隠 ぺ い 行 為 を 是 正 す る 期 間 が あ る に も か か わ ら ず 是 正 す る

Λ裁 決事 例 研究 ∨
山 下
隠 ぺい行為を是正する期間があるにもかかわらず
是正する措置を採らなか った期間 に ついて、隠 ぺい行為 とし て
重加算税が課 された事例
は じ め に
告書 は隠 ぺ い仮 装 し た と ころ に基 づ き提出 さ れたも のと認 める のが相当 、 とした事例 であ る。
、
、
3 ぺ ぃ仮装 により生 じ た状 況 を是 正 す るた め の具体的 な方策 及び 措 置 を と った事実 は みと めら れず よ って 本件申
し て、請 求 人 は、本件 申 告書 を提出 す るま で に過少 の状 況 を是 正 し よう とす れば そ れが 可能 であ った のに、 上記隠
上 し た か ったも のであ り、 こ のことは隠 ぺ い仮 装 と評価 す べき行為 を行 って いたも のと認 め る のが相当 であ る、 そ
あ る整 備売 上げ の請 求書 とが別 葉 で収 受 の形態 が異 な る ことな ど の取引 の特 異性 を利 用 し、意 図的 に収 益 の額 に計
受 す る車検 費 用 の大半 が顧客 から の預 り金 であ る こと、 また車 検代 行手 数料 を請 求 す る請 求書 と主 た る事 業収 入 で
本事 例 は請求 人 は、車検 代行 手数料 が請 求 人 の益 金 の額 にな るも のであ る ことを十分 認識 し なが ら、 顧客 から収
学
I 事 実 関 係
最近 の重加算税 の賦課のあり方を考えてみるために、研究材料 に取り上げ てみた。
1 事 実
0 事 実 の概 要
本件 は、審 査請 求 人 ︵
請求人﹂とい>
︶ に対 し てさ れ た平 成 一二年 一二月 一日 から平 成 一三年 一 一月 二〇
以下 ﹁
つ。
争 点 2 本 件各 賦課決 定処 分 及び 異議 決定処 分 の手続 に違 法性 があ る か否 か。
仮装 し、 そ の隠 ぺ いし、 又 は仮 装 し た と ころ に基 づ き納税申 告書 を提出 し て いた とき﹂ に該当 す る か否 か。
納 税 者 が そ の国税 の課税標 準等 又 は税額 等 の計算 の基礎 とな る べき事実 の全 部 又 は 一部 を隠 ぺ いし、 又 は
定する ﹁
告書 ︵
本件各申告書﹂と いう。︶ の提出 は、 国税 通則 法 ︵
法﹂という。
以下 ﹁
以下 ﹁
︶第 六 八条 ︽重加 算税︾ 第 一項 に規
争点 1 釜
市求 人 の平成 一三年 一 一月期 の法人税 の確 定申 告書 及び 平成 一三年 一一月課税 期間 の消費 税等 の確 定申
部分︶ の取消 しを求 めた事 案 であ り、争 点 は次 の2点 であ る。
件各賦課決定処分﹂という。
︶ に ついて違 法 を理由 とし て、 そ の 一部 ︵
それぞれ過少申告加算税 に相当する金額を超える
︶ に係 る重加 算 税 の賦課決定 処 分 ︵
以下、平成 一三年 一一月期 の法人税 に係 る重加算税 の賦課決定処分と併 せて ﹁
う。
本
一一月期 と併 せて用 いる場合 は ﹁
平成 一三年 一一月期等﹂と いう。
︶ の消 費 税 及 び 地 方 消 費 税 ︵
以下 ﹁
消費 税等﹂と い
年 一二月 一日 から平成 一三年 一 一月 二〇 日 ま で の課 税 期 間 ︵
平成 一二年 一一月課税期間﹂と いい、平成 一三年
以下、﹁
日 ま で の事 業 年 度 ︵
平成 一三年 一一月期﹂と いう。
以下 ﹁
︶ の法 人 税 に係 る重 加 算 税 の賦 課 決 定 処 分 並び に平 成 一二
立正法学論集第40巻 第 2号 (2007) 184
0 基礎事実
。
次 の事実 は、請求人及び原処分庁 の双方 に争 いはなく、当審判所 の調査 によ ってもそ の事実が認 められる
、
請求人 は、原処分庁 が行 った平成 一六年 四月六日から の法人税 の今 回 の調査 にお いて 車検代行手数料 のうち
︶に行 ったも のに係 る金額
以下 ﹁
本件期間﹂といン
フ。
平成 一二年 一二月 一日から平成 一三年 四月 二〇日まで の間 ︵
ホ
。
新顧問税理士を代理人として、平成 一四年 一月二 一日 に本件各申告書を提出した
︶と顧問契約を締結 した。そし て、請求人 は、
以下 ﹁
新顧間税理士﹂という。
打 ち切 り、同年 一一月 にE税 理士 ︵
旧顧問税理士﹂という。
︶と の顧間契約 を
以下 ﹁
二 請求人 は、前 回調査終了後 の平成 一三年 六月初旬 にD税 理士 ︵
。
消費税等 に係 る重加算税 の各賦課決定処分及び過少申告加算税 の各賦課決定処分をした
なお、請求人はこれら の処分 に ついて不服申立 てを行 わなか った。
ハ 原処分庁 は、平成 一三年 五月 二九日付 で、前 回対象期間 に対応 する請求人 の各事業年度 の法 人税 の各更正処
分、重加算税 の各賦課決定処分及び過少申告加算税 の賦課決定処分並び に前 回対象期間 に対応する各課税期間 の
間 に対応する各課税期間 の消費税等 の各修正申告書をそれぞれ原処分庁 に提出した。
︶に計上漏れとな って いることなどを指摘 され、平成 一三年 四月 一九 日 に、前 回対象期
益金等の額﹂という。
下﹁
︶のうち平成 九年 一二月 一日 から平成 一二年 一一月
車検代行手数料﹂といン。
以下 ﹁
車検事務 に係 る代行手数料 ︵
,
以
︶に行 ったも のに係 る金額 が益金 の額 及び仮受消費 税等 の額 ︵
以下 翌削回対象期間﹂という。
二〇 日ま での間 ︵
︶にお いて、
以下 コ馴回調査﹂という。
口 請求人 は、原処分庁が行 った平成 一三年 二月 二七日から の法人税 の調査 ︵
︶が代表取締役を務 めて いる。
以下 ﹁
代表者﹂という。
場を有 し、C ︵
、
市求人 は、自動車整備業等を営 む同族会社 で、○○運輸局長 の指定を受けた指定整備 工場 いわゆる民間車検
イ 圭
隠ぺい行為を是正す る期間があるにもかかわ らず是正する措置を採 らなか
った期間について、隠ぺい行為 として重加算税が課 された事例 (山 下学)
185
四、 四九 四、○ ○○ 円 ︵
ただし、消費税等 の金額 二 一四、○○○円を含む。以下 ﹁
本件手数料収入﹂と いン
︶が益 金
つ。
等 の額 に計 上漏 れ とな って いると の原処 分庁 から の指 摘 及び修 正申 告 のし ょう よう を受 け、平成 一六年 六月 一五
日 に平 成 一三年 一 一月 期 の法 人税 及び 平成 一三年 一 一月 課 税 期間 の消 費 税 等 の各 修 正申 告 書 を提 出 し た ︵
以下
。
﹁
本件各修正申告書﹂と いう。︶
0 関係 法令
法第 六 五条 ︽
過 少申 告加 算 税︾ 第 1項 は、期 限内申 告書 が提 出 された場 合 にお いて、修 正申 告書 の提 出 又 は更
す る旨規 定 し て いる。
告加 算 税 に代 え、当 該基礎 とな る べき税額 に百分 の二十 五 の割合 を乗 じ て計算 し た金額 に相当 す る重加 算税 を課
当 該納 税者 に対 し、政令 で定 めると ころ により、過少申 告加算 税 の額 の計 算 の基礎 とな る べき税額 に係 る過少 申
お いて、納税者 が そ の国税 の課税標 準等 又 は税額 等 の計 算 の基 礎 とな る べき事実 の全 部 又 は 一部 を隠 ぺ いし、 又
