第1学年 理科学習指導案 1 単元名 「気体の発生と性質」 ・学習指導要領

第1学年
理科学習指導案
1 単元名
「気体の発生と性質」
・学習指導要領との関連
1分野(2)ア(イ)
2 単元について
生徒たちは、小学校6年次に「燃焼の仕組み」の中で、植物体(ろうそくや木)が燃えると酸
素が使われて二酸化炭素ができることなど、有機物につながる学習をしている。
本単元では、化学分野のスタートとして気体の発生とその性質について学習を進めていくとこ
ろである。気体、特に、酸素や二酸化炭素などの気体は、我々人類、生物にとって欠かすことの
できない重要なはたらきをするものである。しかし、生徒からすると、空気は必要であって、生
活に欠かすことのできないものだとは知っていても、無色透明で、質量的にも非常に小さいもの
なので、つかみどころのない、漠然とした存在ではないかと思われる。そこで、目には見えない
無色透明な気体を捕集する方法(気体の性質によって集め方も変わる)や特徴をまとめていくこ
とは、とても有意義なことである。また、1つ1つの気体の分子は、小さくて軽いものであって
も、それが大気のように集まれば、大きな力になることと、気体を通して、1つの粒(分子)を
イメージして考えを進めていくことは、化学分野の大切なスタートラインであり、とても重要な
ことである。さらに、実験・観察の結果の予想、結果からわかること(考察)などを考える時間
をできるだけ確保し、自分の考えや班、生徒同士の意見交換により、学習内容が深まっていくも
のだと思われる。したがって、意図的に言語活動の場面を多く取り入れ、理科の研究主題に迫っ
ていきたいと考える。
大単元である「物質のすがた」では、ガスバーナー、天秤、電子てんびん、メスシリンダー、
など化学実験の基礎となる器具の操作も多くあるので、安全にかつスムーズに操作できる技能が
身についていくようていねいに指導していきたい。
3 教科の研究主題と授業との関連
(1)理科の研究主題 「自然の事物・現象に進んで関わり、課題解決を目指して実験・観察にの
ぞもうとする生徒の育成はどうあるべきか」
―班活動などの小グループで、学び合うことで基礎・基本の定着を図る―
(2)授業との関連
研究主題の実現のため、本単元「気体の発生と性質」では、実験・観察の予想、結果からわ
かること(考察)を考える時間をできるだけ確保し、班や生徒同士の言語活動の場面を増やし、
「自分たちで実験ができた・結果を出せた」という喜びから探求心の高まりや関心・意欲を高
めていきたいと考える。なお、日々の授業において次のような取り組みをしている。
①基本的な実験・観察の方法や器具の扱い方、基礎的な知識などが確実に身に付いていくよう、
基礎・基本の定着を意識してくり返し指導を重ねていく。
②導入部に演示実験の実施や視聴覚教材の活用、あるいは生徒がよく知っている現象や身近な
素材の提示などにより、学習に対しての興味・関心を高めていくようにする。
③実験・観察を行う際、生徒が主体的に課題に取り組み、結果を整理してまとめることができ
るワークシート等を必要に応じて作成し、活用していく。
④なるべく少人数のグループで、実験・観察ができるように資料や教具を整えていく。
4 生徒の実態
明るく素直な生徒が多く、学習に対してしっかり取り組もうとする生徒が多い。特に、男女と
も数名は、理科に対する関心・意欲が高く、観察能力や実験結果の考察に優れている。また、簡
単な発問などに対して挙手する男子生徒が多い。逆に挙手する女子生徒はやや少ない傾向にある。
忘れ物がやや多く、学習意欲に欠ける生徒が若干名いるので、必要に応じて励ましや支援・援
助を心がけていきたい。
本単元の学習にあたり、事前にアンケートを実施した。
(1)理科の授業は楽しいですか?
とても楽しい 4・4、楽しい 8・9、あまり楽しくない 3・4、楽しくない 2・0
(2)小学校から中学1年の1学期までで、楽しかった、興味を持った実験・観察は何でしたか?
