栃木県におけるそばの二期作栽培の確立

栃木県におけるそばの二期作栽培の確立
1.試験のねらい
そばには大きく分けて秋収穫される秋そばと夏収穫される夏そばがあり、これをうまく組み合
わせることによってトータルの収穫量をあげ、そばだけで経営的に成り立つように二期作栽培の可
能性について検討した。
2.試験方法
場所は農試本場畑(表層多腐植質黒ボク土)。処理内容として昭63年は2晶種(しなの夏そば・
在来秋そば)x播種時期(ユ0水準)。平成元年は2作型(①夏そば十秋そば体系、②夏そば十夏
そば体系)。平成乞年は試験1(追肥・培土の効果):基肥・追肥(4水準)x培土(2水準)、
試験2(播種法別):播種法(3水準)、試験3:二期作体系実証。追肥時期は開花始期培土直
前施用。播種量:0.4㎏■a。栽植密度:畦幅60㎝、播幅10㎝。施肥量(㎏■a):N0.3P・O・
ヱ.2K.01.2。培土:開花姶期。防鳥網掛:5月ユ0日。
3.試験結果およぴ考察
(1)夏そばは晩霜の心配がなくなる頃からなるべく早い時期に播くほど収量が高く、播種適期は
県内平坦地では5月上旬頃。播種晩限は秋の早霜の関係から8月下旬。収穫は適期播種で7月
上旬頃である。秋そばはあまり阜く播種すると草丈が長くなり過ぎるので、7月下旬から播種
可能で晩限は8月下旬。播種適期は8月中旬頃で収穫は10月下旬頃である(図一1,2)。
(2)作業の都合上経営的にはいろいろな組合せが考えられるが、収量は秋そばを適期に播種した
ものが最も多いので、そばの二期作は秋そばの8月中旬播きをメインにして夏そばの5月上旬
播を組み合わせた体系がトータルの収量が最も多くなる(図一3)。この体系は夏そばの収穫
から秋そばの播種まで一カ月以上間隔があり、夏そばの零れた種は殆ど発芽して秋そばの播種
前の耕起で鋤込まれてしまうため晶種の混ざりは問題にならない。
(3)夏そば十夏そば体系は子実重合計ではやや劣るが最終の収穫期が約1ヵ月早くなる。
(4)基肥を適量施用すれば、追肥の有無による精そば重の差は殆ど無い(表一1)。播種法別で
は、条播で倒伏が多く、精そば重の差は認められなかった(表一2)。
15)昭和63∼平成2年の3年間の試験ではそばの二期作栽培は特に問題となる点はなく、収量の
トータルで精そば重計24㎏■a程度(平均5俵半程度)を得られる(図一4)。
4.成果の要約
そばの二期作栽培の可能性について検討した結果、秋そばの8月中旬播きをメインに5月上旬
播き夏そばを組み合わせた体系が精そば重トータル24㎏■aで最も高く、晶種の混ざり等の問題
も無い。これによって、山間地で排水がよく小麦や大豆の収量が低い地域では畑の輸作体系の中
に土地利用型の作物の一つとしてそばの二期作栽培を積極的に導入できることが明らかになった。
(担当者作物部 湯沢正明)
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図一1 しなの夏そぱ播種時期別
生育目数(昭和63年)
図一2
表一1 基肥・追肥及び培土有無(平成2年)
田沼在来秋そば播種時期別
生育日数(昭和63年)
表一2
主茎長 倒伏 雑草重 精ソバ重
播種法別(平成2隼)
倒伏 雑章重精ソバ重
c皿程度 g/㎡ ㎏/a
程度 g/㎡ ㎏/a
基肥・追肥榊
淋
一榊‡
LSD(0.05)9.6
1.4
7.3
2.0
LSD(0.05)0.9
0.0
111,0
5.4
条播 1,7 21.7
ドリル播 0.4 2τO
3−0
3−3
培土有無
LSD(O.05)
培土
無培土
89,2
93.3
82,7
5,8
1.7
13.7
1.8
7.8
11,7
13.0
‡林
6,8
0二8
11,7
0.9
バラ播 0.5 2ユ7
95.9
12,4
12,8
14.3
注.晶種:しなの夏そぱ
林
30,3
80,9
72.3
播種法 榊
批*
0.2
榊
07!禰 閥パ? 09/㏄
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○舳日十開棚o燃蜘
○旧氾8 +閑花期 o威.醐,
0−3 62.O
O−6 61.8
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舳905/09㈱舳80㈱O〃2888〃09脳
1,
1.4
播種日:5月8日
8.3
榊・ユ%,・林・5%の危険率で有意
9.7
注.晶種:しなの夏そぱ 播種目:5月8臼
追肥時期:開花期
榊三1%,咋5%の危険率で有意
㎏/a
㎏/a日春播夏ソバ ……………、 …≡夏播秋ソバ
18.O
27.o 計249
困しなの夏そぱ………………在来秋そば
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図一3 時期別精ソバ重(昭6.3)
昭63 平元 平2
図一4 年次別二期作体系精ソバ重
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