、 そ の隠 ぺ い仮装 した と ころ に基 づ き納 税申 告書 を提 出 し て いた と き は、
は仮装 し ︵
以下 ﹁
隠 ぺい仮装﹂と いう。
︶
法第 六 八条 第 一項 は、法第 六 五条 第 一項 の規定 に該当 す る場合 ︵
同条第五項 の規定 の適用があ る場合を除く。︶ に
旨規 定 し て いる。
納付︶ の規定 により納 付 す べき税額 に百分 の十 の割 合 を乗 じ て計算 した金額 に相当 す る過 少 申 告加 算 税 を課 す る
正 があ った と き は、当 該納 税 者 に対 し、 そ の修 正申 告 又 は更 正 に基 づ き法 第 二 五条 第 二項 ︵
期限後申告等 による
イ
(2007)
立正法学論集第40巻 第 2号
2 各 当事 者 の主 張
。
そ れ にも か か わ ら ず 、 本 件 手 数 料 収 入 の修 正 を 行 って いな いこ と は積 極 的 な 故 意 が あ った と いわざ る を 得 な い
及び仮受消費税等勘定 ︶ に計 上 し て修 正 し 、 同 年 五 月 分 以 降 は正 規 の会 計 帳 簿 に計 上 し て いる
収 入勘 定 ︵
ホ 請 求 人 は、 前 回 調 査 に お け る車 検 代 行 手 数 料 収 入 の除 外 分 盆馴回対象 期間 の分︶ を 平 成 一三 年 四 月 二 四 日 に雑
。
いた 。
。
ハ 請 求 人 は、本 件手 数料収 入 を記載 した請 求書 の控 えを破 棄 し て いた
自賠責保険料、自動車重量税、車検代行費︶ の明 細 書 を破 棄 し て
二 請 求 人 は、代 表者 が立 て替 え て いる車 検 費 用 ︵
を管 理 し て いた。
、
口 請 求 人 は、本 件手 数料収 入 の額 を正規 の会計 帳簿 に記載 せず いわゆ る簿 外 現金 とし て請求 人 の代表者 が これ
本 件手 数料収 入 を計 算 す る こと は十 分可能 であ った。
︶ に記 載 し て おり、 こ の入場 表 から
入場表﹂と い>
つ。
以下 ﹁
市求 人 は、車 検整 備作業 の進 行管 理 を大 学 ノ ート ︵
イ 圭
賦課 す る ことは適 法 であ る。
。
、
① 平成 一三年 一一月期等 の益 金等 の額 に算 入 す べき本 件手 数料収 入 に ついて 次 の事 実 が認 めら れた
、
本 件各申 告書 は、 以下 の理由 から、請 求 人 が隠 ぺ い仮装 し た と ころ に基 づ き提出 し て いたも のであ る から 本 件
、
、
各修 正申 告書 の提出 によ る納 付 す べき税額 の増加 額 を基礎 とし て 法第 6 8条 第 1項 の規定 を適 用 し 重加 算税 を
① 原処 分庁 の主 張
る か否 か。
↓ 争 点 1 本件 各申 告書 の提出 は、 ﹁
隠 ぺ い仮 装 し た と ころ に基 づ き納 税 申 告書 を提 出 し て いた と き﹂ に該当 す
隠ぺい行為を是正す る期間があるにもかかわ らず是正する措置 を採 らなか
った期間について、隠ぺい行為 として重加算税が課 された事例 (山 下学)
へ 以上 のこと から、請 求 人 の行為 は隠 ぺ い仮 装 に該当 し、 こ の隠 ぺ い仮 装 し た と ころ に基 づ いて本件 各申 告書 を
数料収 受 の事実 を隠 ぺ い及び 仮装 しよう とし て いな い。
口 請求 人 は、 平成 一三年 五月 以降 は、車 検 代行 手数料 を請 求 人 の益 金等 の額 に適 正 に計 上 し ており、車 検代行 手
す る ことが でき る ので隠 ぺ いにはな らな い。
イ 請求書 の控 えを破棄 した事実 はな い。 また、請 求書 の控 えがな か った とし ても、他 の書 類等 で収 入金額 は確 認
① 本 件各申 告書 には、次 のと おり、隠 ぺ い仮 装 した と ころ の事実 はな い。
り消 す べき であ る。
よ って、本件各 賦課 決定処 分 は違 法 であ る から、 そ の 一部 ︵
それぞれ過少申告加算税相当金額︶を超 え る金額 を取
第 一項 が規定 し て いる場合 に該当 しな い。
本件各 申 告書 は、次 のと おり、請 求 人 が隠 ぺ い仮 装 した と ころ に基 づ き提出 したも のではな いから、法第 六 八条
② 請求 人 の主 張
であ り、請 求 人 の主 張 に理由 が な い。
③ 一
馴回 の更 正処 分等 に係 る更 正 の理由書 によ れば、本 件 手数料収 入 の計 上漏 れが含 まれ て いな いことが明 ら か
にはな らな い。
し たが って、 顧間税 理士 の変 更 及び そ の引 継ぎ が十分 でな か った ことをも って隠 ぺ い仮 装 の事 実 はな いと の理由
者 が し た申 告 の効 果、態 様 はそ のまま納税 者 の申 告 とし て取 り扱 われ る。
② 納 税者 が申 告手続 を税 理士等 の第 二者 に委託 した から と い って、納税 者自身 の申 告義 務 は免 れず 、 そ の第 二
提出 し て いた のであ る から、重加 算税 の賦 課要 件 を充 たし て いる。
立正法学論集第40巻 第 2号 (2007) 188
、
、
② 本 件 手数料収 入 が計 上漏 れ とな った のは 次 のことが原 因 であ り 隠 ぺ い仮装 により過 少申 告 し よう とし た
。
争点 2 本件各賦課決定処分及び異議決定処分 の手続 に違法性があ るか否 か
有 し て いな か ったも のであ る。
、
事情 によ り、結 果 とし て、本件 手数 料収 入が申 告 漏 れ とな ったも のであ る から 隠 ぺ い仮装 の事実 は本 件各 申 告書
、
を提出 し た時 には、 治癒 され て存 在 し な いも のと認 める べき であ り ついては請求 人 は過 少申 告 にな ると の認識 も
、
っ
③ 上記① 及び ② のと おり であ り、請求 人 は、仮 に い った ん隠 ぺ い仮装 により本 件 手数料 収 入を計 上 しな か
、
、
た事 実 があ った とし ても、上記① の 口のよう にそ の後 適 正 に申 告 し よう と努 め て いた と ころ 上記② のよう な
誤解 し た。
。
、
原処 分庁 も、代表 者 等 が誤解 し て いた ことは 理解 し た はず であ る
を平成 一三年 五月 二九 日 に受 け た ので、本 件手 数料収 入 を含 めたと ころ で原処 分庁 により是 正処 理 され たも のと
、
今後 計 上漏 れが な いよう に﹂ と言 われた上、更 正処分
口 請 求 人 及び代 表者 は、前 回調査 の際 調査担 当者 から ﹁
。
が漏 れ てし ま って いた試算表 を基 に平成 一三年 五月 分 から会計 処 理 を行 ってし ま った
も のではな い。
、
イ 新 顧 問税 理士 は、 旧顧 間税 理士 から請求 人 に ついて の税務 会計 事務 を引 き継 ぐ際 の不手際 で 本件 手 数料収 入
隠ぺい行為 を是正する期間があるにもかかわらず是正す る措置 を採 らなか
った期間について、隠ぺい行為 として重加算税が課 された事例 (山 下学)
明 しな け れば なら な い旨 を定 め ては おらず 、請 求 人 に対 し て事前 に重加 算税 が賦課 さ れ る旨 の説 明 が な か った こと
、
