後で変化
は見られなかった。。
「手帳忘れで要件を満たさず、低い点数の(34点)で管理指導料を算定した
管理料を算定しなった場合は、1か月約 2 万円のマイナスになる計算になり年間に直すと約 25 万
円になり、
」仮お薬手帳発行経費などについても介入前後で有意差は見られなかった。仮手帳の経
費は1か月約 4 千円、年間に直すと約 5 万円になり、両方合わせると約 30 万円で多少なりとも経
営に影響があることが考えられます。
患者の意識調査の結果から、医師から尋ねられた事のない割合が 56%で半数以上と高い事が分か
り、医師から確認があれば持参率が改善する要因として考えられ、合わせて重複処方、過剰投与な
どの、医療費(薬剤費)の無駄が処方箋発行時点で防げるのではないかと考えます。次に薬局での
お薬手帳の利用説明と、手帳の利用方法を知っている割合がそれぞれ 90%と高い事から、お薬手帳
への重要性が十分理解されていることが分かった。また、手帳を持参しない理由に「サイズが大き
い」との意見があり、県薬剤師会でも検討されている電子お薬手帳の利用も導入する必要があるの
ではと考えます。これからも、医師へお薬手帳を見せる事も合わせて説明し、利用啓発に向けた取
り組みを継続したいと思います。
【キーワード】
お薬手帳、
持参率、 薬局経営、
意識調査
- 14 -
P-05
健康フェスティバル 2014 への参加
○梅影淳史 小林紀美子
八幡蒲生薬剤師会
【はじめに】
一般社団法人八幡蒲生薬剤師会(49薬局・会員数89名 平成26年12月現在)は、約8万人の
近江八幡市民を対象に医薬品や医療材料などの供給及び調剤を通して、健康な社会生活の維持やQOL
の向上を目指し、地域医療の担い手として日々貢献するよう努めている。
日本再興戦略にも明記された通り、薬局は地域に密着した健康情報拠点として一般用医薬品等の適正
な使用に関する助言、健康に関する相談や情報提供を行う等、セルフメディケーションを推進すること
が期待されている。
しかしながら、生活習慣病を有する患者が多いにも関わらず、特定健診の健康診断受診率や健康意識
の低さ、薬局の健康ステーションとしての認知度の低さなどが指摘され、早期発見、早期受診、薬局・
薬剤師機能の啓発が求められている。
【事例】
「人がやさしく支え合い、健康でいきいきくらせるまち近江八幡」をテーマに平成26年9月7日(日
曜日)近江八幡文化会館にて、近江八幡市と近江八幡健康づくり推進協議会主催の「健康八幡21プラ
ン」推進事業として、健康フェスティバル2014が開催され、参加した内容について報告する。
当日、健康公開講座「知っているようで知らない血圧のはなし」、健康落語「笑いは心のくすり」、ラ
ヂオ体操、手洗いチェックコーナー、医師による健康相談コーナーや栄養士による食生活相談コーナー
などが催され、八幡蒲生薬剤師会は血圧測定・血管年齢測定・パンフレット配布や血管年齢と末梢動脈
疾患の関連についてのアンケート及びお薬相談コーナーを開設した。ブースへの来場者は約200名で
うち約180名の方にはアンケートを記入頂き、測定結果とその内容を中心に健康相談を行った。健康
相談は1対1の質疑応答形式で行った。
【考察】
指先での血管年齢簡易検査は、地域住民に受け入れられ、アンケートにも協力的であった。薬剤師の
健康フェスティバルへの参加は、地域住民の健康意識の向上に有用であり、薬剤師の新たな地域貢献す
る方策と考えられる。健康相談を通して、食生活や運動への意識、薬を服用する重要性を知っていただ
き、早期発見、早期治療、治療継続に貢献できたと考えられる。
今回多数の地域住民との交流ができ、相談したいことがあれば近くの薬剤師に相談しようと思って頂
けるきっかけとなり、身近な存在であることを感じて頂ける機会になれたと考えられる。今後も継続的
に参加を続けていきたい。
