ケーススタディを読む

経営が順調な時こそ、今を壊し
新しいコトを生む力を育てる
國松 晃
株式会社チカラめし 代表取締役社長 CEO
株式会社ユウシン 取締役社長 CEO
株式会社マック 取締役副社長
マイビス株式会社 取締役
すごい会議コーチ
久保田記祥
設立
:2005 年
従業員数:社員 350 名、パート 3000 名(3 社合計)
すごい会議開始:2014 年 9 月
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事業について教えていただけますか
國松:飲食店の企業再生を手がけおり、経営状態が悪くなった飲食店を M&A で吸収合併し、従業員を全て
引き受けて立て直しをしていきます。そして現在、ユウシン、チカラめし、マイビスという 3 社で外食店チェー
ンを展開しています。
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すごい会議はご存知でしたか
國松:数年前に本を読んでいたので関心がありました。導入している町田商店の田川社長に様子を尋ねたと
ころ「社員の意識が変わった」とのこと。漠然とした感想でしたが、逆に興味を持ちました。
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実際に具体的な説明を聞いた時の印象はどうでしたか
國松:久保田コーチと最初に会った際、高い商品「すごい会議」を売りこまれる、と身構えていました。す
るといきなり「会社のゴールは何か」と質問をしてきたのです。明確に答えられない自分に驚きました。次々
に核心をつく質問を投げかけてくることが経営者として新鮮で、その場で導入を決めました。
成果を自ら示して、信頼を築いてきた企業買収
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どのような課題を抱えていたのですか?
國松:メンバーの目標を達成する、やりきる力が弱いと感じていました。事業を買収して再生をするので、
最初は買収する側と買収された側との人間関係が弱い。説得力を持たせるために私自身が動いて、成果が出
た様子を見せることが必要でした。そこでようやく「この人の言っていることをすれば、売上げがアップし、
給料が上がる」と聞く耳を持つようになるのです。ただ、自主的に動く力が乏しい。
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「すごい会議」は、ゴールを決め、会議のメンバーが自分で具体的なアクションプランをつくり、コミット
するという意識を持たせます。数字的な成果よりも、いい教育の機会になると期待しました。
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会議をスタートした当初、久保田コーチはどのような印象を持ちましたか
久保田:最初は「國松社長」と「その他大勢」という雰囲気
でした。メンバーが國松社長のスピード感に追いつけず、す
べて國松社長に確認していました。それでは経営チームとし
ては弱い。國松社長も、もどかしく感じている様子でした。
会議にはメインメンバーとしてグループ会社の社長や役員
が 8 名、オブザーバーとしてその部下の 7∼8 名、計 16 名
前後が参加しています。どのような規模の会社でも通常は 6
名程度の参加者と私の少人数で行いますので、このケースは
多いなと感じていました。両方の方とのコミュニケーション
を通じて、オブザーバーの方にも成長の可能性を感じる方を
数名見つけることができました。
小さな違いを積み重ねる
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実際のセッションの印象はどのようなものでしたか
國松:初日のセッション、Day1はめちゃくちゃ楽しかったですね。やるべきことを決め、久保田コーチの
助けを借りて達成しよう、というムードが盛り上がりました。
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変化は起こりましたか
國松:自分では「すごい会議」で使われる「違いは何?」という言葉を、日頃から使うようになりましたね。
ただし、まだ会議に参加しているメンバーの中で、
「俺たちの最高、俺たちのワクワク、俺たちの目指す姿を
イメージしよう!」という会話ができるようになったのは少数です。
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なぜだと思いますか
國松:変化をしたくない気持ちが強いからです。飲食業界には多いですよ。例えば料理人は一度習ったスキ
ルを守っていこうとする。しかし時代は変わります。自らも変えていかないと取り残されていきます。買収
直後は、買収された会社の社員のほとんどは心が折れています。順調だった経営が途中で傾き、労働環境が
悪化し、希望がない状態が続いてきたからです。
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そこで「本当は何がしたいの?」と聞き出していきます。
「彼女が欲しい」
「ひとり暮らしをしたい」、なんで
もよいのです。そのために何をしたらよいか考えます。そして行動を変えます。昨日よりも床を奇麗にする
など、何でもいいので少しずつ変えていくのです。
能力の高い人のエッセンスを凝縮したすごい会議
̶̶
すごい会議に感じる可能性はどこですか
國松:自分でコミットして実現させる点です。
「聞き出す」というコーチングは受けてきましたが、すごい会
議はその一歩先へ進ませることができます。今までの取り組みがバージョンアップすると思いました。
久保田:すごい会議はパフォーマンスが高い人のエッセンスを凝縮しています。國松社長のような方が実行
していることが形式知になっているため、周りの人にも移転できるようになります。
國松:メンバーの気持ちが切り替わる「スイッチを入れる」という点を、すごい会議においては評価してい
ます。今を壊して前に進む。ただし、どのように働きかけても変わらない人がいます。その人には厳しい判
断が必要だと感じています。今まではそこから逃げて「俺の引いたレールに乗れ」と言い続けていました。
「このメンバーでは無理じゃないですか?」
̶̶厳しい判断が必要な状況なのですか?
