愛知県美術館プレスリリース 2015 年 2 月 開催概要 つくはえ □ 名称: 『月映』展 ― 田中恭吉・藤森静雄・恩地孝四郎 TSUKUHAÉ □ 会場: 愛知県美術館 [愛知芸術文化センター10 階] □ 会期: 2015 年 4 月 17 日(金)-5 月 31 日(日) ※会期中一部展示替えがあります □ 主旨: 1914 年 9 月、 三人の美術学生によって 60 ページたらずの冊子が世に送り出されまし た。田中恭吉・藤森静雄・恩地孝四郎、それぞれが刻んだ木版画と彼らの詩をまとめた つくはえ 「詩と版画の雑誌」、『月映』です。 大正初期、文芸誌『白樺』などで日本でも紹介されるようになっていたムンクやゴッホ をはじめとする西洋美術の動向を敏感に受容しつつ、病に苛まれ文字通り命を刻むよ うにして木版画の制作を続けた田中恭吉(1892-1915)。田中の存在に触発されて美し い友情を交わしながら、生と死への深い内省から作品を生み出した藤森静雄 (1891-1943)。そして日本で最も早く抽象表現へと進んだ恩地孝四郎(1891-1955)。彼 ら三人によって生み出された『月映』は近代日本美術史においても希有な珠玉の作品 集となりました。 『月映』はまず、洋画や日本画といった美術の主たるジャンルから離れて自刻木版へ と向かった野心的な取り組みと、それによって創作版画運動の草創期を形成した点で 評価されています。また彼らは竹久夢二と親しく交流し、夢二が開店した「港屋絵草紙 店」の店頭に『月映』を並べそこで定期的に展覧会を行っています。『月映』の版元とな った洛陽堂は『白樺』や『夢二画集』など大正期を象徴する書籍の出版社でした。そして 『月映』を見たのをきっかけに萩原朔太郎が第一詩集『月に吠える』の装丁を田中と恩 地に依頼しました。これらの事実を考えると、『月映』は美術だけでなく、近代日本の文 化において重要な場所に位置づけられるのです。 この展覧会は、『月映』が刊行されて100年となるのを記念して、その内容と意義をあ らためて見直そうとするものです。1915年11月の第7号まで約200部ずつ刊行された公 刊『月映』を全冊展示するのはもちろん、三人が1部ずつ持ち合い、現在ではそのうちの ししゅう 一つしか残されていない「私輯『月映』」と呼ばれる私家版や、油彩画、ペン画など貴重 な関連作品も多数展示します。 1 □ 主催: 愛知県美術館、NHKプラネット中部 □ 後援: NHK名古屋放送局 □ 開館時間: 10:00-18:00 金曜日は 20:00 まで (入館は閉館 30 分前まで) □ 休館日: 毎週月曜日 (ただし 5 月 4 日[月・祝]は開館)、5 月 7 日(木) □ 観覧料: 一般 900(700)円 高校・大学生 600(400)円 中学生以下無料 ※( )内は前売券および 20 名以上の団体料金です。 ※前売券販売期間:2015 年 2 月 17 日(火)-4 月 16 日(木) ※前売券(および当日券)は、愛知県美術館チケット売場、主要プレイガイド、チケットぴ あ(P コード:766-555)、イープラス、ローソンチケット(L コード:43797)などでお求めい ただけます。 ※上記料金で、同時開催の APMoA Project, ARCH およびコレクション展もご覧になれ ます。 ※「身体障害者手帳」、「精神障害者保健福祉手帳」「療育手帳」のいずれかをお持ちの 方、また、その手帳に「第一種」または「1 級」と記載のある方に付き添われる方は 1 名まで当日料金が半額となります。美術館チケット売場にてお買い求めください。 ※小・中学生は美術館チケット売場で無料観覧券をお受け取りください。 □ 展示替え: 期間中、一部作品の展示替えを行います。 前期=4 月 17 日(金)-5 月 10 日(日) 後期=5 月 12 日(火)-5 月 31 日(日) □ アクセス: 地下鉄東山線・名城線「栄」駅/名鉄瀬戸線「栄町」駅下車、オアシス 21 連絡通路利用 徒歩 3 分。有料駐車場有(600 台)、一般駐車料金は 30 分以内ごとに 270 円(消費税込み) □ 展覧会ウェブサイト: http://www.tsukuhae.com/ 関連事業: ○記念講演会 「『月映』と萩原朔太郎」 講師:坪井秀人氏(国際日本文化研究センター教授) 日時:2015 年 4 月 25 日(土) 13:30-15:00 会場:愛知芸術文化センター12 階 アートスペース A ※申込不要・聴講無料。会場に直接お越しください(先着 150 名)。 ○ギャラリー・トーク(学芸員による解説会) 4 月 26 日(日)、5 月 2 日(土)、5 月 23 日(土)の 11:00-11:40 5 月 15 日(金)の 18:30-19:10 ※申込不要・聴講無料。