【キーワード】
セルフメディケーション 地域住民 健康フェスティバル 早期発見 健康相談
- 15 -
P-06
湖北地域における多職種連携の取り組み
◯上野暢之 平田哲之 西井伸善 久保健次 久留島文治
湖北薬剤師会
【はじめに】
近年薬剤師の活躍フィールドは在宅医療など「チーム医療」の中にシフトしてきていると考えられる。
これまで関わりの薄かった多職種といかに関わりを持ち、連携するかについて考察した。
【事例】
湖北地域でも KKR(湖北吸入連携フォーラム)、在宅医療における多職種連携、薬薬連携などの活動
に前向きに取り組んでいる。
これまでの多職種連携の研修会や地域住民向け啓発活動内容の他、実際の連携に至った事例などを報
告する。
【考察】
多職種と関わりを持つためには、研修会や講演会において顔の見える関係を構築することが日頃の連
携の第1歩と言える。さらに、定期的なカンファレンスや多職種連携会を開くなど関係を深めることで
より良い地域医療への寄与が期待できる。
【キーワード】
チーム医療、多職種連携、在宅医療、地域医療
- 16 -
P-07
平成 26 年度「くすりと健康の週間」における薬剤師見える化特別委員会の取り組み
〇大迫翔平 永井智宏 横井正之 大原 整
薬剤師見える化特別委員会 [一般社団法人滋賀県薬剤師会]
【はじめに】
日本薬剤師会では、平成 25 年度に「くすりと健康の週間」統一事業「薬剤師の見える化」の取り組
みが推進され、厚生労働省では、科学研究として『薬剤師が担うチーム医療と地域医療の調査とアウト
カムの評価研究』をテーマとした調査研究が平成 26 年 1 月に「薬局の求められる機能とあるべき姿」
として報告されている。
これらを受けて、一般社団法人滋賀県薬剤師会では、平成 26 年 6 月に薬剤師見える化特別委員会が
正式に発足し、滋賀県版「薬局の求められる機能とあるべき姿」を構築するべく、活動を開始した。
【目的】
滋賀県版「薬剤師の見える化」運動をより実効性のあるものにするためには、まず現状を把握する必
要があると考え、「残薬確認と処方調整」について、薬剤師側と患者側の両方を対象として、アンケー
ト調査を実施したので、報告する。
【方法】
平成 26 年度の「くすりと健康の週間」
(平成 26 年 10 月 17 日~23 日)の期間中に、滋賀県薬剤師会
会員薬剤師、会員薬局に来局した患者、および参考データとして、滋賀県健康福祉医療部薬務感染症対
策課が県政モニターを対象に残薬に関するアンケート調査を実施した。薬剤師 520 名、患者 1,445 名、
県政モニター292 名から回答を得た。
【結果】
薬剤師へのアンケートでは、服薬指導時に服薬状況や残薬の確認が、
「できている」
・「概ねできてい
る」と回答したものが合わせて約 86%であった。患者へのアンケートでは、薬局で「残薬の確認をされ
たことがあるか」という問いには約 50%が「ない」との回答であった。残薬ができる原因として、患者
では「飲み忘れ」が最も多く、次に、
「使い切るまでに治ったと思った」と続き、参考データではある
が、県政モニター対象のアンケートでは「使い切るまでに治ったと思った」が最も多く、次に「飲み忘
れ」となった。
【考察】
残薬確認については、薬剤師は 80%が行っていると回答しているが、患者の約半数は残薬を確認さ
れた経験があるだけであり、参考データではあるが、県政モニター調査の約 90%は経験がなかった。薬
剤師が行う残薬確認の中には、薬歴から参照している場合なども考えられ、患者の考える残薬が、家に
あるすべての薬を指しており、残薬そのものの定義にも違いがあると考えられるが、それも含め、薬剤
師・薬剤師業務の「見える化」がまだ進んでいない現状と同時に「見せる化」によって得られるであろ
う伸びしろの可能性も確認できた。
【キーワード】
