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〈海外展望〉
(2015 年 2 月 25 日)
ヨーロッパ各地で「反ユダヤ」の流れが止
ころで「反ユダヤ気運」はますますの高まり
まらない。正月明けに起きたパリの『シャル
を見せている。ヨーロッパの「反ユダヤ」は、
リ・エブド(週刊シャルリ)』襲撃事件で、こ
中東世界の「ハルマゲドン(世界最終戦争)」
の勢いが「反アラブ」に転化されたかのよう
誘発への導火線になる雰囲気に満ちている。
にも思えたが、日本のメディアが伝えないと
テロ再発の恐怖に怯えるヨーロッパ
2 月 14 日午後から 15 日未明にかけて、デ
3 人が刃物を持った男に襲われた。犯人はそ
ンマークの首都コペンハーゲンは恐怖に包ま
の場で拘束されたが、犯人と一緒にいた 2 人
れた。
「イスラム教」と「表現の自由」に関し
は逃走してしまった。どちらの事件も犯人や
ての討論会が行われていたカフェと、ユダヤ
背後関係は現在調査中だが、イスラム過激派
教の礼拝所シナゴーグが襲われ、2 人の市民
による事件と考えて間違いはないだろう。
が死亡、5 人が負傷。犯人とされる男はその
今年 1 月 7 日に起きたパリの『シャルリ・
後射殺された。この事件を受け隣国ドイツで
エブド』襲撃事件以来、ヨーロッパ全土が恐
は北部の町で予定されていたカーニバルが中
怖の渦に叩きこまれた感がするが、その深い
止されるなど、全ヨーロッパでテロに対する
意味を再考する必要がある。ここで 1 月のパ
警戒感が強まっている。
リのテロ事件を見直してみよう。
これより 11 日前の 2 月 3 日には、南仏ニー
スのユダヤ系施設でテロを警戒中だった兵士
『週刊シャルリ』襲撃事件の背景
2015 年が明けて間もない 1 月 7 日に、パリ
分たちがアルカイダに所属すると語り「預言
にある週刊誌『シャルリ・エブド』編集部に
者ムハンマドの仇をとった」と叫んだという。
覆面姿の男 2 人が侵入し、編集長やイラスト
犯人たちはその後パリ郊外に立て籠ったが、
レイターら 12 人を自動小銃で射殺。犯人は自
警察の特殊部隊に射殺された。この犯行と連
行政調査新聞 2015 年 2 月
欧州で高まる「反ユダヤ気運」 ハルマゲドンを画策する勢力たち
1
動して、別なテロリストがパリ南部で警察官
ャルル・ドゴール大統領に因んだもの」とい
を殺し、2 日後にはパリ東部のユダヤ系スー
った表現も見られる。これらは大間違いだ。
パーマーケットに立て籠りユダヤ人 4 人を殺
『シャルリ・エブド』の名は喜劇王「チャー
害。この犯人も警察に射殺された。
リー・チャップリン」に因んだものである。
2 つの事件の深奥を理解するために必要な
ことは『シャルリ・エブド』とは何かを理解
よりわかりやすく言うならフランスの事件
は以下のように説明できる。
することだ。
「エブド」とは「週刊誌」といっ
――ユダヤ人の喜劇王チャップリンの名を
た意味で、
「シャルリ」とは英語では「チャー
冠したユダヤ系週刊誌をイスラム過激派が襲
リー」となる。
『シャルリ・エブド』とは『週
撃。時を同じくしてユダヤ系スーパーマーケ
刊チャーリー』といった意味である。では「チ
ットが襲撃され、ユダヤ人 4 人が殺害された。
ャーリー」とは何か。ネット上で調べると「ア
パリの事件は「イスラム過激派によるユダ
メリカ漫画『ピーナツ』の登場人物チャーリ
ヤ人テロ攻撃」と見なすことができる。
ー・ブラウンに因んだ名」とか、ときに「シ
ヨーロッパ←→イスラエルへのユダヤ人移動
米国にピュー研究所(ピュー・リサーチ・
ヨーロッパの「反ユダヤ運動」がユダヤ人
センター)という組織がある。世界の人的問
のイスラエルへの移住を促している現状が見
題、情報を調査するシンクタンクである。こ
えてくる。しかし別な要因も頭に入れておく
