1. ベトナム:現地法人設立前の親会社立て替え金の

February 20, 2015
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ベトナム:現地法人設立前の親会社立て替え金の取り扱い
2.スリランカの新しい土地譲渡制限法の外資への影響
3.フィリピン:就任 4 年半を迎えるベニグノ・アキノ大統領
4.政治・経済・産業トピックス
5.主要各国の経済指標
1. ベトナム:現地法人設立前の親会社立て替え金の取り扱い
概要
親会社がベトナム現地法人(子会社)設立前に支払った設立費用について、ベトナムにおける法人税、付加価
値税(VAT)および外国契約者税に係る取り扱い、および親会社への海外返済送金に関する問題をその打開
策を含め解説する。
Q:現地法人設立前の親会社による立て替え金の取り扱いについて教えてほしい。
A:はじめに
現地法人(以下、子会社)が設立されて現地決済が可能になるまでは、海外の投資家(以下、親会社)が子
会社の設立や開業の準備に要する諸費用を立て替えることが一般的である。ところが、実務においてこの立て
替えに関し望ましい処理をしていないため、子会社が親会社に立て替え金を返済(海外送金)できない事例や、
費用が法人税上損金算入できない事例などが多く発生している。本リポートでは、子会社設立時の親会社によ
る立て替え金に関する問題、およびそれを解決するために必要な手続きについて解説する。
立て替え金の事例および実務上の問題
親会社が子会社の代わりに立て替えることが一般的な費用などの事例として、以下のような項目がある。
 事務所や土地リースの保証金
 事務所賃料、土地リース料
 会社設立代行報酬(コンサルティング会社への支払い)
 会社設立活動に要した交通費(航空運賃、タクシー運賃)、宿泊代や食事代
 その他、本来現地法人が負担すべき費用
子会社の設立・運営全般に及ぶこれら費用や支出をどのように判断するかについては、個々の企業の経営判
1
断や日本の税務上の判断などが考慮されるが、会計や税務上、しかるべき処理を失念したことにより、下記の
ような問題が発生する可能性がある。
 子会社において付加価値税(VAT)が控除できない
 費用が法人税上損金算入できない
 子会社が親会社に立て替え金を返済(海外送金)できない
仕入れ VAT の税額控除
仕入れ VAT を税額控除するためには以下の 2 条件を満たす必要がある1。
① 購入した物品やサービスの公式インボイス(ベトナム子会社の会社名、住所、税コードなどが明記さ
れているもの)を提出できること
② 購入した物品やサービスの銀行送金書類を提出できること。ただし、1 回当たりの購入物品やサービ
スの総額(VAT 込み)が 2,000 万ベトナムドン未満の場合は銀行送金書類の提出不要2
子会社設立費用については、通常、公式インボイスの宛先が親会社となるため①の要件を満たさないこと
になるが、公式インボイスの宛先が親会社(親会社の委任状がある場合、親会社以外の法人あるいは個人で
も可能)であっても仕入れ税額控除ができることが明らかになった3。また、上記②の通り、2,000 万ベトナ
ムドン以上の支払いの場合、ベトナム子会社から日本親会社への銀行送金書類も仕入れ税額控除の要件とな
る。従って、仕入れ VAT の税額控除のために子会社設立後、以前行っていたような公式インボイスの宛先修
正手続きは不要となったが、親会社への返済送金が難しい昨今、銀行送金書類の入手が難しいため、依然と
して仕入れ VAT の税額控除は難しいといえよう。
法人税上の損金算入要件
法人税法上、企業の通常の生産・経営活動に直接関連する費用であり、親会社との費用立て替え合意書(あ
るいはローン契約書)、適切な領収書および取引額が 2,000 万ベトナムドン以上の場合、銀行送金書類が入
手できれば損金算入が可能である4。日本語で発行された領収書については、ベトナム語への翻訳が必要であ
る。日本で発行される領収書は通常、ベトナムの公式インボイスに含まれるような情報が十分に含まれてい
ないため、税務調査でその損金性について問題視されることが多い。従って当該費用を損金算入するために
は、ベトナム語訳された関連契約書など、当該費用が子会社の設立に直接関連する費用であることを、当局
に説得できる十分な資料を事前に準備しておく必要がある。
また、VAT の項でも触れた通り、親会社への返済送金が難しい現在、子会社から親会社への銀行送金書類
1 通達第 06/2012/TT-BTC 第 15 条
2 ただし、同日内で同一の取引先と 2,000 万ベトナムドン未満の取引を複数回行った場合に、その日の当該取引先との取引合計額が 2,000 万ベ
トナムドン以上になる場合には、銀行送金書類が必要となる(通達第 06/2012/TT-BTC 第 15 条第 2 項 e)
3 通達第 06/2012/TT-BTC 第 14 条第 11 項 b
4 通達第 123/2012/TT-BTC 第 6 条第 1 項、決定第 218/2013/ND-CP 第 9 条第 1 項 c
2
の入手が難しい。その他の要件を満たしていても、2,000 万ベトナムドン以上の費用の場合、損金算入要件を
満たさない可能性があるので留意が必要である。