重加算 税 の賦課 要件 は、 法第 六五条 及び 同第 六 八条 に規定 され て いる と おり であ り 事前 に納 税者 に通知 又 は説
原処分庁 の主張
① ii)
を も って、本件各 賦 課決定処 分 が違 法 とな るも のではな い。
また、 ﹁
隠 ぺ い﹂ と は、納税者 が そ の意 思 に基 づ いて、特定 の事 実 を隠匿 あ る いは脱漏 す る ことを い い、 ﹁
仮装 ﹂
。
るも のではな いと解 され る ︵
最高裁昭和五九年 ︵
行 ツ︶第二〇 二号昭和六二年五月八日第 二小法廷判決︶
れば 足 り、 それ以上 に、申告 に際 し、納 税者 にお いて過少 申 告 を行 う こと の認識 を有 し て いる ことま でを必要 とす
た め には、納税 者 が故意 に隠 ぺ い仮装 し、 そ の隠 ぺ い仮装 の行為 を原 因 とし て過少申 告 の結 果 が発生 した も のであ
違 反 が事実 の隠 ぺ い仮装 と いう不 正 な方法 に基 づ いて行 わ れた場合 に、違 反者 に対 し て課 され る行 政 上 の措 置 であ
って、故意 に納税義 務違 反を犯 した こと に対 す る制裁 ではな いから、同第 六 八条 第 一項 によ る重加 算税 を課 し得 る
0 法第 六 八条 に規 定 す る重加 算 税 は、同第 六五条 な いし第 六七条 に規 定 す る各 種 の加算税 を課 す べき納 税義 務
隠 ぺ い仮 装 し た と ころ に基 づ き納 税申 告書 を提出 し て いた とき﹂ の解 釈
イ ﹁
か。
︶ に ついて
① 争点1 ︵
本件各申告書の提出は、﹁
隠ぺい仮装したところに基づき納税申告書を提出していたとき﹂に該当するか否
請求棄却、平成 一七年 六月 一五日裁決、裁決事例集 ヽ六九、 三 一頁﹀
︿
H 審 判 所 の判 断
れ ておらず 、 こ のよう な 瑕疵 あ る異議 決定書 と 一体 であ る本 件各 賦課決 定処 分 は取 り消 され る べき であ る。
② 異議 決定 書 にお いても、本 件手 数料 の収 入計 上漏 れが隠 ぺ い仮装 に該当 す ると いう 具体的 事実 が明 ら か にさ
0 本件 手数料収 入 の計 上 漏 れ に ついて、重 加算 税 が賦 課 され る理由 の説 明を 一切 受 け て いな い。
② 請求 人 の主 張
立正法学論集第40巻 第 2号 (2007) 190
とは、納税者がそ の意思 に基づ いて、特定 の所得、財産ある いは取引上 の名義 を装う等事実をわ い曲するも のと解
検整備﹂等 と表示して いた。
、﹁
、﹁
乗用車車
小型車検整備﹂
中型車検整備﹂、﹁
大型車検整備﹂
3︺欄 に ﹁
な お、車検 の場合 は、当該入場表 の ︹
﹁
済﹂印を記載 して いた。
、
請求人 は、顧客 の車両が工場 に入庫 されると、作業 の管理 のため、本社事務室内 の机上 に備 え付けた入場表 に
5︺
4︺請求 人 の整備 工場 への入出車 の日付、 ︹
3︺不良箇所 又 は作業内容、 ︹
2︺車両番号、 ︹
1︺顧客名、 ︹
︹
A 作業 の管 理
口 認定事実
。
原処分庁、請求人 から提出 された証拠資料及び当審判所 の調査 によれば次 の事実が認 められる
、
0 請求人は、車検を請け負 った場合、顧客 から車検代行手数料を受領し て いるが、 これ に係 る取扱 いは 請求
。
、
人 の益金等 の額 への算入 の有無を除 けば、少なくとも前 回対象期間 から現在 まで 次 のとおり である
これを本件 に ついてみると、次 のとおり であ る。
、 隠 ぺい仮装 し
少 と いう形 の申告が行われたときは、過少申告を行う こと の意思及び認識 の有無 にかかわりなく ﹁
。
たところに基づき納税申告書を提出し ていたとき﹂ に該当するも のと解 する のが相当 である
装 により課税標準等 又は税額等が過少 とな ったところ、納税者がそ の過少 とな った状況をある べき正当 な状況 に是
、
、
正するため の方策ある いは措置を納税申告書を提出するまでに具体的 に実行 せず そ の結果 納付す べき税額 の過
される。
、
、
0 したが って、納税者が特定 の事実 を隠匿あ る いはわ い曲するなど 隠 ぺい仮装 の事実があり この隠 ぺい仮
隠ぺい行為を是正す る期間があるにもかかわ らず是正する措置 を採 らなか
った期間について、隠ぺい行為 として重加算税が課 された事例 (山 下学)
191
B 顧客 に対する請求
、請求書、領収書のためのもの︶の書類を使 用し、顧客 から
請求人は、請求人名義 の3枚複写 の様式 ︵
請求書 ︵
控︶
0 圭
市求人 は、上記0 のBのとおり顧客 から受領 して いた車検代行手数料 に ついて、前回対象期間 から本件期間
検代行手数料 を含 んだ対応 する仮受金を代表者 に支払う。
請求人は、代表者 により立替払 いされた金員 に ついて、明細表を作成 した上、月 一日程度 そ の精算 の名目 で、車
納付及び自賠責保険料 の支払が必要 であ ることから、代表者 は手許資金 から立替払 いをする。
検費用 に相当する金額を仮受金勘定 で経理処理する。 この場合、当該請求 に先立 って車検 と同時 に自動車重量税 の
車検整備費等 の請求額 と併 せて車検費用を請求することから、請求人は、当該請求 により受領した金員 のうち車
︹
2︺車検終了後 に車検費用を請求する場合
数料を代表者 の手許 に残す。
代表者 は、保管 し ていた金員 から自動車重量税を国 に納付し、自賠責保険料を保険会社 に支払うが、車検代行手
請求人 は、請求書及び領収書を顧客 に発行 し、受領した金員 に ついては代表者が保管 する。
︹
1︺車検を請け負 った際 に車検費用を請求し受領する場合
請求 と併 せて請求する場合があ る。
なお、車検費用は、 ︹
1︺車検を請け負 った際 に請求し受領する場合 と、 ︹
2︺車検終了後 に車検整備費等 の売上
用﹂といい
︶を顧客 に請求する。
つ。
預 かる自 動車損害賠償責任保険契約 又は自 動車損害賠償責 任 共済契 約 に係 る保険料 ︵
以下 ﹁
自賠責保険料﹂と い
、自動車重量税及び請求人 の収益 である車検代行手数料 ︵
︶
う。
以下、自賠責保険料及び自動車重量税と併せて ﹁
車検費
立正法学論集第40巻 第 2号 (2007) 192
。
にわた って、その収受 の事実を請求人 の帳簿 に計上せず、また益金等 の額 に算 入しな か った
、
い 代表者 は、平成 一三年 四月 二四日 に保有 する金員 から 前 回調査 にお いて指摘 された車検代行手数料収入 の
認めるのが相当 である。
、
0 ところで、請求人は、請求書 の控えを廃棄 した事実 はなく、 また、請求書 の控 えがなか ったとしても 他 の
い そうすると、請求人は、本件期間 に ついて、上記 のとおり隠 ぺい仮装 と評価す べき行為を行 って いたも のと
数料 に係 る取扱 いに ついて、前 回対象期間末 から前 回調査 が終 了するま での間 にほぼ相当 す る本件期間 にお いて
。
も、前回対象期間 と同じく、やはりこれを益金等 の額 に計上せず、本件各申告書を提出 した
、
、
0 そして、原処分関係資料及び当審判所 の調査 によれば、請求人は 上記 口の0及びい のとおり 車検代行手
び重加算税 の賦課決定処分等を受けたも のであ る。
、
、
