（2015 年 1 月に三菱電機技報で発表済み） 2015 年 2 月 17 日三菱電機株式会社タブレット端末上に、目前の風景画像と土中埋設配管を重ねて3D表示「AR（拡張現実）を用いた公共インフラメンテナンス技術」を開発三菱電機株式会社は、上下水道等の公共インフラの工事において、タブレット端末のカメラで撮影した目前の風景画像と土中に埋まって見えない埋設設備のイメージを重ねて 3D 表示する「AR（拡張現実）を用いた公共インフラメンテナンス技術」を開発しました。タブレット端末に描画した画像を複数工事担当者で共有し、設備維持管理を効率化することができます。開発の特長 1．カメラ画像から対象物とタブレット端末の正確な位置関係を特定・タブレット端末の大まかな自己位置を GPS・ジャイロなどのセンサーで取得・詳細位置情報を伴う埋設設備データが蓄えられている地理情報システムから、タブレット端末周辺の埋設設備データを取得・タブレット端末上の埋設対象物と埋設設備データを比較して、埋設対象物とタブレット端末の正確な位置関係を特定 2．埋設設備のイメージを遠近感のある 3D 画像で表示・埋設対象物とタブレット端末の詳細位置関係を使用して、タブレット端末のカメラから見た埋設設備の 3D 画像を作成・従来、画像の重ね合わせのために設置していた QR コード付きマーカーが不要となり、タブレット端末のカメラで撮影した目前の風景画像に埋設設備の 3D 画像を重ね合せて表示・複数の工事担当者がタブレット端末に表示される埋設状態のイメージを共有することで、上下水道など公共インフラの設備維持管理を効率化開発の概要今回従来位置合わせ機能効果・課題画像認識と地理情報システムを使った自己位置マーカーを設置する手間が省ける推定による位置合わせ QR コードを使った位置合わせ（埋設物の地上広範囲に多くのマーカーを設置する必露出部分にマーカーを貼付）要があり、導入・管理に手間がかかる今後の展開実証実験を経て 2016 年度以降の事業化を予定しています。報道関係からの〒100-8310 東京都千代田区丸の内二丁目 7 番 3 号お問い合わせ先三菱電機株式会社広報部 1 TEL 03-3218-2359 FAX 03-3218-2431 開発の背景近年、高度経済成長期に建設された様々な公共インフラが標準耐用年数を超えつつあり、必要最小限の改修を行い延命化を図る工事需要が拡大しています。一方、改修に際しては配管等の位置の把握が必須ですが、従来、工事担当者は、現場と配管図面とを見比べ、見えない埋設設備の位置を推定していました。昨今、この業務の効率化を図るため、マンホールなどの地上露出部分に QR コードを付したマーカーを貼り付け、AR 技術により詳細位置を含む埋設物データを特定する方法が提案されています。しかしながら、広範囲に敷設された公共インフラにおいては、膨大なマーカーの設置・管理が必要といった課題がありました。当社は今回、マーカーを用いることなく、現場の風景画像と埋設物を対応づける「AR を用いた公共インフラメンテナンス技術」を開発しました。特長の詳細 1．カメラ画像から対象物とタブレット端末の正確な位置関係を特定 GPS でタブレット端末の自己位置を測定すると最大 10m 程度の測位誤差が生じます。埋設設備の 3D 画像を現場のカメラ撮影風景画像に重ね合わせて表示するためには、より正確な自己位置の情報が必要です。そこで、タブレット端末に内蔵されている GPS などのセンサー機能を用いて、おおまかな自己位置を測定して、地理情報システムから付近の埋設設備の詳細な位置情報と 3D 構造情報を取得します。該当する埋設設備の地上露出部分を確認して、それが含まれる風景画像をタブレット端末で撮影し、地上露出部分の正確な位置から、撮影したタブレット端末への距離・方角・カメラ視線角度を求めることで、タブレット端末との正確な位置関係が特定できます。 2．埋設設備のイメージを遠近感のある 3D 画像で表示目前の風景のカメラ画像と自己位置（タブレット端末から）のカメラ視線に合わせた埋設設備の 3D 画像を重ね合わせることで、遠近感のある透視図として表示します。従来の QR コード付きマーカーを使用せずに、タブレット端末で目前の風景画像に埋設設備の 3D 画像を重ね合わせて高速に描画することにより、場所を移動しながら、埋設設備の状態確認ができます。商標関連 QR コードは、株式会社デンソーウェーブの登録商標です。特許国内 6 件、海外 5 件開発担当研究所三菱電機株式会社情報技術総合研究所〒247-8501 神奈川県鎌倉市大船五丁目 1 番 1 号 FAX 0467-41-2142 http://www.MitsubishiElectric.co.jp/corporate/randd/inquiry/index_it.html 2