外国契約者税が賦課される場合の取り扱い
当該費用が、外国法人または外国人が行った役務提供に対する支払いの立て替え払いである場合、外国契
約者税の課税対象となる5。付随する実費(航空運賃、宿泊代など)も課税対象となる。
親会社と外国法人または外国人間で締結された契約上、外国契約者税の記載がない場合、当該契約金額は
外国契約者税抜きのネット金額として取り扱い、外国契約者税上、グロスアップ計算した金額について外国
契約者税を計算する必要があるので注意が必要である。その場合、ベトナム子会社で外国契約者税を負担す
ることになり、当該法人税部分は法人税上損金算入が可能であり、VAT 部分は外国契約者税の銀行送金書類
を証憑として仕入れ税額控除が可能である。
親会社と外国法人または外国人間で締結されたサービス契約については、外国契約者税上、税務局に登録
することが必要なため、ベトナム語翻訳版を用意することも忘れてはならない。通常、当該サービス契約の
登録期日は契約締結後 10 営業日と規定されているが6、ベトナム子会社設立に関するサービス契約の場合、
ベトナム子会社設立後に遅滞なく登録する場合、現時点で罰金は科されていない。
立て替え金の返済送金処理手続き
ベトナムでは元来海外送金が難しく、子会社設立費用の親会社への返済送金も同様であった。ところが昨
今、大量の書類を提出し中央銀行の送金許可を得ることが求められるようになっており、親会社への送金が
さらに難しくなっている。
なお、2014 年 9 月 25 日以降に親会社が子会社設立費用を立て替える場合には、親会社がベトナム国内の
銀行にベトナムドン以外の外貨建て経常取引用非居住者口座を開設し、当該口座を経由してベトナム国内の
サプライヤーに支払いを行う必要が生じることになった7。親会社立て替え設立費用を返済する場合には、当
該規定への順守が前提となるので留意が必要である。
取扱銀行ごとに対応が異なるため、親会社立て替え設立費用がある場合には、事前に取扱銀行に、返済送
金ができるのか、できる場合にはその送金方法および必要書類を確認することが重要である。
最近では、子会社設立費用の返済送金が手続き的に煩雑な上、中央銀行より単なる設立立て替え費用の返
済送金としては許可されない例が多いため、別途必要書類を準備した上で、親会社立て替え金を資本勘定に
振り替えたり、親子ローンの返済として送金したりする例がある。
5 通達第 60/2012/TT-BTC 第 1 条第 1 項
6 通達第 80/2012/TT-BTC 第 4 条
7 通達第 19/2014/TT-NHNN 第 10 条
3
親子ローンの返済として返済送金する場合、親子ローン契約を別途締結し、親会社立て替え金をベトナム
子会社への貸付債権として取り扱い、ベトナム子会社はその借入金の返済として親会社立て替え額を日本へ
返済送金する。ただし、親会社立て替え金がローンとして取り扱われるのか、法律上には明記されていない。
親子ローンとして取り扱う場合、立て替え期間が 1 年以上にわたる場合には、長期ローンとして中央銀行へ
登録する手続きも必要となるが、弊社クライアントの事例では、中央銀行に親会社立て替え金をローンとし
て認められた事例も、認められなかった事例もある。
もし親会社立て替え金がローンとして取り扱うことが認められる場合には、将来の子会社への仕入れ債務
(ベトナム現地法人にとっては親会社への売上債権。)と相殺する方法も考えられる。すなわち、通達第 219
/2013/TT-BTC 上、以下の書類がそろう場合には、税務上ローン債務と売上債権の相殺は銀行送金として
取り扱うことができる8。
① 親子ローン契約書
② 相殺処理について明記した親会社と子会社間の売買契約書
③ 親会社と子会社間の相殺合意書
輸出取引には原則として VAT 税率 0%が適用され、その必要書類としても銀行送金書類が要求される。相
殺する場合には銀行送金書類が入手できないが、上記①~③の書類がそろう場合には、輸出取引の VAT 税率
0%が適用できると考えられている。
なお、親会社立て替え金がローンとして認められず返済送金あるいは売上債権との相殺ができなかった場
合の処理としては、以下の三つのケースが想定できる。
① 親会社に対する売上債権がある場合には当該債権と相殺するが、銀行送金書類が入手できないため、
法人税上当該立て替え費用は損金不算入として取り扱い、売上債権について VAT10%を支払う
② 取扱銀行に確認の上、資本勘定に振り替える
③ 親会社で負担する
いずれにせよ、親会社への設立前立て替え金に係る送金は煩雑な手続きが必要となるので、可能な限り親
会社で負担し、最低限請求せざるを得ない費用項目だけについて海外送金するのが現実的な解決策になるの
ではないかと考える。
記事提供:I-GLOCAL CO.,LTD
本コラムは、I-GLOCAL(アイ グローカル 旧 SCS (VIETNAM) CO.,LTD. 日系資本初
のベトナムにおける監査法人をグループ会社に擁し、ハノイとホーチミン、ブノンペン
に事務所を有する会計事務所系コンサルファーム)において作成されています。
(2014 年 12 月 15 日作成)
8 通達第 219/2013/TT-BTC 第 16 条第 3 項 b
4
2.
