分析事例紹介 はんだバンプの結晶粒分析(EBSP) - ムラタ分析

2013年4月 第
1. 分析事例紹介:はんだバンプの結晶粒分析
2. 分析事例紹介:はんだ合金層の調査
3. スタッフ紹介
分析事例紹介
5号
本号では、「ULV-SEM」の分析事例を中心に
紹介いたします。
ULV-SEMと、EBSPやEDXを駆使する事で、
従来はできなかった、『微小部の結晶状態や、
合金層の分布などの評価』が、可能となりまし
た。続々と新しい知見が得られてきています。
※ULV=Ultra Low Voltage
(超加速度電圧観察の略)
はんだバンプの結晶粒分析(EBSP)
概要
ICを実装してヒートショック試験をしたところ、1000cycでBGA接続が破断した。試験前後のはんだをEBSPで解
析したところ、0cyc(試験前)は結晶粒が小さい部分が多いが、1000cyc(試験後)では全体に結晶粒が肥大化す
る傾向にあることが分かった。
但し、破断箇所付近は肥大化しておらず、この部分に集中的に機械的ストレスが加わった(肥大化を阻害)こと
が示唆された。
手法
ULV-SEM/EBSP
データ
◆0cyc
◆1000cyc後
EBSP
◆SEM観察像
◆結晶粒マップ
Electron BackScattered
Diffraction Pattern
(電子後方散乱解析像法 )
結晶に電子線を照射すると
結晶方位に依存した電子
回折パターンが得られます。
SEMと組み合わせて、試
料のミクロな結晶方位等を
調べる手法。
破断箇所
結晶粒分布(グレインサイズ分布)
0cycでは、細かい結晶粒が分布し
ていたが、1000cycでは結晶が肥
大化していた。
◆結晶粒分布
POINT
EBSP分析では微小部の結晶方位解析が可能です。
結晶状態と材料物性には密接な関係があるので、ミクロな領域の材料物性を理解することに役立ちます。
< EBSPの測定原理>
SEM試料室内で試料を傾斜し、電子線を照射します。電子線は試料に衝突すると、散乱します。
この散乱された電子は、試料を構成する結晶の「方位に関する情報」を含んでおり、あるパターン
を有しています。そのパターンを検出することで、結晶方位を求めることができます。 (詳しい測
定原理は、次回のニュースレターにて説明予定です)
分析事例紹介
はんだ合金層の調査(相分析マッピング)
概要
無電解ニッケルとはんだバンプの接合部の相分析マッピングを、ULV-SEMにて行いました。
手法
ULV-SEM/EDX(相分析マッピング)
データ
単純な元素分布マッピング
Sn
P
Ni
Ag
Cu
Au
単純な元素分布マッピングでは、元素の分布がわかるだけで、どのような合金相分布になっているかは、はっきりとしない。
相分析分布マッピング
EDXデータ
Ni-Cu-Sn合金相
各ポイントのEDXデータから
組成比を算出、多変量解析
により、化合物相を抽出する。
(データはNi-Cu-Sn合金相)
Cu相
通常のNi-P相
Pリッチな
Ni-P相①
抽出された化合物相を重ね合わせる。
Pリッチな
Ni-P相②
POINT
Ni-Cu-Sn合金相
Sn相
Au-Sn合金相
相分析によって、形成している合金相の種類の違い
や分布が確認可能となります。
それによって、加工プロセス、材料の違いや、熱履歴
の違いなどの解析に役立ちます。
Sn-Ag合金相
ULV-SEM付属のEDXには、2つの特徴があります。
①SDD(Silicon Drift Detector)タイプの検出器が採用されており、従来のタイプ
のものに比べ、感度が格段に向上しました。
②従来の元素ごとのマッピング出力だけでなく、多変量解析と相分析を組み合
わせることで、化合物のマッピング出力も可能になりました。
■MBPスタッフ紹介■
名前 : 濱本 錦
趣味 : お買い物
一言 : 今年1月1日にムラタ分析パート
ナーの 一員になりました。
分析業務は以前 3年ほど担当して、○
年ぶりに戻ってきました。
早く○年のギャップを埋め、お客様のお
役に立てるよう頑張ります。
ムラタ分析パートナー株式会社
TEL/FAX:076-273-1929
Mail:[email protected]
受付:西田まで