Indo-Pacific 熱帯ブイ網 Web の構築

Indo-Pacific 熱帯ブイ網 Web の構築 ○藤井信宏((株)マリン・ワーク・ジャパン), 植木巌・安藤健太郎・福田達也・石原靖久(海洋研究開発機構) 太平洋熱帯域で発生するエルニーニョ/ラニーニャ現象、インド洋熱帯域で発生するインド洋ダイポ
ールモード現象などの熱帯域で発生する大規模な気候現象の理解と予測のために、NOAA/PMEL を始めと
する諸外国の研究機関と協力して全球熱帯ブイ網が構築されている。太平洋熱帯域には「TAO/TRITON
ブイ網」、インド洋熱帯域には「RAMA ブイ網」が構築されており、JAMSTEC では、西太平洋に TRITON
ブイ、東インド洋に m-TRITON ブイを展開している。それぞれのブイが観測したデータは、TRITON Web
(※1)および IOMICS Web(※2)で公開しており、Web 上で観測概況を表示するためのグラフ機能や、
品質管理フラグを含んだ観測生データのダウンロード機能などを提供している。これらの Web では、
ブイ観測データの利用者として研究者を想定していたため、専門的な説明が多く、また、提供してい
るデータも JAMSTEC のブイに限定していた。昨今では、熱帯域の気候変動現象が日本にも影響を及ぼ
すことから、一般の方の関心も高まっており、より分かりやすく利用しやすい Web が求められていた。
そこで、エルニーニョ現象やダイポールモード現象に関する概要や最近の状況を知ることができるよ
うに、また、インド洋と太平洋の全てのブイ観測データを統一的に扱えるように、Indo-Pacific 熱帯
ブイ網 Web(※3)を構築した。 本 Web では、様々なグラフ表示が可能で、「時系列グラフ」、「時間−緯度/経度グラフ」、「緯度−経度
グラフ」、
「緯度/経度−深度グラフ」、
「時間−深度グラフ」の 5 種類をサポートしている。それぞれのグ
ラフで、任意のブイと時間(期間)を選択することができ、気候値からの偏差を表示することもでき
る。また、「時間−緯度/経度グラフ」、「緯度−経度グラフ」、「緯度/経度−深度グラフ」については、大
洋ごとに表示領域を変更することができ、利用者が必要とする海域のグラフを作成できる。Web で表示
した図は Postscript 形式でダウンロードできる(図 1)。 ブイ観測データのダウンロードについては、netCDF 形式およびテキスト形式に対応しており、観測
点ごとまたは大洋ごとに、任意の期間の 1 時間平均値または 1 日平均値を選択することができる。水
温・塩分などの水中部のデータは、従来までの観測深度による提供に加えて、規定の深度に内挿した
データをダウンロードできる。これまでの長期間の観測で、CTD センサなどの取付け深度が変更になっ
ており、全てのブイで全期間同じ観測深度ではない。利用にあたっては、観測深度が統一されたデー
タセットの方が便利なことも多いため、秋間法を利用して規定の深度(0m、10m、20m、40m、60m、80m、
100m、120m、140m、160m、180m、200m、250m、300m、400m、500m)に内挿したデータセットを提供し
ている。 ※1 TRITON Web:http://www.jamstec.go.jp/jamstec/TRITON/real_time/ ※2 IOMICS Web:http://www.jamstec.go.jp/iorgc/iomics/index.html ※3 Indo-Pacific 熱帯ブイ網ウェブ:http://www.jamstec.go.jp/tropicbuoy/index.html 図 1:Indo-Pacific 熱帯ブイ網 Web のグラフ表示の例