学生の確保の見通し等を記載した書類① - 大学設置室

学生確保の見通し等を記載した書類
1. 学生確保の見通し及び申請者としての取り組み状況
1)学生確保の見通し
①
定員充足の見込み
入学定員の設定にあたり、本専攻の基礎となる学部学科学生に対するアンケート調
査を行い、次に社会的需要の確認として、幼稚園、小学校、中学校現職教員に対する
アンケート調査、さらに卒業生に対する聞き取り調査を行い検討した。
まず、基礎となる学部学科である人間関係学部子ども発達学科の在学生を対象とし
た平成 25 年度の調査結果では、子ども発達学科に接続する大学院修士課程が設置され
た場合、進学する意思が「ある」と答えた者が 8 名(第 1 回調査 6 名、第 2 回調査 2
名)、
「ややある」と答えた者が 66 名(第 1 回調査 43 名、第 2 回調査 23 名)であった。
それぞれの学年において進学する意志を示す者がみられることから、継続した入学定
員の確保が可能であると考えている(資料1)
。
また、平成 25 年度に実施した、社会人に関するニーズ調査では、現職教員(幼稚園
教諭、小学校教諭、中学校教諭)に対してアンケート調査を行った。その結果、本専
攻の設置について、
「大いに関心がある」と「ややある」を合計すると 88.0%という高
い割合で関心があることがわかった。また、進学希望については、半数以上が「時間・
職場条件が整えば学びたい」の項目を選択しており、条件さえ整えば学び直しをした
いニーズが把握できた。さらに本専攻へ期待することについて、自由記述で幼小中連
携力量を高めることや、現場における幼児児童生徒の発達上の問題への対応や発達臨
床的対応について、さらには実践的指導力の向上などが求められていることが明らか
になった。(資料2)
。
さらに、卒業生のリカレントのニーズの確認のため、面接法による聞き取り調査を
行った。他大学大学院修了者(教育学系)や将来園経営に携わる予定者という、教育
に関してそれぞれ意見を持つ者に対して、各設問に自由に回答してもらった。その結
果、聞き取りを行った 5 名のうち全ての者が大学院における学修の必要性を述べ、う
ち 2 名は入学希望を示していることがわかった(資料3)
。
以上のように、学部からの進学、現職教諭や卒業生のキャリアアップならびに学び
直しとしてのニーズがあり、かつ本大学院発達教育学専攻への関心・進学意志のデー
タから、受験者数、入学者数を十分に確保でき、入学定員 5 名を充足するものと考え
る。
1
②
定員充足の根拠となる調査結果の概要
発達教育学専攻の学生確保の見通しについては、基礎となる学部学科である人間関
係学部子ども発達学科の学生を対象に進学希望アンケート調査を行った。個人の継時
的データを比較するため、平成 25 年度にあたる平成 25 年 11 月と平成 26 年 3 月に調
査を行った。
(資料1)
第 1 回調査対象は、子ども発達学科に所属する 1 年 107 名、2 年 125 名、3 年 111 名
の計 343 名である(調査時期:平成 25 年 11 月)。子ども発達学科に接続する大学院修
士課程を設置することに関心が「ある」と回答した学生の割合は 8.5%、
「ややある」
と回答した学生の割合は 24.5%、計 33.0%であった。進学を強く希望する学生はその
意志が回答の一貫性にあらわれていた。他方、進学意志に関わらず強い関心を持って
いる者は、自由記述で「大学院での教育内容や免許に対して詳細に知りたい」と回答
している者が複数あり、学ぶことへの関心はあるが、条件や内容を重視していること
がうかがえた。また、大学院修士課程を設置することに関心があるかどうかについて、
第 1 回目と第 2 回目の調査では顕著な差はなく、「関心がある」
、または、「ややある」
と回答した者は平均 30.4%であり、関心の高さが示唆された。
「大学院修士課程が設置
された場合に進学する意思はありますか?」という問いに対しても、第 1 回目と第 2
回目の調査では顕著な差はなく、
「進学の意志がある」、または、
「ややある」と回答し
た者は平均 13.5%であり、進学希望がある者は 10 人に 1 人以上いることがわかった。
そして、進学希望の理由としては、
「より専門的な知識・技能を習得したい」が最も高
く、次いで、
「免許や学位を取得したい」
、
「キャリアアップを図りたい」であった。進
学希望があまりない者がどのような条件が整えば進学を考えるかについては、進学そ
のものに関心が無いものが多かったが、改善条件については「経済的事情」が最も高
く、次いで「自分の学びたい目的と大学院における教育・研究内容が一致している」
、
「自分の進学能力への不安の解消」であった。大学院に進学する場合に重視する項目
は、
「取得できる免許」、
「学費や奨学金」
、