薬剤師見える化、残薬確認、処方調整、くすりと健康の週間
- 17 -
口 頭 発 表
O-01
生活習慣の改善によるアトピー性皮膚炎の改善例
○渡邉元貴
サンポウ薬局 [甲賀湖南薬剤師会]
【はじめに】
僕自身がアトピー性皮膚炎だったことから、アトピー性皮膚炎については常に勉強していた。そのた
めにアトピー患者の相談に乗ることが自然と多くなっていたのだが、その中に、生活習慣の改善によっ
て症状を大きく改善した事例があったので紹介したい。
【症例】
アンテベートやロコイドを常用していたが一向に治らなかった9歳の男子。母親からステロイドを使
いたくないという要望があったので、ステロイドを止めるかわりに生活習慣の改善を試みてもらった。
初回は、油食、乳製品、お菓子、砂糖を多く含む食品を控える。汗やタバコの煙などのアレルギー物
質に暴露し、猛烈若しくは持続的な痒みに苛まれた時にはその部位を水洗いする。特に不快なストレス
を避ける。などのアドバイスを行った。
1 ヵ月後、ある程度の改善はしたが、まだまだというところ。他の家族に合わせると食生活が改善で
きないとのこと。その他はおおむね大丈夫。
4 ヵ月後、症状に波があり、悪化時は心が折れそうになる。食生活に関しては改善できず、油物やお
菓子などたくさん食べているとのこと。本人より母親のカウンセリングが主となる。
6 ヵ月後、劇的に改善する。インフルエンザに罹り3日食事がとれなかった間に大きく改善したとの
こと。それを機に食事の重要性を理解し、食事内容の改善に本格的に取り組まれた。
10 ヵ月後、ほぼ皮膚炎が見られなくなった。
【考察】
ストレス、添加物の多い食品、大気汚染、有害なものに常にさらされている現代社会であるが、その
有害なものを極力避けられるような生活習慣の改善を行うことで、アレルギーの発症を抑えることがで
きたのではないかと考える。
【キーワード】
アトピー性皮膚炎 生活習慣 食事 ストレス
- 19 -
O-02
向精神薬の処方動向とその対応
-会営薬局における多剤併用症例の検討-
○西村光子
滋賀県薬剤師会会営薬局
【はじめに】
我が国の精神科医療においては、諸外国に比して多種類の薬剤が投与されている実態があると指摘さ
れており、厚生労働省は診療報酬改定を介して、向精神薬の多剤処方の適正化に対する取り組みを行っ
ている。平成 26 年度の診療報酬改定では、1 回の処方において、抗不安薬・睡眠薬を 3 種類以上、抗う
つ薬・抗精神病薬を 4 種類以上投与している医療機関は、厚労省への状況報告が必要となり、「精神科
継続外来支援・指導料」をゼロ算定、および処方料・処方せん料・薬剤料をマイナス算定する方針が答
申された。
当薬局では、重症精神病患者を多く受け入れる医療機関が近隣に2施設あり、専門医ではあるが多剤
処方がなされているような印象があった。
【目的】
平成 26 年度診療報酬改定後の当薬局における精神科処方の実態調査を行い、その動向を検討する。
【方法】
平成 26 年 10 月における当薬局への来局患者のうち、滋賀県立精神医療センターおよび滋賀医科大学
附属病院の精神科の患者を抽出し、処方せん1枚あたりの平均処方薬剤数、抗不安薬・睡眠薬の処方数
を調査した。また、抗不安薬・睡眠薬それぞれの多剤処方状況について確認し、処方動向について検討
した。
【結果】
当薬局の総処方せんに占める精神科処方の割合は 22.0%で、処方せん1枚あたりの平均処方薬剤数は
4.81 薬剤であった。精神科処方の 69.5%に抗不安薬・睡眠薬が1種類以上処方されており、抗不安薬・
睡眠薬を 2 種類まで用いる処方は 15.9%で、3 種類以上用いる処方は 4.9%であった。
【考察】
抗不安薬・睡眠薬を 3 種類以上用いる処方は 4.9%あったが、それらの患者は、減薬後の状態悪化へ
の懸念や、患者本人による減薬への不安・抵抗もあるだろうと容易に想像できる症例ばかりだった。