求人 の経理処理 に反映 することなく、益金等 の額 に計上しな か ったも ので このこと に つき 法人税 の更正処分及
げ の請求書 とが別葉 で収受 の形態が異なることなど の取引 の特異性を利用し、意図的 に、 これを収受した事実 を請
用 の大半が顧客 から の預り金 であ ること、また車検代行手数料を請求する請求書 と主たる事業収入 である整備売上
、
、
削回調査 に係 る原処分庁 の関係資料及び上記 一の③ の 口及び上記 口の事実 から みると 請求人は 前 回対象
0 一
、
期間 にお いて、車検代行手数料が請求人 の益金等 の額 になるも のであることを十分認識 しながら 収受する車検費
ハ 隠 ぺい仮装 の事実
、
成 一三年 一一月期 の雑収 入 の金額 に五、 八九〇、七六 二円を 平成 一三年 一一月課税期間 の仮受消費税等 の額 に二
。
、
九四、五三八円を、 それぞれ計上した。 しかし、本件手数料収入 に関 する金額 に ついては 計上しな か った
、
、
一八五、三〇〇円を、○○信用金庫〇〇支店 の請求人名義 の当座預金 口座 に戻 し入れ 請求人は 平
脱漏金額六、
隠ぺい行為を是正す る期間があるにもかかわ らず是正する措置 を採 らなか
った期間について、隠ぺい行為 として重加算税が課 された事例 (山 下学)
193
ホ と ころ で、請 求 人 は、本 件手数 料収 入が申 告 漏 れ とな った のは、 ︹
1︺顧 問 税 理士 の変 更 の際 の引 継 ぎ に係 る
た と ころ に基 づ き提出 さ れたも のであ ると認 め る のが相当 であ る。
したも のであ ると認 めら れ る から、重加 算税 の賦 課要件 に関 す る判断 に当 た っては、本 件各申 告書 は隠 ぺ い仮装 し
0 し たが って、請 求 人 が行 った隠 ぺ い仮装 は、本件各申 告書 の提出 をも って具体 的 に納 税額 の過 少額 をも たら
じ た状 況 を是正 す るた め の具体的 な方策 及び措 置 を と った事実 は認 めら れな い。
し かしな がら、当 審判 所 の調査 によ っても、請 求 人 が本 件各申 告書 を提出 す るま で にこれら隠 ぺ い仮 装 により生
方 法 など があ ると考 えら れ る。
当 分 の益金 等 の額 を振 替伝 票あ る いは修 正仕 訳等 によ り決算書 上計 上 す る方 法 、同 じく税 務 調整 にお いて加算 す る
とし て いた と ころ、請求 人が本 件各申 告書 を提出 す るま で に当 該過 少 の状 況 を是 正 しよう とす るな ら、当該 過少相
0 上記 ハのと おり、請求 人 は、隠 ぺ い仮装 により、本 件 手数料収 入 を益金 等 の額 に計 上 せず 課税標 準 等 を過少
︸
一
本 件各申 告書 の提 出
し かし な が ら、本 件 で は、請 求 人 はま さ に本 件 各 賦課 決 定 処 分 が対 象 とす る本 件 期 間 の車 検 代 行 手 数 料 に つ い
て、隠 ぺ い仮装 を行 ったも のであ る から、請求 人 の主張 は理由 が な い。
の収 受 の事実 を隠 ぺ い仮装 し て いな いと主 張 す る。
い また、請 求 人 は、平成 一三年 五月以降 は、車検 代行 手数料 を請 求 人 の益 金等 の額 に適 正 に計 上 し ており、 そ
書 類等 で収 入金額 等 が確 認 でき る ので隠 ぺ いにはならな い旨 主張 す る。
し かしなが ら、仮 に請求 人 が当 該請 求書 そ れ自 体 を廃 棄 し た事実 が なく、他 の書 類等 で収 入金額 が確 認 でき る か
ら と い って、上記 の請 求 人 の行 為 に関 す る判 断 が左右 さ れ るも のではな い。
(2007) 194
立正法学論集第 40巻 第 2号
不手 際 及び ︹
2︺前 回調査 の更 正処 分等 の金額 に本 件 手数料収 入相当額 が含 ま れ て いると の誤解 から であ り、請求
基 づ き それぞ れ行 われ ており、個 々 の処 分 であ ると認 める のが相当 であ る から、異議決 定処 分 と本 件各 賦 課決定処
異議 決定 処分 は法第 八 四条 ︽決定 の手続 等︾ に基 づ き、本 件各 賦課決 定 処分 は法第 32条 ︽賦課決定 ︾ の規定 に
口 異議 決定 処 分 と本 件各賦 課決定 処 分
い。
はな いから、調 査 担 当 者 等 が処 分 理由 を説 明 し な か った とし ても、本 件 各 賦 課 決定 処 分 が違 法 と な るも の では な
重加 算税 の賦 課決定 処 分 を行 う に当 たり、納 税者 に処 分 理由 を事前 に説 明 を しな ければ なら な い旨 を定 めた規定
イ 重加算 税 の賦課 決定 処分 の手続
② 争点 2 ︵
本 件各 賦 課決定 処 分及び 異議 決 定処 分 の手続 に違 法性 があ る か否 か︶ に ついて
し たが って、請求 人 の主 張 は いず れも理由 がな い。
つ。
2
相 当 額 の益 金 等 の額 が計 上 さ れ て いな か った 以 上、隠 ぺ い仮 装 が 治癒 し た状 況 に至 って いな いこと は明 ら か であ
また、請求 人 が隠 ぺ い仮 装 は治癒 された と主 張 す る点 に ついても、本 件各申 告書 が提 出 され る時 に本件 手数 料収 入
と いう推 測 と仮定 の域 にあ るも のにすぎ な いから、本 件各申 告書 の提 出 の合 法性 を裏 付 け るも のと はな り得 な い。
し かしなが ら、請求 人 が原 因 とす る事由 は、飽 く ま でも、当 該事 由 が な け れば 請求 人 は適 正 に申 告 した であ ろう
仮装 は治癒 さ れ て いるから、本 件各申 告書 は隠 ぺ い仮装 に基 づ いて提出 さ れたも のではな いと主張 す る。
人 は本件 期間 経過 後 の車検 代行 手数料 に ついて適 正 に計 上 す るなど過少 申 告 を しよう とす る意 思 は消滅 し、隠 ぺ い
隠ぺい行為 を是正す る期間があるにもかかわ らず是正する措置 を採 らなか
った期間について、隠ぺい行為 として重加算税が課 された事例 (山 下学)
分 が 一体 であ るとし た請 求 人 の主 張 は、 そも そも前 提 を欠 く も のであ る。
195
国税 に関する処分 に ついての不服申立 て︾ に規定する不服申立 てに対して
また、異議決定処分 は、法第七五条 ︽
を も って重加算 税 が課 さ れ る のではな いかと の不安 もあ った。
、
右記 通達 が公開 された こと により重加 算税 の賦課 基準 も例 示 され、 不利 益処 分 が課 され る前 に弁 明 す る ことも
隠 ぺ い 。仮装 ﹂を行 った認識 が なく とも、非違 のあ った所得 金額 が多額 であ れば 、 それ
待 つのみ であ った。自 ら ﹁
う。 これま で、加算 税 の賦 課決 定 が課税庁 の 一方的 な処 分 と いう こと から、納 税者 はど のよう な認定 が な さ れる か
起
当 局 におけ る法 人税 の重 加 算 税 の賦 課 に関 す る取扱 基 準 の整 備 。周知 等 を図 っ こと は まだ記 憶 にあ るも のと思
事 務 運営指針 と を発遣 ・公表 し、税務
法 人税 の重加 算 税 の取扱 いに ついて ︵
平成 一二年 七月 三日、 国税庁 は、 ﹁
