「昔ながらの喫茶店」…

のだ。
語り合うような喫茶店があったも
街にも、学生たちが時間を忘れて
も巨大なビルに変貌した。若き日
私が時間をつぶした「学生街の
喫茶店」は、とうの昔に姿を消し、
…」以下である。
昔ながらの喫茶店
ところが、長い年月が過ぎ、コ
ーヒー店といえば大手チェーンの
の喫茶店は残影の中に淡く生きる
堀 内 護 氏(ほり うち・ま
もる=フォークグループ「ガロ」
店が主流となった。そして年明け
のみである。
め死去、 歳。 年に「ガロ」
初めてデートをした都心の純喫茶
を結成し、マークの愛称で親し
早々、私の住む街で長年愛されて
元メンバー) 日、胃がんのた
まれた。
「学生街の喫茶店」
「ロ
消えていく。マニュアル通りにコー
いる。全国で店舗を展開するカフ
時代を経て、いま福岡市天神南
地区でコーヒー戦争が火を噴いて
天神南のコーヒー戦争
ヒーが出て、店員さんとの会話と
ェチェーンが旗艦店を配置し、大
日付西日
も呼べないやりとりしかない喫茶
手と地場が入り乱れての激しい顧
月
年 前の産経新聞に「消えゆ
く喫茶店」なる投稿が掲載され、
店の時代になっていくのかと嘆く
客争奪戦が繰り広げられている。
(2014年
本新聞)
共感したので切り抜いていた。
のは、私ひとりではないだろう。
聴くと、青春の懐かしい思い出が
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よみがえってくる。かつてはどこの
道路」周辺は超激戦地。一帯のラ
《若い頃、ガロの「学 生街の喫
茶店」がはやっていた。この歌を
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とりわけ西鉄福岡(天神)駅
の南口を東 西に走る通称「国 体
杯のコーヒーを前に、しばし
の休息を楽しめる店が街からまた
きた喫茶店が店を閉じた。
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70
12
65
56
1
マンス」などがヒットした。
イザヤ・クチ・ダサン
(ジャーナリスト)
(東京都世田谷区 主婦 )
》
共感したのは、歌への郷愁では
ない。
「ところが、長い年月が過ぎ
Vol.50
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Zaikai Kyushu / FEB.2015
けない味を提供し、約 店舗がし
リーズや、コンビニが専門店に負
200㍍内にはカフェチェーンのタ
ンドマーク・警 固 神 社から 半 径
が進むにつれ、 店また 店と姿
この地区には昭和 年 代、
店ほどの純喫茶があった。再開発
を決めました」と話している。
喫茶に客が戻ってきているという。
それもあってか、近年、首都圏
では「ルノアール」といった老舗
る場所ではないということなのだ。
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ガラス張りの外観や品の良いイン
どコーヒーの味もさることながら、
を消し、アトリエ閉店によりつい
伝えている。
直されたという。カフェチェーンで
によると、喫茶
総 務省の統 計
ばいせん
コーヒー
店の数は自 家 焙 煎などの「珈琲
万4630店をピークに減少し
は尻の感触が悪いオッサンやオバ
ちゃんたちが、長い時間を過ごせ
る「自分の居場所」として回帰し
ているのだろう。
私の「居場所」は天神地下街の
一杯立ての老舗店である。ここに
も最近、団塊の世代とおぼしき男
女の姿が増えた。
ヒーと、ナポリタンスパゲティな
がちだ。加えて豆市場の影響も受
時は道に枯 葉が/ 音も立てずに
《窓の外街路樹が美しい/ドア
をあけ君がくる気がするよ/あの
舞っていた/時は流れた》
店主の片原清氏( )は「カフ
ェチェーンがここまで増えるとは
ると、テナント料が跳ね上がる。
ることになった。新しいビルに入
だが、入居するビルが取り壊され
を広げて、ゆっくりとタバコをく
ではない。だが、如何せん、新聞
私もタリーズ、スタバによく行
く。明るく、開放的で決して嫌い
時世には遅れ気味だ。
なコーヒー店が浸透したいまのご
てくるような…。そんな錯覚に私
アがひらいて、あの頃の君がやっ
神地下街の老舗喫茶の入り口のド
ることはない。時は流れ、いま天
年代に出入りした「学生街
の喫茶店」はなくなってしまった
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が、心の中の喫茶店は永遠に消え
思わなかった。純喫茶は客単価が
ゆらす空間ではない。つまりオッ
もぜひとらわれてみたい。
いかん
低く、高いテナント料を払うこと
サンたちが気兼ねなく、一息つけ
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呼び、多くの常連客が通っていた。 は出来にくく、資本力に勝る安価
けやすい。豆が高騰しても値上げ
昔ながらの喫茶店は、どうして
も 杯あたりの価格が高くなり
店と3分の1以下まで落ち込んだ。 ガロの「学生街の喫茶店」の2
節目にはこうある。
続け、平成 年には4万9298
落ち着いた大人の雰囲気が再び見
喫茶店市場は価格やサービスが
多様化し、「勝ち組」と「負け組」
は昨年、客席を3倍に増やした。
「本を読みながらコーヒーが飲め
にくっきりと分かれ始めた。
集客力を高める狙い。
一方、激戦の波を受けてこの地
区から退場する喫茶店も少なく
産経新聞の記事(2014年6
月 日付)によれば、喫茶アトリ
エは昭和 年に開店。あめ色の美
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ど昔なつかしのメニューが人気を
しい木製カウンターで味わうコー
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年の歴史に幕を閉じた。
た「喫茶アトリエ」は、
一昨年暮れ、 専門店」ブームだった昭和 年の
ない。国体道路南側のビルにあっ
オッサンが回帰している
る」という特徴をさらに強化し、
のぎを削る。
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テリア、座 り 心地の良い椅 子 な
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にゼロになった、と産経の記事は
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TSUTAYA(ツタヤ)の福
岡天神店内にあるスターバックス
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はできません。残念ですが、閉店
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