スリランカの新しい土地譲渡制限法の外資への影響
スリランカにおける外資の投資・事業活動に大きな影響を与えうる法律、「2014 年土地(譲渡制限)法」
(英語名:Land (Restrictions on Alienation) Act, 2014)が 2014 年 10 月 29 日に成立した。この法律は、外国
人によるスリランカ国内の土地の所有権取得を原則として禁止するものである。
スリランカは、観光資源が豊富で風光明媚な場所としても知られているが、その地政学的な重要性も相まっ
て、近年注目が集まっている。スリランカ政府は現在、外資誘致に積極的だが、新法は逆に外資規制・保護主
義に向かっているようにみえる。本稿では、新法の内容を簡単に紹介し、実務上の懸念について触れたい。
旧法の仕組みと実務的対応
新法成立以前、スリランカでは、外国人・外国法人は土地所有権の取得は認められていたものの、取引には
100%の税金が課せられていた。そのため、旧法下では、この 100%の課税を免れるため、一般的に以下のス
キームが利用されてきた。
 まず、スリランカ人オーナーが、その所有する土地をスリランカ法人に現物出資して株式を取得する。
 その後、そのスリランカ法人の株式を、外国人に譲渡する。
しかし、後で述べるとおり、新法成立に伴い、このスキームは使えなくなった。
新法の概要
新法が定める、外国人・外国法人によるスリランカ国内の土地の所有権 1 の取得に関するルールの概要は、
以下のとおりである。
① 外国人、外国法人および外国人により直接・間接に 50%以上支配されているスリランカ法人は、スリ
ランカ国内の土地の所有権の取得が原則禁止される。
② 同じく、外国人、外国法人および外国人により直接・間接に 50%以上支配されているスリランカ法人
は、土地賃貸借が最長 99 年までしか認められない。
③ 土地賃貸借に対しては、契約期間中の賃料総額の 15%(一定の場合には 7.5%)を原則とする新しい
税金が適用される 。
④ スリランカ人およびスリランカ国内株主割合が 50%超のスリランカ法人が国有地を購入・賃貸借する
場合には、25%割引価格が適用される 2。
1 スリランカ法上、土地の利用・処分権限の代表的な例として、Freehold と Leasehold が存在している。
2 なお、新法では、私有地の地価は免許を有する評価人の評価により決定され、賃料もかかる評価額を前提に計算すべきものとされている。
5
上記①について、より具体的には、新法の 2 条 1 項において、以下の者に対するスリランカ国内の土地の譲
渡は原則として認められないと定めている。
 外国人
 スリランカ会社法に基づいて設立された法人(スリランカ法人)のうち、直接・間接の外国株主が 50%
以上である者
 外国法人
したがって、スリランカ法人を箱として用いる場合には「譲受人たるスリランカ法人の外国人株主割合は
50%未満でなければならない」というルールに服することになる。
ここで、旧法で用いられた「スリランカ法人に土地を取得させた後で外国人がその法人の株式を取得する」
というスキームを自由に認めると、容易にルールが潜脱されてしまう。そこで、新法は、土地を取得したスリ
ランカ法人は、土地の譲受後最低 20 年間は「外国人株主割合 50%以下」という状態を維持しなければならな
いと定め、潜脱の防止策を講じている。
仮に、土地を購入した後になって、譲受人であるスリランカ法人の外国人株主割合が 50%以上となった場
合 3、当該土地取得は法的に効力を失い、閾値を越えた時点から無効となってしまう 4。ただし、閾値を越え
た後に、6 ヶ月以内(上場会社の場合は 12 ヶ月以内)に外国人株主割合を 50%未満に戻せば、閾値を下回っ
た時点から再び土地取得が法的に有効なものとして復活するとされている。
また、外資規制の例外として、内閣の事前承認を受け、かつ各担当大臣との協議の上で、財務大臣は、銀行・
金融・保険・海運・航空・先端技術、または 2008 年の戦略的開発プロジェクト法に基づいて戦略的開発プロ
ジェクトとして指定されたインフラ開発プロジェクトに従事する外国法人に対し、上記外資規制の個別解除を
認めることができるという規定が存在する。なお、この「個別解除」は、国際的な事業に従事する外国法人が、
スリランカ国内でその世界的または地域的事業展開のための拠点を設ける場合にも適用され得る。
新法が実務に及ぼす影響・懸念について
新法によって、スリランカにおける土地所有権の取得を伴う投資プロジェクトにこれから新規参入しようと
