【講義6】 障害者福祉施設等設置者・管理者の責務② -職員の育成指導、メンタルヘルスの取り組み- 和歌山県相談支援体制整備事業アドバイザー・松原卓 講義のねらい ○職員の指導方法やメンタルヘルスの サポート体制について理解する。 ○職員が何でも相談できる風通しの良い 施設風土づくりについて理解する。 ⼈権意識、知識や技術向上のための研修 ○虐待は、どの施設・事業所でも起こりうる 構造的な要因がある。 ・⼈権意識の⽋如 ・障害特性への無理解 ・専門的知識の不⾜や技術の不⾜ ・スーパーバイザーの不在 ○⼈材育成の研修を計画的に実施していくことが必要。 ① 管理職を含めた職員全体を対象にした⼈権意 識を⾼めるための研修 (例) ○基本的な職業倫理 ○倫理綱領、⾏動指針、掲⽰物の周知(虐待防⽌ のため の委員会で検討された内容を含めて) ○障害者虐待防⽌法など関係法律や通知、指定基 準な どの理解 ○利用者や家族の思いを聞くための講演会 ○過去の虐待事件の事例を知る ② 障害特性を理解し適切に⽀援が出来るような 知識と技術を習得するための研修 (例) ○障害や精神的な疾患等の正しい理解 ○⾏動障害の背景、理由を理解するアセスメント の技法 ○自閉症の支援手法(視覚化、構造化など) ○⾝体拘束、⾏動制限の廃⽌ ○服薬調整 ○他の施設・事業所の⾒学や経験交流 ③ 事例検討などによりスーパーバイザーの助 ⾔を得て⾏う、個別⽀援計画を充実強化する ための研修 ○利用者のニーズを汲み取るための視点 ○個別のニーズを実現するための社会資源などの 知識の習得 ○個別支援計画というツールを活用しての一貫し た 支援および支援者の役割分担など 効果的な研修 ①職員のニーズと業務遂⾏状況を把握し、 研修計画を⽴ てる ②職場内研修(OJT)と職場外研修(OffJT)を 組み合わせ る ③虐待防⽌委員会での研修計画の⾒直し ⼈材育成についての 設置者・管理者の責務 ①日常的な支援場面の把握 ・職員とのコミュニケーション ②風通しの良い職場づくり ・オープンな意⾒交換 ・職員のストレスへの配慮 *職員への支援の視点での関わりが重要 (国研修・資料) 建てかけの家 「建てかけの家」を⾒た。‥‥だれからも⾒放されたこの家の土台は 痛み、柱は腐食し、壁板もはがれ始めた。それでも「建てかけの 家」 は 空を向いてずっと⽴っていた。・・・ 私たちのなかに、この「建てかけの家」のような支援者はいないだろ うか。 現場で適切な訓練を受ける機会がなく、専門的なスーパービジョンも 受けられず、日々、雨や風、灼熱の日差しを受けるなら、いかに優れ た ⼈であってもやがては空を向いて、ずっと⽴ち尽くすしかなくなる。 しかし、あなたやあなたのもとで働く⼈々を、決して、「建てかけの 家」のままにしてはならない。‥‥ 「建てかけの家」をすばらしい家にすること-それはすべての支援者 が、互いに取り組むべき重要な責任なのだ。 川村隆彦著 「支援者が成⻑するための50の原則」 (中央法規)から (国研修・資料) ⽀えの棒となる 1「建てかけの家」の完成をめざす 1. 私たちが、支援者として「建てかけの家」であることに気づく 2. 「地盤を堅固にする」 慈愛、献⾝さ、誠実さ、熱意、セルフ・エスティームなど、⼈間 としての豊かな資質を理解する 3. 「土台を据える」 専門職の価値と倫理を学ぶ 4. 「レンガを積む」 専門的なスキルを積み上げる 5. 「屋根を組む」 「教える⼒」や「ものをみる⼒」を養う 川村隆彦著 「支援者が成⻑するための50の原則」 (中央法規)から (国研修・資料) チームづくり ○無駄な駒など1枚もない ○誰もが違う、短所も⻑所も持っている ○得意な⼈を得意な場所に ○⾝分で職員を区別しない (国研修・資料) 進路を⽰すのは隊⻑ ○社会福祉の仕事はキャラバンを組んで遠くの町に 荷物を運ぶ商隊に似ている ○1⼈ひとりが、持っている⼒(個性/特性)を紡ぎ合 うことで、疲弊せずに目的地に進む ○進路を⽰すのは隊⻑、目的地とそこへの経路、進み方 (自分の夢と方針)を⽰す (国研修・資料) DoとBe ○どんな仕事にもその仕事を⾏うための方法(Do)がある。 