(複数回答可)
水溶液の実験 2・5、気体検知管を使った実験 3・2、アルコールランプを使った実験 3・1、
レンズで紙を燃やす実験 1・2、空気・水・金属の体積変化の実験 0・1、
リトマス紙を使った実験 0・2、ソーラーパネルを使った実験 1・0、金属を溶かす実験 0・1、
野草の観察 1・2、水中の微小な生物の観察 5・2、葉緑体や気孔の観察 2・0、
光合成で酸素が発生しているのを確認する実験 1・0、マツの観察 0・1、
わからない・不明 2・0
(3)酸素は何と何を混ぜると発生しますか。
二酸化マンガンに過酸化水素水(オキシドール)0・2、二酸化マンガンにうすい塩酸 1・0、
二酸化マンガンに水素 0・2、二酸化炭素と何か 1・1、塩酸と何か 1・0、わからない 14・12
(4)二酸化炭素は何と何を混ぜると発生しますか。
石灰石とうすい塩酸 1・2、二酸化マンガンと何か 1・1、酸素と何か 2・1、水素と炭素 0・1
わからない 13・12
(5)酸素の特徴は何ですか。
(複数回答可)
ものを燃やすのを助ける(助燃性)3・3、火をつけると激しく燃える 10・10、
生物(人・動物・植物)が呼吸時に吸う 9・6、空気中にある 4・7、O2(O)と書く 2・2、
植物が光合成の時出す 1・5、目には見えない・無色透明 1・4、水に溶けにくい 1・0、
オゾン層の中にある 1・0、わからない 1・0
(6)二酸化炭素の特徴は何ですか。
(複数回答可)
生物(人・動物・植物)が呼吸で出す 7・6、植物が光合成のときとり入れる 5・5、
火をつけた後に残る気体・有機物を燃やすと出てくる 1・3、C O2と書く 3・7、
空気中にある 2・4、火が消える 4・5、火をつけると燃える?1・1、
目には見えない・無色透明 0・4、炭酸水のもと・水に溶かすと炭酸水になる 1・3、
水に少し溶ける 1・0、石灰水を白くにごらせる 1・2、軽い?1・0、
地球温暖化の原因・温室効果 0・2、わからない 1・0
学級の約 74%余りが理科の実験を「楽しい」と思えているが、逆に約 26%の生徒が「あまり
楽しくない・楽しくない」と思っているという結果が得られた(アンケート(1))
。今後も引き続
き、より関心・意欲が持てる実験・観察の授業を心がけ、理科離れを解消していきたい。
生徒たちは、火を扱った実験や水溶液を調べる実験の操作、顕微鏡の操作などに興味を持って
取り組めていることがわかる(アンケート(2))
。実験・観察の基本操作をていねいに指導し、安
全にかつスムーズに操作できるようにさせたい。
酸素や二酸化炭素の発生の仕方は、
まだ未習事項であるように思われる
(アンケート(3)
(4))
。
いろいろな気体の中で、酸素や二酸化炭素は空気を組成している気体であり、とても身近なも
のなので、発生の方法をしっかり印象づけ、身につけさせたい。
1学期の植物の光合成や呼吸のガス交換で酸素・二酸化炭素の学習を終えているが、酸素や二
酸化炭素の特徴があまり挙げられていない(アンケート(5)
(6)
)。つまり、酸素や二酸化炭素
の特徴が十分に身についていないことがうかがえる。また、発生した気体が、酸素や二酸化炭素
である根拠にもつながっていくところなので、本単元の指導において、ていねいに既習事項を振
り返る場面を作り、基礎の定着を図っていきたいと考える。
5 単元の目標
(1)気体を発生させてその性質を調べる実験を行い、気体を発生させる方法や捕集法などの技能
を身につける。
(2)酸素と二酸化炭素の特性を見いだす。
(3)異なる方法を用いても、同じ気体を発生させられることを理解する。
(4)いくつかの気体を発生させて捕集し、実験を通してそれぞれの気体の特性を見いだす。
6 単元の観点別評価規準
項
目
自然事象への関
心・意欲・態度
科学的な思
考・表現
観察・実験の技
能
自然事象につい
ての知識・理解
1.身のまわりの気体 ・身のまわりの物 ・身のまわりの気 ・気体を発生させ ・気体の性質を調
A身のまわりの気体 質からどんな気 体とその性質に て、その性質を
べる方法を理解
の性質
体が発生するか 関する事物・現 探求する方法を