1 は じめ に
Ⅲ 研 究 ⋮ ⋮ 裁 決 に 反 対
は認 められな い。
0 原処分 のそ の他 の部分 に ついては、当審判所 に提出 された証拠資料等 によ っても、 これを不相当 とする理由
③ 以上①及び② のとおり、本件手数料収入 の申告漏れ に基因して生ず る本件各修正申告書 の納付す べき税額 の
。
増加額 を基礎 として法第 六八条を適 用し重加算税を賦課した本件各賦課決定処分 は適法 と認 められる
分 に ついての瑕疵 の有無 は、そもそも審査請求 の理由 とはなり得な い。
したが って、請求人 の上記主張 は、その余 の点 に ついて判断するまでもなく、採用 できな い。
の処分 で、法第七六条 ︽不服申立 てが できな い処分︾ に規定 する審査請求が できな い処分 であ るから、異議決定処
立正法学論集第40巻 第 2号 (2007) 196
また賦課決定が行 われた後も異議申立等 の不服審査や訴訟 にお いての争点が明確化された。 そこで、 まず、重加算
税 と改 められ、重加算税 と他 の加算税 は併課 されず に、他 の加算税 に代え て重加算税を課し又は徴収 する制度 とな
って、そ の率 も五〇% から三〇% ︵
無申告加算税又は不納付加算税 の課税要件 に該当する場合は三五%︶に改 めら れ
昭和 三七年 に国税通則法が制定 され、加算税額 は同法 に統 一的 に規定し、加算税 とな った。重加算税額 は重加算
算税額 との併課はなか ったが、無申告加算税、源泉徴収加算税 とは併課 されて いた。
は、隠 ぺい又は仮装した事実 にかかる税額 の五〇%相当額 を本税 に附加 された。そし て、重加算税額 と過少申告加
額 ととも に重加算税額が設けられ、 これらは所得税法や法人税法等 の各税法 に個別 に規定 されて いた。重加算税額
改正 にお いて、加算税額制度 に改正された。過少申告加算税額、無申告加算税額、軽加算税額及び源泉徴収加算税
現在 の加算税制度 の前身 として昭和 三二年 に追徴税制度が創設 されたが、昭和 二五年 のシャウプ勧告 による税制
これら の加算税 に代 えてより大 き い税負担を与えるも のである。
が、重加算税 は、隠 ぺい行為や仮装行為 と い った いわば悪質な行為 によ って納税を適正 に履行 しな い者 に対 して、
、不納付加算税 ︵
、無申告加算税 ︵
同法六七条︶が定 められ て いる
同法六六条︶
ほか、過少申告加算税 ︵
同法六五条︶
税負担を加重すること によ って適正 に納税する者 とそう でな い者 と の権衡を図 っている。加算税 には、重加算税 の
泉徴収制度を含む︶を確保 するために、納税義務を適法 に履行しな い者 に対し本税 とは別個 に賦課決定処分を行 い、
。加算税 は、適正な申告納税制度 ︵
源
通則法六八条︶
重加算税 は行政罰とし ての附帯税 たる加算税 の 一つであ る ︵
2 重加算税 の意義と沿革
税 の賦課 にかかる事例ご と の対応策等を見る に先立 ち、重加算税制度 の本質を考えてみた い。
隠ぺい行為 を是正する期間があるに もかかわ らず是正する措置 を採 らなか
った期間について、隠ぺい行為 として重加算税が課 された事例 (山 下学)
197
(2007) 198
た。 そ の後 、 昭和 六 二年 に加 算 税 の割 合 が 5% 引 き上げ ら れ、 現在 に至 って いる ことは周知 のと おり であ る。
重加 算税 を含 め、加 算 税 の税 目 は、 そ の加 算 税 が課 され る べき原 因 とな る、 即 ち加算 税 の計算 の基 礎 とな る国税
。
の税 目 に属 す る こと とさ れ て いる ︵
通則法六九条︶
3 重 加算 税 の課税 要件
重加算 税 が課税 され る要件 は、0過 少申 告加算 税 、無申 告加 算 税 又 は不納 付加算 税 が課 さ れ、 又 は徴収 され る要
な る べき事 実 の全 部 又 は 一部 を隠 ぺ いし、 又 は仮 装 しL とは、
即 ち、 通達 に いう ﹁
通則 法第 六 八条 第 一項 又 は第 二項 に規定 す る ﹃
国税 の課税標準 等 又 は税額 等 の計 算 の基礎 と
干 クリ ア にし て いる。
か にされ て おらず 、 も っぱ ら解 釈 と判例 によ って運 用 され てき た。 今次 の取扱 通達 は、例 示 とは いえ、 こ の点 を若
断 であ る。重加 算税 の課税要件 であ る事実 の隠 ぺ い又 は仮 装 に つき、 いかな る事実 が そ れ に該当 す る か法令 で明 ら
税務 調査 にかかる重加 算税 の賦 課 に際 し てまず ト ラブ ルの原 因 とな る のが、隠 ぺ い 。仮 装 に該当 す る か否 か の判
① 隠 ぺ い ・仮 装 行為
4 隠 ぺ い又は仮 装
、 若 しく は③ 法定納 期限 ま で に納 付 しな か った こと ︵
書 を提出 し ︵
同条 二項︶
同条三項︶ であ る。
、 若 し く は② 法定 申 告 期 限 ま で に納 税 申 告 書 を提 出 せず 又 は期 限後 に納 税 申 告
て① 納 税 申 告書 を提 出 ︵
同条 一項︶
、②納 税者 が事実 の全部 又 は 一部 を隠 ぺいし、 又 は仮 装 し た と こ ろ に基 づ い
件 に該当 す る こと ︵
通則法六八条各項︶
立正法学論集第 40巻 第 2号
① いわゆる二重帳簿を作成し て いること。
② 次 に掲げ る事実 があ ること。
・帳簿、原始記録、証 ひょう書類、貸借対照表、損益計算書、勘定科目内訳明細書、棚卸表そ の他決算 に関係
のある書類を、破棄 又は隠匿 して いること
、帳簿書類 への虚偽記載、相手方と の通謀 による虚偽 の証 ひょう
・帳簿書類 の改ざ ん ︵
偽造及び変造を含 む。︶
書類 の作成、帳簿書類 の意図的な集計違算 そ の他 の方法 により仮装 の経理を行 って いること
。帳簿書類 の作成 又は帳簿書類 への記録をせず、売上げ そ の他 の収 入 の脱ろう又は棚卸資産 の除外をしている
こ と
③ 特定 の損金 算 入 又 は税額 控 除 の要件 とさ れ る証 明書 そ の他 の書 類 を改ざ んし、 又 は虚 偽 の申 請 に基 づ き当 該
され て いな いこと。
② 取引 の慣行 、 取引 の形態 等 から勘案 し て通常 そ の支出 金 の属 す る勘 定科 目 とし て計 上 す べき勘 定科 目 に計 上
① 帳簿 書類 の破棄 、隠 匿、 改ざ ん等 があ る こと。
ま た、使途 不 明金 及び使途 秘 匿金 の にかかる不正 の取扱 いに ついては、
分割 す る等 によ り非 同族会 社 とし て いる こと。
0 同族会 社 であ る にも か かわらず 、 そ の判定 の基礎 とな る株 主 等 の所有 株式 等 を架空 の者 又 は単 な る名義 人 に
Q 簿 外資 金 をも って役 員賞与 そ の他 の費 用 を支出 し て いる こと。
0 簿 外資 産 に係 る利息収 入、賃貸 料収 入等 の果実 を計 上 し て いな いこと。
書 類 の交付 を受 け て いる こと。
隠ぺい行為を是正する期 間があるにもかかわ らず是正する措置を採 らなか
った期間について、隠ぺい行為 として重カロ
算税 が課 された事例 (山 下学)
② 隠 ぺ い ・仮 装 行為 の故意
1 の事実 に ついては、税務 調査 におけ るそ の不正 の発 見 の難 易 によ って認定 され る べきも のではな い。 ここで、