のピュー研究所が 2 月 9 日に興味深いレポー
必要がある。かつて米 CIA(中央情報局)
、NSA
トを公開している。ヨーロッパのユダヤ人人
(国家安全保障局)に在籍していた E・スノ
口についての数字だ。
ーデンの分析である。スノーデンは「パリの
それによると EU 圏内に住んでいたユダヤ
シャルリ・エブド襲撃事件にはイスラエル移
人は、1939 年(第二次大戦前)には 950 万人
民省が関与している」と断言しているのだ(ロ
だったが、現在は 140 万人しか住んでいない
シア紙『コメルサント』1 月 12 日)。スノー
という。大戦中にヨーロッパからユダヤ人が
デンの主張の概略を語ると、以下のようにな
大量に亡命したり、ナチスによるホロコース
る。
トでユダヤ人の数が減ったこともあるが、最
「イスラエル国内ではユダヤ人が海外に流
近 10 年間のユダヤ人流出も大きな要因とな
出しているが、いっぽうでパレスチナ人は人
っているらしい。
口増が激しい。イスラエル国内のパレスチナ
これに呼応するかのように、イスラエルの
人の増加に、イスラエルは危機感を抱いてい
メディアはこう伝えている。――ヨーロッパ
る。こうした懸念からイスラエル政府は、移
における「反ユダヤ主義」は強まっており、
民省の関係者を使って、諜報機関モサドに対
今後も EU からイスラエルへの移住は増加し、
して外国への移民を止めるのを助けるよう要
EU 圏のユダヤ人は減少の一途をたどるだろう
請させた」
――。
行政調査新聞 2015 年 2 月
「この要請に応じ、イスラムの預言者ムハ
欧州で高まる「反ユダヤ気運」 ハルマゲドンを画策する勢力たち
2
ンマドを侮辱する風刺画を発表することで、
スノーデンの分析がどれほど正しいものな
西側諸国で作戦を開始し、ヨーロッパ在住の
のか、判断は難しい。だがいずれにしても、
ユダヤ教徒を嫌悪する雰囲気を作り出し、や
ヨーロッパで「反ユダヤ」の気運が高まった
むなく彼らがイスラエルで生活するように仕
ためにユダヤ人がヨーロッパを脱出している
向けた」
。
ことは事実であり、イスラエル政府がユダヤ
人帰還運動に熱心なことも間違いない。
コラージュ写真で「反イスラム」を盛り上げた仏メディア
パリの『シャルリ・エブド』襲撃事件の後
ット上には、そう書かれた記事が残されてい
る。しかしこれは「ねつ造」話である。
に興味深い話が浮上した。
事件後に、犠牲者を追悼するデモが行われ、
フランス全土で 370 万人が参加したという
フランス全土で 370 万人が参加。いちばん大
数字もたぶん誇張されたもので、それほど多
きなデモはパリで行われた追悼デモで、当局
かったとは思えないが、ねつ造は「各国首脳
発表で参加者は 120 万人~160 万人。このデ
がデモの先頭に続いた」という写真と報道で
モの先頭を犠牲者の家族が歩き、その後を追
ある。各国首脳は別な場所で追悼集会に参加
うように、オランド仏大統領、メルケル独首
し、犠牲者遺族が参列した追悼デモには合流
相、キャメロン英首相、レンツィ伊首相、ラ
していない。フランス各紙を飾った「各国首
ブロフ露外相、パレスチナ・アッバス議長、
脳が追悼デモに参加」という写真はコラージ
トルコ・ダウトオール首相、ネタニヤフ首相
ュで、これに関する報道もデタラメ。
「反イス
など各国の首脳が続いたという。この写真は
ラム」を意図的に盛り上げたものと判断でき
フランス各紙のトップを飾り、日本のマスコ
る。
ミもその模様を伝えた。いまでもインターネ
イスラエルとトルコの対立
『シャルリ・エブド』襲撃事件とその後の
おかしいのではないか」
追悼デモには、さらに興味深い話がある。ト
ダウトオール首相も大統領に続いた。
ルコがイスラエルに噛みついたのだ。
「イスラエルはガザでパリのテロと同じこ
一般大衆が参加したパリの追悼デモとは別
とをやっている」
に、各国首脳が追悼集会を開き行進したこと