し、知識を身に
B気体の発生方法
関心を持ち、意 象の中に問題を 身につけてい
つけている。
欲的に探求する 見いだし、気体 る。
・気体の捕集法が
とともに、日常 の固有の性質と ・発生する気体を 気体の性質を利
生活と関連づけ 共通の性質につ 予想し、その特
用していること
て考えようとす いて、自らの考 性に応じた捕集
を理解し、知識
る。
えを導いたりま 法を選択するこ
を身につけてい
とめたりして、 とができる。
る。
表現できる。
2.いろいろな気体
・いろいろな気体 ・いろいろな気体
・気体によってそ
に関心を持ち、 の性質を基準を
れぞれに特有な
それらにどんな 決めてまとめる
性質があること
性質があるかを ことができる。
を理解し、知識
探求しようとす
を身につけてい
る。
る。
7 単元の指導と評価計画(4時間)
項 目
時間
1.身のま 3
わりの気 本時
1/3
体
A身のま
わりの気
学 習 内 容 と 活 動
評 価 規 準 と 評 価 方 法
・
「酸素と二酸化炭素の性質の違 ・身のまわりの物質からどんな気体が発生する
いを調べる実験」を行う。
か関心を持ち、意欲的に探求するとともに、
・
「身のまわりの物質で気体を発
日常生活と関連づけて考えようとする。
生させる実験」を行う。
【関心・意欲・態度】<行動観察>
・
「気体の集め方」についてまと ・身のまわりの気体とその性質に関する事物・
体の性質
B気体の
発生方法
2.いろい
ろな気体
める。
1
現象の中に問題を見いだし、気体の固有の性
質と共通の性質について、自らの考えを導い
たりまとめたりして、表現できる。
【科学的思考・表現】<発表、レポート>
・気体を発生させて、その性質を探求する方法
を身につけている。
・発生する気体を予想し、その特性に応じた捕
集法を選択することができる。
【観察・実験の技能】<行動観察、レポート>
・気体の性質を調べる方法を理解し、知識を身
につけている。
・気体の捕集法が気体の性質を利用しているこ
とを理解し、知識を身につけている。
【知識・理解】<ペーパーテスト>
・
「アンモニアの噴水実験」を行 ・いろいろな気体に関心を持ち、それらにどん
う。
な性質があるかを探求しようとする。
・水素など、いろいろな気体の性
【関心・意欲・態度】<行動観察>
質を調べる。
・いろいろな気体の性質を基準を決めてまとめ
ることができる。
【科学的思考・表現】<ペーパーテスト>
・気体によってそれぞれに特有な性質があるこ
とを理解し、知識を身につけている。
【知識・理解】<ペーパーテスト>
8 本時の指導
(1)本時の主題 酸素と二酸化炭素の性質の違いを調べる。
(2)本時の目標
①酸素と二酸化炭素を発生させる方法や捕集法などの技能を身につけることができる。
②実験結果より、酸素と二酸化炭素の特性を理解することができる。
(3)本時の観点別評価項目
①酸素と二酸化炭素を発生させる方法と捕集法、それを調べる操作を正しく、スムーズに実験を
行うことができる。
【観察・実験の技能】
A:酸素と二酸化炭素を発生させる方法と捕集法、それを調べる操作を正しく行い、結果を出
すことができる。
B:酸素または二酸化炭素のどちらか1つ、発生させる方法と捕集法、それを調べる操作を正
しく行い、結果を出すことができる。
C:酸素または二酸化炭素のどちらか1つ、発生させる方法と捕集法を終え、それを調べる操
作の途中まで、結果を出すことができる。
②酸素と二酸化炭素の特性を理解することができる。
【科学的な思考・表現】
A:酸素と二酸化炭素の発生の仕方、捕集法とその特性をすべてノートにまとめことができる。
B:酸素と二酸化炭素の発生の仕方、捕集法とその特性の一部ノートにまとめることができる。
C:酸素と二酸化炭素の発生の仕方、捕集法をノートにまとめることができる。
(4)本時の展開
過程
時配
導入
7分
展開
30分
学 習 内 容 と 活 動
○教師の支援・援助、◆評価規準【観点】
<評価方法>
☆酸素と二酸化炭素は、それぞれどんな ・小学校の学習内容を思い出させる。
性質を持っているか?
