ゲノム編集特集 フナコシニュース 2015 年 2 月 15 日号（No.582） funakoshi news 任意の配列を特異的に認識する人工ハイブリッド酵素 TAL Effector 植物病原菌 Xanthomonas 由来タンパク質の TAL Effector（Transcription Activator-Like Effector）は，高度 に 保 存 さ れ た 33 ～ 35 ア ミ ノ 酸 か ら な る DNA 結 合 ド メ イ ン を 有 し， そ の 中 に は RVD（repeat variable diresidues）と呼ばれる 2 アミノ酸残基の可変領域があります。この可変領域により，DNA 配列中のそれぞれの塩 基を特異的に認識することができます。 TAL Effector に，ヌクレアーゼなどの機能ドメインを融合させることにより，特異的塩基配列を認識する人工ハイブ リッド酵素を作製できます。 2 アミノ酸 残基 NI NG HD NN 認識する 塩基 ＝ ＝ ＝ ＝ A T C G/A Tandem repeats T C T A T T C A C T G A CC N C L T P EQV V A I A S NG GG KQA L E T VQR L L P V L CQAHG RVD ヌクレアーゼ DNA 結合領域 TC T A T T C A C T G A C C Effector domain DNA 結合領域 TC T A T T C A C T G A C C Fok Ⅰ アクチベーター GO Fok Ⅰ DNA 結合領域 TC T A T T C A C T G A C C リプレッサー STOP 12 TALE Nuclease とは TALE Nuclease は，TAL Effector の高度に保存された aa 33 ～ 35 からなる DNA 結合ドメインと，Fok Ⅰのヌクレアーゼドメインを 融合したハイブリッド酵素です。TALE Nuclease は，ヘテロダイマーとなり，認識配列を有する二本鎖 DNA を切断します。切断に続い て，細胞内の機構を利用した非相同末端再結合（Non-Homologous End Joining：NHEJ）による修復が起こり，これにより任意の遺 伝子の挿入・欠失が行われます。 TALE Nuclease と同様の人工ヌクレアーゼとして，Zinc Finger Nuclease（ZFN）が知られています。ZFN では 1 つの DNA 結合モ ジュールが DNA 鎖中の 3 塩基対を認識し，DNA 結合ユニット全体では通常 12 塩基対を認識します。しかしながら，DNA 結合モ ジュールの組み合わせによっては塩基認識がうまくいかないことがあります。 一方，TALE Nuclease では，1 つの DNA 結合モジュールが 1 塩基対を認識し，DNA 結合ユニット全体で 17 塩基対を認識します。 これにより，TALE Nuclease はどの生物種ゲノムのどのような部位の DNA 配列も標的とすることができ，ZFN を用いるよりも特異的 な切断が可能となっています。 また ZFN よりもヌクレアーゼの結合部位が長いため，off-site cutting のリスクが，より低減されています。 ノックアウト 欠損 本誌に掲載されている製品はすべて研究用です TALE Nuclease による切断 挿入／欠失変異 TALE Nuclease ゲノム ドナーベクターの共存によるノックイン TALE Nuclease 切断 ドナーベクター ノックイン ゲノム お問い合わせ先： 〈試薬〉TEL：03-5684-1620 ／ FAX：03-5684-1775 ／ e-mail：[email protected]
© Copyright 2024 ExpyDoc