全体としては、医師が減薬を考慮している様子が伺えるため、薬局でも今後、減薬される患者や代替
え薬に変更になる患者には、不安や抵抗を軽減できるような説明や指導が必要となる。また、多種類の
薬剤を投与せざるを得ない患者には、副作用発現のリスクも背負っているため、経過観察も必要となっ
てくる。そのことも踏まえて、今後も他剤処方について追跡していきたい。
【キーワード】
精神科、抗不安薬、睡眠薬、多剤処方
- 20 -
O-03
チーム医療での薬剤師の役割
-多職種連携を通じて-
○川端浩敬 1)
本庄義法 1) 石田さき子 1) 満田久和 2)
東近江薬剤師会 1) 八幡蒲生薬剤師会 2)
【はじめに】
超少子・高齢社会をむかえ在宅医療のニーズは急激に増加し、それにより医療提供体制の構築が喫緊
の課題になっている。我々、薬局薬剤師が日常業務の一環として在宅医療に参加し、地域包括ケアシス
テムの在宅医療チームの一員として薬学的な専門性を発揮し患者のQOL、ADLの改善、医療安全の
確保、在宅医療チームの負担軽減、また主介護者の介護の軽減に貢献することが求められる。地域医療
では多職種連携が必須であり薬局薬剤師もチーム医療の一員にならなければ効果的な訪問薬剤管理業
務が行えない。
薬局薬剤師として在宅医療に参画し有効に機能していくために、多職種との連携のもと、薬剤師が関
わり、症例検討を行った事例を紹介する。
【事例】
患者は、広域病院にて、直腸癌の手術、その後回腸ストーマ、胃瘻造設となった症例で、入院時まで
かかりつけ医が無かった事例である。
連携職種は、在宅医師、訪問看護師、ケアマネージャー、薬剤師、ヘルパーが集まり、退院前から受
け入れ態勢を整え、効果的な連携方法を検討した。連携職種全員が退院時カンファレンスに参加し、在
宅では薬剤の効果および副作用を含めての詳細な情報交換を目的とし、医師、訪問看護師、薬剤師と打
ち合わせをすることを基本とした。
1.退院時カンファレンスを通して治療方針、処方意図についての情報を共有することができ、より
効果的な薬学管理、服薬指導が可能となった。
2.連携体制が構築された東近江医療圏域において、訪問看護師等と共同で症例をまとめ、多職種ネ
ットワークで 100 名余りの多職種と症例検討を行い、他職種の特性を理解し合うことにより多職種
間との情報共有を図った。
【まとめ】
多職種連携をする事により在宅医療の導入がスムーズに行え、薬剤師の情報、多職種専門職の情報を
共有することにより患者の主訴を薬学的に評価し共有することができた。
在宅での薬物治療に薬局薬剤師の実質的な介入が可能となった。未だ環境が整わず、訪問看護がすべ
てのことを担っており、今後は多職種に繋ぐことで本来行うべき専門職が退院時から関わり、薬局薬剤
師が在宅医療チームに欠かせない存在になる。
【キーワード】
在宅医療、多職種、退院時カンファレンス、訪問薬剤管理、情報共有
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O-04
びわこ薬剤師会管内薬局の健康情報拠点としての活動調査
○大迫翔平 1) 横井正之 1) 外池克成 1) 村杉紀明 1) 村瀬利恵子 1) 冨山直樹 1)2)
一般社団法人びわこ薬剤師会びわこゼミナール 1)、
立命館大学薬学部 2)
【目的】
保険薬局における応需処方せん内容以外の相談を調査することにより、保険薬局が現状保健衛生の向
上にどのように寄与しているのかの検討の一助とするために、調査を実施した。
【方法】
(一社)びわこ薬剤師会管内の会員薬局(調査時 71 薬局)に対して、2014 年 3 月 10 日~16 日にか
けて FAX を送付し、アンケート調査を行い、28 薬局から回答があった。(回収率 39.4%)
【結果】