・酸素や二酸化炭素は、空気を組成して
・発生法
いる気体であり、我々にとって身近な
酸素;二酸化マンガン+過酸化水素水
気体であることを気づかせたい。
二酸化炭素;石灰石+塩酸
・特徴
酸素;空気中に存在している(約 20%)
無色透明、水に溶けにくい、
助燃性がある
など
二酸化炭素;空気中に存在している(約
0.04%)
、無色透明、水に少し溶
ける、石灰水を通すと白く濁る
など
・酸素と二酸化炭素の捕集法と性質の調
実験;酸素と二酸化炭素を発生させ
べ方の説明をする。
て集め、その性質を調べよう!
<方法>
①気体を発生させる
<酸素>
◆酸素と二酸化炭素を発生させる方法と
捕集法、それを調べる操作を正しく、
スムーズに実験を行うことができた
か。
【観察・実験の技能】<行動観察>
○机間指導を行い、実験の準備や捕集・
性質調べる操作など、必要に応じて支
援、援助する。
<二酸化炭素>
・試験管に気体を捕集する際は、すべて
気体を集めるのではなく、2mL程度
水を残して、ゴム栓をするよう指示す
る。
・気体の捕集実験では、開始後、または
ゴム栓をとってから再度実験する場
②集めた気体を調べる
合、1本目の試験管は使用しないよう
試験管A;火のついた線香を入れる
指示する。
B;石灰水を加えて振ってみる
C;試験管を振り、水の中でゴ
ム栓をとる
・実験結果をノートのまとめ、考察する。
・酸素と二酸化炭素の発生の仕方、捕集
まとめ 13分
の仕方、特徴と分けてまとめさせる。
・ノートにまとめた内容を、時間が許す
◆酸素と二酸化炭素の特性を理解するこ
とができたか。
【科学的な思考・表現】
<発表またはレポート>
限り発表する。
○机間指導や友達の発表から、酸素と二
・時間がなければ、レポートで後日確認
酸化炭素の発生の仕方、捕集法をノー
する。
トにまとめていけるよう、支援、援助
する。
9 板書計画
☆酸素と二酸化炭素は、それぞれどんな性質を持っているか?
<発生法>
・酸素;二酸化マンガン+過酸化水素水
・二酸化炭素;石灰岩+塩酸
○結果
<捕集法>
・酸素は水に溶けにくい
→水上置換法で気体を集めることができる
・二酸化炭素は水に少し溶ける→水上置換法で気体を集めることができる
<特徴>
・A:酸素中に火のついた線香を入れると、
(ポッと音を立てて)激しく燃える<助燃性>
・B:酸素は石灰水には反応しない
・C:酸素は変化なし→酸素は水に溶けにくい性質
実験;酸素と二酸化炭素を発生させて集め、その性質を調べよう!
H24年10月29日(月)1校時第1理科室
・A:二酸化炭素は線香の火が消える
・注意点
・B:二酸化炭素は石灰水を白くにごらせる ①試験管に気体を捕集する際は、すべて気体を集める
・C:気体が減る(水位が上がる)
のではなく、2mL程度水を残して、ゴム栓をする。
→二酸化炭素は少し水に溶ける性質
②気体の捕集実験では、開始後、またはゴム栓をとって
から再度実験する場合、1本目の試験管は使用しな
いよう指示する。