第6章 公的賃貸住宅の供給(PDF:794KB)

第6章 公的賃貸住宅の供給
公的賃貸住宅の供給
6-1 公営住宅の供給目標量の設定
6-2 公営住宅の建替え及び修繕等の課題
第6章 公的賃貸住宅の供給
6-1 公営住宅の供給目標量
(1) 公営住宅 の供給目標 量の考え 方
① 県内における多様な住宅困窮者の居住状況の把握・分析
② 民間賃貸住宅の需給、家賃等の市場の状況の分析
③ 政策的優先順位を加味するとともに、公営住宅の空家募集、新規整備、建替え及び公営住宅以外の
公的賃貸住宅ストックの状況を勘案し、公的な支援により居住の安定の確保を図るべき世帯(要支援世
帯)数を算定
(2 )公 営 住 宅 の 供 給 目 標 量 の 算 定
(1)の「公営住宅の供給目標量の考え方」に基づき、公営住宅等による要支援世帯に対する、計画期間
(平成 23~32 年年度)における公営住宅供給目標量を以下のとおり算定する。
既存住宅の
空家募集の
戸数※
11,700
11,700 戸
公営住宅の供給の目標量
(H23~
H23~H32)
H32)19,000 戸
※管理戸数×空き家率×10
※管理戸数×空き家率×10 年間
要支援世帯数
充足
21,800 戸
新規の建設、
建替え住宅の
新規入居者用
の戸数等
3,50
3,500
500 戸
+
建替え住宅の
既入居者用
戸数
3,800 戸
21,800 世帯
公営住宅
以外の公的
※戻り入居世帯を
含む
賃貸住宅等
の戸数
2,800 戸
(3) 公営住宅 の供給目標 量の設定
住生活基本法第 17 条第2項第5号に基づき、本県内における公営住宅の供給目標量を国における公営
住宅の供給目標量の考え方を基本にし、下記のとおり定める。
平成 23 年度~平成 27 年度( 5 年間)
供給量総量 9,350 戸
平成 23 年度~平成 32 年度(10 年間)
供給量総量 19,000 戸
94 沖縄県住生活基本計画
6-2 公営住宅の建替え及び修繕等の課題
(1) 現状・課 題
1 公的住宅ストックの建設経緯と建替え事業等の現状
第1章 計画策定の目的等
6-2 公営住宅の建替え及び修繕等の課題
本県の公営住宅はこれまで、県及び市町村合わせて累計約 32,000 戸の公営住宅を整備している。公営
施された。
これら建設ピーク時の公営住宅は、整備から 25~30 年が経過しようとしており、全面的更新、建替え等、
住宅ストックの維持について、速やかな検討を行う必要がある。
県内公営住宅の年度別建設戸数と耐用年限の 1/2 を経過するストックの状況をみると、平成 18 年度か
第2章 住宅事情と課題
住宅の整備は、昭和 54 年~61 年にかけて、合計の整備戸数が年間 1,000 戸を超える大規模な事業が実
ら急激に増加しており、これらの公営住宅のうち、建替えを実施すべき公営住宅も急激に増加することが予
建築年別県営住宅ストックの状況
1,200
新 規
1,000
第3章 基本的な方針
測される。
建替え
(計画・進行中)
建替え(完了)
600
既存戸数
400
耐用年限1/2以上
第4章 施策の具体的展開
800
200
S50
S52
S54
S56
S58
S60
S62
H1
H3
H5
H7
H9
H11
H13
H15
H17
H19
H21
H23
H25
H27
H29
H31
H33
H35
H37
H39
H41
H43
H45
H47
H49
H51
H53
H55
H57
H59
H61
H63
H65
H67
H69
H71
H73
H75
H77
H79
H81
H83
H85
H87
H89
H91
H93
H95
H97
0
しかしながら、実際の事業実施状況はかなり遅れている。「沖縄県公営住宅等ストック総合活用計画」(計
第5章 地域別施策の展開
耐用年限70年以上
画期間:平成23年度~平成32年度)では、本県の県営住宅 130 団地を 3 段階の判定により活用手法を検
善」と判断された 46 団地について、円滑な事業の進捗が求められる。
老朽化した公営住宅で、建替えや改善が必要と判断された公営住宅については、耐震強度等の問題か
ら早急な対応が必要である。その際は、各公的賃貸住宅の劣化状況を踏まえた上で、効率的に事業を進め
る必要がある。