上記期間中の健康相談件数は1薬局当たり平均 5.4 件であった。相談時間としては、97.1%が 10 分
以内であった。相談者は、74.8%が本人であり、また、医療機関からの問い合わせも 7.8%あった。相
談を受けた際に薬歴を参照したケースは、全体の 48%という結果が得られた。相談内容で最も多かった
のが、サプリメント及び OTC と他の医薬品との併用の可否であり、次が OTC 薬の使用方法であった。
相談内容全体の 65%が OTC 及びサプリメントに関連する内容が占めていた。
【考察】
1薬局当たりの相談件数は平均で 5 件を超えており、仮に単純に応需処方せんをこの地域の平均の 50
枚/日とした場合、概ねその 10%に達している。この数字は、全国に置き換えて試算すると年間 8 億枚
の処方せんであれば、その相談件数は 8000 万件にも上る。今回の調査は小規模で単純比較は難しいも
のの、仮に応需処方せん以外でこれだけの相談に応えられているとすれば、保険薬局が健康情報拠点と
して、既に一定の役割を担っていると考えられる。今回の相談時間の結果を参考にすると、調剤とは別
に OTC やサプリメント等の相談時間を設ける場合には、10 分という時間が目安になることが推定され
た。また、相談の約半数に薬歴が利用されており、このことから保険薬局においては、薬歴を活用して
処方薬も含めたトータルなサポートが可能で、保健衛生への貢献度が高いことが示唆された。近年、調
剤主体の保険薬局における OTC やサプリメントの売上不振が伝えられているが、本調査の結果から、
保険薬局においては、単なる販売とは別の形で薬剤師等が大きく関与していることが示唆された。今後
さらに、こうした応需処方箋以外の質問内容を検討することにより、かかりつけ薬局化の指標としての
有効性も調査していきたい。
【キーワード】
保険薬局、OTC、保健衛生、相談
【脚注】
本発表は、第 27 回日本薬剤師会学術大会 2014 年大会及び日本社会薬学会第 33 年会 2014 年で発表
した内容を合わせて検討を加え、加筆修正したものである。
- 22 -
O-05
幼児・小児へのザナミビルネブライザー吸入投与の実態調査
いずみ薬局 [一般社団法人八幡蒲生薬剤師会]
○ 山村修士 田中忠信
【はじめに】
インフルエンザ感染症の治療薬には、現在 4 種類のノイラミニダーゼ阻害薬があり、ラニナミビル、
ザナミビル、オセルタミビルが主に使われている。しかし、概ね 4 歳以下の幼児では粉末吸入薬の使用
が困難であるため、2013-14 年シーズンにおいては 90%以上がオセルタミビルによる治療となってい
る。
一方で、一部の医療機関においては、オセルタミビルに対する耐性株の出現などを理由に、小児のイ
ンフルエンザ感染症患者に対して適応外の使用方法となるザナミビルネブライザー吸入を用いた治療
が行われている。
【目的】
当薬局で投薬したザナミビルネブライザー吸入治療(以下、本治療)の実態を調査するとともに、文
献的に考察し、本治療の有効性、安全性を評価する。
【方法】
当薬局において 2013-14 年シーズンにインフルエンザ治療薬が投与された患者の処方実態及び年齢
等を調査するとともに、文献調査に基づき、その有効性、安全性について考察した。なお、本治療では、
ザナミビル 1 回 10mg(2 ブリスター)を生理食塩水 3ml に溶解し、ジェット式ネブライザーによる吸入
を、1 日 2 回 5 日間行った。使用するネブライザーは、処方元クリニックより貸出した。
【結果】
当薬局において 2013-14 年シーズンにインフルエンザ治療薬が投与された患者は、375 名であり、
小児の患者は 369 名であった。そのうち本治療を受けた患者は、38 名(10.2%)であり、その年齢は 0 歳
7 ヶ月~9 歳 0 ヶ月であった。
【考察】