問題 とな る のは、 上記事実行 為 によ り税額 を免 れ よう とす る故 意 が必要 か否 か であ る。 即 ち、重加算 税 の課税要件
であ る隠 ぺ い 。仮装 に、租 税 を通 脱 す る目的 若 しく は過少 に申 告 す る こと の認識 を要 す る かどう かと いう 見解 に つ
義 務 、 即 ち、 そ の内容 を なす所得 の存在 に ついて の認識 が必要 であ り、 さら に、偽 り そ の他 不正 な行為 に該当 す る
構成 要件 的故 意 ﹂ 即 ち犯意 が必要 であ る こと は いう ま でも な い。 そ れ は、納 税
事 犯 であ り、犯 罪 を構成 す る には ﹁
思 う に、 これら の論議 は租税 適 脱犯 の故意 と混同 し た議 論 が多 いのではな かろう か。 即 ち、租税 適 脱犯 は行政刑
一部 を免 れ る行 為 を い﹂ う とす る。
あ る計 算 の基礎 とな る事実 を隠 匿 し、 又 は作為 的 に虚 偽 の事実 を付加 し て調査 を妨げ るな ど、納税義 務 の全 部 又 は
日判 決 ︵
隠 ぺ い ・仮 装 ﹄ と は、脱 税 す る目 的 を も って、故 意 に納 税義 務 の発生 原 因 で
税資 一△ 二号三六四頁︶は ﹁﹃
積極 説 は、 脱税 目的 をも って隠 ぺ い o仮装 行 為 があ る ことが必要 であ るとし、例 えば大 阪高 裁平成 二年 四月 二四
のではな いと解 す る のが相当 であ る﹂ と判 示 し て いる。
足 り、 そ れ以上 に、申 告 に際 し、納 税者 にお いて過 少申 告 を行 う こと の認識 を有 し て いる こと ま でを必要 とす るも
実 の全 部 又 は隠 ぺ いし、 又は仮装 し、 そ の隠 ぺ い、仮装 行為 を原 因 とし て過 少申 告 の結 果 が発生 したも のであ れば
重加算 税 を課 し得 るた め には、納 税者 が故意 に課税標 準 等 又 は税額 等 の計算 の基礎 とな る事
す る。 最高 裁判決 も ﹁
要 求 さ れ て いな いと解 し て いる。 即 ち、隠 ぺ い ・仮装 があ り、 か つ結 果 とし て過 少申 告 な ど の事実 があ れば よ いと
消 極説 は、 不正行 為 が客観 的 に隠 ぺ い ・仮装 と判断 できれば 足 り、税務 署 長 にお いて納 税者 の故意 の立 証 ま では
き争 いがあ る。
立正法学論集第40巻 第 2号 (2007)
一方、重加算税 の賦課 は、脱税防止 のための刑
事実 の認識、及び適脱結果 の発生 の認識が必要 と いう ことである。
ていることが確認 されたとき。
① 士
冗上げ等 の収入 の計上を繰り延 べて いる場合 にお いて、そ の売上げ等 の収入が翌事業年度 の収益 に計上され
行為 が相手方と の通謀 又は証 ひょう書類等 の破棄、隠匿若しくは改ざ ん によるも の等 でな いときは、帳簿書類 の隠
匿、虚偽記載等 に該当 しな い﹂ として いる。
次 に掲げ る場合 で、当該
帳簿書類 の隠匿、虚偽記載等 に該当 しな い場合﹂ とし て、﹁
通達 では、不正事実 たる ﹁
③ 仮装 ・隠 ぺ いに当たらな い場合
のは当然 のことと いえよう。
客観的 に︶発見 された場合、重加算税 が賦課 される
従 って、上記通達 に掲げ る事実を現実 に行 い調査 にお いて ︵
に、隠 ぺい、仮装 と評価す べき行為が存在し、 これ に合 わせた過少申告がされたことを要 する﹂とし て いる。
納税者 のした過少申告行為そ のも のが隠 ぺい、仮装 に当 たると いうだけでは足りず、過少申告行為そ のも のとは別
重加算税を課 するため には、
民集四九巻四号 一一九二頁、裁判所時報 一一四六号 一頁︶は、﹁
成七年 四月 二八日判決 ︵
二小︶平
いう べき である。即ち、刑事犯 における犯意 と行政罰 における故意 とは区別 することを要 する。最高裁 ︵
税 に向 けられた主観的意図即ち租税 の適脱 の故意 ではなく、隠 ぺい 。仮装行為を企図し実行すること自体 であ ると
少申告行為等 であ ることが必要 であろう。換言すれば、重加算税 の賦課要件 として故意 は必要 であるが、それは脱
て不正行為 とみられる要素、即ち、客観的 にみて税を不正 に免 れようとする外部的付随事情を具備したところの過
申告若しくは期限後申告をし、無申告 であ ること自体が直 ちに重加算税 の賦課要件 となるのではなく、外形的 に見
事罰 ではな いから、どれだけ の税額を免 れようとする故意 までは不要 であ る。そして、隠 ぺい ・仮装 があ って過少
隠ぺい行為 を是正する期間があるにもかかわらず是正す る措置を採 らなか
った期間 について、隠ぺい行為 として重加算税が課 された事例 (山 下学)
201
② 経費 ︵
原価 に算 入 される費 用を含 む。︶ の繰 上計 上 を し て いる場 合 にお いて、 そ の経 費 が そ の翌事 業 年 度 に
支 出 された ことが確 認 された とき。
③ 棚 卸資産 の評価換 え により過 少 評価 をし て いる場合 。
0 確 定 し た決 算 の基礎 とな った帳 簿 に、交 際費 等 又 は寄 附金 のよう に損 金 算 入 に ついて制 限 のあ る費 用 を単 に
の発覚 を 防 ぐ た め に費 目 を仮 装 す る行 為 な ど では納 税 者 本 人 の行 為 と同 視 す る こと は酷 であ る と す る説 な ど が
でな い場合 で仮 装行 為者 の利 益 のた め に行 わ れた場合 には ふ かす べき でな いとす る説 や、例 えば 行為者自 身 の横領
一部消 極 説 は、従業 員 の地位 及び 状 況 を勘案 し、納 税者 と同 一利害 集 団 にあ る場合 には重加 算税 を課税 し、 そう
者 本 人 か否 かはあ まり重要 な要素 ではな い﹂ とす る考 え に基 づく。
によ る租税 徴収 兼 の侵 害行為 の事実 ︱中 略 ︱があ れば 賦課要 件 を充 足 し、隠 ぺ い又 は仮装 行為 の実 行行 為者 が納 税
者 の認識 の如何 にかかわらず 、 該当 す ると す る。 こ の見解 は、 ﹁
重 加 算 税 は行 政 上 の措 置 であ り、従 って不 正手 段
納税 者 の知 不知 にかかわらず 賦課要 件 は充 足 され るとす る。 ま た、納 税者 の代 理人 が仮 装行 為 を した場合 も、納 税
積 極説 は、隠 ぺ い又 は仮装 の行為者 は納 税者 本 人 の行為 に限定 されず 、 そ の従業 員 や家族 等 が行 った場合 にも、
極説 があ る。
隠 ぺ い又 は仮 装 行為 を納税者 以外 の者 が行 った場合 に重加算 税 の賦課要 件 に該当 す る か に つき、積 極説 と 一部消
① 納税 者 以外 のも のが 行 った隠 ぺ い ・仮 装
申 告行 為等 ではな い場合 、隠 ぺ い、仮 装 と評価 す べき行 為 ではな い場合 を 示 したも のと いえ る。
かかる例 は、 これら の行為 が、客観 的 にみ て税 を 不正 に免 れよう とす る外部的付 随事 情 を具備 した と ころ の過 少
他 の費 用科 目 に計 上 し て いる場合 。
立正法学論集第 40巻 第 2号 (2007)
号 二 三ハ頁︶ では、納 税 者 本 人 に隠 ぺ い ・仮 装 行 為 に
