平成27年(2015)年1月 大阪府公立学校管理職員協議会 〒543-0021 大阪市天王寺区東高津町 7-11 大阪府教育会館 406 号 TEL06-6765-1241 昨年 11 月 26 日、大阪市立小学校を教育研 究集会会場として使用することを許可しなかっ たのは違法として、大阪市教組が大阪市(被告) に損害賠償を求めた訴訟の判決が、大阪地裁で あった。裁判長は「使用不許可は違法」として、 大阪市に約 41 万円の支払いを命じた。 市教組は 2012 年と 2013 年に教研使用の ため小学校の使用申請をしたが、校長は、労働 組合への便宜供与を禁止した大阪市の労使関係 条例に基づき、いずれも使用を許可しなかった。 注目すべきは、行政処分を行った2名の小学校 長に対して「校長は集会の意義や教育上の支障 がないことを十分考慮せず不許可にした。団結 権を侵害するか否かを検討する注意義務を尽く さなかった過失責任がある」と責任を問う判決 を行ったことである。 一般的に国家賠償の法理からして、個々の校 長の行政責任は普通問われないのだが、今回、 ※2006 年(平成 18 年)の最高裁第 3 小法廷の判決 施設使用不許可に対する訴訟で、広島の呉市教委が 県教組の教研集会に学校使用を認めなかったこと を、次のように違法としている。 「本件集会をもって 政治的行為に当たるものということはできず、これ までの教育研究集会の経緯からしても、集会を学校 施設で開催することで教育上の悪影響が生ずるとす る評価は合理的なものということはできない」と。 今 後 の 予 定 2 月 21 日(火)支部長会議 ・2月17日(火)16:00 選挙管理委員会 4 月 11 日(木)会計委員会 ・2月19日(木)15:00 支部長会議 4 月 18 日(木)会計監査 ・3月 役員選挙公示 4 月2日(月) 25 日(木)選挙管理委員会、大 ・5月 7日(木)15:00 代議員会・支部長会 会運営委員会、 ・5月 23日(土) 第 42回定期大会 FAX06-6765-1353 裁判長は施設使用許可を出すという「行政庁」 でもある学校長の過失責任を厳しく指摘した。 大管協が支援した過去の裁判支援の状況であ れば、教育裁判の専門家である近藤顧問弁護士 (元大阪弁護士会副会長)による大管協会員への 周到なレクチャーがあり、 「中間管理職」として の校長が責任を負うことのないようにしていく のだ。裁判において、校長が職務執行に関わり 法的知識や「中間管理職」としての苦渋の決断 の中身を問われる時代となった。そうであるか らこそ、大管協は府内小中学校の2千名以上の 管理職が加盟する最大の登録団体組織として、 さらに、教育管理職の支援の拡充と組織の拡大 を追求していく必要性がある!と再認識した。 1月19日(日)の全管協組織代表者会に続き、 翌20日(月)の午前中、今年度の活動の総括と新 年度の計画について全管協役員会を行った。 大管協は冨嶋会長、山本副会長、鈴木幹事長、 中北・森口両副幹事長、青木筆頭顧問、中谷事務 局長が出席した。 午後からは、最初に、財務省を訪問し 27 年度 教育予算の概要の説明を受け、質疑を行った。 次いで、松野博一・自民党教育再生実行本部長 代行(自民党副幹事長)を訪問し、文教政策につい て情報提供を受けるとともに意見交換を行った。 最後に、文部科学省を訪問し、初等中等教育局 財務課廣石係長より、財務省との折衝を経て成案 となった来年度の教育予算案の概要について、説 明を受けた。その後、当初の文科省案との異同等 について質疑応答を行った。 ※裏面に 27 年度教育予算のポイント(財務省等) ※財務省で応対した柳川文科第二係長は豊中 14 中出身 「給与制度の総合的見直し」の実施に伴う国の退 職手当の取扱い変更に準じて、府教委は4月1日以 降の退職手当の調整額の引き上げを提案した。 「給与制度の総合的見直し」は、公務員と民間賃 金の差が、地方では「官」が高く、大都市部では「民」 が高い現状を解消するために、一律に「官」の給与 を2%引下げ、大都市部では民間との差額分を地域 手当引上げで調整する、というものだ。但し、月例 給引き下げにより、退職金算定給料額が下がり、退 職金もまた下がることになる。地域手当がそもそも 退職金算定基礎額から除外されているためであ る。従って、「退職手当調整額の引上げ」は当然 である。