考える日系企業は、そのスキームの再考を迫られることになる。新法のルールを潜脱・回避する新しい投資ス
キームが求められるが、実務や裁判所の判断が安定するまでは、とりわけ慎重な対応が求められる。
(1)不動産市場全体への影響
新法は、2013 年 1 月 1 日までに土地を取得した外国人に対しては適用されないとされているため、そ
れ以前に取得した場合には新法による直接の影響はない。しかし、新法施行より買い手の質と量が変容
3 これには、直接・間接の所有者変更による場合や、個人株主の死亡による相続の場合すら含まれる。
4 無効となった場合の権利関係の処理は新法上明確ではないものの、おそらく所有権が譲渡人の下に戻るという趣旨と考えられる。
6
する結果、不動産市場全体の流動性が低下するという影響は避けられないだろう。2013 年 1 月 1 日以降
に土地を取得した場合には、新法の影響について慎重に分析する必要がある。
(2)外国人によるスリランカ法人の株式取得への影響
また、通常の M&A やスリランカ法人への投資の場面においても注意が必要となる。外国人が株式を
取得する結果、外国人株主割合が合計 50%以上になる場合には、対象会社の事業にとって重要な土地の
取得時期を、デューデリジェンスを通じて確認する必要があるだろう。新法適用下 5 で取得された土地
の場合、土地取得が事後的に無効とされるリスクがあるためである。
他方、こうした重要な土地が旧法下で有効に取得されている場合には、新法による直接の障害はない。
ただし、スリランカ法人の株式の譲渡に際しては、印紙税の納付が必要となるところ、今後、実務が安
定するまでの間、外国人がスリランカ法人の株式を取得する場合における印紙税の担当官の対応が、必
要以上に慎重となる可能性は考えられる。こうした点も含めて、今後の実務運用を注視する必要がある
だろう。
(3)土地の長期利用に関する留意点
新法が外資誘致という政策と矛盾するのではないか、という指摘に対し、スリランカ政府は「新法は
外国投資に対して悪影響を及ぼすものではない」との立場を貫いている。これは、所有が原則禁止とな
っても、最長 99 年の長期賃貸借は認められるという点を論拠としているようである。
ただし、英国などでは、一定の条件を満たす場合に法的な更新権が発生するなど、「超長期の賃貸借
に対し、土地所有権と『類似』の保護を与える」という法理が発展しているといわれているが、スリラ
ンカでは、まだかかる法理は確立していない。そこで、賃貸借や転貸借に関する契約書を締結する場合
には、法律を順守しつつも自らの権利を最大限確保すべく、しっかりとした法的アドバイスを受けるこ
とが重要である。
記事提供:松田綜合法律事務所
弁護士 久保達弘
※本稿は、スリランカの現地法律事務所「John Wilson Partners」のパートナー、 ジョン・ウィルソン弁護
士の提供資料・情報に基づいて作成している。
(2014 年 12 月 14 日作成)
5 2013 年 1 月 1 日以降に土地を取得した場合には注意が必要である。
7
3. フィリピン:就任 4 年半を迎えるベニグノ・アキノ大統領
内外から高く評価されるアキノ大統領の政策運営
2010 年 6 月にフィリピン共和国第 15 代大統領に就任したベニグノ・アキノ 3 世(以下、アキノ大統領)は
2014 年 12 月末で就任 4 年半となる。大統領任期を 6 年とし、再選を禁ずる憲法の規定により、アキノ大統領
に残された時間は任期の 4 分の 1 となる 1 年半である。
アキノ大統領の政策運営に対する国民の評価は、2013 年後半以降においてはやや低下傾向にある 1 ものの、
故マルコス大統領による長期独裁政権(1965 年~1986 年)崩壊後に誕生したどの政権よりも高く(図表 1)、
アキノ政権の政策運営への評価からフィリピンに対する国際的な評価も高まっている(図表 2)。
1 2013 年後半以降において、アキノ政権の評価がやや低下傾向にある事由は以下 2 点。①2013 年 3 月以降、国会議員の裁量によって使途が決定
される優先開発支援基金(PDAF)の不正流用事案が次々と発覚し、政界を揺るがすスキャンダルに発展したこと。②アキノ政権において導入
した支出迅速化プログラム(DAP)について、大統領府の裁量権限の大きさへの批判が高まり、2014 年 7 月に DAP に基づいて実施された措置
の一部を違憲とする最高裁判決が下されたこと。
8
格付け機関 Moody’s および S&P は、2013 年に揃ってフィリピンのソブリン格付けを投資適格級に格上げ