それを⾏うためにはエネルギーがいる ○職場には、仕事を⾏うDo(やり方)と、仕事を⾏う組織 の在り方(Be)がある ○職場はDo(やり方)に偏る傾向があるが、 チーム⼒を⾼めるためにはBe(在り方=どのような職場 で在るか)が肝要 ○DoのエネルギーはBeにより培われる ○この仲間と一緒でよかったと思う「チーム⼒」 阿部美樹雄著 「福祉の仕事につく⼈に絶対に読んでほしい55の⾔葉」 (中央法規)から (国研修・資料) 自分たちのくせを知る(考え⽅、⾒⽅の傾向) ○ものの⾒方 ○考え方の傾向を知る ○社会福祉専門職としての考え方 捉え方・⾒方 を 知っているか? 伝えてあるか? ○利用者のことをよく知ろうとしているか? (国研修・資料) 専門性は仕事を続ければ続ける程⾼まる? ○新任職員の時は 利用者の⾔葉に耳を近づける ○ベテランになると‥ 利用者の耳に⼝を近づける 指導員と⽀援員 ○利用者に対しても職員に対しても、教育は指導から * 「根性いれろ!」 ○指導員は支援員に ○説教・訓⽰からメンタルトレーニングに (国研修・資料) 変えられるもの、変えられないもの ○過去と他⼈は変えられない ○今と未来と自分は変えられる 信念が変われば、思考が変わる。 思考が変われば、行動が変わる。 行動が変われば、習慣が変わる。 習慣が変われば、人格も変わる。 人格が変われば、運命も変わる。 (マハトマ・ガンジー) 阿部美樹雄著 「福祉の仕事につく人に絶対に読んでほしい55の言葉」 (中央法規)から (国研修・資料) 自分は変えられる ○私たちは、自分を変えることはできる ○職員を変えることはできなくても 、変わろうとする職員 を支えることはできる ○褒められて喜ぶ⼈は多いが、 叱られて反省する⼈は 少ない ○褒められると期待に沿いたくなる *叱る、責める、ガミガミ⾔う →やる気を無くす、腹を⽴てる → 反発する *褒める、認める、信頼する →嬉しくなる、やる気が出る → 期待に沿う 内藤誼人著「人はホメ技で180度変わる」(幻冬舎)から引用 (国研修・資料) ⼈はホメ技で180度変わる ○自分で思っている以上にホメよ ○⼈がいないところで、こっそりとホメよ ○最初は連続してホメよ ○相手を変えたいなら、とにかくホメまくれ ○相手にレッテルを貼り付ければ、⼈は変わる 内藤誼人著「人はホメ技で180度変わる」(幻冬舎)から引用 従事者の 健康状態(heals condition) を考える 健康について 健康とは、病気でないとか弱っていないというこ とではなく、肉体的にも精神的にも、そして社会 的にも、すべてが満たされている状態にあること 世界保健機構(WHO)憲章より 「障壁」は個⼈と社会(組織)の接点で起きる 個に求められるものと、環境に求められるもの *あらためて「ICF」 *健康状態(heals condition) ICF の生活機能構造モデル 「障害は環境との相互作用」 健康状態 (heals condition) 肉体的・精神的・社会的な充足 生活機能 心身機能・身体構造 (BodyFunctions & Structure) 活動 (Activity) 体の状態 環境因子 (Environmental Fanction) 就業環境 就業内容・待遇・職場集団 就業 参加 (Participation) 職場集団・家庭での役 割 地域社会参加等 個⼈因子 (Personal Fanction) 年齢・性別・ライフスタイル 価値観・経験値・スキルなど ICF 生活機能と環境因子の相互作用 エンパワーメント・ストレングスの 視点 従事者 (個⼈) 障壁 社会(組織) 個⼈と社会(組織)の間にある障壁 ※社会との接点で起こるストレス 最初から「虐待してやろう」と思っている⼈は 誰もいない 「ねがい」(個⼈) と 「ねらい」(組織) 具体と抽象 現実と観念 ジェネーレーションギャップ 「障壁」は個⼈と社会(組織)の接点で起きる 個に求められるものと、環境に求められるもの *あらためて「ICF」 *健康状態(heals condition) 利用者の「ねがい」と従事者の「ねがい」、 組織の「ねらい」は一致する 共有のための視点と取り組みの大切さ ○障害福祉事業と携わる「仕事」の意義を共有 ○社会貢献と自⼰の生活の安定と、成⻑を(ストレングスに着目 して) ○正当な評価と⾒守りと励まし ○開かれた環境、まちがいは認め・正す環境 *そもそも「誰のための事業か」に、常に⽴ち返る
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