「教育内容」の順で多く、取得できる免許に
ついての整備が求められることがわかった。
子ども発達学科に接続する大学院修士課程が設置された場合、進学する意思が
「ある」または「ややある」と進学希望を回答した者は、各学年とも 10〜20 名い
た。在学生の他、卒業生や学び直し、現職教員などの受験を想定すると、入学定員 5
名に対して高い倍率が予想される。本専攻の基礎となる子ども発達学科の卒業生は、
現在のところ入学に関して希望者が多く、偏差値の上昇、高い入試倍率などの状態が
続いている。専修免許や学校心理士(補)の取得可能な教育課程を配置することによ
って、在学生のみならず、多様な学生が受験すると考えられる。
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他方、社会人におけるニーズを把握するために、幼稚園教諭ならびに小学校教諭へ
のアンケート調査ならびに中学校管理職に対するアンケート調査を行った。現場にお
ける幼児児童の発達上の問題への対応や保護者支援、指導力の向上、実践力の重要さ
から、現場での経験を積んだ上で現代的課題について学ぶ場を求める自由記述がみら
れた(資料3)。
また、卒業生のリカレントを視野に、卒業生 5 名(他大学大学院修了者、将来園経
営に携わる予定者)に対する聞き取り調査を実施し、全ての者が大学院における学修
の必要性を述べ、うち 2 名は入学希望を示している(資料2)。ニーズとしては、現職
での課題意識の解決や、学び直しなどが中心である。
なお、学びの自己実現を可能とするためには、入試において社会人経験を生かすこ
とが可能なもの(小論文など)を採用し、さらに支援システムとして、学習面や生活
面に配慮したハードやソフトの見直しを行う。ハード面の支援は、最終時限である 6
限後(20:10 終了)に使用することが可能な院生室の確保と、情報機器などの設置、
図書館の閉館時間を延長し、授業後の自己学習を保障する。またソフト面では、時間
割で設定している時間外の授業対応として、現職教員の長期休暇中や日曜日などに合
わせて個別指導を行い、個別のニーズに合わせた充実した環境を整え安定した学生確
保を目指していく。
③
学生納付金の設定の考え方
学生納付金については、学校法人として財政上の収支バランス等を勘案し、近隣私
立大学における研究科レベルの状況等を参考としながら設定している(資料4)。発達
教育学専攻の学生納付金は、既設の人文科学研究科同様、第1年次は、福岡女学院大
学からの入学生の場合 614,000 円(入学金 110,000 円、授業料 504,000 円)、他大学か
らの入学生の場合 714,000 円(入学金 210,000 円、授業料 504,000 円)、第2年次は、
504,000 円(授業料)である。なお、学位論文未提出のみにより標準修業年限を超え
て在籍する者の学生納付金は、半額を免除する。
2)学生確保に向けた具体的な取組状況
本専攻の基礎となる学科である子ども発達学科の在学生、卒業生を中心に、本専攻
設置計画や教育方針を説明する機会を設けている。また、社会人への聞き取りやアン
ケート調査でニーズを確認しつつ、幼稚園教育実習ならびに小学校教育実習での実習
訪問の際、計画について説明している。今後は申請中と表記のうえ、本専攻について
広報する予定である。
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2.人材需要の動向等社会の要請
1)人材の養成に関する目的その他の教育研究上の目的
現代社会における適切な子ども理解、子どもを取り巻く環境の分析から個々のニー
ズに対応できる教育者の養成は急務である(資料3)
。大学院での実践的教育の探求や
研究がこれらの課題解決の方法を導くことによって、子どもの人格の完成を目指す教
育者のリーダーの育成を目指している。
本専攻は、子どもの発達援助を基本としながらもそれらを正しく導くために必要な
子ども理解とその教育的プロセスを学ぶことである。人間発達そのものを支援・促進
する心理、教育に関するに関する高次の教育・研究を主軸とする
この発達教育学をより完成度の高いものとすべく、本専攻の教育理念は、
「高度な教
育観と正しい人間理解に基づいた教育、発達支援・促進に関する精深な知識と技術を
もち、その卓越した教育技術を発揮することにより、豊かな人間形成に携わる専門的
教育者・職業人の育成を目指す」ことである。
この理念を実現するための本専攻における中心的な学問分野は、基礎となる学科で
中核においている子ども学をさらに深化・発展させる、発達的な視点を踏まえた教育
心理学、教科教育学、障害児教育である。
2)社会的、地域的な人材需要の動向等を踏まえたものであることの客観的な根拠
本専攻が社会的、地域的な人材需要の動向等を踏まえたものである裏付けとして、
