平成 (漁場環境化学物質影響総合評価事業報告書) 年度漁場環境・生物多様性保全総合対策委託事業のうち漁場環境生物多様性評価手法等開発事業 22 水産庁委託事業 平成 22 年度漁場環境・生物多様性保全総合対策委託事業のうち 漁場環境・生物多様性評価手法等開発事業 (漁場環境化学物質影響総合評価事業) 報告書 平成 年3月 23 (財)海洋生物環境研究所 (財 日本食品分析センター 平成 23 年 3 月 財団法人 財団法人 海洋生物環境研究所 日本食品分析センター ) はじめに 本報告書は,水産庁委託事業「平成 22 年度漁場環境・生物多様性保全総合対策委託事 業」のうち,財団法人海洋生物環境研究所及び財団法人日本食品分析センターに委託され た「漁場環境化学物質影響総合評価事業」について成果をとりまとめたものである。 漁業は生態系サービスの一部を漁獲し利用する産業であり,持続可能な漁業生産を維持 するためには,漁場が形成される海域に健全な生態系および生物多様性が維持されること が不可欠である。近年,人間活動や産業活動による沿岸域の開発等が,赤潮や青潮の発生 及び大きな汚濁負荷の流入をもたらし,漁場となる海域とその生物多様性に負の影響を及 ぼすことが懸念され,適切な対応がない場合は漁業活動が成り立たなくなる可能性が指摘 されている。このため,農林水産省は,平成 19 年に農林水産省生物多様性戦略を策定し施 策してきた。一方,第三次生物多様性国家戦略では,生物多様性を損なう要因の一つとし て,未だ不明な点が多い化学物質の生態系に対する影響を指摘している。これらの施策を 円滑に進めるため,生物多様性を定量的に評価する手法を開発するとともに,各種の化学 物質等が生態系に与える毒性影響を調査し,漁場となる海域環境とその生物多様性に与え る影響の緩和技術の開発を行う必要がある。 「漁場環境化学物質影響総合評価事業」では,化学物質が漁場環境に与える影響を解明 するために以下の調査,検討を行い,専門家による検討会を経て総合的に取りまとめるこ ととしている。本事業は,化学物質による汚染を未然に防止して生物多様性に配慮した水 産施策を実施するため,近年漁場環境や魚介類への影響が懸念されている化学物質につい て,漁場環境および海洋生態系に与える影響を把握し,評価するための手法の開発を目的 とする。ここでは漁場環境における影響が懸念されながらも検出が困難な微量化学物質に ついて,海域環境における分布現況を簡便にモニタリングする手法を開発し(モニタリング 手法の開発),海域生態系への影響が懸念される化学物質の有害性を評価し実用的な海産生 物毒性試験手法を提案する(暴露試験の実施による海産生物への影響評価)ことを目指し, 下表に示す 5 年間のスケジュールを計画している。 本事業の年度スケジュール(案) 事 業 名 / 項 目 漁場環境化学物質影響総合評価事業 1)モニタリング手法の開発 (1)内湾・沿岸及び沖合域モニタリング手法の開発 ①内湾・沿岸域モニタリング手法の開発 ②沖合域モニタリング手法の開発 (2)内湾域底層環境モニタリング手法の開発 (3)干潟環境モニタリング手法の開発 (4)モニタリング調査に係る既存知見の収集・整理 (5)モニタリング手法の開発・提案 2)暴露試験の実施による海産生物への影響評価 (1)化学物質影響評価暴露試験 (2)影響評価モデル海産生物および毒性試験法開発 (3)化学物質影響評価に係る既存知見の収集・整理 (4)水産生物影響評価の指針提案 3)検討委員会 年 H20 ○ ○ H21 ○ ○ 度 H22 ○ ○ H23 ○ ○ H24 ○ ○ 「モニタリング手法の開発」では,指標となる生物や水質試験項目を測定することによ り,有害化学物質について,漁場環境中に生息する魚介類等へ与える影響や蓄積状況を簡 易的にモニタリングする手法を開発することを目的としている。「暴露試験の実施による 海産生物への影響評価」では,有害性が懸念される化学物質を水産生物等に暴露し,魚介 類への影響や漁場環境中における毒性,蓄積性,分解性等を評価し,また,水産庁が作成 した水産生物への化学物質の影響試験法,OECD 等の試験ガイドラインを比較し,それぞれ の試験ガイドラインに則った毒性試験の結果も勘案し,我が国の漁場環境における水産生 物の再生産への影響を評価できる指針を提案することを目的としている。さらに,漁場環 境への影響が懸念される化学物質に関する情報を収集・整理し,研究手法開発,研究取り 組みの現状および研究成果等をまとめるとともに,今後の研究動向,研究推進の可能性, 解決すべき研究課題等について考察する。本事業では,計画作成,調査・暴露試験の実施 および結果の取りまとめ等の調査業務を財団法人 海洋生物環境研究所が,分析とその精度 管理等の分析業務を財団法人 日本分析センターが担当した。 また,本報告書では,第 1 部に「モニタリング手法の開発」,第 2 部に「暴露試験の実 施による海産生物への影響評価」の結果を,第3部に検討委員会の概要を,さらに巻末に 化学物質分析の精度管理の結果を収録した。 報告に先立ち,常に適切なご指導,ご助言をいただいた委員諸氏,調査の実施にあたり 多大なご協力とご支援をいただいた関係機関,関係各位に対し,厚く御礼申し上げる。 平成 23 年 3 月 財団法人 海洋生物環境研究所 財団法人 日本食品分析センター 平成22年度漁場環境・生物多様性保全総合対策委託事業 漁場環境化学物質影響総合評価事業 報告書 総 目 次 はじめに 要約 ··············································································· ⅰ 第1部 モニタリング手法の開発 ·············································第1部-1 第2部 暴露試験の実施による海産生物への影響評価 ························· 第2部-1 第3部 検討委員会 ···························································· 第3部-1 精度管理 ······································································· 精度-1
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