大管協は現行水準がダウンしないか精査 し、対応する。尚、府人事委員会は3年以内に地 域手当の勧告をする予定だ。(ハンドブック P11 参照) 指導要領改訂:キーワードは アクティブラーニング 《前川文部科学審議官が語る改訂の核心》 ◆教育環境の整備・質向上 □義務教育費国庫負担金 15,322 億円→15,284 億円(0.2%減) ・公立小中学校 少子化による自然減▲3000人 ・定数配置純減▲100 人 〔内訳:課題解決型授業(アクティブ・ラーニング)の推進 等個別課題対応の定数増△900人 既存定数の合理化減▲400人、 学校統合に係る既存定数の減▲600人〕 □補習等のための外部人材拡充(8000人→1万人) □学校統合に関する取組の推進(統合校舎に改修 する場合の補助新設、バス補助) ◆いじめ対応 48 億円→49 億円 □スクールカウンセラーについて、小中連携型配 置 を 100 中学校区増 。貧困対 策重点加 配 600 名(新設) □スクールソーシャルワーカーについて、貧困対 策に重点措置する等拡充(1357 人→2800 人) □道徳教育の推進 ⇒教師用指導資料作成・配布 ◆将来を担う人材の育成 □スーパーグローバルハイスクールを拡充(50校→100校) 等、グローバル人材育成を推進 □放課後子ども教室(12000→14000箇所)や土曜 学習(4850→12000箇所)を拡充するなどの学 校・家庭・地域が連携・協力した取組みを、地域 のボランティア等の協力を得て、人材育成として推進 □学内改革を進める国大・私大を重点支援 ◆安心して教育を受けられる環境の整備 □無利子奨学金の新規貸与枠の拡充(8600人) (学年進行分を含め 1.9 万人増 44.1→46.0 万人) □教育費負担の軽減(幼稚園保護者負担の軽減・大学 授業料減免の拡充等) □特別支援教育の充実(発達障害のある児童生徒の 支援や学校における交流及び共同学習を通じた障 害者理解推進モデル事業支援等(131 億円→145 億 円 ◆日本の子どもに欠けているのが、学ぶ意欲。国際比 較でも数学・理科の点数は高いが、それが将来役に立 つとは思っていない。理・数が好きかと聞くと、好き ではないと言う。 「強いられた学習」になっている。 内発性・自発性に欠ける学習だ。 テストの点数よりも、テストで測れない部分をもっ と伸ばしていくべきだろう。全国学力テストも学力の 一側面を測っているにすぎない。アクティブ・ラーニ ングのようなもので育める能力を伸ばしていこうと すると、これらの点数は多少下がるかもしれないが、 それでも構わないのではないか。基礎的な知識・技能 が多少欠けていても、本当に学ぶ意欲があれば、自ら 学んでいける。自分で学ぶべきことを探し出し、勉強 するという力が大事だ。 ◆学ぶ意志は、非常に大切だ。それを持つためには、 学ぶこと自体の喜びや面白さを感じさせるような学 び方を経験すること。人間がもともと持っている知的 好奇心をどこまで最大化できるかということは、大き な要素だ。教員の力量に懸ってくるし、教員自身が学 ぶことについての知的好奇心を持っていないとでき ない。 もう1つのポイントは、今学んでいることが自分の 将来にとって必要であることを、子どもたちがどこま で認識できるか。教員が、実社会とどうやって関連付 けながら各教科の指導ができるかということが重要 になる。こうした知的好奇心を満たしたり、社会生活 との関連の中で学ぶことの意義を認識したりするこ とが、学習意欲の喚起につながり、生涯にわたって学 び続ける人間になれる。 ◆これまでの教育は結局、生涯学習につながるものに なっていなかった。ここに、日本の学校教育の最も克 服すべき課題があると思っている。そのためには、学 習の在り方を大きく見直していかなければならない。 今後は、プロジェクト型の学習や、お互いに意見を ぶつけ合うようなディスカッション型の学習など「ア クティブ」でかつ「インタラクティブ(相互作用的)」 な、つまり自律的でかつ協働的な学びをどうやって具 現化できるかということが鍵を握ってくると思って いる。 『今回の指導要領改訂のキーワード』は、 「アクティブ・ラーニング」だと言っていいだろう。 ※「内外教育:前川喜平文科審議官に聞く」より
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