毎月15日発行 平成27年2月15日発行 (第633号)( 6 ) 会計ポイント 協力:公認会計士坪井敦事務所 坪井敦氏(公認会計士) 社会福祉法人の新会計基準 今号は、新会計基準の4回目として、貸借対照表及び財務諸表の注記の変更点についてそのポイントを解説していきます。 貸借対照表の役割 貸借対照表は、社会福祉法人の会計年度末現在におけるすべての資産、負債及び純資産の状態を明らかにする財務諸 表です。法人の財政状態を把握するうえで必要不可欠なものであり、新会計基準においてもその作成が必要となります。 貸借対照表の区分 旧会計基準の貸借対照表は、資産の部、負債の部及び純資産の部に分かち、更に資産の部を流動資産及び固定資産に、 負債の部を流動負債及び固定負債に区分して表示してきました。新会計基準においても同様に表示します。ただし、資 産及び負債について、流動と固定の区分の基準(1年基準)に変更があり、流動資産・負債と固定資産・負債の範囲が 変わっていますので注意が必要です。 流動資産 固定資産 現金預金、事業未収金(※新科目)、未収金、未収補助金(※新科目)、未収収益(※新科目) 棚卸資産(※支払資金:貯蔵品、非支払資金:商品・製品、医薬品、原材料など) 立替金、前払金、前払費用、仮払金 短期貸付金、事業区分間/拠点区分間貸付金(※新科目、内部勘定であり消去対象) 1年以内回収予定長期貸付金(※旧基準では固定資産、非支払資金) 1年以内回収予定事業区分間/拠点区分間長期貸付金(※新科目、内部勘定であり消去対象) その他の流動資産、徴収不能引当金 基本財産 定款で基本財産と定められた土地、建物、定期預金(※新科目)、投資有価証券(※新科目) その他の 固定資産 基本財産以外の固定資産 土地、建物、車輌運搬具、器具及び備品、有形リース資産(※新科目)などの有形固定資産 権利、ソフトウェア(※新科目)、無形リース資産(※新科目)などの無形固定資産 長期貸付金、事業区分間/拠点区分間長期貸付金(※新科目、内部勘定であり消去対象) 退職給付引当資産、長期預り金積立資産、その他の特定目的積立資産 差入保証金(※新科目)、長期前払費用(※新科目)、その他の固定資産 流動負債 事業未払金(※新科目)、その他の未払金(※新科目)、未払費用(※新科目) 未払費用(※新科目)、預り金、職員預り金(※新科目)、前受金、前受収益(※新科目) 短期運営資金借入金、役員等短期借入金(※新科目) 事業区分間/拠点区分間借入金(※新科目、内部勘定であり消去対象) 1年以内返済予定設備資金/長期運営資金借入金(※旧基準では固定負債、非支払資金) 1年以内返済予定リース債務(※新科目、非支払資金) 1年以内返済予定事業区分間/拠点区分間借入金(※新科目、内部勘定であり消去対象) 仮受金、賞与引当金、その他の流動負債 固定負債 設備資金借入金、長期運営資金借入金、リース債務(※新科目) 事業区分間/拠点区分間長期借入金(※新科目、内部勘定であり消去対象) 退職給付引当金(※名称変更)、長期未払金、長期預り金 その他の固定負債 純資産 基本金 国庫補助金等特別積立金 その他の積立金 次期繰越活動増減差額(※名称変更) 貸借対照表の種類および様式 旧会計基準の貸借対照表は、当該会計年度末の金額を前会計年度末の金額と対比して表示しました。新会計基準の貸 借対照表においても同様に表示します。また、勘定科目についても、旧会計基準と同様に第3号の1様式から第3号の 4様式まですべて中区分まで記載します。 財務諸表の注記 新会計基準においても、決算書を作成するうえで適用している会計方針や重要な資産及び負債の補足説明など決算書 の利用者にとって有用な情報を提供するため、注記の作成が必要となりますが、その記載内容が拡充されています。また、 法人全体のほか、拠点区分での注記の作成が必要となります。 【旧会計基準で規定する注記事項】 【新会計基準で新たに加えられた注記事項】 ①重要な会計方針 ⑧継続事業の前提に関する注記(※) ②重要な会計方針変更、その理由及び影響額 ⑨法人・拠点区分で採用する退職給付制度 ③基本財産の増減内容及び金額 ⑩法人・拠点が作成する財務諸表等と拠点区分・サービス区分 ④基本金・国庫補助金等特別積立金の取崩し・理由・金額 ⑪取得価額、減価償却累計額、当期末残高(直接控除の場合) ⑤担保に供されている資産の種類・金額及び担保する債 務の種類・金額 ⑫債権金額、徴収不能引当金の当期末残高、債権の当期末残 高(直接控除の場合) ⑥重要な後発事象の内容及び影響額 ⑬重要な偶発債務(※) ⑦その他必要な事項 ⑭満期保有目的債券の帳簿価額、評価損益等 (※)拠点区分での記載が不要となる項目 ⑮関連当事者との取引内容(※)
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