図が完成しその実態は明かとなった。 しかしその後農業機械の普及及び

畑地土壌の作土深と耕盤の硬度
1.調査のねらい
栃木県耕地土壌の実態については昭和20年代から調査がたされ、53年には県下全域の土壌
図が完成しその実態は明かとなった。しかしその後農…業機械の普及及び大型化、兼業化または水
田高度利用等、土壌に変化をもたらすであろう現象が急速に進行している。この様な状況下で今
後益々進展するであろう畑地の高度利用において特に重要と考えられる咋土深と耕盤の状況につ
いて昭和54年から継続している「土壌環境基礎調査」の中から集約したので報告する。
2.調査方法
調査は昭和54∼57年の4カ年間に県内250地点の畑地について、地目または主要な土壌
統ごとに実施した。またその圃場の管理については昭和57年にアンケート調査を実施した。
3。調査結果及び考察
図一1に咋土深の、図一2に耕盤の硬度の地目、土壌統苧別の基礎統計量及び相対度数分布を
掲げた。
咋土深の普通畑平均値1は16.8㎝で、土壌診断基準の管理基準値120㎝以上に比べやや浅かった。
度数分布を見るとこれらのうち約82%の地点が20㎝未満で、多くの地点で咋土深の拡大が望
まれる現況にあった。これに対し牧草地は15.O㎝と更に浅く、施設は27.8㎝で地目別では最
も深かった。牧草地はその栽培俸系上、この瞳を以てその管理を評価できたいが、これら地目間
の値1の比較から作土深に対し、圃場管理に関する集約度が大きく影響してることが推察される。
一方耕盤の硬度の普通畑平均は18.0㎜で、管理基準の20㎜以下を満たしていた。しかL約
33%地点は20㎜以上でこれらの地点では深耕等による耕盤破砕の実施が望まれよう。地目別
にみると施設が21.4㎜で最も硬く、これについても圃場管理の集約度の影響が大きいと考えら
れた。
更に作土深及び耕盤の硬度に対する圃場管理の影響を考察するため、表一1に耕起1乍業機械の
規模(馬力)別の、表一2に耕起回数別、また表一3に専業兼業別の平均値1を掲げた。土壌の種
類の違いによる影響を排除するため各々の喧は黒ポク土で比較した。
機械1乍業の規模の大きい地点ほど咋土は深く、耕盤は硬くなると期待されたが今回の集計では
統一的た傾向はみられなかった。耕起回数はO回(無耕起)∼5回までで、耕起回数が増すに連
れて作土深は深く、耕盤の硬度は硬くなる傾向にあった。一般に黒ポク土は、硬度について圧密
の影響を受けにくいと言われるが、今回の集計から走行回数の増加でやはり硬度が硬くなること
が示唆された。
専業兼業別の結果では咋土深については専業が最も深く、第2種兼業が最も浅かった。また耕
盤の硬度は第2種兼業が最も柔らかく、これらの関係は、専業農家で咋付回数が多い等、耕咋俸
系との関連も大きいと考えられるがやはり作付に関する集約度の影響が大きいと考えられる材料
の一つであろう。
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「土壌環境基礎調査」.の中から県内の畑地250地点について作土深及び耕盤の硬度について
集計した。
作土深の普通畑平均腫は16.8㎝、耕盤の硬度平均値1は18.0㎜であった。地目別にみると施
設で作土深は深く硬度は硬い傾向にあった。一方、耕起回数が増すほど1乍土深は深く硬度は硬く
なる傾向にあり、これらの腫は耕地利用の集約度に大きく影響されると考えた。
(担当者 土壌肥料部 亀和田國彦)
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皿 250 161 29 35 59 16 19 46 25 21 22 21
0
5
0
目
n 247 159 29 35 58 工5 19 46 25 21 21 21
111 17,8 16,816,2 17.5 工6,7 17,316,2 18,1 18,018,2 15,027.8
−n 工8,7 18.0 i8,618−217,8 16,9 18,419,818,4 21,4 18,621.4
冒也 4.9 3.4 3.1 3.6 3.7 3.9 1.8 4.9 4.9 4.9 3.6 4.O
sd 3.5 3.4 3.4 3.2 3.1 3.9 3.7 3.2 3.0 2.6 3.5 2.2
区分全地普通03A03C O宮D 03E06+構園03 07+牧草施設
区分 全地 普通 03A03C03D03E O峠樹園 03恢十牧章施設
点畑 12地 12地
点畑 i2地 12地
図一1 作土深の土壌統群別相対度数分布
注搬滋土03も:、麗綴欝黒ボク土03C:
図一2 耕盤(第2層)の硬度の土壌統群別相対度数分布
表層多腐植質黒ポク土
麦一1 耕起作業機械規模別の咋土深及ぴ第2層の硬度
03D:表層腐植質黒ポク土 03E:淡色黒ポク土 06:褐色森林土
表一3 專業兼業別・黒ポク土・普通畑の作土深及ぴ第2層の硬度
区分データ数作土深㎝2層硬度㎜
作 土 深 ㎝ 第2層の硬度
規 模 黒ポク土全地点黒ポク土普通畑黒ポク土全地点黒ポク土普通畑
Il lI、 畠d n ㎜ 昌d n −II 畠d Il m sd
O∼15ps 38 18・1 5・0 29 16・5 2・9 36 18・2 3・5 27 18・1 3・3
15∼24p s 75 17・6 4・9 58 17・3 4・3 75 18・1 3−3 58 17・8 3・3
專 業 79 17・1 工8・O
(3.7) (3.2)
第1種兼業 44 16,8 18−4
(33) (3.5)
25∼44ps44 16・5 2・7 43 16・6 2・7 44 18■4 3・5 43 18・3 3・5
第2糧兼業 13 15−6 16・4
45∼84p畠 12 17・5 4・1 7 17・3 4・3 12 17・4 2・5 716・7 2・3
(1.7) (3.0)
注 ( )内は標準偏差
表一2 隷起回数別の咋土深及び第2層の硬度
作 土深 第2層の硬度㎜
回数黒ポク土全地点黒ポク土普通畑黒ポク土全地点黒ボク土普通畑
皿血sd皿m8dnmod口㎜sd
○回1215.4 3.9 0 一 一 1217.7 2.7 0 一 一
1 26 17.3 4.4 14 16.3 3,9 26 工7.7 3.5 14 16.2 3.2
2 39 工6.5 2.8 35 16.5 2.9 39 17.8 3.4 35 17.0 3.6
3 3217.7 5.4 30 17.3 4.5 32 17,6 3.3 30 17.5 3−3
4 3018.3 4.0 26 18.3 3.3 30 18.8 3.1 26 18,4 2.7
5 i416.6 3.6 12 16.3 3.5 14 18.9 3.2 12 19.3 3,2
注 皿:データ数 皿:平均 畠d:標準偏差
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