編集・発行 三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング株式会社 2015.2.16 第 1451 号 SMBC経営懇話会 TEL:フリーダイヤル 0120-7109-49 FAX:(03)5255-5564 URL:http://www.smbc-consulting.co.jp 【知っておきたい 平成 27 年 4 月施行 有期雇用労働者特措法】 高度専門的知識を有する労働者・高年齢者に対する特例 株式会社ビジネスコンサルティングプロモート 所属コンサルタント 小塚 真弥 1. 平成 27 年 4 月より、労働契約法の特別措置法が施行されます。 2. 「5 年を超える一定の期間内に完了することが予定されている業務」に就く高度専門的知識等を有する有期雇 用労働者と、定年後に有期契約で継続雇用される高齢者に、今回の特別措置法が適用されます。 3. 対象者に自動的に今回の特例が適用されるのではなく、適用を受けるためには厚生労働大臣の認定が必 要です。 1.特別措置法成立の経緯 平成 25 年 4 月に労働契約法が改正され、同一の使用者との間で有期労働契約が通算 5 年を超えて反復更 新された場合に、有期雇用労働者が事業主に申し込みをすることにより、期間の定めのない労働契約(無期労 働契約)に転換できるルールが設けられました。 この改正法が施行された当初は、パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託など職場での呼称にかか わらず、6 か月間や 1 年間などの期間の定めのある労働契約で働く労働者であれば、すべてこの無期転換ルー ルの対象となるという解釈がなされていました。 しかし、ちょうど同時期に高年齢者雇用安定法が改正され、定年(60 歳以上のものに限る。以下同じ)後の再 雇用については、原則として希望者全員に対し 65 歳までの雇用を確保する措置を講じることが義務化されたこ ともあり、この定年後に有期契約で継続雇用される労働者等にまで無期転換ルールの対象範囲を広げることは 改正法の趣旨にそぐわないものではないか、あるいはこの無期転換ルールのために、かえって高齢者を 5 年を 超えて雇用しにくくなるのではないか、との疑念が実務サイドから出されていました。 このような状況を踏まえた今回の特別措置法の案は、第 186 回通常国会に提出されたものの、参議院での審 議未了のまま会期末を迎えいったんは継続審議扱いとなりましたが、続く第 187 回臨時国会において再度審議 され、解散日当日の昨年 11 月 21 日の衆議院本会議において滑り込みで可決、成立しました。 施行日は平成 27 年 4 月 1 日となっています。 (次頁に続く) (1451-2/2) 2.特例の対象となる労働者の範囲と効果 今回の特例措置の対象となる労働者は以下の 2 つです。 (1)「5 年を超える一定の期間内に完了することが予定されている業務」に就く高度専門的知識等を有する有 期雇用労働者 労働契約法に定めた無期転 換への申込権発生までの 5 年 の期間が、一定の期間内に完 了することが予定されている業 務の開始の日から完了の日ま での期間(ただし、上限 10 年) に延長されます。 例えば、7 年間の有期プロジェクトに、1 年間の有期雇用労働者として参加し、契約を更新して通算 5 年を 経過したとしても、そのプロジェクトの期間中は無期転換への申込権は発生しないことになります(なお、高 度専門的知識等を有する有期雇用労働者とされる収入の基準や高度の専門的知識の具体的範囲につい ては、今後の厚生労働省令等で定められる予定です)。 (2)定年後に有期契約で継続雇用される高齢者 定年後引き続いて同一の事業 主に雇用されている期間は、無期 転換への申込権は発生しません。 例えば、60 歳で定年後、同一の 事業主に1年間の有期雇用労働者として継続雇用され、契約更新を繰り返し、65 歳(通算 5 年)を超えて雇 用されている状態となったとしても、その事業主に雇用されている期間中は無期転換への申込権は発生し ないということです。 より多くの会社に該当すると思われるのが(2)の場合であると思われますが、ここで注意すべきは、(2)は、あ くまで「定年」後に引き続いて「同一の事業主」に雇用される場合にのみ該当するということです。 例えば、もともと有期雇用労働者として新規雇用された 58 歳の者が、契約更新を繰り返し 63 歳(通算 5 年) を超えた場合や、定年後に転職して別の事業主に有期雇用された場合については、特例の対象とはならず、 原則通り、通算の契約期間が 5 年を超えれば無期転換への申込権が発生することになります。 3.特例を受けるための手続き 今回の特例は、上記(1)(2)に該当する場合に自動的に適用されるのではなく、各事業主が適切な雇用管 理に関する事項についての計画書を作成し、厚生労働大臣の認定を受ける必要があります。この認定によって、 初めて特例の適用が可能となるわけです。 この計画書には、(1)の高度専門的知識等を有する有期雇用労働者については、労働者が自らの能力の維 持向上を図る機会の付与等、(2)の定年後有期雇用で継続雇用される高齢者については、労働者に対する配 置、職務及び職場環境に関する配慮その他特性に応じた雇用管理に関する措置を記載することが必要ですが、 その具体的内容や様式等については、現段階ではまだ明らかになっておらず、今後の厚生労働省令等で定め られる予定です。 【本稿に関するご照会窓口】 SMBCコンサルティング・経営相談部 TEL:0120-7109-49 Netpress 経営に関するタイムリーなトピックスを掲載しています! 詳しくはこちら
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