大統領と首相の発言を受けてだろうが、ト
は先に述べたが、これに対しトルコのエルド
ルコの新聞各紙はオランド仏大統領とネタニ
アン大統領がこんな苦言を呈した。
ヤフ・イスラエル首相が握手をするシーンを
「(テロ反対の集会に)パレスチナ人にテロ
第一面トップにデカデカと掲げ、フランスと
を行っているイスラエルが参加することは、
イスラエルの親密さを印象づけている。因み
行政調査新聞 2015 年 2 月
欧州で高まる「反ユダヤ気運」 ハルマゲドンを画策する勢力たち
3
に前大統領のサルコジはユダヤ系だったが、
これに対してトルコのメディアが厳しい評
論を加えている。
オランドはそうではない。
トルコの大統領と首相の発言を受けて、イ
「イスラエルと米ユダヤ勢力が『イスラム
スラエルも黙ってはいなかった。パリのテロ
国』を使嗾して中東大戦争を仕掛けている」
事件が一段落した 1 月中旬にアジア欧州圏の
どうやらトルコでは、
「イスラム国(IS ま
全大使を本国に召還してリーバーマン外相が
たは ISIL)は米国及びイスラエルのユダヤ勢
「反ユダヤ・テロ」に注意を促したのだが、
力が支援する組織」という認識が当然らしい。
その際リーバーマン外相はトルコを厳しく非
その「イスラム国」を使って、ユダヤ勢力が
難している。
「現在のトルコはナチスと同じで
中東大戦争を仕掛けようとしていると見做し
ある!」
ているようだ。
パレスチナがイスラエルを提訴
イスラエルとパレスチナの泥沼の争いはイ
スラエル建国以来続いてきた。イスラエルを
しパレスチナの提訴受け入れは今年 4 月から
となる。
巡っては過去に 4 度の大戦争が起きている。
この決定にパレスチナは大喜びだ。
イスラエル建国と同時に起きた第一次中東戦
「パレスチナの人々にとって歴史的な日だ。
争(1948 年)
、第二次中東戦争(1956 年)
、第
これまではイスラエルの責任を問えなかった
三次中東戦争(1967 年)
、そして第四次中東
が、それもこれで終わりだ」
(パレスチナの交
戦争(1973 年)である。この間にも消耗戦争
渉担当アリカット氏談)
(1960 年代末期)など、小規模な戦闘はたえ
ICC で裁判が始まれば、パレスチナが勝利
ず行われていた。昨年(2014 年)夏には第四
しイスラエルが敗北することは誰の目からも
次中東戦争以来最大とされるガザ戦争も繰り
明らかだ。しかし ICC はなぜ、すぐに受理せ
広げられた。この戦争は 8 月末にイスラエ
ず「4 月から提訴を受け入れ」としたのか。
ル・パレスチナ両政府が無期限停戦を受け入
理由はイスラエルの総選挙にある。3 月 17 日
れ、いちおう戦闘が中止されている。
に行われる総選挙で、もし強硬右派の現政権
長年にわたるイスラエル対パレスチナの戦
ネタニヤフが勝利すれば ICC は予定通りパレ
いは、今年になって様相が変わってきている。
スチナの提訴を受け入れるだろう。だがネタ
武力戦争から法廷での闘争に変わる可能性が
ニヤフが敗北して中道政権が樹立されれば、
あるのだ。昨年からパレスチナ側は国際刑事
和平交渉の道筋が立てられるだろうから ICC
裁判所(ICC)にイスラエルを提訴することを
提訴の意味合いがなくなる。ICC はイスラエ
模索してきたが、今年 1 月 7 日、ついにその
ル総選挙の結果を見守っているのが現状なの
提訴が受け入れられることが決定した。ただ
だ。
混乱の中東情勢と「イスラム国」の存在意義
行政調査新聞 2015 年 2 月
欧州で高まる「反ユダヤ気運」 ハルマゲドンを画策する勢力たち
4
今年 4 月にパレスチナの提訴を受け入れる
と明言した ICC に対し、イスラエルと米国は
けている。国際世論がそれを求めているとい
うのだ。
遺憾の意を表明した。これは当然の流れだと
そもそもイスラエルが主張する国際世論と
思われる。その直後の 1 月 17 日には ICC はな