海外での臨床研究の結果から、ネブライザーによる単回吸入(3 か月~5 歳未満)とディスクヘラー®に
よる単回吸入(5 歳~9 歳)は、薬物動態が同等であること、および小児患者における薬物動態や安全性は
成人と同様であるとされている(Peng et al, Curr Ther Res, 2000)。また、国内の実臨床において、いく
つもの使用報告が散見される。
本治療に関して、安全性に関するエビデンスは蓄積されており、これらを基に近隣のクリニックで処
方がされていると考えられる。しかし、当薬局で使用している用法用量、すなわち成人と同じ用法用量
での本治療の使用報告は存在しない。そのため、本治療の有効性及び安全性に関して、今後、当薬局に
おいて適切な指標を用いて評価していきたい。
【キーワード】
インフルエンザ、ザナミビル、ネブライザー、小児
- 23 -
O-06
連携ツールとして手帳の利用方法を考える
-手帳啓発ポスター制作から地域連携パス研修会まで-
湖北薬剤師会
○馬場亮平 大森徹也 澤村 尚 竹下裕基 戸田真史 増田登美子
【はじめに】
現在、湖北地域の高齢化率は 26%を超え、既に超高齢社会となっている。2030 年には高齢化率は
29.8%に上ることが予想されており、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らしていくためには、今後
ますます地域での見守りの必要性が高まる。地域包括ケアでは、限られた人材や財源を有効に生かして、
薬局を含めた医療機関が相互に連携し、地域完結型医療の充実を図らなければならない。その中で、医
療だけでなく介護、保健との連携を実現する連携ツールとしてのお薬手帳の可能性について、多職種協
働で検討した。その結果と湖北薬剤師会の取り組みを報告する。
【事例】
湖北薬剤師会では、2014 年 3 月、お薬手帳持参率向上のため、市民への啓蒙ポスターを作成した。
お薬手帳は、医療従事者間で共通する重要な情報ツールであることから、医師会、歯科医師会に呼びか
けて、三師会連名で作成した。ポスターは湖北4病院、診療所、薬局に配布し、待合室や廊下に掲示さ
れた。
本年 2 月には「第 3 回地域連携パス研修会」を、新たに長浜米原地域医療支援センターの多職種連携
研修会として湖北薬剤師会が担当し、お薬手帳を連携ツールとして利用する方法について検討した。
【考察】
湖北薬剤師会の今回の取り組みは、湖北地域で統一した「地域連携パス」を作成する一歩となり、こ
れによって作成された「地域連携パス」は医療、介護、保健との連携を実現する重要なツールと成りう
ると考える。
【キーワード】
お薬手帳、連携ツール、地域包括ケア、多職種連携、地域連携パス
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O-07
薬局における検査値の必要性について
○ 小坂 公美
本宮調剤薬局 [一般社団法人大津市薬剤師会]
【はじめに】
近年、他府県において、処方せんに検査値を記載している病院が増えている。処方せんに検査値が記
載されると、今後の調剤や服薬指導に、どの様に役立つのか、薬局薬剤師の業務がどの様に変わるのか、
昨年の 9 月に大津市で開催された薬薬連携で、これらを考察する良い機会を得た。
今回、その時にまとめた内容について発表したい。
【内 容】
症例 ① : 通常量より少ない用量でファムビルが処方された、帯状疱疹・77 歳・男性
症例 ② : 自身の検査値を見て、CK 値の上昇を、薬局で訴えてきた、糖尿病・65 歳・男性
この 2 つの症例について、当薬局が実際に行った対応を振り返り、処方せんへの検査値記載の必要性
を考察し、そこから見えてくる「現状」と「今後の展望」、「今後の課題」についてまとめる。
調剤や服薬指導を行う上で、処方せんに検査値があったらな・・、と感じたことはありませんか?