観覧券をお持ちの上、開始時刻に美術館ロビーにお集まりください。 2 見どころ: ① 刊行 100 年記念の『月映』展 全 7 号をすべて展示 2014 年に『月映』刊行 100 年を迎えたことを記念して開催される本展では、1914 年 9 月に刊行さ れた第 1 号から翌 1915 年の 11 月に刊行された第 7 号まで、すべての号を展示してその内容と 意義を見直します。さらに、約 200 部ずつ発行されたこれら「公刊『月映』」と呼ばれる機械刷りによ ししゅう るものだけでなく、田中・藤森・恩地の三人が 1 部ずつ持ちあっていた手刷りによる「私輯『月映』」 と呼ばれる私家版もあわせて展示します。これらにより、いかにして『月映』が成立していったのか、 そしてそれぞれの号に掲載する作品を彼らがどのように生み出していったのかをたどる、またとな い貴重な機会となるでしょう。 ② 田中恭吉、藤森静雄、恩地孝四郎 3 人の物語 和歌山生まれの田中恭吉、福岡生まれの藤森静雄、東京生まれの恩地孝四郎は、それぞれ画学 生時代に出会います。当時は不治の病であった結核に侵されて死と向き合いながら制作を続けた 田中恭吉。愛する妹を失いながら、人生の孤独や明暗を象徴的に表現した藤森静雄。そして じょ じょ う 「抒情」を追求して日本で最も早くに抽象表現に進んだ恩地孝四郎。彼ら三人は『月映』に掲載する 作品を制作していくなかで、お互いの人生の出来事に共感しあい、それぞれ独自の表現を深めて いったのでした。本展では作品とともに彼らの貴重な書簡などもあわせて展示し、木版画に青春を 刻んだ 3 人の物語をたどります。 ③ 竹久夢二、萩原朔太郎 『月映』と文学の関係 日本の近代詩を代表する詩集の一つである萩原朔太郎の『月に吠える』は、多くの人々を惹きつ け、そして多くの人々に影響を与えてきました。萩原は発行されたばかりの『月映』を見て田中恭吉 の作品を初めて目にし、自身の詩集の挿画を田中に依頼したのでした。詩集の制作の途中、田中 は 1915 年に他界してしまいましたが、恩地がその後の仕事を引き受けて出版することになったの が『月に吠える』なのです。『月に吠える』を通して田中の芸術に初めて触れた、という人も少なくな いかもしれません。また、恩地孝四郎は学生時代に『夢二画集 春の巻』を見たことをきっかけにし て出版業界の寵児となっていた竹久夢二と出会い、次第に田中や藤森も夢二との交流を深めて いきます。こうして美術や文学の交差する地点に生み出された『月映』を、本展では日本近代の文 化のより広い文脈のなかで考察していきます。 配布画像用キャプション ①田中恭吉[失題]1914 年頃 木版、紙 個人蔵 ②田中恭吉《焦心》1914 年 木版、紙 和歌山県立近代美術館(※前期のみ) ③恩地孝四郎《望と怖》1914 年頃 木版、紙 個人蔵 ④藤森静雄《夜のピアノ》1914 年 木版、紙 福岡市美術館 ⑤藤森静雄《すすりなくたましひ》1915 年 木版、紙 愛知県美術館 3 配布画像サンプル ①田中恭吉[失題] ②田中恭吉《焦心》 ③恩地孝四郎《望と怖》 ④藤森静雄《夜のピアノ》 ⑤藤森静雄《すすりなくたましひ》 ○ 記事等に掲載していただく本展の問合せ先 愛知県美術館 [ 愛知芸術文化センター10 階 ] 〒461-8525 名古屋市東区東桜 1-13-2 TEL: 052-971-5511(代) FAX: 052-971-5604 ウェブサイト http://www-art.aac.pref.aichi.jp/ ○ 掲載に関するお願い 掲載記事について、日時・会場・電話番号などの基本情報確認のため、 ゲラ刷りを次までFAXもしくはメールでお送りくださいますようお願いいたします。 広報担当: 中西 FAX: 052-971-5604 TEL: 052-971-5511(代) e-mail: [email protected] 展覧会内容の詳細についてのお問合わせは、次までご連絡ください。 『月映』展担当: 塩津・中村 TEL: 052-971-5511(代) ○ 記事作成に関するお願い ① 画像(図版)をご使用の際は、作家名・作品名・制作年・所蔵者名、また田中恭吉《焦心》 の場合は「(※前期のみ)」を必ずご明記ください(上記「配布画像用キャプション」参照)。 ② 開館中に展覧会会場を写真撮影される場合、フラッシュを伴う撮影はご遠慮くださいます ようお願いいたします。フラッシュによる撮影をご希望の方は、休館日、もしくは閉館時間にお 願いいたします。 4
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