水稲の湛水直播及び稚苗移植（側条施肥）の体系化試験 1 試験のねらい 湛水直播及び稚苗移植（側条施肥）に関する既往の試験成果を踏まえ、栽培実証を行うとともに、 組立て体系化に必要な資を得る。 2 試験方法 （1〕湛水直播 品種：星の光、播種量目標：10a当り3，5Kg、播種時期：5月上旬、代の硬さ目標：下げ振 り貫入深10∼11㎝、播種機の溝切り深さ：15㎜、発芽盛期5∼7目後に芽干し、中干し： 最高分けつ期にやや強め、施肥：基肥窒素10a当り5kg、穂、実肥の合計窒素10a当り6Kg、 収量目標：10a当り540Kg （2）稚苗移植（側条施肥） 品種1コシヒカリ、播種量（乾籾）：箱当り150g、使用苗箱数：10a当り17箱、移植 時期：5月上旬、基肥（側条施肥）：窒素10a当り3．2Kg（全層施肥の約8割）、追肥：穂・ 実肥合計窒素 工0a当り6Kg、収量目標：10a当り540Kg 3 試験結果および考察 （ユ〕湛水直播 、 1）直播機の作業能率・作業精度 61・62年の2カ年問にわたり検討した。歩行6条型直癌機の作業能率は10a当り約 20分、圃場作業効率は約70％であつた。播種量は、ユ0a当り3．5Kg目標に対し、3．2㎏ （61年）・3．4kg（62年）でありほぼ目標通りであつた。苗立率は78∼87％と良好であ つた。 2）生育・収量（表一1） 収量目標のユ0a当り540Kgに対し、6ユ年は536Kgでほぼ目標を達成したが、62年 は507Kgと若干及ばなかった。これは、5月上旬播種予定が5月28日播種となり十分な登 熟が得られなかったためと考えられる。 3）作業体系（表一3） 移植体系に比較して、播種・育苗・移植作業が省力化されているため、10a当り延べ労働 時間は13．9時間であった。 （2）稚苗移植（側条施肥田植機利用） 1）施肥田檀機の作業能率・作業精度 箱当り播種量はユ50gを目標としたが、ヱ58gであった。そこで、1株植付本数を4．5 本、10a当り15，0箱を目標にして移植した結果、4．5本／株・ユ5．1箱／10aとほぽ目 標通りとなつた。また、欠株率3．3％、1本植は5．3％であり、平均4本／株以上のかきとり で、欠株率がほぼ3％以内になることが実証された。乗用5条型施肥田植機の作業能率はユ0 a当り約28分、圃場作業効率は46％であつた。また、施肥量は10a当り3．2Kg目標に対 し3．0kg（目標の93．8％）であった。 2）生育・収量（表一2） 収量目標のユ0a当り540Kgに対し、524．1Kg（目標の97．ユ％）が得られてほぼ目標 を達成した。 3）作業体系（表一3） 10a当り延べ労働時問は、ユ8．8時問であった。 一21一 4 成果の要約 湛水直播及び稚苗移植（側条施肥）に関する既往の試験成果を踏まえて実証を行ったところ、 ほぼ目標が達成できた。また、ヱ0a当り延べ労働時問は、潅水直播体系がユ3．9時問、稚苗移 植体系（側条施肥田植機利用）は18．8時問であった。 表一1 湛水直播の生育・成熟・収量調査（62年） 草丈 ㎝ 茎数 本／㎡ 出穂桿長穂長穂数遅穂被害精籾重玄米重 期 穂 苗立 6■22 7レ／9 7／30 6／／22 7／9 7／30 月 日 ㎝ c㎜ 本／㎡本／㎡本／㎡Kg／1Oa Kμ0a 数 17，5 39．7 77．3 117 306 692 579 8．30 80−8 18．0 398，6 13，2 17．5 628．2 506．7 表一2 稚苗移植収量調査 一穂籾数穂 数総籾数千粒重登熟歩合精籾重玄米重籾摺歩合 ’＊立／本本／㎡干／㎡g％kg／1Oakg／10a％ 87．5 表一3 作 業 名 322，1 28，2 22．2 89，4 66．1 524 79．2 作業体系並びに10a当り所要労働時問（分） 湛直体系 作 業 機 械 移植体系 機械利用 延労働 機械利用 延労働 種子予措 ハトムネ催芽器、コーティングマシーン 1046，2 63．3 1022．0 30．ユ 3860．8 299．2 播種・育苗 モルタルミキサー、土箭機、播種機、育苗機 耕 起 26PSトラクタ、ロータリ（ユ．6m）秋・春 66．6 66．6 66．6 66．6 代 か き 26P Sトラクタ、水田ハロー（2．4m） 2回 94．7 97．5 94．7 975 施 肥 ブロードキヤスタ 4．0 8．0 移植・播種 歩行6条湛直機、乗用5条施肥田植機 工9．6 39．2 雑草防除 背負動散（散粒ホース）2回 ヱ4，0 28．0 14．0 病害虫防除 28．0 56．0 29．0 58．0 38．8 77．6 38．7 774 追 肥 背負動散（散粉ホース）4回 背負動散（散粒ホース）2回（湛直）、3回（移植） 2202 水 管 理 収穫・運搬 44．7 104．4 自脱コンバイン（4条、湛直）、運搬車 28．O 2ヱ3．0 5匡6 96．2 43B 72．6 744，5 84．0 744．5 84．0 汎用コンバイン（2．0m、移植） 乾燥・調整 25石乾燥機、籾摺機（5インチ） 836．6 合 計 （13．9hr） 1130，8 （18．8hr） （担当者 作物部 黒崎俊明 高橋憲一） 一22一
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