気液界面放電による水処理技術

(2015 年 1 月 27 日に広報発表済み)
2015 年 2 月 17 日
三菱電機株式会社
低コストで工業廃水や下水を再利用、水循環社会実現に貢献
「気液界面放電による水処理技術」を開発
三菱電機株式会社は、気液界面での放電により生成した OH ラジカル※で難分解性物質を高効
率に分解する、工業廃水や下水の処理・再利用に適用できる新たな水処理技術を開発しました。
これにより、持続可能な水循環型社会の実現に貢献していきます。
※
ヒドロキシルラジカル:極めて強い酸化力(酸化還元電位 2.85eV;オゾン 2.07eV)をもつ酸化剤
気液界面放電水処理技術を適用した工業廃水再利用システム概念図
開発の特長
1.気液界面での放電により生成したOHラジカルで難分解性物質を分解
・傾斜面に電極を配し、湿潤酸素ガス中を流下する被処理水の気液界面にパルスコロナ放電を
誘起して OH ラジカルを発生
・OH ラジカルの強い酸化力で、塩素やオゾンでは分解が難しい界面活性剤やジオキサンなど
の難分解性物質を二酸化炭素や水などへ分解
2.酸素の再利用と装置の簡素化により、低コストの再利用水システムを構築
・OH ラジカルを高効率に生成し、既存のオゾンと紫外線(UV)照射を組み合わせた促進酸化
処理に比べて 2 倍の分解効率を達成
・湿潤酸素ガス中での安定放電技術により、酸素の再利用が可能となり、酸素使用量を削減
・反応器のモジュール化により装置構成を簡素化し、促進酸化処理に比べて装置コストを低減
開発の概要
難分解性物質除去方式
今回
開発
既存
方式
特長・課題
高効率に OH ラジカルを生成し、既存 A 方式の 2 倍
気液界面放電による促進酸化法
の分解効率を達成
酸素使用量を 90%削減
UV ランプ寿命による交換・維持費が課題
オゾンと UV 照射を組み合わせた
A
オゾン発生時の酸素コスト低減には、オゾンの高濃度
促進酸化法
化が必要
B
活性炭に難分解性物質を吸着させ システムは簡易だが、活性炭の再生・交換にコストが
除去する活性炭処理法
発生
今後の展開
本開発は、国立大学法人山形大学理工学研究科南谷研究室の技術協力の基に進めています。工
業廃水再利用装置として 2018 年度の事業化を目指します。
報道関係からの
お問い合わせ先
〒100-8310 東京都千代田区丸の内二丁目 7 番 3 号
三菱電機株式会社 広報部
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TEL 03-3218-2359
FAX 03-3218-2431
開発の背景
近年、人口増加・生活水準の向上を受けて、全世界的に工業廃水・下水の再利用が拡大してい
ます。例えば、アメリカ西部やシンガポールといった水資源が不足している地域では、すでに再
利用水の導入が進みつつあります。水は電気と同様に社会インフラであり、産業の発展のために
は、低コストの水再利用システムが求められます。
一方、多くの工場からの廃水には、従来の分解手法である塩素やオゾンでは分解できない特有
の難分解性の化学物質が含まれ、分解除去のためのコストを増やす要因となっています。これら
の処理には、分解することなく活性炭へ吸着し除去するか、オゾンと UV 照射を併用した促進酸
化処理などが適用されてきました。
今回開発した気液界面放電による水処理技術を工業廃水や下水の再利用に適用していくことで、
グローバルでの水循環社会の実現に貢献します。
特許
国内 4 件、海外 1 件
開発担当研究所
三菱電機株式会社 先端技術総合研究所
〒661-8661 兵庫県尼崎市塚口本町八丁目 1 番 1 号
FAX 06-6497-7289
http://www.MitsubishiElectric.co.jp/corporate/randd/inquiry/index_at.html
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