調査・研究報告書 第13号 汚泥処理処分費削減への取り組みについて 平成27年2月 公益財団法人 千葉県下水道公社 目 次 汚泥処理処分費削減への取り組みについて (この研究内容は平成 26 年の第 51 回下水道研究発表会で発表されました。 ) 1.はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 2.汚泥処理設備の処理フローと設備概要・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 3.汚泥処理処分費削減への取り組み (1)脱水ケーキ含水率の低減化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 (2)薬品注入率の低減化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 4.取り組み成果 (1)脱水ケーキ含水率と脱水ケーキ発生量・・・・・・・・・・・・・・ 3 (2)薬品注入率・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 5.まとめ (1)汚泥処分費の削減効果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 (2)薬品費の削減効果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 (公財)千葉県下水道公社 クボタ環境サービス(株) 1.はじめに 昭和 56 年供用開始した江戸川左岸流 乾燥固形物量 域下水道の江戸川第二終末処理場は、流 14,000 入水量及び汚泥量の増加に伴い維持管理 千葉県より維持管理を受託している当公 年 間 流 入 水 量 社では運転管理を委託している民間業者 ( 万 ㎥ 費の増大が課題となっている。そこで、 280 流入水量 12,000 240 10,000 200 8,000 160 6,000 120 ( 百 t 4,000 80 ) ) の協力を得て平成7年から維持管理費の 削減を目的に、設備の改良及び運転制御 2,000 40 図1 方法の見直しなどを実施してきた。本報 年 間 乾 燥 固 形 物 量 流入水量と乾燥固形物量の推移 0 0 H7 告では特に効果が大きかった汚泥処理処 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 年度 分費削減事例について報告する。 (図1) 図1 流入水量と乾燥固形物量の推移 2.汚泥処理設備の処理フローと設備概要 当処理場の汚泥処理は、最初沈殿池の生汚泥を重力濃縮したものと、最終沈殿池の余剰 汚泥を遠心濃縮したものとを混合させ、無機凝集剤(塩化第二鉄・消石灰)を添加した後に 加圧脱水処理し、汚泥焼却設備がないため、脱水ケーキを場外処分している。(図2、表1) (処分の内訳:H24 年度実績 埋立て 約 49%、有効利用:セメント原料他 約 51%) 塩化第二鉄 消石灰 ケーキヤード 最初沈殿池 機器名 混 合 生汚泥 槽 ケ 重力濃縮槽 ーキ 凝集混和 最終沈殿 槽 加圧脱水機 池 余剰汚泥 ケーキ搬出コンベヤ 容量及び能力 (1槽・1台当り) 台数 第 1~4 系列 616 ㎥ 3槽 遠心濃縮機 第 1~3 系列 75 ㎥/h 6台 ベルト濃縮機 第 4 系列 40 ㎥/h 1台 混合槽 第 1~3 系列 第 4 系列 109 ㎥ 93 ㎥ 2槽 1槽 加圧脱水機 第 1 系列 第 2 系列 第 3 系列 第 4 系列 ろ過面積:100 ㎡ ろ過面積:100 ㎡ ろ過面積:100 ㎡ ろ過面積:120 ㎡ 4台 4台 6台 1台 共通コンベヤ 汚泥処理設備の処理フロー 列 重力濃縮槽 搬出トラック 遠心濃縮機 図2 系 表 1 汚泥処理設備の設備概要(H24 年度末現在) 3.汚泥処理処分費削減への取り組み 汚泥処理処分費は、 主に脱水ケーキ処分費と薬品費が大きな割合を占めていることから、 以下の改善を実施した。 (1)脱水ケーキ含水率の低減化 改善前は、 基本計画に基づく標準的なろ過・脱水工程を選択し脱水処理を行っていたが、 年々増大するケーキ発生量を抑制するため、ろ過・脱水工程の無駄な待機時間を削減し圧 搾時間を延長することで、脱水ケーキ含水率の低減を図った。 