久保田:3 ヶ月経っても目標数字を達成する気配がみえてきませんでした。4 ヶ月目の Day6 で、國松社長に
「このメンバーで目標を達成するのは無理じゃないですか?」と伝えました。その場が一瞬固まり、会議に
参加したメンバーの誰もが「俺かも」という表情になっていましたね。
國松:まさに私が先延ばしにしていた問題を指摘さ
れました。例えば、会議の場は「やりましょう!」
と力強く共感していても、現場に戻ると「会社がま
たこんなこと言っているよ」と伝達するだけの人が
います。利益が出ているのになぜ変わる必要がある
のか、と本心では思っているため巻き込む力も熱意
もない。そういうメンバーに続けてもらうのか、離
れてもらうのか、という判断をきちんとしないとい
けない段階なのです。
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企業再生の現場をみていると、経営が傾く会社の多くは良かった当時の成功体験にしがみついています。お
金が無くなってから気づいても遅い。従業員が同じことを繰り返す機械のようになったら危険です。
久保田:すごい会議が成功するパターンのひとつは、メンバーが目標にむかって興奮しています。Day6の
段階ではそのムードがありませんでした。國松社長の気持ちも下がっていましたよね。
國松:はい。Day1 では「やるぞ!」とワクワクしたのですが、Day2、Day3 で大きな変化が見られなかっ
たからです。次回のセッションでは将来幹部になって欲しい人と新たなチームを作るので楽しみです。
考えるより先に全力で走れ
̶̶どのような人がすごい会議をきっかけに伸びていくと思いますか
國松:能力や知識よりも「やる気」のある人です。考える前に全力で走って行く人間。その後ろに副産物が
生まれ、私が後から正解をみつけていけばいい。「俺は道を知っているから、いいから走れ、俺を困らせろ」
「ひっくり返ったら助けてやるから、とにかく走れ」と言える、早く一任できる役員を「すごい会議」で育
てたいのです。ゴールを示せば、部下に仕事を生み出し、収益を生み出していく人。そのための教育の投資
は惜しみません。人の成長によって事業が再生し、新しいコトが生まれるのです。
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これから久保田コーチに何を期待していきますか
國松:私が言うよりも、久保田コーチが言うと社員が大きく頷くことが多々あります。例えば「現状を変え
よう。今と同じ事をやっていても意味が無い」。同じ言葉でもなぜあれほど反応が違うのかな(笑)。
久保田:能力が突出した社長の言葉を翻訳して
経営幹部に渡す、という私の得意とするパター
ンが上手く機能しているのです。
國松:今回も社内だけで議論を進めていたら、
今の環境で無理矢理なんとかしようとして、大
きな変化は生まれなかったでしょう。久保田
コーチに外部の立場から冷静なダメ出しをして
もらえると、本当に楽です。
日時:2015 年 1 月/場所:株式会社ユウシン
新宿
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