県内水田土壌の窒素肥よく摩の実態について 1 調査のねらい 水田土壌の窒素肥よく度は、当該水田の生産力の大きな指標となるものであり、いわゆる「地 力」を構成する最も大きな要素である。また、水稲栽培における窒素施週瞳の決走に当たっては、 常に考摩すべき間題となっている。 一一般に、窒素肥よく度の指標として、’定期間培養後の発現窒素である可給態窒素が用いられ る。また二可給態窒素は、腐植含量め多少など土壌の種類による影響が大きく反映されることが 知られている。 しかし、この値も、人為的影響により、常に変化するものであり、特に近年の農業をとりまく 諸情勢の変化はその影響が大きいもρと考えられる。そこで、昭和54年から実施している土壌 環境基礎調査の中から{可給態窒素について集約したので報告する。 2 調査方法 調査は、土壌の性格のほか。土地利用状況、営農条件等の土壌に及ばす条件等を勘案し、県下 の主要な土壌統を対象に行った。一 3 調査結果及び考察 第1層の可給態窒素の基礎統計量及び相対度数分布を第1図に掲げた。調査地点数は288地 点で、全地点平均は13.5㎎/100g 由g■lO09 劣 35 100 であった。土壌群別にみると、多湿黒ポ N o] 可 30 .轟; 早嚢 讐} ‘}砕} .漱 萎萎1 25 総 .分 {を 萎籔 患 布 ク土が15.9mg/100gで最も高く、 1嚢 20 ……ミミ… 蟹 副 1萎菱 委 灰色低地土及びグラィ土はそれぞれ11.4 撚… 分 灘、{織・ 12.8mg/100gで低かった。 …概葦 15 滋… 搬菱 50 多湿黒ボク土及び灰色低地土について 土壌統群別にみると、厚層多腐植質多湿 黒ポク土で最も高く19.0㎎/100g、 10一 一万礫質灰色低地土、灰褐系で最も低く ] 5 11.0㎜g/100gであった。10㎎/ o 0 288 125 35 27 58 122 2! 29 −9 34 19 ・・o 100g未満の地点は厚層多腐植質多湿 ‘} 1、目 ,昌0 10n 19n 1^? 11 』 11日 11 1 11 膚 11n l1日 ■ I3.5 ,5.9 −9,O !2.O I6,7 11.4 1I.8 1I.1 1一.6 11,0 11−8 12,8 出a6㈱a5z053呈い7仙“52&2乱・ 黒ポク土では約8%であるのに対し、礫 土壇寮簑全峨.0404^04C㈹1313A13013ε13F13G14 質灰色低地土、灰褐系では約50%を占 図1 可給態窒素の土壌統群別相対度数分布(第1層) めた。 ’般に、可給態窒素は有機質資材の施 用により富化されると言われる。本調査における有機質資材施用の可給態窒素への影響については、 施用資材の種類別に第2図にその分布を示した。これによると、多湿黒ポク共で有機質資材無施用 地点の平均値は16.4㎎/100gであるのに対し、有機質資材施用地点でもほとんど変わらず、 また灰色低地土では有機質資材無施用地点10.1㎜9/100gに対し、有機質資材施用地点ではい ずれも高かった。この土壌群別の傾向は、有機物連用試験などの結果でも同様で、多湿黒ポク土で 有機質資材施用による地力窒素蓄積の効果が出にくいことが示唆された。 一毛作、二毛作別にみると、多湿黒ポク土は一毛作16.4㎜g/100g、二毛作12.9mg/100g 一39一 25 可 給20 ■ 」 ↓漂準偏差全地点平均 また灰色低地土は一毛作11.8㎜g/100 全地点平均 ■多湿ポク土平均(04) ■多湿ポク土平均(04 0灰色低地土平均(13 0灰色低地土平均(13) g、二毛作10.9㎎/100gで、両土 漂準偏差 物/1009一 ■ またその差は多湿黒ポク土でより大きか 態 童 1 一 ’ . ・ 一 一 ・ . 一 15素 !無施用04平均 (16.似〆1009 (16似〆1009) 素 1 一 ■’‘ 10 一 I 壌群どもにそれぞれ一毛作地点で高く、 .一 .一 ‘ ■ i...’ . _1無施用全地点平均 _1匁施用全地占平均 (工2.5π〆1009 (工25πg/1009〕 ・・一無施用13平均 (10.1㎎/1009 (101ψ1009〕、 った。一 さらに、専兼別にみると、多湿黒ボク 土では専業16.4㎎/100g、第1種 兼業15.2㎎/100g、第2種兼業 14.2㎎/100g、また、灰色低地土 5 無施用堆肥 きゅう肥わら類全種類 では専業12.3山/100ξ、第1種兼 図2 有機質資材の種類の違いによる可給態窒素への影響 業10.8皿g/100g、第一2種兼業8.7 ㎎/100gで、それぞれの土壌群で専 可給態’窒素分布 業農家が最も高かった。 これらの結果から、二毛作で多ぐの地 力窒素が消耗し、また、専業農家で高か ったことは、土づくりの影響が大きく現 われた’と考えられよう。 図3 層位別の可給態窒素分布 多湿黒ポク土と灰色低地土の層位別の 可給態窒素の第1層に対する割合を第3図に掲げた。多湿黒ポク土と灰色低地土との違いは大きく ないが、第2層は第1層の50∼60%程度、第3層は10∼20%程度.と下層に従って急速に低 下した6 4 結果の要約 昭和54年から実施している土壌環境基礎調査の結果から取りまとめた県内水田土壌の可給態窒 素の実態は次のとおりであった。 (1〕調査全地点288地点の平均は13.5㎎/100gであった。多湿黒ボク土は15.9md/100 g、灰色低地土は11.4㎜g/100gで、多湿黒ポク土で高かった。」一 (2〕有機質資材の施用による可給態窒素の増加は多湿黒ボクI土に比べ、灰色低地土で大きく、有機 質資材施用の地力窒素蓄積への効果が多湿黒ポク土で出にくいことが示唆された。 (3)一毛作、二毛作別には、一毛作で各土壌群とも高かつた。専兼別にみると・、専業農家が最も高 かつた。 14〕層位別にみると下層に行くに従づて急速に低下した。 (担当考 土壌肥料部 亀和田国彦 吉沢 崇※・小川昭夫。櫃木与四郎 内田文雄※※ ※※※ 岩崎秀穂 )・ ※現蚕糸農産課 ※※現農業大学校’※※※現普及教育課 r4Cト
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