し、翌 2014 年もそれぞれ 1 段階格上げした。アキノ大統領就任後の 4 年半において両社ともに、ほぼ毎年、
計 4 段階もの格上げを行ったことになる。格上げ事由としては、高い経済成長の実現、財政健全化の進展、政
治安定とガバナンス向上の 3 点に概ね集約される。
最重要課題として取り組む腐敗対策
アキノ大統領は、いずれも故マルコス長期独裁政権と戦った故ベニグノ・アキノ・ジュニア元上院議員(1983
年暗殺)と故コラソン・アキノ元大統領の長男として 1960 年に生まれた。サラリーマン生活を経て 1998 年に
下院議員となり、政治の世界に足を踏み入れると、コラソン・アキノ元大統領逝去(2009 年)後、周囲に推
されて 2010 年 5 月の大統領選挙に出馬し、国民による直接選挙で多くの支持を得て大統領に就任した。
アキノ大統領が選挙公約にも掲げ、最重要課題として大統領就任以来注力してきたのが、腐敗対策である。
ドイツの NGO トランスペアレンシー・インターナショナルが毎年公表する腐敗認識指数( Corruption
Perceive Index)によると、フィリピンはアキノ大統領が就任した 2010 年の 134 位から毎年順位を上昇させ、
2014 年には 85 位(175 ヵ国中)となった。腐敗認識指数は国家の腐敗レベルを数値化し、腐敗レベルの低い
国家が上位となるようにランキングにしている。フィリピンがこの 4 年間に上昇した順位(49 位)は対象 175
ヵ国において最大であり、改善余地はなお大きいものの、成果は着実に表れていると言えよう。こうした腐敗
対策の進展ならびに継続は、国民の政治への不満を相当程度解消し、治安の改善 2、政治の安定化に繋がって
いる。
フィリピンはもともとポテンシャルの高い国だ。1 億の人口は ASEAN の中でインドネシアに次いで多い。
国民の平均年齢は 23 歳と若く、ASEAN 主要国の中で最も長く人口ボーナスを享受できる人口動態を有する。
英語に堪能な労働力の確保が容易であり、賃金水準は比較的低位にとどまる。こうしたポテンシャルの存在に
もかかわらず、20 年に亘るマルコス長期独裁政権下において政治腐敗と治安悪化が進み、それ以降の政権に
おいてもこうした課題を解決できず、政治の安定性を確保できなかった。この結果、海外からフィリピンへの
直接投資が進まず、ASEAN 主要国との比較において雇用創出力の大きな製造業が育たず、成長機会を逸して
いた。国内での雇用機会不足により事実上国策として推進している労働力輸出は、ポテンシャルを活かし切れ
ていないフィリピンの現状を映している。海外労働者(OFW:Overseas Filipino Workers)の数はフィリピ
ンの人口の 1 割を上回る。また海外労働者からフィリピン国内への送金額(2013 年は 230 億ドル)は、GDP
比 8.4%に相当し、フィリピン国内における個人消費を下支えするとともに、経常収支の黒字化に寄与してい
る(図表 3)。
2 フィリピン政府は、かつてミンダナオ島にて反政府武装勢力として活動していたモロ・イスラム解放戦線(MILF)との間で和平に向けた協議を
粘り強く続けてきた結果、最終和平への道筋を示した枠組み合意(2012 年 10 月)、包括和平合意書署名(2014 年 3 月)、地域復興/開発を
推進する「バンサモロ開発計画」公表(2014 年 11 月)など、最終和平実現に向けた作業が本格化している。こうした動きも、治安の改善に対
する評価から、フィリピンへの投資拡大に寄与しているものと思われる。
9
(10億ドル)
図表3:国際収支
30
20
第二次所得収支
10
第一次所得収支
サービス収支
0
貿易収支
-10
経常収支
-20
-30
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
(出所)フィリピン中央銀行
※海外労働者送金は
第二次所得収支に
含まれる
アキノ大統領が腐敗対策とともに推進する財政規律の強化や対外負債削減についても成果が表れている。政
府は中期的に財政赤字を GDP 比 2%に抑える方針を打ち出している。また税収基盤拡大と徴税強化に加えて、
負債削減を通じた利払い負担軽減により、インフラ整備に充当する財政資金の拡大を図っている。
経済は好調を維持するも一層の投資環境改善が持続的成長に不可欠
アキノ政権の政策運営を受けて、フィリピン経済は好調を維持している。経済成長率は ASEAN 主要国の
なかで 2012 年(+6.8%)、2013 年(+7.2%)と 2 年連続で最も高い数値となり、2014 年についても、IMF の
