カトレア栽培牢おける施用液肥の最適窒素濃度 1.試験のねらい カトレアは洋ランの中でも最も人気のある一つで、最近の消費の増加もめざましいもあ余ある が、.生産の現場においては栽培、肥培管理等に種々の問題がある。特に肥培管理においては、窒 素濃度は50ppmが適当とされているが全期間を通しての検討例はなく、個々の生産者の経験技術 で対応しているのが実情である。そこでC P苗の鉢上げから開花に至るまでの期間について、施 用液肥の窒素濃度がカトレアの生育、開花状況に及ぼす影響を検討した。 2.試験の方法 供試晶種としてB1c.James Hauserman×C.G1orietta(C P寄1年生メリクロン苗)を用 い、ミズゴケを植え込み材料とし、 1986年6月末に3号ポリエチレンポットに植え込み、7月 1日よりかん水を100刎g/ポットで開始した。鉢替えは同年の12月と1987年12月にそれぞれ、 3.5号、5号プラスチック鉢で行った。その他栽培管理は農試ガラス温室で慣行に準じて管理し た。 窒素の施用は硝酸態窒素:アンモニア態窒素=3:1になるように硝酸ナトリウム硫安で 調整し、総窒素濃度を表一1の5水準に設定した。窒素以外の無機成分は硫酸カリウム、りん酸 1カリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウムを用いカリウム158ppm、リン26ppm、カルシウ ム57ppm、マグネシウム7ppmにした。かん水は2日おきに行い、2回かん水後1回液肥吉した。 3.試験結果及び考察 含有窒素濃度は1.5∼1.8%が生育経過、開花状況等優れていた。それより低い濃度では花径、 輪数が劣り、一高い濃度では開花が遅れ、花径、輸数とも劣った。その時の培地内の窒素濃度は50 ∼100ppmであった(図一1,2、表一2)。 培地内の窒素濃度が50∼100ppmで経過した区は、鉢上げ当年は100,200ppm区、2年目は は50ppm区であり、カトレア体内め含有窒素濃度も良好な範囲であった(図一1,2)。 ’シュートの伸長、葉身長とバルブ長の比とも50∼100ppm区が良好な生育であった(図二3)。 窒素吸収量は100ppm以上の区セは吸収量の増加はなく、2年目以降高濃度区がやや劣る傾向 {こあり、=肥効が低下した(図r4)。 窒素以外の無機養分の含有濃度は液肥窒素濃度100ppm以上の区では低い傾向であった。特に 花持ちに関与しているとされているカルシウム含有濃度は低くなった(図一。5)。 4.成果の要約 カトレアの肥培管理における液肥の窒素濃度は培地内の蓄積を考慮して、鉢上げ当年は100’ ppm, 2年目以降ほ50ppmで管理することが望ましい。 (担当者 土壌肥料部 松永 隆) 一75一 表一1 施用液肥の窒素濃度 処理区名 窒素濃度ppm A 0 B 表一2’ 区 開花日 花径㎝ 培地種類 50 開花日、花径、着花数 着花数 ミズゴケ A 89.1.5 13.0x13,0 1.6輸 B 1.5 14.3×13.6 2.5 C」 100 −C,88. 9.114 2,14 ユ4.4×13,2 2.5. D E 200 D E 2.5 12.Ox12.0 1.5 400 % 3 .o−o ・ 含 〆 有 窒 ・良・ ・、 A 一/. 1・ 素 2 濃 H A o・一一4 B ←’1・ C O一■’O D ’’一Σ“ パニ/ 度 H E 、序ノ ρ、 刃■i−o’’ ’ 〆’’’・一一二、’’ 8 ” 2 5 8 n 2 5 8月 1986 1987 1988 牟巨 図一1 8 n 1986 リードバルブ中の窒素濃度の推移 図一2・ z 25811258月 1987 1988 牟巨 培地内の窒素濃度の推移 晦 ;/ユート’vげ 一 ρ O.3 シ30 〃一二炉’ O.1 収 O.05 ト 20 長 〆レ ’ 0.03 量 H A O一■’o B 10 O.01 ・’’’・C o’’一〇D H E 】;。。11 2 5 8 11 …; 5 8月 】987 i988隼 図一3 図一4 工一ジ別シュート長 含 有 養 分 濃 度 2 月 4 6 10専 8 10乾物% 8 (1988) 2 1 〕C D E AB 3CD E 凡例 N Mg P KCaMg. 図一5 時期別養分含有濃度 一76一 株当りの窒素吸収量の推移
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