は何か、実体は不明だが、イスラエルの主張
ぜか「イスラエルに対するパレスチナの提訴
は明らかに「イスラム国(IS または ISIL)」
問題に関して予備調査を開始する」と発表し
を意識している。いま世界中が「イスラム国
たのだ。これにはイスラエルも米国も激しい
は悪」という雰囲気に満ちている。イスラム
非難を浴びせたが、パレスチナ側は歓迎の意
国とイスラム教徒あるいはイスラム圏国家と
を表明。大まかに言えば世界的には「イスラ
は無縁のものだが、イメージとしてのイスラ
エルの入植地建設継続を世界は否定する」
(ビ
ムは、イスラム国のお陰でかなり分が悪い。
ルト・スウェーデン外相)というところが常
パリの『シャルド・エブリ』襲撃テロ事件に
識的なところだろう。
しても「イスラム過激派は悪」という印象を
しかし予備調査開始の報を受け、イスラエ
世界中に植え付けた。スノーデンが「事件の
ルのリーバーマン外相はドイツ、オーストラ
背後にイスラエルが存在する」といっている
リア、カナダに対し「(従来行ってきた)ICC
ことも、ある程度納得できる。
への資金提供を直ちに停止せよ」と注文をつ
イスラエルを嫌うオバマ大統領
3 月 17 日に総選挙を控えるイスラエルにあ
んとうの目的は選挙資金稼ぎである。ネタニ
って、ネタニヤフの動向に注目が集まってい
ヤフは莫大な選挙資金をほぼ全額、在米ユダ
るが、ここにきて選挙前にネタニヤフが米議
ヤ財閥の寄付で賄っている。
「ネタニヤフはユ
会で演説することが話題になっている。そこ
ダヤ財閥に対し、イスラエルに帰国するかカ
から、ネタニヤフがオバマ大統領に嫌われて
ネを寄付するか、どちらかを選べと言ってユ
いること、さらにはオバマが反イスラエルの
ダヤ財閥を脅してカネをまきあげている」と
動きを加速していることが見えてくる。
いった、ほんとうか否かわからない噂話が語
当初、イスラエルと近しい関係にある米下
られているが、脅しているか否かは別として、
院のベイナー議長がネタニヤフ首相に 2 月に
とにかく選挙になるとネタニヤフは訪米して
米下院で演説しないかと持ちかけたらしい。
資金作りを行うようだ。
ところがスケジュールの関係で、ネタニヤフ
3 月にネタニヤフが訪米し、下院で演説す
は 3 月 3 日に訪米して演説すると返答したの
る(選挙資金作りをする)という話に、オバ
だ。3 月には米国ワシントンで「米国イスラ
マ大統領は嫌悪感を露わにしている。もとも
エル共同問題委員会」という会が開かれ、ネ
と米国の政治家、議会には親イスラエル派が
タニヤフはそこに参加するために訪米するの
多いのだが、大統領任期 2 年を切ったオバマ
で、そのときに米下院で演説するというのだ。
はイスラエルに媚びを売る必要がなくなった
話が逸れるが、3 月のネタニヤフ訪米のほ
のだろうか、「ネタニヤフが来ても会わない
行政調査新聞 2015 年 2 月
欧州で高まる「反ユダヤ気運」 ハルマゲドンを画策する勢力たち
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(首脳会談は行わない)
」と明言したのだ。
ここまでは国際政治の専門家たちも、ある
程度了解できるものだった。ところがオバマ
権がイスラエルを忌避し始めた明白な兆候と
言っていい。
ベイナー下院議長が招待して演説するのだ
がネタニヤフ面会拒否を明らかにした直後に、
から、大統領と首脳会談ができず、国務長官
バイデン副大統領(兼上院議長)もネタニヤ
を初めとする政府中枢と会談できなくともネ
フに会わないと発表した。バイデンの場合、
タニヤフにとっては問題ないだろう。だがバ
外遊予定が入ったため会えないということの
イデン、ケリーに続いて、ファインシュタイ
ようだ。外遊して米国にいないというなら、
ン上院議員やルイス下院議員をはじめとする
仕方のない話だ。ところが直後にケリー国務