経済見通し(2014 年 10 月)では+6.2%と 2013 年より減速するものの、ASEAN 主要国トップの成長率を維持
する見込みである(図表 4)。
海外労働者送金に支えられた個人消費に加えて、投資や輸出も底堅く推移している。インフレ圧力上昇に対
する予防的措置として、フィリピン中銀は 2014 年 7 月および 9 月に利上げを行ったが、足元の原油価格の下
落により、インフレリスクは後退している。一方、失業率は 7%前後に高止まりし、経済成長率との比較でみ
ると、貧困の解消についてあまり進展がみられない 3。持続的な成長をより確かなものとするためには、イン
フラ整備などを通じて投資環境の一層の改善を図るとともに、国内への投資誘致を積極化し、雇用創出力の大
きな製造業を育成するなどの取組が不可欠であろう。
3 貧困率(全国)の推移
2006 年 21.0%⇒2009 年 20.5%⇒2012 年 19.7%(フィリピン国家統計調整委員会)
10
すでに始まっている次期大統領選挙に向けた動き
一般的に、特に新興国において、政権交代のスケジュールが近づいてくると、政策変更リスクが意識され、
海外からの投資が抑制されることがあり得るとされる。アキノ大統領が進めてきた反腐敗キャンペーンや改革
路線をアキノ大統領退任後も継続することができるのか。次期大統領は誰になるのか。誰もが気になるところ
である。
次期大統領選挙は 2016 年 5 月に実施予定であり、すでにメディアにて報じられ始めた次期大統領の有力候
補者に関する複数の世論調査の結果によると、現時点で次期大統領に相応しいと考えられている候補者の先頭
にはジェジョマール・ビナイ副大統領が立つ(図表 5)。
ビナイ副大統領 は、2010 年 5 月に大統領選挙と一緒に行われた副大統領選挙において、野党陣営から出馬
し、大統領候補者のアキノ大統領とタッグを組んで副大統領選挙に臨んだロハス内務自治大臣(当時は上院議
員)を破って副大統領に就任した人物であり、アキノ大統領が望む自らの後継者候補にはなり得ない。アキノ
大統領の後継候補となり得るロハス内務自治大臣に対する次期大統領候補者としての支持はあまり広がりを
見せておらず、与党からビナイ副大統領に対抗できる有力候補はまだ現れていない。
11
こうしたなか、大統領の再選を禁ずる現在の憲法を改正し、アキノ大統領に大統領再選を目指すよう求める
声が多方面から上がり、2014 年 8 月にはアキノ大統領自身も「国民の意思に従う」という表現にて大統領再
選を前向きな姿勢を初めて示した。しかしその後の世論調査などにおいて、大統領再選にあくまでも慎重な国
民の意思が示されたこともあり、母である故コラソン・アキノ大統領が主導して制定した現在の憲法を改正し
てまで、再選に挑む意思は現在ではなくなったようだ。これにより、次期大統領選は、すでに大統領選出馬を
表明しているビナイ副大統領と今後アキノ大統領が指名するであろう与党後継候補を軸に展開することが確
実になったものと思われる。アキノ大統領がいつ誰を後継者に指名するのかが注目される。
2015 年末には ASEAN 経済共同体(AEC)が発足し、経済一体化を進展させる取組を強化する予定であり、
ASEAN 各国どうしの投資環境整備に係わる競争も激化することが予想される。アキノ大統領退任後の政策継
続性への不透明感はあるものの、大統領選の行方にかかわらず、周辺国との投資環境整備に係わる競争や国内
外の改革継続への期待がフィリピンの経済改革の継続を後押しする結果、フィリピン経済は今後も比較的高い
成長が期待できよう。
以
上
記事提供:公共財団法人 国際通貨研究所
開発経済調査部 上席研究員 加藤 淳
(参考文献)
アジア経済研究所「アジア動向年報」、2008 年~2014 年
WORLD BANK GROUP「DOING BUSINESS」、2009 年~2015 年
World Economic Forum「The Competitiveness Report 2014-2015」
パルス・アジア・リサーチ「Pulse Asia Research’s November 2014 Nationwide Survey on the May 2016 Elections」、2014 年
IMF、WORLD BANK、UNCTAD、フィリピン中央銀行、フィリピン国家統計局、フィリピン国家統計調整委員会、Social Weather
Stations、外務省、JETRO 各ホームページ
12
4.