まず、九州地区の公立小学校における 60 歳教員数推移がある(資料5)。福岡県の公
立小学校の 60 歳教員数は、平成 32 年までは増加が予想され、その後は大量の教員採
用が見込まれることが示されている。新規に採用される場合には現代的課題に対応し
た力量を、他方定年退職をむかえる教員は学び直しが想定される。本専攻を学び直し
の場とすることも大いに予想されるためにそれらの需要が見込まれると考えている。
また、幼稚園教諭、小学校教諭、中学校教諭に対するアンケート調査では、本学専攻
に対する関心の高さが伺え、条件さえ整えば進学したいという回答を得ている(資料
3)。自由記述の中で、「社会の急激な変化に伴い、教育現場や子ども観も劇的に変化し
ている」「教育的な課題が多様化している」「多様な子どもたちが学級の中にいるので、いろ
いろな子どもに応じた指導ができるよう知識・実践を身につけられるようになれば学び直した
い」などが挙げられている。以上の希望やニーズから社会的、地域的な人材需要はあると考
えられる。
本専攻における人材養成は、『新時代の大学院教育』(中教審答申)において提起
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された大学院に求められる 4 つの人材養成機能のうち、「2 高度な専門的知識・能力
を持つ高度専門職業人の養成」と「4 知識基盤社会を多様に支える高度で知的な素養
のある人材の養成」を主たるねらいとしている。「高度専門職業人」や「高度で知的
な素養のある人材」は、本専攻において目指している今日の地域社会の生活の質を高
める上で欠かせない人材であり、発達教育学分野の専門的知識・技能を身につけた人
材の養成として現代社会に大いに貢献できる。
とりわけ本専攻では、地域社会で問題化している子どものいじめ、非行、自殺、不
登校、低学力、コミュニケーション不全、主体性の希薄化などの現象に代表される子
どもの発達の危機に対し、理論的及び実践的に対処しうる「高度専門職業人」や地域
で活躍できる「高度で知的な素養のある人材」の養成を目指す。子どもの発達の危機
に対処しうる「高度専門職業人」の中心は教師である。
平成 18 年 7 月の中央教育審議会答申『今後の教員養成・免許制度の在り方につい
て』では、「教員に求められる資質能力について」において「教職は、日々変化する
子どもの教育に携わり、子どもの可能性を開く創造的な職業であり、このため、教員
には、常に研究と修養に努め、専門性の向上を図ることが求められている。教員を取
り巻く社会状況が急速に変化し、学校教育が抱える課題も複雑・多様化する現在、教
員には、不断に最新の専門的知識や指導技術等を身に付けていくことが重要となって
おり『学びの精神』がこれまで以上に強く求められている」とし、教員の専門的力量
の向上を求めている。また、文部科学省教育職員養成審議会答申『修士課程を積極的
に活用した教員養成の在り方について』の中でも「教員に求められる資質能力は今後
とも更に高度化・多様化していくと見込まれ、長期的に見た場合、教員養成教育の標
準が現行の学部レベルのものから修士レベルのものへと徐々に移行していくことは、
もはや必然的なことと思われる」とされ、大学院における教員養成の必然性が強調さ
れている。したがって本専攻では、第 1 に、地域社会における子どもの発達の危機に
対処しうる高度な専門的知識・技能と実践力量をもつ教師、言わばこの危機に対して
単なる対処療法的な技法でなく、日々直面する問題を鋭く分析し主体的に解決へと導
く研究力と実践力を備えた専門家を養成する。
第 2 に、子どもの発達の危機に対する知識と素養を身につけ、地域で活躍する人材
を養成する。この危機は単に学校現場でのみ生み出されているのではなく、地域や家
庭での諸問題など学校をとりまく環境にも視野を広げる必要があると考えられている。
その意味で、教師のみならず、学校外(地域)で活躍する子どもの発達の危機に対処す
る知識と実践力を持った高度専門職業人が今日の社会では求められている。社会人の
「学び直し」や「ユニバーサル・アクセス」の実現が重要だと言われる(中教審答申「我
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が国の高等教育の将来像」)今日、本専攻は生涯学習の場となる大学院の機能を果たす。
社会人が本専攻で学ぶことによって、子どもの発達の危機に対処する専門的力量を備
え、地域社会の中で NPO やボランタリーな活動をコーディネートできる人材になるこ
とが期待される。これは社会人の生涯学習ニーズに応えるものであり、かつ「共生社
会の創造」の上でも必要とされると考えている。
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