夏まき短根にんじんの品種について

 V 野 菜 作
夏まき短根にんじんの品種について
1 試験のねらい
夏まき秋冬どり短根にんじんの栽培では耐寒性強く,良質・多収品種が強く求められている
が,最近では数多くの品種が市販され,品種選定にあたって苦慮してきた。そこで,これらの
目的に合致した5寸系品種を選定するため昭和56年に検討を行った。
2 試験方法
紅福625ほか19品種を供試し,7月27日にうね幅20cm,株間15cmの3条には種した。
規模は1区30株,2区制で,施肥量は3工要素とも1.5kg■aとし,その他の管理は慣行に準じ
た。なお,2月23日収穫は寒害防止のため12月4日に土寄せを行つた。
3 試験結果及ぴ考察
生育初期に立枯病が発生し,特に黒田5寸の発生は著しく,収穫率にも大きな影響を与えた
が,その後の生育は各品種ともほぽ順調であった。
根重は11月20日及ぴ2月23日収穫時ともキング夏紅5寸2号が最も大きく,次いで夏蒔鮮紅
5寸,天紅5寸で,最も小さかつたのは11月20日では丁号冬越5寸,2月23日は小泉冬越5寸
であつたが,各品種とも11月20日に比較し2月23日収穫は根重の増加が認められた。その増加
量は15,82gと品種間に大きな差を生じたが,この差は品種の早晩性や低温肥大性の差によ
るものと思われる。
a当たり収量は根重が大きく,収穫率の高い品種ほど優れ 両収穫期とも根重及び収穫率の
勝つたキング軍紅5寸2号が最も多収で,次いで11月20日収穫ではキニ■グ夏紅5寸3号,天紅
5寸が・.2月一23日収穫では夏蒔鮮紅5寸・夏蒔早生5寸が多収となり,収穫率の劣った黒田5
寸は両収穫期とも最も低収となつた。
品質調査は11月20日収穫時に実施したが,そろいは夏蒔鮮紅5寸,夏蒔金港紅5寸及ぴ紅水
5寸1号が極めて優れ,根色は新黒田5寸及ぴキング夏蒔5寸2号が,また,肉色はキング夏
紅5寸2号及び紅水5寸1号が他品種に比較しやや優れた。なお,小泉冬越5寸,US着光5
寸,吸込尾張5寸及ぴ丁号冬越5寸はそろい,根色及ぴ肉色ともやや劣った。
収穫時の裂根や岐根など不良根の発生は黒田5寸,新黒田5寸及び紅福冬越5寸などでやや
発生が多く,小泉冬越5寸及びキング夏紅5寸2号では極めて少なかった。童た,耐寒性は天
紅5寸及ぴ黒田5寸で劣ったほかは品種問に大きな差は認められなかった。
4 成果の要約
短根にんじんの夏まき秋冬どり栽培に適した品種を選定するため,品種比較試験を行った結
一39一
果,良質・多収で,不良根の発生も少なく,耐寒性の優れたキング夏紅5寸2号が最も有望と
思われた。次いで収量はやや劣るがそろい,品質とも優れた夏蒔鮮紅5寸,紅水5寸1号及び
夏蒔金港紅5寸が,また,そろいにやや問題はあるものの収量の多い夏蒔早生5寸がやや有望
と認められた。
(担当者 野菜部 長 修)
600 (2月23日収穫)
∫a当り収量
500
バ’\ ∫収穫率
a400 400
当
100
収
80
●
根
り
300
収300
重
量
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㎏200 ε200
100
40%
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(11月20日収穫)
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紅高U旭夏夏キ紅鮮U天丁黒小キ吸丁紅新夏
福農S光蒔蒔ン.福紅S紅号田泉ン込号水黒蒔
6夏春夏鮮早グ冬冬春5夏5冬グ尾冬5田金
2蒔光蒔紅生夏越越光寸蒔寸越夏張越寸5港
555555紅555(5(5紅551寸紅
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図一1 収穫時期と収量及び収穫率(%)
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