判例タイムズ七工
全一
あ 犯。大 阪高 裁平成 三年 四月 二四日判決 ︵
の取消 しが な されな いも のと解 す べき であ ろう。
き ではなく、青色 申 告 承認制度 の本 質 に鑑 みれば 、違 法性 の少 な い、信頼 性 の欠如 の回復 が容 易 な者 に限 って承認
て いる ので、 取消権 の行使 は税務 署長 の裁 量行為 と解 す べき であ る。 ただ、 ま ったく税 務 署長 の自 由 裁量 と解 す べ
色申 告 の承認 を取消 さな ければ な ら な いのではな く、 同条 項本 文 は ﹁そ の承認 を取 り消 す ことが でき る﹂ と規定 し
由 の 一つとし て挙げ て いる ので、 両者 の関係 が問題 とな ろう。 し かしな が ら、隠 ぺ い ・仮装 行 為 があ れば直 ち に青
法人税 法 一二七条 一項 は青色 申 告 の承認 の取消 しを規定 し て いるが、 同条 項 三号 では隠 ぺ い ・仮装 行為 を取消事
③ 隠 ぺ い ・仮装 と青 色申 告 の承 認 取消 し と の関 係
事 情 ﹂ を具備 し たも のと解 す べき であ る。
外 部的付 随
れよう とす る所得 を過少 に申 告 す る積 極的 な意 図 と、 そ の意 図 が外 部 からも伺 いう る特 段 な行 動 即 ち ﹁
のよう な代 理人 の行 った行為 に ついては、納 税者 は法 人 であ る から、当 該 法 人 にお いて客観 的 にみ て税 を不 正 に免
知 ら な い場合 に ついてであ ろう。 こ の場合 に ついても、原 則 とし て、法 人 の役 員 や社員等 の関 係者 あ る いは税 理士
外部的付 随事 情﹂ とし て、重加 算税 の賦 課要件 を充 足 す るも のと解 す る べき であ る。問題 は、納 税者 が
為自 体 が ﹁
隠 ぺ い ・仮装行 為 を納税者 以外 の者 が行 って、納 税者 が そ れを知 って いた場合 には、知 って いて見逃 し て いる行
る こと は相当 ではな い、 とす る。
期待 可能 性 ﹂ が な い場合 には重加算 税 を課税 す
かかる故意 もなく か つ不 正申 告 を し た ことも知 らず 、刑 法 で いう ﹁
隠ぺい行為を是正する期間があるにもかかわ らず是正する措置 を採 らなか
った期間について、隠ぺい行為 として重加算税が課 された事例 (山 下学)
5 つま み申 告 と置加算 税
近時 、実 務 上 にお いて、確 定申 告額 と実 際 の所得額 と の間 の格 差 が大 き いとき に、隠 ぺ い又 は仮 装行 為 がなく と
も重加 算税 が賦 課 さ れ る ことがあ る。 いわ ゆ る ﹁つま み申 告﹂ と いう、内容虚 偽 の過 少申 告書 を提 出 し、納税 す る
対象 と され るわけ ではなく、 つま み申 告 が ﹁こと さら の過 少申 告﹂ に該当 す る場合 に重加 算税 対象 とな るも のであ
従 って、 つま み申 告 と ﹁こと さら の過少 申 告 ﹂ は必ず しも同義 ではなく、 また、 つま み申 告 そ のも のが重加算 税
と考 え る べき であ る。
れよう とす る外 部的 付随 事情 を具備 し たと ころ の過少申 告 とし て、重加 算税 の課税要件 を充 足 す るも のと判 断 した
脱 せし め る こと の積 極的 な意 思 の存在 と、同申 告 に及 ぶ行 為 即 ち ﹁こと さら の過 少申 告﹂ が、 客観 的 にみて税 を免
が当 初 から所得 を 外 部 からも う かが い得 る特 段 の行 動 を し た上、 そ の意 図 に基 づく過 少 申 告 を し た よ う な 場 合 に
は、重加 算税 の賦 課要件 が満 た され るも のと解 す べき であ る﹂ と判 示 し て いる。 これは、当該申 告 によ って税 を通
架空名 義 の利 用 や資 料 の隠匿 等 の積 極 的 な行為 が存 在 した ことま で必要 であ ると解 す る のは相 当 ではな く、納税 者
ここ で、最高 裁 平成 七年 四月 二八日判決 では、前 記 Ⅱ の二 の引 用部 分 のほ か ﹁
重加 算税 制度 の趣 旨 に鑑 みれば 、
し かし、 つま み申 告 が直 ち に重加算 税 の賦課 対象 とな る のであ ろう か。
ま み申 告 にお いて重加 算 税 を賦 課 す る のは当然 と いう風潮 もあ る。
簿 に不実 の記載 が なく過 少申 告 を行 った事 件 に つき、重加 算税 の賦 課決定 を相 当 とす る判 決 を出 した こと から、 つ
最高 裁 判 所 が平成 六年 一一月 二 二日 ︵
判例時報 一五二七号七三頁︶と平成 七年 四月 二八 日 ︵
前出︶ に相 次 いで、帳
い。
行 為 であ る。 つま み申 告 では、会 計帳簿 は正確 に記帳 され ており、 通達 で例 示 され るよう な隠 ぺ い ・仮装 行為 はな
立正法学論集第40巻第 2号 (2007)
、
外部的付随事情︶が課税庁 にお いて立証 できな い場合 計
る。確定的積極的 な意図 と、外形的 にも明ら かな事情 ︵
算を誤 って過少申告をした場合、また、課税庁 と の間 に税法 に関する法的解釈が食 い違 っており過少申告をするた
、
っ
めに故意 に独自 の見解を採用したも のではな い場合や更 に不注意や思 い違 いによる収益 の過少記載 又は誤 て損
、
金 の過大記載 に基づく過少申告 によ って客観的 には税を免 れる結果を生じたとしても それは過少申告加算税 は賦
。
課されても、そ の増差金額が大 き いと いう理由 で重加算税 の賦課が行 われてはならな い
、
、
また、納税者 にお いて、過少申告 の結果が生 じた理由が 課税庁 と の間 の法令解釈 の相違 である場合や 全く の
。
過失 であ ることが反証 できるのであれば、重加算税 の賦課要件 は満 たさな いも のと いう べきである
。
、
、
為が含 まれ、しかも、秩序罰と刑事罰 の両者が混在しても 目的を異 にする以上 二重処罰とはならな い
3
︵
︲︶
。
法人税法 一五九条 一六四条︶
ことにな っている ︵
、
。
このような場合 には、隠 ぺい ・仮装行為 に基づく過少申告などを原因とする重加算税も課税 される そ こで 重
。
加算税が賦課され刑罰が科されることは二重処罰 に当たるのではな いかとの疑 いが持 たれた
、
し かし、重加算税 の対象 は隠 ぺい 。仮装行為 それ自体 を秩序罰 とする のに対し 刑罰 の対象 とな る租税通 脱犯
、
は、虚偽過少申告 と いう脱税を直接 の目的とし て いるのであるから 偽 りそ の他不正 の行為 の中 に隠 ぺい o仮装行
、
用人等 で違反行為を行 った者 は、五年以下 の懲役若しくは五〇〇万円以下 の罰金 に処され 又はこれを併課 される
6 重加算税と行政刑罰の関係
、
偽りそ の他不正 の行為 により国税を免 れ 又は還付を受けた場合 にお いて納税者 であ る法人 の代表者 又はその使
隠ぺい行為 を是正する期間があるにもかかわらず是正す る措置 を採 らなか
った期間 について、隠ぺい行為 として重加算税が課 された事例 (山 下学)
7 本事 例 にお け る検 討
請求 人 の主 張 す るよう に、 ﹁
請求書 の控 え を破 棄 し た事 実 はな い。 ま た、請 求 書 の控 え が な か った と し ても、他