政治・経済・産業トピックス
【インドネシア】-2014 年の国内自動車販売台数は、前年比 1.8%減少
インドネシア自動車協会(Gaikindo)が発表した 2014 年のインドネシアの国内自動車販売台数は、120
万 8,019 台。前年比 1.8%減少した。上期は堅調に推移したが、下期に景気減速により落ち込んだ。
(台)
インドネシア:国内自動車販売台数推移
150,000
100,000
50,000
2013.1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
2014.1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
0
(出所)ガイキンド
【インドネシア】-2014 年の二輪車販売台数は、前年比 1.6%増加
インドネシア二輪車協会(AISI)が発表した 2014 年のインドネシアの二輪車国内販売台数は、786 万
7,195 台。前年比 1.6%増加した。生産台数は、792 万 6,104 台。前年比 2.5%増加。
(万台)
インドネシア:国内二輪車販売台数
1,000
736.9
800
600
621.6
585.2
2008
2009
801.3
706.4
774.4
786.7
2013
2014
468.8
400
200
0
2007
2010
2011
(出所)AISI資料より三菱東京UFJ銀行国際業務部作成
13
2012
【インド】-2014 年 10-12 月期、7.5%成長
1 月 9 日インド中央統計局発表。2014 年 10-12 月期の実質 GDP 成長率は 7.5%。中国の成長率は、7%
程度に低下しつつあり、インドの成長率は中国を上回っている。また、今回から、GDP 計算の金年度が
2004/05 年度から 2011/12 年度に変更された。このため、2014 年 1-3 月期の実質 GDP 成長率が 6.5%(修
正前 5.7%)、4-6 月期 8.2%(修正前 5.3%)に上方修正されている。
【インド】-原子力発電所建設に向け、米国と合意
1 月 25 日米国のオバマ大統領とインドのモディ首相は、ニューデリーで首脳会談を実施。会談後の記
者会見で、オバマ大統領は、「原子力協力推進の障害となっていた 2 つの問題について画期的な合意が
なされた」と発言した。詳細は明らかにされていないが、現地報道によると、これまで米国がインドに
要求していた「輸入核燃料の第三国への輸出を監視するための追跡」を米国が取り下げた他、インドが
「原発メーカーの賠償責任をカバーする保険制度」を創設した模様。これまで、原子力発電所に事故が
発生した場合、原発メーカーに賠償責任が生じるとするインドの法律がネックとなり、米国企業のイン
ドにおける原子力発電所建設は進んでいなかった。
【オーストラリア】-政策金利 0.25%引下げ。2.25%に
2 月 3 日オーストラリア準備銀行(RBA)は、すでに史上最低となっている政策金利をさらに 0.25%引
2.25%にすると発表した。主力輸出品である石炭や鉄鉱石の国際価格の下落、経済成長率の低下、失業率
の上昇、および物価上昇率が低くなっていることを考慮し、景気刺激を行う。
14
5. 主要各国の経済指標
マレーシ ア
単位
2013
2014
実質GDP成長率
%
4.7
インフレ率
%
2.1
3.1
貿易収支
百万米ドル
22,265
25,266
経常収支
百万米ドル
12,601
市場金利
%
3.32
3.86
外国為替相場
対米ドル
3.1507
3.2726
株価
1,867.0
1,761.3
(出所:三菱東京UFJ銀行経済調査室、マレーシア中銀など)
2014/3Q
5.6
3.0
5,259
2,379
3.74
3.1923
1,846.3
2014/4Q
タイ
単位
2013
2014
2014/2Q 2014/3Q
実質GDP成長率
%
2.9
0.7
0.4
0.6
インフレ率
%
2.2
1.9
2.5
2.0
貿易収支
百万米ドル
6,661
24,582
5,887
4,780
経常収支
百万米ドル
-2,452
14,231
-552
-526
政策金利
%
2.25
2.00
2.00
2.00
外国為替相場
対米ドル
30.72
32.48
32.45
32.11
株価
1,298.7
1,497.7
1,485.8
1,585.7
(出所:三菱東京UFJ銀行経済調査室、タイ中央銀行、国家経済社会開発委員会など)
2014/4Q
2.3
1.1
7,636
9,815
2.00
32.71
1,497.7
No v- 1 4
インドネシ ア
単位
2013
2014
2014/2Q
実質GDP成長率
%
5.6
5.0
5.0
インフレ率
%
6.4
6.4
7.1
貿易収支
百万米ドル
-4,077
-1,886
-2,198
経常収支
百万米ドル
-29,102
-8,689
政策金利
%
7.50
7.75
7.50
外国為替相場
対米ドル
10,449
11,868
11,623
株価
4,274.2
5,226.9
4,878.6
(出所:三菱東京UFJ銀行経済調査室、インドネシア中央銀行など)
2014/3Q
4.9
4.4
-539
-6,836
7.50
11,764
