仕様書 1.事業名 平成27年度国内資源開発基礎情報取得等事業 2.事業目的 新興国による資源開発が活性化する中、資源ナショナリズムの台頭により各国での資 源の囲い込みが進むなど、資源確保を巡る状況が年々厳しさを増しており、石油、天然 ガスなどの鉱物資源の安定供給を確保することが一層重要となっている。こうした中、 従来、資源の賦存可能性が低く、開発の経済性も乏しいと考えられてきた我が国におい ても、近年、特に我が国周辺海域において石油、天然ガス、メタンハイドレート等の鉱 物資源の存在が確認され、それらの開発が期待されている。 このため、資源の合理的な開発及び資源開発の促進を目的として平成24年1月に改 正鉱業法が施行され、①特定区域制度※1及び②資源探査規制制度※2が新たに創設された。 本事業は、改正鉱業法において新たに創設された上記制度の運用等に必要な基礎情報 の取得及び取得したデータの分析・評価を行い、データベースの構築等を行うことによ り、国内資源の適切な維持・管理及び合理的な開発の促進を図ることを目的とするもの。 ※1 特定区域制度 鉱物の中でも、国民経済上特に重要であり、その安定的な供給の確保が特に必要な石油、天然ガスなどの鉱物 については、新たに、国の管理下で鉱区候補地を指定し、当該鉱物の合理的な開発に最も適した主体を選定す る制度。 ※2 資源探査規制制度 地震探鉱法、電磁法及び集中的サンプリング探査法により資源探査等を行う場合、経済産業大臣に対して申請 を行い、許可を受けて探査を実施しなければならない許可申請制度。 3.事業内容 (1)特定区域制度に係る日本国内の地質及び資源ポテンシャル基礎情報調査 従来、民間発意(出願行為)により鉱業権の設定、開発が行われてきたが、改正鉱 業法により、国民経済上重要な鉱物であってその合理的な開発が特に必要なものにつ いては、国が国内資源を適正に維持・管理し、適切な主体による合理的な資源開発を 進める観点から、国の発意(特定区域の指定行為)により鉱業権の設定、開発が行わ れることとなった。 このため、国が特定区域を指定する際に必要となる日本国内の地質の把握や資源ポ テンシャルの評価等を行うための基礎情報を整備する必要がある。具体的には以下の 調査を行う。 ① 油・ガス徴の位置と種別情報調査 石油・天然ガスに係る資源ポテンシャルの評価を行う上で重要と考えられる地域 (秋田県及び新潟県を必須とする)について、現地調査や文献調査により、油・ガ ス徴の情報等を収集した上で、分析、解析及び評価を行うこと。また、日本周辺海 域のブラウズ衛星画像を用いて、海底油徴の可能性を示唆する海面オイルスリック の発生状況を概観できる集成画像を作成すること。 ② 油・ガス田情報調査 現在操業中の油・ガス田について、累計生産量や抗井数等の情報収集及び評価を 行う。また、地下構造図や断面図、代表的な抗井の地質柱状図など、油・ガス田を 視覚的に把握できる情報についても情報収集を行うこと。 ③ 基礎試錐(陸域・海域)等情報調査 基礎試錐の情報のうち、掘進中の油・ガス徴、DST(Drill Stem T est)結果など、石油・天然ガスに係る資源ポテンシャルの評価につながる情報 収集及び評価を行うこと。 ④ 資源ポテンシャル評価情報調査 石油・天然ガスに係る資源ポテンシャルの評価を行う上で重要な基礎情報の一つ である石油根源岩データや地下温度を推定するために必要なデータについて、情報 収集及び評価を行うこと。また、日本周辺海域の科学掘削(DSDP(Deep ea g Drilling Project)、ODP(Ocean Program)、IODP(Integrated ing S Drillin Ocean Drill Program))のデータを活用した石油地質学的検討を行うこと。 ⑤ その他 上記以外にも、地質及び資源ポテンシャルに係る有用な情報の整備を行うととも に、石油・天然ガス、水溶性天然ガスのほか、メタンハイドレートや海底熱水鉱床 等の資源情報全般に関しても情報収集等を行うこと。 また、資源エネルギー庁が既に保有している情報についても必要に応じて最新情 報に更新すること。 さらに、地質や資源ポテンシャル情報を理解する上で必要となる用語を一般向け にわかりやく解説した用語集を作成すること。 なお、上記①~⑤で情報収集等及び作成したデータについては、GIS(Geog raphic Information System:地理情報システム)データ 化し、資源エネルギー庁が保有するデータベースに組み込むこと。 (2)鉱物資源探査規制制度の基準に係る調査 改正鉱業法により、国が国内資源を適正に維持・管理をする観点から、鉱業法によ って定められた手法(地震探鉱法、電磁法、集中的サンプリング探査法)を用いる探 査行為については、事前の許可制としており、本制度の運用に際しては、鉱物資源探 査と海洋の科学的調査の外形的行為態様の類似性に鑑み、外形的に鉱業法によって定 められた手法を用いて探査を行っている場合は全て当該制度の対象としているところ。 他方、本制度の本来目的である、「国が国内鉱物資源を適正に維持・管理」すること を達成するためには、鉱物資源探査と海洋の科学的調査を一定の基準により区分けす ることが必要。 このため、主要国(アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ロシア、オーストラ リア、中国、韓国、インドネシア)の鉱物資源探査制度や近年鉱物資源探査に用いら れている探査手法についての調査を行い、どのような基準を設定することで鉱物資源 探査と海洋の科学的調査を区分けすることができるかの基礎資料を作成すること。 なお、上記記載の国以外についても調査の必要がある国がある場合は提案書で提案 を行うこと。 4.事業実施方法 (1)原則、公表されているデータや出版物等によりデータを収集し、必要に応じてそれ らを解析、評価を行うこと。現地調査やヒアリング等で入手した情報については、こ の限りではない。 「3. (1)①油・ガス徴の位置と種別情報調査」は、現地調査(秋田県及び新潟県 を必須とする)を行うこととし、1回当たり出張者2名程度、滞在期間3日間程度と すること。 「3. (2)鉱物資源探査規制制度の基準に係る調査」については、現地(アメリカ、 フランス、オーストラリア、中国を想定)で政府機関や関連企業へのヒアリングを行 うこととし、1回当たり出張者2名程度、滞在期間7日間程度とすること。 (2)「国内資源開発基礎情報取得等事業」の過去事業の成果物については、必要に応じて 契約後に提示する。 (3)その他 ① 本事業は、情報の収集はもとより、収集したデータの解析、評価も行うため、専門 的知識を要することから、これらを適確に実施できる履行体制を構築すること。 ② 資源エネルギー庁資源・燃料部政策課担当者に対して、調査の進捗状況を定期的に 報告すること。 ③ その他、事業の進め方や内容、事業実施スケジュールについては、提案書の内容を 履行することとし、詳細については、資源エネルギー庁資源・燃料部政策課担当者 と協議の上、決定すること。 5.事業実施期間 委託契約締結日から平成28年2月29日まで 6.納入物及び納入先 (1)納入物 調査報告書、本事業で収集したデータ及びGISデータの電子媒体(CD-R等) 1枚 (2)納入先 資源エネルギー庁資源・燃料部政策課(経済産業省別館4階412号室)
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