適 用 し て いる のではな かろう か。
し かし、最 近、課 税庁 は、 ﹁
適 正 な申 告 を守 るた め﹂罰 則 を重 くす べき、 と の見解 が個 人的 にではあ るが 示 され、
本事 例 も、 行政 上 の秩序 罰 とし て の加算 税 を、 あ た かも罰 則 ︵
刑 事 罰 とま では いえな いかも知 れな いが︶ のよう に
は事実 認定 にか かる場 面 であ って、裁 決 から全 て伺 う こと は できな い。
本 件 は、実 際過少申 告 であ ったも の の、 ﹁
隠 ぺ い﹂ と は、納 税 者 が そ の意 思 に基 づ いて、特 定 の事 実 を隠 匿 あ る
いは脱漏 す る ことを い い、 ﹁
仮 装 ﹂ と は、納 税 者 が そ の意 思 に基 づ いて、特 定 の所得 、財 産 あ る いは取 引 上 の名 義
を装 う等 事実 を わ い曲 す るも のと解 され る お ころ、 かかる隠 ぺ い 。仮装 の行 為 があ った のであ ろう か。無 論 、 これ
き提 出 され たも のと認 め る のが相当 であ る、 とした事例 であ る。
と は隠 ぺ い仮装 と評価 す べき行 為 を行 って いたも のと認 め る のが相当 であ ると ころ、請 求 人 は、本 件申 告書 を提 出
す るま で に過 少 の状況 を是正 し よう とす れば そ れが可能 であ った のに、 上記隠 ぺ い仮装 によ り生 じ た状況 を是正 す
るた め の具体的 な方策 及び措 置 を と った事実 は みとめら れず 、 よ って、本件申 告書 は隠 ぺ い仮 装 し た と ころ に基 づ
た る事業収 入 であ る整 備売 上げ の請 求書 とが別 葉 で収 受 の形態 が異 な る ことな ど の取引 の特 異性 を利 用 し、意 図的
に、 これを収 受 し た事実 を請 求 人 の経 理処 理 に反映 す る ことなく、収 益 の額 に計 上 し た か ったも のであ り、 こ のこ
本事例 は、請求 人 は、前 回対象 期間 と同 じく、本 件期間 にお いても、車 検代 行手数料 が請求 人 の益 金 の額 にな る
も のであ る ことを十 分 認 識 し な が ら、 顧客 から収 受 す る車 検 費 用 ︵
自賠責保険料、自動車重量税 および請求人 の収益
である車検代行手数料 の合計額︶ の大半 が顧客 から の預 り金 であ る こと、 また車 検代行 手数料 を請 求 す る請 求書 と主
立正法学論集第40巻 第 2号 (2007)
の書 類 等 で収 入 金 額 は確 認 す る こ と が で き る の で隠 ぺ い に は な ら な い。﹂ こ と は首 肯 で き、 本 事 例 は過 少 申 告 加 算
庁o
すo●N
〓>ミ8・F日 で全文入手できる ︵
平成 一八年
ミーーー詳””oご卜鷺£一
σo
1︶ 国税庁 のホームページ、F〓¨
ど言日ヽ
日ヽ
︵
o崚、
、
。
では法
に限定し が、同様 の通達は、申告所得税、源泉所得税、相続税等について発遣されている。
ま
本
稿
人
税
た
一一月現在︶
た
旧所得税基本通達︶昭和三六年直所 一︱ 一通達 により隠 ぺい 。
︵
2︶ 重加算税額制度適用時の所得税 については、国税庁長官通達 ︵
新版附帯税の事例研究﹂三二八頁参照。
仮装行為の例示が掲げられていた。品川芳宣 ﹁
︵
3︶ 京都地裁平成四年二月 一〇日判決、税務事例二五巻八号五九頁など。
DHC コンメンタール国税通則法﹂三六三八頁。
︵
4︶ 武田昌輔監修 ﹁
5︶ 最高裁 ︵
二小︶昭和六二年五月八日判決、税資 一五八号五九二頁。
︵
第二者 による隠 ぺい行為と納税者本人に対
重加算税 の構造﹂税理三二巻 一二号二頁、田中治 ﹁
︵
6︶ 積極説の学説では、碓井光明 ﹁
前 記 通 達 を 契 機 に法 理 論 的 に首 肯 し う る税 務 行 政 、 行 政 処 分 が 行 わ れ る こ と を 期 待 す る も の であ る。
。
差 所 得 金 額 が 大 き け れば 重 加 算 税 、 少 な け れば 過 少 申 告 加 算 税 、 と いう 、 法 文 を 離 れ た 法 解 釈 は許 さ れ な い
を 峻 別 す る よ う な こ と は行 わ れ て は な ら な い。 租 税 法 律 主 義 のも と、 重 加 算 税 の制 度 の趣 旨 を あ ま り に強 調 し 、 増
し か し、 こ れ ま で税 実 務 に お いて指 摘 さ れ てき た よ う な 増 差 所 得 金 額 の大 小 を 持 って重 加 算 税 と過 少 申 告 加 算 税
よ る租 税 の適 脱 は許 さ れ る も の で は な い。
る行 政 罰 であ る。 申 告 納 税 制 度 の円 滑 な 運 営 と租 税 の公 平 負 担 の観 点 か ら 、 隠 ぺ い ・仮 装 行 為 を 伴 った違 法 行 為 に
重 加 算 税 は隠 ぺ い又 は仮 装 行 為 を 行 った と いう 行 政 上 の秩 序 違 反 を と ら え て、 申 告 納 税 制 度 維 持 のた め に科 さ れ
おわ り に
税 で足 り た の では無 か ろ う か。
隠ぺい行為を是正す る期間があるにもかかわらず是正する措置を採 らなか
った期間について、隠ぺい行為 として重加算税が課 された事例 (山 下学)
立正法学論集第40巻 第 2号 (2007)
する重加算税 の賦課﹂ シ ュトイ エル三六五号 一二頁など。品川芳宣 。前掲書 二四六頁以下参照。
︵
7︶ 松沢智 ﹁
租税手続法﹂三 一五頁、同 ﹁
租税処罰法﹂ 八七頁など。
︵
8︶ 武田昌輔監修 。前掲書三六 二八頁、三六 二九頁。福岡高裁昭和五九年 五月二〇日判決、税資 一三六号六三八頁等。 また、代理
人 の仮装行為 に ついては、最高裁 ︵一小︶平成 五年 六月 一〇日判決、税務事例 二六巻 一号七四頁。
0巻 5号 3頁、後者 は、品川芳宣 ﹁
︵
9︶ 前者 は、武 田昌輔 ﹁
使用人等 による不正行為 と租税適脱 に関 する若干 の考察﹂税理3
重加算
税﹂税務事例 二〇巻九号 四九頁。
0
外が っ
︵
︶
納
税
者
行
隠
ぺい 。仮装行為 に対する重加算税 の研究 とし て、船本洋 子 ﹁
法人税 と重加算税﹂︱松沢智編著 ﹁
租税実
以
た
1
体法 の解釈と適用 。2﹂ ︵
平成 一二年九月刊︶三四六頁参照。
︵
H︶ 松沢智 ﹁
新版租税実体法 ・補正版﹂九六頁、同 ﹁
租税判例研究﹂ジ ュリ スト五二〇号 一三〇頁。
2︶ ﹁ことさら の過少申告﹂ と ﹁つまみ申告﹂ に つき、松沢智 ﹁
︵
租税手続法﹂ 三〇 一頁以下、同 ﹁
租税処罰法﹂ 二九頁∼ 三二頁 及
・
び七四頁以下参照。
3︶ 二重処罰 に該当しな いことに つき、最高裁 ︵
︵
大法廷︶昭和三二年 四月二〇日判決、民集 一二巻六号九二八頁、最高裁 ︵
二小︶
︲
昭和四五年九月 一一日判決、刑集 二四巻 一〇号 一三二三頁参照。
4︶ 藤巻 一男 ﹁ク ロスボーダ ー取引 の拡大 。変容と質問検査権 の行使等 に関する研究﹂税務大学校論叢第 四六号、平成 一六年 六月
︵
・
二〇日、など。
志場喜徳郎他共編 ﹁
国税通則法精解﹂
参考文献﹀ 本文引用 のほか
︿
齋藤明 ・廣瀬正志共著 ﹁
租税刑事制裁 の法理﹂
佐藤英明 ﹁
脱税と制裁﹂
荻野豊 ﹁
最新版実務国税通則法﹂