5,137.6
2014/4Q
5.0
6.5
-218
No v- 1 4
ベトナム
単位
2013
2014
2014/2Q 2014/3Q
実質GDP成長率
%
5.4
6.0
5.3
6.1
インフレ率
%
6.6
4.1
4.7
4.3
貿易収支
百万米ドル
0
1,984
390
443
経常収支
百万米ドル
9,471
政策金利
%
7.00
6.50
6.50
6.50
外国為替相場
対米ドル
21,030
21,199
21,158
21,218
株価
504.63
545.63
578.13
598.80
(出所:三菱東京UFJ銀行経済調査室、ベトナム統計局、中央銀行、IMFなど)
2014/4Q
7.0
2.6
-728
フィリピン
単位
2013
実質GDP成長率
%
7.2
インフレ率
%
3.0
貿易収支
百万米ドル
-5,713
経常収支
百万米ドル
10,391
市場金利
%
0.00
外国為替相場
対米ドル
42.45
株価
5,889.8
(出所:三菱東京UFJ銀行経済調査室、IMFなど)
2014
6.1
4.2
2014/2Q
6.5
3.3
5,709
4,947
3.55
3.2347
1,882.7
3.0
3,324
2.7
2,642
3.86
3.3654
1,761.3
3.82
3.3473
1,820.9
3.86
3.4799
1,761.3
7.75
12,249
5,226.9
6.50
21,324
545.63
2014/3Q
5.3
4.7
23
3,036
1.24
43.77
7,283.1
2014/4Q
6.9
3.6
インド
単位
2 0 1 2 年度 2 0 1 3 年度 2 0 1 4 / 2 Q
実質GDP成長率*
%
5.1
6.9
6.5
インフレ率
%
7.4
6.0
5.8
貿易収支
百万米ドル
-190,336
-136,086
-34,331
経常収支
百万米ドル
-87,843
-32,358
-7,837
政策金利
%
7.50
8.00
8.00
外国為替相場
対米ドル
54.41
60.47
59.81
株価
18,836
22,386
25,414
*『実質GDP成長率』は新(2011年)基準且つ、市場価格ベース。
(出所:三菱東京UFJ銀行経済調査室、RBI、中央統計局など)
2014/3Q
8.2
3.9
-38,887
-10,103
8.00
60.60
26,631
2014/4Q
7.5
15
De c - 1 4
2.8
6,317
2014/2Q
6.4
4.4
265
3,004
1.04
44.13
6,844.3
1.42
44.39
7,230.6
No v- 1 4
1.42
44.81
7,230.6
8.00
61.95
27,499
1.3
1,914
1,664
2.00
32.79
1,593.9
De c - 1 4
0.6
3,640
5,523
2.00
32.89
1,497.7
De c - 1 4
6.2
-425
8.4
187
7.75
12,170
5,149.9
7.75
12,434
5,226.9
No v- 1 4
De c - 1 4
2.6
438
1.8
-1,162
6.50
21,340
566.58
6.50
21,378
545.63
No v- 1 4
De c - 1 4
3.7
272
2.7
1.30
44.95
7,294.4
1.42
44.68
7,230.6
No v- 1 4
De c - 1 4
0.0
-15,996
0.1
-9,435
8.00
61.73
28,694
8.00
62.74
27,499
Jan - 1 5
備考
前年(同期)比
消費者物価指数(CPI)、前年(同期)比
3.85 銀行間(3カ月物)、期末値
3.5808 期中平均
1,781.3 クアラルンプール総合指数、期末値
Jan - 1 5
備考
前年(同期)比
-0.4 消費者物価指数(CPI)、前年(同期)比
2.00 翌日物レポ金利、期末値
32.74 期中平均
1,581.3 SET指数、期末値
Jan - 1 5
備考
前年(同期)比
7.0 消費者物価指数(CPI)、前年(同期)比
7.75 BI金利、期末値
12,579 期中平均
5,289.4 インドネシア総合指数、期末値
Jan - 1 5
備考
前年(同期)比
0.9 消費者物価指数(CPI)、前年(同期)比
-500
6.50 リファイナンスレート、期末値
21,365 期中平均
576.07 VN指数(ホーチミン)、期末値
Jan - 1 5
備考
前年(同期)比
2.4 消費者物価指数(CPI)、前年(同期)比
TB、期末値
44.60 期中平均
7,689.9 フィリピン総合指数、期末値
Jan - 1 5
備考
前年(同期)比
卸売物価指数(WPI)、前年(同期)比
7.75 レポレート、期末値
62.24 期中平均
29,183 ムンバイSENSEX指数、期末値
(作成日:2015年2月16日)
(編集・発行) 三菱東京 UFJ 銀行 国際業務部
(照会先) 北村 広明
(e-mail): [email protected]
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