広報 平成 27 年2月 15 日 5 つた ま さよ さん が 伝 えたかったこととは 何 で しょう。子どものころの楽しかったことや、母 くろう となったときの不安や苦労、そして子どもが よろこ なが 生まれたときの喜び、そのような永い人生を、 むずか 習い覚えたわずか 文字で表現することの難 うった しさを訴えたかったのではないでしょうか。 文字が全てではないにしても、文字を理解 し使いこなすことが、社会生活を送るうえで 求められます。分かっているけれど文字を連 ねる難しさに、まどろっこしさを感じたので しょう。 識字学級のめざすもの そ まどぐち こくさいれんごう きょういく か が く ぶ ん か き か ん 」 ※ユネスコ 国 人 ( 際連合 教 育 科学文化機関 は ) 、じ個 ゅうよう とコミュニティ、そして社会にとっての識字の重 要 きょうちょう 性 を 強 調 す ること を 目 的 と し、 国 「 連 識 字 の りょ年 」 ういき 2 012年 に あらゆる領域、 ( 003年~2 ) おいてす、 だんかい いしん ゆうせんかだい あらゆる教育段階における識字の推進を優先課題と しました。 北 「 代色さんの手紙 わたくしはうちがびんぼうであったので がっこうへいっておりません。 だからじをぜんぜんしりませんでした。 いましきじがっきゅうでべんきょうして かなはだいたいおぼえました いままでおいしゃへいってもうけつけで なまえをかいてもらっていましたがためし にじぶんでかいてためしてみました。 人権擁護委員による人権相談 ・・・ 2月 26 日 ( 木 ) 問い合わせ・相談希望者は、人権推進課へ (559-5081・5148 FAX 563-3611) 」 かん 習 が 行 わ れていま す。さら に 内 容 は、被 差 別地区の識字学習から、いろいろな人たちの 学びの場へと変わってきています。その中に ふ と う こ う けいけんしゃ こうこう ちゅうたいしゃ ふく は不登校経験者や高校中退者も含まれます。 ざいにち かんこく ちょうせん 在 日 韓 国 朝 鮮の人たちや 中国の人、またそ の他の国としてフィリピンやベトナムなどの とうなん なんべい 東南アジアやブラジルなどの南米の国々の人 さんか たちも参 加しています。これらのことから、 た ぶ ん か きょうせい 学びの場が多文化共生の場にもなっているこ とがうかがえます。 識 字 学 級に参 加 する人たちは、識 字 学 習 や仲間との交流を通して、貧しさや差別とど う向き合うのかや、しっかりと差別と向き合 いその仕組みや原因を明らかにしようとする しせい 姿勢を学んできました。日本の識字率の高さ せいか は、すべてではないにしろ同和教育の成果と いえるのではないでしょうか。 てがみ 編集後記 しょうかい 四十八年二月二十八日 北代 色 十年ながいきをしたいと思います。 もっともっとべんきょうをしたいです。 なりましたこれからはがんばって ごうをおぼえたのではじもかかなく またりょかんへ行ってもへやのばん いちへゆくのもたのしみになりました。 すうじおぼえたのでスーパーやもくよう じを見つけるとたいへんうれしく思います かんばんにきをつけていてならった なりました。みちをあるいておっても ほんとうにうつくしいと思うように 思わなかったけれどじをおぼえて 夕やけを見てもあまりうつくしいと たいへんうれしかった。 かんごふさんが北代さんとよんでくれたので 10 な 「 まえをかいた きょうは はじめて ひとりで でんしゃに のりました。 とちゅうで ラーメンをたべようとおもった けど かんじがわからないので たべないで かえってきました。 わたし、じ をべんきょうしたら、 そのじ、にげんように って てにかいてね ぐっとにぎりしめていえにもってかえるんで すわ。 えきで らくがきをみました。びっくりして はらたって なみだがでました。 つこて、ひとにわるぐちかいてばち なにかんがえてるんやろね。だいじなかわい いじ あたりまっせ。 36 1 社会生活や仕事に沿った学習 やくしょ よしだ かずこ な ま え を か い た 」吉 ( 田一子さん 大 ) 阪府 ▲「 富田林市立人権文化センター識字教室より うれ 80 今回ご紹介した手紙や作文から感じたこ とは、字は生きるための力であり、かけが たからもの えのない宝物なのだということです。私た なにげ ちが何気なく使っている字を、このように むね つ いとおしく大切に思う気持ちに、胸を突か れる思いがします。 現在の日本では、識字率がほぼ100% ちょうさ に近いため、識字率の調査は行われていま か こ せん。過去、差別の厳しさや生活の貧しさ などを理由に教育を十分に受けられない状 況がありました。しかし、 昭和 年に始まっ きょうかしょむしょうかうんどう た教科書無償化運動などの取り組みによ だれ ひと り、現在は誰でも等しく教育が受けられる 時代になっています。 詳 、「人権さ ( しくけは いさい んだ」平成 年2月 日号に掲載していま す。) はばひろ 識字学級には、 代から 代までの幅広 そう こくせき い年代層の人たちや、さまざまな国籍の人 さんか が参加しています。世界を見ると、学校に つ 行けなかったり仕事に就けない人がたくさ んいます。このような状況から、国際的な かん かだい のこ 識字に関しても、まだまだ課題が残ってい るといえます。 15 ① 名 前 や 住 所 が 書 け ること か ら 始 ま り ま す。 びょういん ② 病 院 や 役 所 の 窓口で 自 ら 書 け ることを じっせん 実践します。 じしん ③自信がつき、外出や買い物が楽しくなり ます。 たいけん 字を覚えた嬉しさと頑張った自分をほめた いきどお みごと い気分、そしてらくがきに対する憤りが見事 に表現されています。 び 、はら 「 っくりしすて なお たって、なみだがでました と 」 、素直な気持 ちが出ています。 識字学級の今 10 現 在 の 日 本 で は 全 人 口 の 約 0. 2 % の 人が読み書きできないと言われていま か こ す。 過 去 の 非 識 字 率 は 今 よ り も 高 か っ た た め、 昭 和 年 頃 の 福 岡 で の 識 字 学 級 の かいせつ 開 設 を きっか け に 識 字 学 級 は 全 国 に 広 が り ま し た。 ま た 国 「 連識字の 年 ※ ( )」 こうか の効果もありましたが、現在においても多く のこ の課題が残されています。 がくしゅう け い た い 識 字 学 級では、学 習 形 態が多 様 化 するな くふう かで工夫がなされ、人権について学び、生い じゅうし 立 ち や 生 活 を ふ り か え るこ と を 重 視 し た 学 10 イ 37 2 被 差 別 体 験 や 生い立 ちを 語 り、自 らを つづ 綴っていく学習 ①文字を知る権利を奪われた理由を知るこ とで、差別の仕組みや不合理を知り、自ら の生い立ちなど個人史を綴ります。 ②世の中や差別の仕組みがわかると、自分 を非識字にした原因が理解できます。 じょうほう ③情報の受信と発信ができる喜びが、日々 まんぞくかん の生活の満足感につながり、自然と自信が わ 湧いてきます。 こうりゅう なかま 識 字 学 級 での 交 流 は 大 事 な 仲 間 づ く り の しどう 場となりました。先生からの指導を受けなが かだい がんば こ ら課題をこなす喜びや頑張りが、年代を超え しんらいかんけい てより深い信頼関係をつくりました。 26 イ 50
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