- 25 -
O-08
高度な学術対応能力を持つ薬剤師の取り組み
○横井正之1) 村杉紀明1)
村瀬利恵子1) 外池克成1) 冨山直樹1)2)
(一社)びわこ薬剤師会びわこゼミナール1) 立命館大学薬学部2)
【はじめに】
薬学部が 6 年制になり、自ら課題を発見し、分析し、対策や計画を立て、結果を評価するという自律
的な学術対応能力を身につけた薬剤師が、社会的要請としても求められるようになってきた。こうした
中、薬学部教育においては、PBL と呼ばれる問題解決型学習がカリキュラムの 3 割に導入され、卒業研
究も必須となっている。これに対し、現場の薬局薬剤師には、知識面での各種研修の機会はあるものの、
PBL 型に対応する技能向上をする機会がほとんどないのが現状である。
【事例】
第 15 回日本医薬品情報学会学術大会における上記のような議論を踏まえて、薬局薬剤師が自律的な
学術活動を行う場として、2012 年 9 月にびわこゼミナールが発足した。概ね 2 ヶ月に 1 回程度の割合
でゼミを開催し、2014 年 12 月現在で 18 回開催した。成果としては、学術大会発表 11 回(滋賀県内学
術大会 2 回、近畿薬剤師学術大会 4 回、日薬学術大会 1 回、全国学会 4 回)
、投稿 4 報(滋賀県薬剤師
会誌)の発表を行うことができた。また県外からも注目され、CB ニュース、薬事日報に活動が掲載さ
れ、第 16 回日本医薬品情報学会及び第 46 回日本薬剤師会学術大会のシンポジウムでも活動が取り上げ
られた。
本ゼミナールでは、テーマ設定を行って、びわこ薬剤師会や滋賀県薬剤師会管内で調査を実際に行っ
たり、今日的な薬剤師の問題についてのデータ解析を行ったりして、薬局薬学の確立に向けて研究活動
を行っている。その他、症例検討や統計の講座なども行っている。
【考察】
薬学部が 6 年制になったことについて、特に、知識面のケアを気にする薬剤師が多いようであるが、
現実にはそれ以上に薬剤師の立ち位置や役割を見直す必要性に迫られている。びわこゼミナールが短期
間で一定の成果をあげることができたことや、取り組みそのものに対するマスコミや学会、大学関係者
の注目度は高く、こうした薬剤師養成に対する社会的なニーズを強く感じている。最終目標である、全
国誌以上の学術誌への掲載は 2015 年 1 月末時点で未達成であるが、今後こうした活動を広げていくこ
とが、薬剤師の役割が社会への啓発となり、薬剤師の地位確立には不可欠と考えている。
【キーワード】薬局 薬剤師 研究 学術大会 発表
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373
180
中会議室2
㎡
面積
大会議室
ロビー
場所
210
45
30
10:00
10:00
10:00
開
会
挨
拶
30
11:55
30
10:35
受 付
30
13:05
13:00
委員会・企業展示
13:05
ランチョンセミナー
「女性のライフステージから
みたホルモン療法」
草津総合病院
副院長 卜部 諭
12:05
12:00
ポスター掲示
特別講演
「教育現場からみた
薬剤師の資質」
立命館大学薬学部 教
授 土屋 友房
10:35
11:00
平成27年3月1日(日)
※ 口頭発表関係者は、13:45~14:00に中会議室2にて打合せがあります。
スクール
3人掛け
11×9.5m
スクール
3人掛け
15.5×22m
規模
形式
人数 30
9:00
第13回滋賀県薬剤師学術大会タイムスケジュール
14:10
14:00
ポスター発表
示説
13:20
30
14:25
14:25
30
口頭発表
ポスター掲示
15:00
15:00
15:55
15:55
閉
会
挨
拶
16:00
15:55
30
場所:コラボしが21・3階
作成:滋賀県薬剤師会 学術情報委員会
第 13 回滋賀県薬剤師学術大会 講演要旨集
平成 27 年 2 月 20 日発行
発行:一般社団法人滋賀県薬剤師会
〒525-0072 草津市笠山 7 丁目 4-52
TEL:077-565-3535 FAX:077-563-9033
編集:学術情報委員会