1 調査・研究報告書 第 13 号 1)搬出シーケンス改造による脱水機本体の待機時間の削減 脱水機は複数台同時に稼動しているが、1 台の脱水 №3 №1 機が開板工程に入るとケーキ搬出コンベヤと共通コン ベヤが連動運転するため、他の脱水機の開板工程を待 機とする制御方式となっていた。この待機時間は 1 日 ○ あたり 60 分/台程度であった。改善策として、1 台の × №2 №4 脱水機が開板工程に入った時、他の脱水機が開板工程 を開始した場合、脱水ケーキを常にケーキ搬出コンベ × ヤ上に留めるように搬出シーケンスを改良し、脱水機 × ケーキ搬出コンベア 共通コンベヤ を次工程に進めるようにしたことで、待機時間を 0 分 図3 脱水機の脱水工程の問題点 とした。(図3) 2)凝集混和槽の脱水機個別対応化による脱水機本体の待機時間の削減 脱水機 4 台に対して凝集混和槽は 2 槽対応しており、脱水機からの汚泥要求に応じて交 互運転を行なっていたが、脱水機から同時に汚泥要求されると、汚泥調質が間に合わず、 脱水機は運転待機となっていた。この際の運転待機時間は 1 日あたり 100 分/台程度であ った。改善策として、凝集混和槽を脱水機 1 台ごとに設置し、脱水機の要求に合わせた汚 泥供給ができるようにしたことで、待機時間を 0 分とした。 (図4) 塩化第二鉄 塩化第二鉄 消石灰 加圧脱水機 加圧脱水機 凝集混和槽 ケーキ搬出コンベヤ 消石灰 凝集混和槽 共通コンベヤ ケーキ搬出コンベヤ 共通コンベヤ 図4 凝集混和槽の脱水機個別対応化 (2)薬品注入率の低減化 改善前は、標準的な薬品注入率で汚泥調質を行っていたが、凝集混和槽における残留汚 泥の解消と薬品注入率の最適化により、薬品注入率の低減を図った。 1)凝集混和槽の形状改造 改善前の凝集混和槽は、矩形で底板が平面状だったため、槽内四隅の撹拌が不十分であ り、且つ引抜配管以下の汚泥が残留してしまう形状であった。この残汚泥は、消石灰由来 のアルカリ度の高い汚泥であるため常に過剰に塩化第二鉄を注入しなければならなかった。 改善策として、凝集混和槽の形状を矩形から八角形に改良して撹拌状態を改善し、且つ底 板を平面状からすり鉢状に改良して残汚泥量を極力少なくすることで薬品注入率を低減し た。 (図5) M 引抜配管周辺に汚泥を集めて 全量引き抜けるように形状を改良 形状上、引抜配管 以下に汚泥が残留 平面図 平面図 汚泥引抜配管 図5 凝集混和槽の改良(左:改良前 2 汚泥引抜配管 右:改良後) 調査・研究報告書 第 13 号 2)薬品自動注入制御システムの開発 改善前の脱水機は、変動する汚泥性状、 消石灰 ろ布の状態などを踏まえ、薬品注入率を 演算処理 フィードバック 注入率 MV 適宜変更して運転していたが、脱水機の 増加に伴い、脱水機ごとの状態に合わせ 薬品自動注入制御システム て注入率を設定することが困難となって きた。改善策として、1 回あたりの汚泥 設定ろ過時間 SV 現在ろ過時間 PV 打込み量を一定として全量打込む時間 汚泥打込み量 Q (ろ過時間)の目標値を設定し、実ろ過 時間が目標ろ過時間よりも短ければ薬注 凝集混和槽 率を低下させる等実ろ過時間と目標ろ過 加圧脱水機 時間の差を縮めるように薬品注入率が増 図6 薬品自動注入制御システム 減する薬品自動注入制御システムを開発 した。この結果、最適な薬品注入率での運転が可能となり、薬品注入率が低減した。 (図6) 4.取り組み成果 (1)脱水ケーキ含水率と脱水ケーキ発生量 今回の取り組みにより、ろ過・脱水工 ろ過・脱水工程 改善前 改善後 /台程度削減することで、圧搾時間を 8 分 ろ過 7分 9分 汚泥打込み から 20 分に延長することができた。こ 圧搾 8分 20 分 圧力水よる圧搾 の結果、脱水ケーキ含水率は、改善前の 順ブロー 1分 1分 機体内の残汚泥の除去 61.5%から 58.3%(3.2 ポイント低減、 逆ブロー 1分 1分 機体内の残圧力水の除去 低減率:5.0%)となった。 (表2、図 7) ろ布洗浄 3分 3分 処理水によるろ布の洗浄 開板・閉板 2分 2分 油圧によるろ板の開閉 程の無駄な待機時間を 1 日あたり 160 分 表2 工程内容 1 工程における圧搾時間の変更 含水率 62 圧搾時間 25 61 含 水 率 20 60 ( % 59 ) 58 15 圧 搾 時 間 ( 分 10 ) 57 5 56 55 0 H7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 年度 図 7 圧搾時間と脱水ケーキ含水率の推移 3 調査・研究報告書 第 13 号 改善前のケーキ/乾燥固形物量を基に、平成 24 年度における脱水ケーキの見込み発生量を 試算すると約 198ton/日となり、実発生量の約 158ton/日と比較すると、約 40ton/日の削 減(低減率:20%)が見込まれる結果となった。 (図8) 240 ケーキ発生量(t) 見込ケーキ発生量(t) 220 脱 水 ケ ー キ 発 生 量 ( t / 日 ) 200 削減量 180 160 140 120 H7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 年度 図8 脱水ケーキの見込み発生量と実発生量 (2)薬品注入率 今回の取り組みにより、凝集混和槽における残留汚泥の解消と薬品注入率の最適化が可 能となった。この結果塩化第二鉄注入率は、改善前の 12.9%から 10.0%(2.9 ポイント低 減、低減率 22%)となった。また、消石灰注入率は、改善前の 44.2%から 27.0%(17.2 ポイント低減、低減率 39%)となった。 (図9) 消石灰 45.0 14.0 塩鉄 13.0 41.0 消 石 灰 12.0 37.0 ( 11.0 % ( ) 33.0 塩 化 第 二 鉄 10.0 % ) 29.0 9.0 25.0 8.0 H7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 年度 図9 消石灰注入率と塩化第二鉄注入率の推移 今回の取り組み事項と成果をまとめると以下のとおりとなった。搬出シーケンスの改造 及び凝集混和槽の個別対応によって脱水ケーキ含水率が低減した。また、凝集混和槽の個 別対応化と形状改造及び薬品自動注入システムの開発によって、薬品注入率が低減した。 (表3) 表 3 取り組み事項と成果 取り組み事項 含水率 薬品注入率 搬出シーケンスの改造 ○ - 待機時間の削減 凝集混和槽の個別対応化 ○ ○ 待機時間の削減、薬品注入率の低減 凝集混和槽の形状改造 - ○ 凝集混和槽内の残汚泥の解消 薬品自動注入システムの開発 - ○ 薬品注入率の最適化 4 成 果 調査・研究報告書 第 13 号 5.まとめ (1)汚泥処分費の削減効果 脱水ケーキ含水率及び薬品注入率の低減により、脱水ケーキ発生量は、平成 24 年度では 15.1 千t/年の削減(低減率 20%)となった。その脱水ケーキ処分費は、3 億 8 千万円/年 の削減となり、平成 8 年度からの累積では約 42 億円の削減となった。 (図10) 4 400 ケ 3.5 ー 3 キ ( / 2.5 t 乾 / 燥 2 t 固 1.5 ) 形 1 物 量 0.5 350 300 250 削減額累計 約42億円 200 汚泥処分額 150 ( 百 万 円 / 年 ) 汚 泥 処 分 額 100 ケーキ/乾燥固形物量 50 0 0 H7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 年度 図 10 乾燥固形物量に対する脱水ケーキ搬出割合及び汚泥処分費の削減効果 (2)薬品費の削減効果 薬品注入率の低減により、塩化第二鉄使用量は、平成 24 年度では 0.5 千t/年の削減(低 減率 19%)となった。また、消石灰使用量は、平成 24 年度では 3.6 千t/年の削減(低減 率 40%)となった。その薬品費は、塩化第二鉄 2 千万円/年、消石灰1億円/年、合計 1 億 2 千万円/年の削減となり、平成 8 年度からの累積では約 14 億円の削減となった。 (図11) 160 薬 品 費 削 減 額 ( 百 万 円 / 年 ) 削減額累計 約14億円 140 120 薬品費削減額 100 80 60 40 20 0 H7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 年度 17 18 19 20 21 22 23 24 図 11 薬品費の削減効果 5 調査・研究報告書 第 13 号 発行 公益財団法人 千葉県下水道公社 電話 043-278-1631 http://www.chiba-gesui.or.jp
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