イネミズゾウムシ防除薬剤の選抜 1 試験のねらい て干ミズゾウムシと本田初期害虫同時防除の基礎資料にするため、各種液剤のイネミズゾウム シ越冬.後成皐に対する効果を検討したので結果を報告する。 2.試験方法 (1)秤体浸茸き試験 昭和61年6月2.目に稚苗箱育苗のイネ苗の根部を3㎝角に切りわけ、茎葉部.を各薬剤の 乎,000倍液(マラソ!50%乳剤は2,000倍液も試験)に10秒問浸せきした。イ鼻苗に 付いた薬液の乾燥後に直径12㎝のノウバウエル鉢に移植した。その後、薬液処理当月、処理 3戸後、処理7日後に塩化ビニール製の飼育筒をかぶせ、イネミズゾウムシ越冬後成虫を1鉢 当たり20頭放飼した。放飼3目後に死虫率と1鉢当たり食こん数を調査した。試験は3反復 により行った。 (2)虫体浸せき試験 昭和61年6月23目に越冬後成虫を各薬剤のユ,000倍液(マラソン50%乳剤は2,000 倍液も試験)に10秒問浸せきし、虫体乾燥後、イネ苗の入った試験管に放飼した。放飼3目 後に死虫率及び食こん準を調査しれ試験は、1試験管当たり20頭を供試し、試験は6反復 により行った。 3 試験結果及び考察 (1〕稲体浸せき試験 表一1に示すとおり、トクチオン乳剤、オフナック乳剤及びカルホス乳剤は、薬剤処理7日 後放飼まで死虫率高く食こん数少なく効果が高かった。バイジツト乳剤、パダン水溶剤及びト レボン乳剤は薬剤処理3目後放飼まで効果が商かった。ダイアジノン乳剤、マラバッサ乳剤及 びスミチオン乳剤は、薬剤処理当目放飼のみ効果が高かった。その他の薬剤は効果が低かった。 (2〕虫体浸せき試験 表一2に示すとおり、バッサ乳剤、トーレボン乳剤、オフナックバッサ乳剤、パダン水溶剤、 カルホス乳剤、オフナック乳剤及ヅマラーバッサ乳剤は死虫率高く食こん数少なく効果が幅かっ た。続いてバイジツト乳剤、ダイアジノン乳剤、トクチオン乳剤及びマラソン乳剤は死虫率が 高く、食こん数が比較的少なく、続いて効果が高かった。その他の薬剤は効果が低かった。以 上の結果及び各薬剤のイネミズゾウムシ以外のイネ害虫防除への登録状況から、オフナック乳 剤、カルホス乳剤、パダン水溶剤、トレポン乳剤などの薬剤がイネミズゾウムシ越冬後成虫に 対し稲体浸せき試験及び虫体浸せき試験とも効果が高く、イネミズゾウムシ越冬後成虫と本田 初期害虫との同時防除剤として有望と考えられる。 4 成果の要約 各種液剤のイネミズゾウムシに対する効果を検討した結果、オフナック乳剤、カルホス乳剤、 バイジット乳剤、バダン水溶剤、トレボン乳剤などの各種液剤の効果が高く、これらの薬剤はイ ネミズゾウムシ越冬後成虫とその他の本田初期害虫との同時防除に便用できると考えられる。 (担当者 病理昆虫部 斉藤浩一) 一41一 表一1 各種薬剤のイネミズゾウムシに対する効果(稲体浸せき試験) 薬 剤 名 マラソン乳剤 〃 (2,000倍液) スミチオン乳剤 エル’サン乳剤 バイジツト乳剤 ダイアジノン乳剤 デイプテレツクス乳剤 キルバール液剤 ジメトエート乳剤 死虫率% 日3目後7日後当 35,0 6.7 26,7 0.0 1ユ.7 86,7 55.0 .ユ.7 100,0 ・88,3 16.7 96,7 16.7 6.7 1.7 0.O 0.0 0,0 トクチオ ン乳剤※ 100.0 アリルメート乳剤※ 0,0 マラバッサ乳剤 オフナック乳剤 カルホス乳剤 バッサ乳剤 サンサイ ド乳剤 パダン水溶剤 トレポン乳剤 無 処 理 薬 剤 名 マラソン乳剤 〃 (2,000倍液) スミチオン乳剤’ エルサン乳剤 バイジツト乳剤 ダイアジノン乳剤 98.3 6,7 10.0 86,7 98,3 100,0 98.3 3,3 6.7 −35,0 81,7 86.7 0.0 98.3 50,0 98,3 58.3 1.7 66,7 65,0 40.0 15,0 11.7− アリルメート乳剤※ マラ・バツーサ乳剤 オフナック乳剤 カルホス乳剤 バッサ乳’剤 サンサィ ド乳剤 パダン水溶剤 トレボン乳剤 オフナックバッサ乳剤 水 8.3 1.7 0,0 18.3 0.0 0.0 0.0 1,7 92.3 1.7 0,0 80,0 71.7 0.0 3,3 36,7 23.3 1.7 134.7 115.3 104,0 26,7 88,3 10,0 96.7 39.0 147.0 8,3 100.0 100.0 100.0 100,0 10.3 9.3 1.7 0.0 118.7 6.0 0.0 152.7 31.7 100.0 100,0 11.7 一42一 目3目後7目後 ガ91.3 41,7 81,7 35,7 27,3 26,7 36,0 87.0 252.3 223,3 35.0 290,7 14,7 14,7 22,7 59,7 69,7 38.7 8.0 256.3 44,7 32,0 48,3 29,7 20.0 100.0 100,0 キルバール液剤 ト ク チォ ン乳剤※ 0.0 死虫率%食こん数 15,3 80,0 デイプテレツクス乳剤 ジメトエート乳剤 鉢当たり食こん数 375.0 343.0 347.0, 97,3 279.0 25.7 153.3 110.3 345.0 252.3 345.0 313.0 359.7 191,0 259.3 67.7 i39,3 223.7 35ユ.3 147,0 335,7 19,0 75,7 308.0 104,3 23.7 64.7 365.7 290.3 83,3 134,3 14.7 61.3 393.0 369.0 182.0 188,3 ※印の薬剤はイネ害虫防除へ の登録なし。
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