文化財保護法第92条に関する事務に係る 不利益処分の処分基準(案)の概要 1 経緯 文化財保護法(以下「法」という。)第92条の事務に関する権限を静岡県から市が移譲を受け ることに伴い、同条第2項の規定による発掘(※1)の禁止、停止、若しくは中止の命令に係る 不利益処分の処分基準を定めようとするものです。 2 法第92条の事務の概要 法第92条では、土地に埋蔵されている文化財(埋蔵文化財)について、その調査のため土地 を発掘しようとする者は、書面をもって着手30日前までに届け出なければならないこと(第1 項)、埋蔵文化財の保護上特に必要があると認めるときは、届出に係る発掘に関し必要な事項及 び報告書の提出を指示し、又はその発掘の禁止、停止、若しくは中止を命ずることができること (第2項)となっています。 3 不利益処分の処分基準(案) (1)「発掘の禁止命令」の処分基準(案) 発掘の禁止命令とは、発掘の届出を受理した後、発掘調査着手前に教育委員会が発掘の禁止 を命ずることです。 処分基準は次のとおりです。 ① 発掘担当者(※2)が、次に掲げる要件のいずれかを満たしていないと判断される場合 ア 大学(4年制)若しくは大学院で考古学を専攻し、考古学に関する専門知識を有する者、 又は大学(4年制)卒業と同等以上の学力を持つと認められ、同程度の考古学・歴史学等 の専門知識を有する者で、発掘調査の実務経験が3年以上ある者 イ 発掘調査報告書(※3)の編集・執筆を適正に行った実績が2遺跡以上ある者 ② 調査主体者(※4)が、次に掲げる要件のいずれかを満たしていないと判断される場合 ア 前項に規定する発掘担当者としての要件を満たしている者を2人以上有していること イ 発掘調査に係る一連の作業を適正に進行し、完了させ得る十分な組織体制を有している こと ウ 発掘調査期間中、記録類、出土品、調査資料(作業日誌等)を適正に管理・保管する施 設と人員を有し、整理作業場を静岡市内に設置していること ③ 調査主体者が作成した発掘調査実施計画書の内容が、教育委員会が提示した調査仕様書と かい離し、著しく適切さを欠くと判断される場合 (2)「発掘の停止命令」の処分基準(案) 発掘の停止命令とは、発掘調査着手後に、教育委員会が発掘の停止を命ずることです。 処分基準は次のとおりです。 ① 発掘調査の内容が、発掘調査実施計画書と著しく異なり、発掘調査が適正に遂行されない ことが明らかになった場合 ② 発掘担当者が、遺跡が持つ情報を正確に把握し記録できないなど、発掘担当者としての知 識と技能が欠けていることが明らかになった場合 ③ 調査主体者が、上記(1)②に掲げる要件を満たしていないことが明らかになった場合 ④ 発掘調査において、教育委員会が提示した調査仕様書以外にも調査対象があるにもかかわ らず、調査せず損壊した場合 (3)「発掘の中止命令」の処分基準(案) 発掘の中止命令とは、停止命令後に、教育委員会が発掘の中止を命ずることです。 処分基準は次のとおりです。 上記3(2)に定める状況に該当し、停止を命じた場合において、相当の期間経過後もその状 況が改善されていないと認められるとき (注) ※1「発掘(調査)」・・・現地における発掘作業、出土品等の整理作業及び発掘調査報告書 の作成及び刊行作業までをいう。 ※2「発掘担当者」・・・・調査主体者と雇用関係にある者で、発掘を責任をもって行う者を いう。 ※3「発掘調査報告書」・・現状保存を図ることができなかった埋蔵文化財に代わって後世に 残す記録のうち最も中心的なもので、発掘調査の成果を周知し活 用できるようにするものである。内容は、行政的に講じた措置の 記録と学術的な成果の記録からなる。 ※4「調査主体者」・・・・適切な発掘調査の計画を立てその調査の施行監理を行い、調査を 完了させるべき立場にある者をいう。
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