振動数比からセントへの変換

振動数比からセントへの変換
1.1 変換公式
振動数比が i = A : B で表される音程(ただし A > B とする)をセント表記に変換する
には次の公式 (1)に従う。
C=
1200
log i
log 2
例えば、純正律の五度は 3:2 の振動数比であるから、 C =
(1)
3
1200
log = 701:955 となる。
2
log 2
1.2 音程の計算
ある音を基準に、A : B の振動数比にある音と、A : C の振動数比にある音との差は、両
者の商 (A=B) ä (A=C) = C=B として表現できる。
例えば、ある音の五度上の音を求め、さらにそのまた五度上の音を求め、その音の1オ
クターブ下の音を求める操作によって得られる音は、元の音に対して次の振動数比を持つ。
3 3 1 9
â â =
2 2 2 8
(2)
これは、長二度音程であって、C に対する D である。他方、五度上の音を求める操作を
4 回行い、その2オクターブ下の音を求める操作によって得られる音は、元の音に対して次
の振動数比を持つ。
3 3 3 3 1 1 81
â â â â â =
2 2 2 2 2 2 64
(3)
これは長三度音程であって、C に対する E である。ここで、(2) と (3) で得られた音程
の差を求めてみると、次式になる。
81 9 81 8 9
ä =
â =
64 8 64 9 8
(4)
つまり、このようにして求めた D と E の間も式 (2) で求めた長二度音程になっていると
いうことである。
ところで、式 (3) のようにして求めた長三度は、実はピタゴラス音階の長三度なのであ
って、協和音としては響かない。協和音として響く純正律の長三度は 4:5 の振動数比にな
ることが知られている。そこで、このようにしてとった協和長三度と式 (2) で求めた二度
との差を求めてみる。
5 9 5 8 10
ä = â =
4 8 4 9
9
(5)
これは、式 (4) で求めた長二度音程よりも少し狭い音程になることが分かる。8:9 として
表わされる二度を大二度、9:10 として表わされる二度を小二度と呼ぶ。それぞれ平均律の
長二度のセント表記、200 と比較すると次のな値になる。
C=
1200
9
log = 203:91
8
log 2
C=
1200
10
log
= 182:4
9
log 2
大長二度は平均律の長二度とほぼ同じだが、小長二度はかなり狭いことがわかる。