また、本県では公営住宅の建設が本土から遅れ、市町村営住宅が昭和 37 年、県営住宅が本土復帰(昭
開始されてからまだ 15 年程度しか経過していない状況である。
現在、本土復帰以前に建設され耐用年限の 1/2 を経過し老朽化の進行した市町村営住宅が約 1,650
戸残されており、また、復帰後に大量に建設された県営及び市町村営住宅についても建替え時期を迎える
誰もが安心して心地よく暮らせる 美ら島 沖縄 95
第7章 施策の実現にむけて
和 47 年)後から建設されたこともあり、近年まで新規建設を主体に事業が行われ、建替え事業が本格的に
第6章 公的賃貸住宅の供給
討しており、「建替え」と判断された 7 団地及び「建替え又は全面的改善」と判断された 23 団地、「個別改
第6章 公的賃貸住宅の供給
ことが見込まれている。特に、昭和 57 年頃までに建設された住棟では、海砂使用により鉄筋コンクリート躯体
において塩分混入の可能性が高いため、公劣化が著しいものもあり、入居者の安全を確保する上からも建替
えが急務となっている。
さらに、建替え及び全面的改善まで至らない公営住宅においても、住宅を一定水準で維持していくには日
常的な保守点検から不定期的・定期的な修繕が重要であり、総合的・体系的な視点により計画的に公営住
宅の修繕を進める必要がある。特に築年数が高い公営住宅については建替えが必要な公営住宅同様、天
井や壁面の破損によるコンクリートの剥落等の危険性もあり、このような事態に的確に対応することが重要課
題と言える。
(2) 今後必要 となる対応
1 公営住宅ストックの有効活用と建替え事業の促進
「沖縄県公営住宅等ストック総合活用計画」(平成 23 年 3 月)に基づく県営住宅、県住宅供給公社住宅
の建替え及び改善事業を促進する必要がある。
今後は、耐震化やバリアフリー化促進への対応等の社会情勢の変化に対応するため、必要に応じて「沖
縄県公営住宅等ストック総合活用計画」の見直しを検討するとともに、市町村の「公営住宅ストック総合活用
計画」の策定を促進する。
また、既存公営住宅のストック有効活用のため、維持保全履歴等を記載した管理台帳を作成し、計画的
な維持保全を実施する。さらに、効率的・総合的に実施できる全面的改善、個別改善や修繕の手法を検討
し、これを確実に実施するため所要な予算の確保が必要となってきている。
公営住宅の建替え及び修繕等の際には、緑・オープンスペース等の確保といった居住空間の向上に配慮
することが必要である。
2 PFI 等の民間活力による公営住宅の建替え促進
民間活力の活用の代表的なものとしてPFI事業がある。しかし、PFI 事業は従来方式のように地元の中小
企業に配慮した発注を行うことは難しい。建設産業は本県の基幹産業の一つであることを勘案すると、地元
中小建設業者の受注機会の確保を図っていくことが求められるなかで、事業コストを抑えるという点だけで
PFI 事業を導入することは、受注機会を減らすことにつながる恐れがある。そのため、地元事業者が参画しや
すい事業スキームとすることが望ましい。
PFI事業以外の手法で民間活力の活用及びコスト削減が可能なものとして、設計・施工一括発注(DB方
式)がある。PFI事業に比べてリスクが少ないことや、他業種との連携を必ずしも必要としないことから、地元企
業が中心となって参画でき、かつ従来方式に比べスケールメリットによるコスト削減が期待できる手法として
考えられる。そのため、初期段階においては、DB方式が有効となるが、将来的には、余剰地の有効活用も
含めたPFI事業の実施が考えられる。
地元企業として、地域住民のニーズの把握、地元ネットワークの活用等、地域に根ざした経営基盤を強み
にできる要素も十分にあると考えられることから、将来的にはPFI事業のノウハウの蓄積を果たすことにより地
元企業がメインプレイヤーとなり、余剰地活用も含めたPFI事業の実施も期待できると考えられる。
一方で、PFI法施行以降、国内におけるPFI事業実施件数は着実に増加していることや、国の「新成長戦
略」(H22.6)においても、PFIやPPPの積極的な活用を位置づけており、今後本県においても、パイロットプロジ
ェクト的にPFI事業を実施する必要がある。
96 沖縄県住生活基本計画