民主党有力議員がネタニヤフの演説ボイコッ
長官も「ネタニヤフ首相と会談は行わない」
トを示唆する発言をしている。もはや米政権
と明言した。政権側のこうした態度は、米政
側がネタニヤフを嫌っていることは誰の目に
も明白になってきた。
中東大混乱に向けて足掻く旧ネオコン勢力
これまで国際問題の常識として、米国はイ
政権側に対立があることを明示している。何
スラエルと一体化して中東問題に対処してい
より、先に記した通り、共和党が実権を握る
ると考えられてきた。ここにきて米国とイス
米議会とオバマ政権側が対立していることか
ラエルとの間に溝が生じ、その溝が拡大の一
らも明らかな通り、米国中枢は一枚岩ではな
途をたどっていることが理解できる。
い。そのことが世界に危険な匂いをまき散ら
「イラクのアルカイダ」から発展して、今
すことに繋がっている。
ではイラク、シリアにまたがる一部地域を掌
しかし同時に、シリアが米国と暗黙の了解
握しているイスラム国が、徐々にパレスチナ
のうちに、米軍のイスラム国空爆を容認して
問題に関わりを持つようになってきている。
いるとするアサド大統領発言を英国 BBC テレ
イスラム国はイスラエル諜報機関が作った組
ビが放映するところに、ある種の奇妙さが感
織だという風説が正しいか否かは議論が尽き
じられる。これは「米国はもはやイスラエル
ぬところだが、イスラム国の存在をイスラエ
の味方をしない」というシグナルを英国メデ
ルが巧みに利用していることは間違いない。
ィアが発信しているということになる。それ
そのイスラム国に対する米国の空爆攻撃に
は何を意味しているのか。戦争を避けようと
ついて、シリアのアサド大統領は「米国など
によるシリア領内での空爆情報は得ている」
する強力な意思である。
混乱が続くウクライナでも、ドイツ、フラ
(英 BBC テレビのインタビューでの発言)と、
ンスの必死の説得がプーチンを動かし、とり
米国と連絡がついていることを示唆している。
あえず停戦に向かって前進している。しかし
これは米国の国防総省や軍産複合体、あるい
この地域でも米国の軍産複合体や旧ネオコン
は旧ネオコン勢力などの「好戦派」とオバマ
は戦争を始めたい意欲にあふれていた。ウク
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欧州で高まる「反ユダヤ気運」 ハルマゲドンを画策する勢力たち
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ライナで失敗したからには是が非でも中東で
イスラム国から脱出を図って失敗し処刑さ
大戦争を引き起こしたい――それが好戦派た
れた者の中に中国人が 3 人含まれていたこと
ちの強い思いである。
も報道されているが、中国国内にウイグル独
すべては 3 月 17 日のイスラエル総選挙と、
立運動推進派やイスラム活動家が大量に潜入
その結果を受けての連立、野合政権の構成、
していることに中国当局は頭を悩ませている。
そしてパレスチナとの和平交渉進展にかかっ
今春以降、世界はますます混迷の度合いを
ている。その結果次第でイスラム国はますま
深めていきそうだ。それは同時に、安倍首相
す存在感を強め暴れまくるようになるかもし
の外交手腕が試される時ともいえるだろう。
れない。それは連動してウクライナを混乱に
■
導き、さらには新疆ウイグルからアジア全域
に拡大する可能性がある。
事実、ほとんど報道されていないが、1 月
28 日には新疆ウイグル自治区ホータンで警官
と警備員 3 人が襲撃され、容疑者 1 人が射殺
されもう 1 人が拘束されるという事件が起き
ている。31 日にはチベットでテロ、暴力事件
に向けての特別制度が開始されている。
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